名古屋の賃貸オフィス賃料相場をエリア別に解説【2024年最新】

名古屋の賃貸オフィス賃料相場、エリア別に解説

リニア中央新幹線の開業を控え、大規模な再開発が進む名古屋。中部地方の経済を牽引するこの都市で、ビジネスの拠点を構えたいと考える企業は少なくありません。しかし、いざオフィスを探し始めると、「どのエリアが良いのか?」「賃料の相場はどれくらいなのか?」「自社の規模に合う広さは?」といった多くの疑問に直面します。

オフィスの移転や開設は、企業にとって大きな投資です。立地やコストは、従業員の働きやすさや生産性、さらには採用競争力にも直結する重要な経営判断となります。特に、多様なオフィス街が形成されている名古屋では、エリアごとの特性と賃料相場を正確に把握することが、最適なオフィス選びの第一歩と言えるでしょう。

この記事では、2024年の最新データに基づき、名古屋の賃貸オフィス市場の動向から、主要エリア別の詳細な賃料相場、契約にかかる費用、そして自社に最適な物件を見つけるための実践的なポイントまで、網羅的に解説します。スタートアップから事業拡大を目指す企業まで、名古屋でオフィスを探すすべての担当者にとって、必見の情報が満載です。

名古屋の賃貸オフィス市場の動向と特徴

名古屋で最適なオフィスを見つけるためには、まず現在の市場全体の流れを理解することが不可欠です。ここでは、最新のデータに基づいた市場動向と、名古屋を代表する主要オフィス街それぞれの特徴について詳しく解説します。

名古屋のオフィス市場の最新動動向

現在の名古屋オフィス市場は、リニア中央新幹線(2027年以降開業予定)を見据えた大規模な再開発が活発化しており、市場に大きな影響を与えています。特に名古屋駅周辺(名駅エリア)では、大型の高機能オフィスビルが次々と竣工・計画されており、これが市場全体の賃料や空室率の動向を左右する重要な要素となっています。

不動産サービス大手の三鬼商事が発表した2024年4月時点のオフィスマーケットデータによると、名古屋ビジネス地区(名駅、伏見、栄、丸の内)の平均空室率は4.96%平均賃料は坪あたり12,171円となっています。空室率は、数年前に比べると上昇傾向にありますが、これはコロナ禍を経た働き方の多様化(テレワークの普及など)に加え、前述の通り新しいビルの供給が増加したことが主な要因です。見方を変えれば、これまで選択肢が限られていた企業にとって、よりグレードの高い、新しいビルへ移転するチャンスが広がっているとも言えます。

賃料については、新築や築浅の高グレードビルが市場を牽引し、全体として底堅く推移しています。特に交通利便性の高い名駅エリアや、ブランド力のある栄エリアでは、高水準の賃料が維持されています。一方で、少し駅から離れたエリアや築年数の経過したビルでは、テナント獲得のために賃料を調整する動きも見られ、エリアやビルのスペックによって賃料の二極化が進んでいるのが現状です。

今後の展望としては、リニア開業がもたらす東京・大阪との時間的距離の短縮により、名古屋の拠点性がさらに高まることが予想されます。これにより、首都圏や関西圏の企業が名古屋に支社や営業所を新設する動きが加速し、オフィス需要は中長期的に増加していくと考えられます。したがって、今はまさに、将来の事業拡大を見据え、戦略的な視点でオフィス移転を検討する好機と言えるでしょう。

名古屋の主要オフィス街の特徴

名古屋のオフィス街は、それぞれ異なる個性と機能を持っています。自社の業種や事業戦略、求める人材像に合わせて最適なエリアを選ぶことが重要です。

オフィス街 特徴 主な業種・企業
名駅エリア 名古屋最大のターミナル駅。リニア開業を控え再開発が最も活発。交通の利便性が最高レベルで、全国展開する企業の支社や本社が集積。 大手メーカー、商社、金融、IT企業、士業など
栄エリア 名古屋随一の商業・繁華街。百貨店や高級ブランド店が立ち並び、華やかでブランドイメージが高い。クリエイティブ系やアパレル、サービス業に人気。 広告、デザイン、アパレル、コンサルティング、美容関連など
伏見エリア 名駅と栄の中間に位置するビジネス街。金融機関の本支店が多く、「名古屋のウォール街」とも呼ばれる。落ち着いた雰囲気で、堅実なビジネスに最適。 金融(銀行・証券・保険)、士業、大手企業の名古屋支店など
丸の内エリア 名古屋城の南に位置し、官公庁や裁判所が集まる行政の中心地。弁護士や司法書士などの士業事務所が多い。歴史と風格のあるエリア。 士業(弁護士・司法書士・行政書士)、建設、不動産関連など
金山エリア JR、名鉄、地下鉄が乗り入れる総合駅。名古屋南部の玄関口。中心部に比べ賃料が比較的リーズナブルで、コストを重視する企業や地域密着型企業に適する。 製造業の営業所、学習塾、地域サービス業など

このように、一口に「名古屋」と言っても、エリアによって街の雰囲気や集まる企業、賃料相場は大きく異なります。例えば、全国の顧客を相手にする企業であれば交通のハブである名駅エリアが、クリエイティブな人材を惹きつけたいなら栄エリアが、官公庁との連携が多いなら丸の内エリアが適している、というように、自社のビジネスモデルと各エリアの特性を照らし合わせることが、失敗しないオフィス選びの鍵となります。

【エリア別】名古屋の賃貸オフィス賃料相場

ここでは、名古屋の主要オフィスエリアである「名駅」「栄」「伏見」「丸の内」「金山」の5つについて、それぞれの特徴をさらに深掘りし、2024年現在の賃料相場(坪単価)を詳しく解説します。坪単価とは、オフィスの賃料を面積(坪)で割った値で、エリアやビルの価値を比較する上で最も重要な指標の一つです。

エリア名 賃料相場(坪単価)の目安 特徴・キーワード
名駅エリア 15,000円~25,000円 交通の要衝、再開発、ハイスペックビル、支店経済
栄エリア 12,000円~20,000円 商業の中心、ブランド力、クリエイティブ、若者文化
伏見エリア 11,000円~18,000円 金融街、ビジネス特化、落ち着いた環境、大手支店
丸の内エリア 10,000円~16,000円 行政の中心、士業集積、歴史と風格、堅実なイメージ
金山エリア 9,000円~14,000円 総合駅、コストパフォーマンス、地域密着、南の玄関口

※上記の賃料相場は、ビルのグレード(規模、築年数、設備など)や駅からの距離によって変動します。あくまで目安としてご参照ください。

名駅エリア

賃料相場(坪単価)目安:15,000円~25,000円

JR、名鉄、近鉄、地下鉄が集結する中部地方最大のターミナル「名古屋駅」を中心とするエリアです。リニア中央新幹線の開業を控え、現在名古屋で最もダイナミックな変化を遂げているエリアと言えるでしょう。「JPタワー名古屋」や「大名古屋ビルヂング」、「JRゲートタワー」といった大規模なハイスペックオフィスビルが林立し、今後も複数の再開発プロジェクトが進行中です。

【メリット】

  • 圧倒的な交通利便性: 新幹線をはじめ、あらゆる鉄道路線が利用可能。県内はもちろん、東京、大阪、さらには全国各地へのアクセスが抜群です。出張の多い企業や、広域から顧客が訪れる企業にとっては最高の立地です。
  • 高い企業ステータス: 最新鋭のビルにオフィスを構えることは、企業のブランドイメージや信頼性の向上に直結します。優秀な人材を確保する上での採用力強化にも繋がります。
  • 充実した周辺環境: 駅直結の商業施設やホテル、飲食店が豊富に揃っており、ビジネスランチや接待、従業員の福利厚生といった面でも利便性が高いのが特徴です。

【デメリット・注意点】

  • 名古屋で最も賃料が高い: 利便性とステータス性に比例して、賃料相場は市内で最も高額です。特に新築や駅直結のビルは、坪単価が30,000円を超えるケースも珍しくありません。
  • 競争の激化: 人気エリアであるため、条件の良い物件はすぐに埋まってしまう可能性があります。常に最新の空室情報をチェックし、迅速な意思決定が求められます。

【こんな企業におすすめ】

  • 全国に拠点を持ち、出張が多い大手企業の支社・支店
  • 企業のブランドイメージを重視する外資系企業やコンサルティングファーム
  • 最新の設備やBCP対策を求めるIT企業

栄エリア

賃料相場(坪単価)目安:12,000円~20,000円

名古屋を代表する商業・文化の中心地です。三越、松坂屋といった老舗百貨店や高級ブランドの路面店、最新のトレンドを発信する商業施設「オアシス21」などが集まり、常に多くの人で賑わっています。オフィスビルは、大通り沿いに比較的大規模なものが、一本入った通りには中小規模のものが混在しています。

【メリット】

  • 高い知名度とブランド力: 「栄にオフィスがある」ことは、特にBtoCビジネスやクリエイティブ系の企業にとって、高い対外的なアピールポイントになります。
  • 情報・トレンドへの感度: 商業・文化の最先端が集まるエリアであるため、最新のトレンドや消費者ニーズを肌で感じられます。マーケティングや企画職にとって刺激的な環境です。
  • 交通アクセスも良好: 地下鉄東山線と名城線が交差する栄駅は、名駅からも近く、市内各方面へのアクセスも便利です。

【デメリット・注意点】

  • 商業エリアならではの喧騒: ビジネスに特化したエリアに比べ、日中や休日は人通りが多く、やや騒がしい側面もあります。静かな執務環境を最優先する企業には向かないかもしれません。
  • 駐車場の確保: 中心部は駐車料金が高く、空きを見つけるのが難しい場合があります。車での来客が多い場合は、ビルに駐車場が完備されているかを確認することが重要です。

【こんな企業におすすめ】

  • 広告代理店、デザイン事務所、Web制作会社などのクリエイティブ系企業
  • アパレル、美容、エンターテインメント関連の企業
  • 若者向けサービスを展開するベンチャー企業

伏見エリア

賃料相場(坪単価)目安:11,000円~18,000円

名駅と栄のちょうど中間に位置し、両エリアへ徒歩でのアクセスも可能な利便性の高いビジネス街です。広小路通と伏見通が交差する地点を中心に、銀行や証券会社、保険会社などの金融機関の本支店が集積していることから、「名古屋の金融街」とも称されます。

【メリット】

  • ビジネスに集中できる落ち着いた環境: 栄のような商業的な賑わいはなく、平日はビジネスワーカーが行き交う落ち着いた雰囲気です。業務に集中しやすい環境を求める企業に適しています。
  • バランスの取れた立地と賃料: 名駅・栄へのアクセスが良いにもかかわらず、両エリアに比べると賃料相場は比較的落ち着いています。利便性とコストのバランスを重視する企業にとって、有力な選択肢となります。
  • 信頼感のあるエリアイメージ: 金融機関が集まるエリア特性から、堅実で信頼感のあるイメージを持たれやすいというメリットがあります。

【デメリット・注意点】

  • 週末は閑散としがち: ビジネス街であるため、土日や祝日は人通りが少なく、飲食店なども閉まっていることが多いです。
  • 大型の新築供給は少なめ: 名駅エリアと比較すると、大規模な再開発は少なく、築年数が比較的経過した中規模ビルが中心となります。

【こんな企業におすすめ】

  • 金融関連企業、保険代理店
  • 弁護士、税理士、公認会計士などの士業
  • コストを抑えつつ、中心部へのアクセスも確保したい大手企業の支店

丸の内エリア

賃料相場(坪単価)目安:10,000円~16,000円

名古屋城の南側に広がり、愛知県庁や名古屋市役所、裁判所といった官公庁が集まる行政の中心地です。歴史的な建造物も点在し、緑も多く、重厚で風格のある街並みが特徴です。

【メリット】

  • 官公庁へのアクセスが抜群: 行政機関とのやり取りが多い業種にとっては、これ以上ない好立地です。手続きや申請、情報収集などを効率的に行えます。
  • 士業の一大集積地: 弁護士会館や司法書士会館があることから、法務・労務関連の専門家事務所が数多く集まっています。関連業者との連携が取りやすい環境です。
  • 比較的リーズナブルな賃料: 名駅や栄といった中心市街地からは少し離れるため、賃料相場は手頃な水準にあります。

【デメリット・注意点】

  • 最寄り駅が限られる: 主な最寄り駅は地下鉄桜通線・鶴舞線の「丸の内駅」や名城線の「市役所駅」となり、JRや名鉄・近鉄への乗り換えには一手間かかります。
  • 商業施設は少なめ: 飲食店や商業施設はオフィスワーカー向けが中心で、栄エリアほどの充実度はありません。

【こんな企業におすすめ】

  • 弁護士、司法書士、行政書士、弁理士などの士業事務所
  • 建設業、不動産業、コンサルティングなど、官公庁との折衝が多い企業
  • 静かで落ち着いた環境とコストを重視する企業

金山エリア

賃料相場(坪単価)目安:9,000円~14,000円

JR中央本線・東海道本線、名鉄名古屋本線、地下鉄名城線・名港線が乗り入れる「金山総合駅」を中心としたエリアです。名駅に次ぐターミナル駅として、名古屋市の南部や三河、知多方面からの玄関口としての役割を担っています。

【メリット】

  • 優れたコストパフォーマンス: 名古屋の主要駅でありながら、中心市街地(名駅・栄)と比較して賃料相場が deutlich(ドイツ語で「明確に」の意)割安です。コストを最優先に考える企業にとって非常に魅力的です。
  • 広範囲からの通勤利便性: 複数の路線が利用できるため、名古屋市南部や市外からの従業員も通勤しやすいのが大きなメリットです。採用対象エリアを広げることができます。
  • 生活利便性の高さ: 駅周辺には商業施設や飲食店、スーパーなどが充実しており、仕事帰りやランチの利便性も高いエリアです。

【デメリット・注意点】

  • オフィス街としてのイメージは弱め: 商業・住宅地としての側面が強く、名駅や伏見のような「ビジネス一等地」というイメージはあまりありません。企業のステータス性を重視する場合には、やや物足りなさを感じる可能性があります。
  • ハイスペックビルは限定的: 大規模で最新鋭のオフィスビルは少なく、中小規模のビルが中心となります。

【こんな企業におすすめ】】

  • コストを抑えたいスタートアップやベンチャー企業
  • 三河・知多エリアに顧客基盤を持つ企業の営業所
  • 従業員の職住近接を重視する地域密着型の企業、学習塾など

【従業員数別】賃貸オフィスの賃料相場目安

オフィスの賃料は「坪単価 × 面積(坪数)」で決まります。自社に必要な面積が分かれば、前述のエリア別坪単価と掛け合わせることで、おおよその月額賃料をシミュレーションできます。ここでは、一般的に推奨される従業員一人当たりの面積を基に、企業規模別の賃料目安を算出します。

一般的に、オフィスで快適に働くために必要な一人当たりの面積は2坪~4坪とされています。

  • ミニマム(~2坪/人): 執務スペースが中心。コンパクトで効率的だが、やや手狭に感じる可能性も。
  • 標準(2~3坪/人): 執務スペースに加え、小規模な会議室やリフレッシュスペースを設置できる余裕がある。
  • ゆとり(3~4坪/人): 複数の会議室や広めのリフレッシュスペース、役員室など、多様な空間を確保できる。

ここでは、一人当たり3坪を標準的な基準として計算してみます。

従業員数 推奨面積(坪) 月額賃料の目安(伏見エリア:坪1.4万円で計算) 月額賃料の目安(名駅エリア:坪2.0万円で計算)
1~10名 3坪~30坪 4.2万円~42万円 6万円~60万円
11~20名 33坪~60坪 46.2万円~84万円 66万円~120万円
21~30名 63坪~90坪 88.2万円~126万円 126万円~180万円

※上記はあくまで単純計算による目安です。共益費やその他の費用は含まれていません。

1〜10名規模

スタートアップや企業の立ち上げフェーズ、少数精鋭の専門家チームなどがこの規模に該当します。必要な面積は3坪から30坪程度が目安となります。

この規模の企業がオフィスを探す場合、いくつかの特徴があります。

  • 選択肢の多様性: 小規模な区画は供給が多いため、様々なビル、エリアで物件を見つけやすいです。
  • 柔軟性の重視: 将来的な人員増減に対応しやすいよう、短期間での移転も視野に入れた契約(普通借家契約だけでなく定期借家契約も検討)や、後述するレンタルオフィスなども有力な選択肢となります。
  • コスト意識: 事業が軌道に乗るまでは、できるだけ固定費を抑えたいと考えるケースが多いです。そのため、金山エリアや、名駅・栄エリアでも駅から少し歩く物件などが人気を集めます。

【具体例:従業員5名の場合】

  • 必要な面積:5名 × 3坪/人 = 15坪
  • 伏見エリア(坪単価1.4万円)での賃料目安:15坪 × 1.4万円/坪 = 月額21万円
  • 名駅エリア(坪単価2.0万円)での賃料目安:15坪 × 2.0万円/坪 = 月額30万円

この賃料に加えて共益費(坪あたり1,000円~3,000円程度が一般的)がかかるため、総額はもう少し高くなります。

11〜20名規模

事業が成長軌道に乗り、組織体制が整ってくるフェーズです。必要な面積は33坪から60坪程度が目安となります。

この規模になると、単なる執務スペースだけでなく、企業のカルチャーを反映した空間づくりも重要になってきます。

  • 会議室の必要性: チームミーティングやクライアントとの打ち合わせが増えるため、複数の会議室が必要になります。
  • 福利厚生スペースの検討: 従業員満足度向上のため、リフレッシュスペースやコミュニケーションエリアの設置を検討し始めます。
  • 立地の重要性向上: 企業の成長に伴い、採用活動が活発になります。優秀な人材を惹きつけるため、通勤の利便性が良く、ステータスのあるエリア(名駅、栄、伏見など)への移転を検討する企業が増えます。

【具体例:従業員15名の場合】

  • 必要な面積:15名 × 3坪/人 = 45坪
  • 伏見エリア(坪単価1.4万円)での賃料目安:45坪 × 1.4万円/坪 = 月額63万円
  • 名駅エリア(坪単価2.0万円)での賃料目安:45坪 × 2.0万円/坪 = 月額90万円

この規模になると、月額の賃料負担も大きくなるため、賃料交渉やフリーレント(一定期間の賃料が無料になる特典)の有無なども重要な検討項目になります。

21〜30名規模

中堅企業へのステップアップ段階にある企業や、安定した組織を持つ企業の支店などがこの規模に該当します。必要な面積は63坪から90坪程度が目安です。

この規模のオフィス選びでは、より長期的かつ戦略的な視点が求められます。

  • 将来の拡張性: 今後3~5年の人員計画を見据え、少し広めのスペースを確保したり、同じビル内で増床が可能かなどを確認したりすることが重要です。
  • ビルのグレードと設備: 企業の信頼性や従業員の生産性に直結する、ビルのグレード(外観、エントランス、空調、セキュリティなど)への要求が高まります。
  • レイアウトの自由度: 部署ごとのゾーニングや、集中ブース、役員室、サーバールームなど、多様なニーズに応えられる、整形(柱が少なくレイアウトしやすい形状)で使い勝手の良いフロアが好まれます。

【具体例:従業員25名の場合】

  • 必要な面積:25名 × 3坪/人 = 75坪
  • 伏見エリア(坪単価1.4万円)での賃料目安:75坪 × 1.4万円/坪 = 月額105万円
  • 名駅エリア(坪単価2.0万円)での賃料目安:75坪 × 2.0万円/坪 = 月額150万円

面積を考える際のポイントは、単に従業員数だけで決めるのではなく、自社の働き方や文化を考慮することです。例えば、リモートワーク中心で出社率が低い企業であれば一人当たりの面積は小さくできますし、逆にコラボレーションを重視し、人が集まる場を多く作りたい企業であれば、より広い面積が必要になります。

賃貸オフィス契約にかかる費用の内訳

オフィスの移転には、毎月の賃料以外にもまとまった初期費用と、継続的に発生するランニングコストがかかります。予算計画を立てる上で、これらの費用を正確に把握しておくことは非常に重要です。ここでは、賃貸オフィス契約にかかる費用の内訳を詳しく解説します。

契約時に必要な初期費用

オフィスの初期費用は、一般的に月額賃料の6ヶ月分から12ヶ月分程度が目安とされています。例えば、月額賃料50万円のオフィスを契約する場合、300万円から600万円程度のまとまった資金が必要になる計算です。

費用項目 内容 相場
敷金・保証金 賃料滞納や退去時の原状回復費用に充当される担保金。 月額賃料の6~12ヶ月分
礼金 貸主(オーナー)に対して支払う謝礼金。返還されない。 月額賃料の0~2ヶ月分
仲介手数料 不動産会社に支払う成功報酬。 月額賃料の1ヶ月分 + 消費税
前家賃 契約月の賃料と共益費を前払いで支払う費用。 月額賃料・共益費の1ヶ月分
火災保険料 火災や水漏れなどの損害に備える保険料。 2年間で1.5万円~3万円程度
その他 鍵交換費用、保証会社利用料など。 物件により異なる

敷金・保証金

敷金・保証金は、初期費用の中で最も大きな割合を占める費用です。これは、賃借人が賃料を滞納した場合や、退去時にオフィスを元の状態に戻す「原状回復」の費用に充てるための、貸主への預け金(担保)です。名古屋のオフィスビルでは、月額賃料の6ヶ月分から12ヶ月分が相場となっています。特にグレードの高いビルや新築ビルでは、12ヶ月分を求められるケースも少なくありません。

敷金・保証金は、退去時に原状回復費用などを差し引いた上で返還されますが、償却(保証金のうち、契約期間に関わらず返還されない割合)が設定されている場合もあるため、契約内容をよく確認する必要があります。

礼金

礼金は、物件を貸してくれた貸主に対して、謝礼の意味で支払う費用です。敷金・保証金とは異なり、退去時に返還されることはありません。名古屋のオフィス市場では、礼金がない物件も多いですが、設定されている場合は月額賃料の1ヶ月分から2ヶ月分が相場です。礼金の有無は物件によって大きく異なるため、総初期費用を比較する際の重要なポイントになります。

仲介手数料

仲介手数料は、物件の紹介や契約手続きのサポートをしてくれた不動産会社に支払う報酬です。宅地建物取引業法により上限が定められており、一般的には月額賃料の1ヶ月分(+消費税)が上限かつ相場となっています。これは貸主・借主合わせての上限額であり、借主が1ヶ月分を負担するケースが一般的です。

前家賃

契約が成立した際に、入居する月の賃料および共益費を前もって支払うものです。例えば4月15日に入居する場合、4月分の残り日数分の日割り家賃と、翌月5月分の家賃をまとめて請求されることが一般的です。これも契約内容によって異なるため、支払いのタイミングと金額を確認しておきましょう。

火災保険料

万が一の火災や漏水事故などに備え、借主は火災保険(借家人賠償責任保険を含む)への加入が義務付けられるのが通常です。保険料は、オフィスの面積や構造、補償内容によって異なりますが、2年契約で15,000円から30,000円程度が目安です。貸主が指定する保険会社に加入する場合と、自分で選べる場合があります。

毎月発生するランニングコスト

オフィス運営には、月額賃料以外にも継続的に発生するコストがあります。資金繰りを考える上で、これらの費用も正確に見積もっておく必要があります。

費用項目 内容
賃料 オフィスのスペース利用対価として毎月支払う基本料金。
共益費(管理費) ビルの共用部分(廊下、トイレ、エレベーターなど)の維持管理費用。
水道光熱費 電気、水道、ガスの使用料金。
通信費 インターネット回線や電話回線の利用料金。

賃料

ランニングコストの大部分を占めるのが賃料です。通常、翌月分を当月末までに支払います。賃料は消費税の課税対象となります。

共益費

共益費(管理費とも呼ばれる)は、エントランスや廊下、エレベーター、共用トイレなどの清掃やメンテナンス、警備など、ビル全体の維持管理に使われる費用です。賃料と同様に毎月支払います。共益費は、賃料に含まれている場合(賃料込み)と、別途設定されている場合があります。別途設定の場合は、坪あたり1,000円から4,000円程度が目安で、ビルのグレードが高いほど高額になる傾向があります。

水道光熱費

オフィス内で使用する電気、水道、ガスの料金です。支払い方法はビルによって異なり、主に以下の2つのパターンがあります。

  1. 個別メーター: 自社の使用量に応じて、各電力会社や水道局に直接支払う。
  2. オーナー検針・請求: ビルのオーナーがメーターを検針し、使用量に応じて請求する。

特に空調の方式には注意が必要です。セントラル空調(ビル全体で一括管理)の場合、利用時間が制限されていたり、共益費に含まれていたりすることがあります。一方、個別空調であれば、自社の裁量で自由に温度設定やオンオフができますが、その分電気代は自社負担となります。

通信費

業務に不可欠なインターネット回線や電話回線の利用料金です。ビルによっては特定の通信キャリアしか利用できない場合や、ビル全体で回線を共有している場合があります。近年では、インターネット利用料が無料(共益費に含まれる)という物件も増えています。自社のセキュリティポリシーや通信速度の要件に合う回線が引き込めるか、事前に確認することが重要です。

これらの費用以外にも、オフィス内の清掃を業者に委託する費用、コピー機やウォーターサーバーのリース料、事務用品費などがランニングコストとして発生します。オフィス移転を計画する際は、これらの費用をすべて洗い出し、総合的なコストシミュレーションを行うことが成功の鍵です。

名古屋で自社に合う賃貸オフィスを選ぶための4つのポイント

立地とアクセスの良さ、必要な面積とレイアウト、ビルのグレードと設備、築年数と耐震性

賃料相場や費用を理解した上で、次はいよいよ具体的な物件選びのフェーズです。数多くの選択肢の中から、本当に自社に合ったオフィスを見つけるためには、どのような点に注目すれば良いのでしょうか。ここでは、オフィス選びで失敗しないための4つの重要なポイントを解説します。

① 立地とアクセスの良さ

オフィスの立地は、ビジネスの成功を左右する最も重要な要素の一つです。立地を検討する際には、多角的な視点を持つことが求められます。

  • 顧客・取引先へのアクセス: 自社の主要な顧客やパートナー企業がどのエリアに多いかを考え、訪問しやすい立地を選びましょう。例えば、頻繁に新幹線で遠方から来客があるなら名駅エリア、市内のクライアントが多いなら地下鉄網が発達した栄や伏見が便利です。
  • 従業員の通勤利便性: 従業員がストレスなく通勤できるかは、日々のモチベーションや定着率に大きく影響します。複数の路線が利用できる駅や、駅から徒歩5分圏内など、明確な基準を設けると良いでしょう。また、現在の従業員の居住地を考慮することも大切です。
  • 採用活動への影響: 魅力的な立地は、採用における強力な武器になります。特に若手や優秀な人材を確保したい場合、交通の便が良く、ランチや仕事帰りに楽しめる環境があるエリア(名駅、栄など)は有利に働きます。
  • 周辺環境とブランドイメージ: 金融機関が集まる伏見、官公庁に近い丸の内など、エリアが持つイメージは、企業のブランドイメージにも影響を与えます。自社の事業内容や企業カルチャーと合致するエリアを選ぶことが重要です。また、ランチ場所の豊富さ、銀行や郵便局、コンビニが近くにあるかといった日常的な利便性もチェックしましょう。

② 必要な面積とレイアウト

従業員数に応じた面積を確保することは基本ですが、単なる広さだけでなく、その空間をどう使うかという「レイアウトの自由度」も同様に重要です。

  • 人員計画と将来性: 現状の従業員数だけでなく、1年後、3年後、5年後の人員計画を見据えて、必要な面積を算出しましょう。すぐに手狭になって再移転となると、多大なコストと手間がかかります。将来の増員を見越して少し広めの物件を借りる、あるいは同じビル内で増床(追加で借りること)が可能かを確認しておくといった対策が考えられます。
  • 働き方に合わせたゾーニング: 執務スペースの他に、どのような空間が必要かを具体的に洗い出します。
    • 会議室: 大小いくつ必要か?来客用と社内用を分けるか?
    • リフレッシュスペース: 従業員がリラックスし、コミュニケーションを活性化させる場は必要か?
    • 集中ブース: 一人で静かに作業に集中できるスペースは必要か?
    • 役員室、サーバールーム、倉庫: その他、特別な機能を持つ部屋は必要か?
  • フロアの形状と効率性: オフィスレイアウトのしやすさは、フロアの形状に大きく左右されます。理想的なのは、柱が壁際に配置され、室内に柱がない「無柱空間」の整形な(正方形や長方形の)フロアです。不正形なフロアや、室内の中心に太い柱があると、デッドスペースが生まれやすく、有効に使える面積が少なくなってしまいます。内見時には、図面と実際の空間を照らし合わせ、レイアウトのシミュレーションをしてみることが重要です。

③ ビルのグレードと設備

ビルのグレードは、賃料に直接反映されるだけでなく、従業員の満足度や企業の信頼性にも影響する重要な要素です。

  • ビルのグレードとは: オフィスビルは、規模、築年数、設備、立地などから総合的に評価され、一般的にA~Cのグレードに分類されます。
    • Aグレードビル: 延床面積10,000坪以上、基準階面積300坪以上、築浅、最寄り駅から至近など、最高水準のスペックを持つビル。名駅エリアの超高層ビルなどが該当します。
    • Bグレードビル: Aグレードに準ずる規模と設備を持つ、比較的新しいビル。
    • Cグレードビル: 中小規模、築年数が比較的経過したビル。
  • チェックすべき設備:
    • エントランス・共用部: エントランスは「会社の顔」です。来客に与える印象を左右するため、デザイン性や清潔感、開放感を確認しましょう。
    • エレベーター: 従業員数に対して十分な基数が確保されているか。朝の通勤時間帯に待たされるストレスがないかは重要です。
    • 空調設備: 個別空調かセントラル空調かを確認します。個別空調は自社で自由に温度設定できますが、電気代は自社負担です。セントラル空調は管理が楽ですが、稼働時間が決まっている場合があります。
    • セキュリティ: 機械警備や有人警備の有無、ICカードによる入退室管理など、セキュリティレベルを確認しましょう。24時間入退館が可能かも重要なポイントです。
    • トイレ: 男女別はもちろん、清潔さや個室の数、パウダールームの有無などは、特に女性従業員の満足度に直結します。

④ 築年数と耐震性

ビルの安全性は、従業員の生命と会社の資産を守る上で絶対に妥協できないポイントです。

  • 新耐震基準: ビルの耐震性を確認する上で最も重要な基準が、1981年(昭和56年)6月1日に導入された「新耐震基準」です。この基準は「震度6強から7程度の大規模地震でも倒壊・崩壊しない」ことを目標としています。したがって、オフィスを選ぶ際は、少なくとも1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物であることが最低条件となります。
  • 2000年基準: 2000年には木造住宅を対象に耐震基準がさらに強化されましたが、ビルにおいても、耐震性能をより詳細に評価する動きが広まりました。
  • BCP(事業継続計画)の観点: 大地震などの災害が発生した際に、事業をいかに早く復旧・継続させるかというBCPの観点からも、耐震性は極めて重要です。新耐震基準を満たしていることはもちろん、地盤の強さ、非常用発電装置の有無、防災備蓄倉庫の提供など、ビル全体の災害対策を確認することをおすすめします。築年数が浅いビルほど、これらの対策が充実している傾向にあります。

古いビルでも耐震補強工事が実施されていれば安全性は高まります。その場合は、いつ、どのような工事が行われたのかを必ず確認しましょう。これら4つのポイントを総合的に評価し、自社の優先順位を明確にすることが、後悔のないオフィス選びに繋がります。

オフィスの賃料を安く抑えるための5つのコツ

中心部や駅から少し離れたエリアを検討する、築年数が古い物件を選ぶ、ビルのグレードを見直す、居抜き・セットアップオフィスを活用する、レンタルオフィスやシェアオフィスも選択肢に入れる

オフィス賃料は、企業の固定費の中で大きな割合を占めます。事業の成長のためには、必要な投資は惜しむべきではありませんが、無駄なコストは極力削減したいものです。ここでは、オフィスの質を大きく損なうことなく、月々の賃料を賢く抑えるための5つの実践的なコツを紹介します。

① 中心部や駅から少し離れたエリアを検討する

最もシンプルで効果的なコスト削減方法は、立地の条件を少しだけ緩和することです。

  • エリアをずらす: 例えば、名古屋で最も賃料が高い名駅エリアにこだわりたい場合でも、隣接する伏見エリアや、少し範囲を広げて丸の内エリアまで検討対象に含めるだけで、坪単価は数千円単位で変わってきます。名駅と伏見、栄と伏見のように、主要エリア同士の中間地点は、両方へのアクセスを保ちつつコストを抑えられる狙い目の場所です。
  • 駅からの距離を延ばす: 「駅から徒歩3分以内」という条件を「徒歩8分以内」に広げるだけでも、選択肢は格段に増え、賃料も安くなる傾向があります。徒歩5分と10分では、従業員の体感は変わりますが、その差が許容範囲内であれば、大幅なコスト削減に繋がる可能性があります。実際に歩いてみて、周辺の環境や道のりの安全性などを確認することをおすすめします。

② 築年数が古い物件を選ぶ

新築や築浅のビルは人気が高く、賃料も高額に設定されています。一方で、築年数が20年、30年と経過したビルは、比較的リーズナブルな賃料で借りられることが多くあります。
古いビルを選ぶ際には注意点もありますが、それをクリアできれば非常によい選択肢となります。

  • チェックポイント:
    • 耐震性: 前述の通り、1981年6月1日以降の「新耐震基準」を満たしているかは必ず確認しましょう。それ以前の建物でも、耐震補強工事が完了していれば問題ありません。
    • リノベーションの有無: 建物自体は古くても、エントランスや水回り(トイレなど)、内装がリノベーションされて綺麗になっている物件も数多くあります。このような「リノベーション物件」は、新築同様の快適性を割安な賃料で手に入れられるため、積極的に探す価値があります。
    • 設備: 空調やネットワーク環境など、現代のビジネスに必要な設備が整っているかを確認しましょう。

③ ビルのグレードを見直す

企業の顔となるエントランスや外観は重要ですが、本当にAグレードビルである必要があるのか、一度立ち止まって考えてみることも大切です。
例えば、来客が少なく、主に社内業務が中心の企業であれば、ビルの見栄えにこだわる必要性は低いかもしれません。その場合、BグレードやCグレードのビルを選ぶことで、賃料を大幅に削減できます。
ビルのグレードを下げても、自社が専有するオフィス空間の内装にお金をかければ、従業員の満足度や生産性を高めることは十分に可能です。どこにお金をかけ、どこを節約するのか、メリハリをつけることが賢いコスト管理に繋がります。

④ 居抜き・セットアップオフィスを活用する

通常、オフィスを借りる際は、何もないスケルトン状態の空間を借り、内装工事を行い、退去時にはそれをすべて撤去して元に戻す「原状回復」義務があります。この内装工事費と原状回復費は、数百万円から数千万円かかることもあり、大きな負担となります。この負担を軽減できるのが「居抜きオフィス」と「セットアップオフィス」です。

  • 居抜きオフィス: 前のテナントが使用していた内装や什器(机、椅子、パーテーションなど)をそのまま引き継いで入居できるオフィスです。内装工事費を大幅に削減できるのが最大のメリットです。ただし、レイアウトが自社の希望と合わない場合もあるため、注意が必要です。
  • セットアップオフィス: ビルのオーナー側が、あらかじめ基本的な内装(床、壁、天井、会議室など)をデザイン・施工した状態で貸し出すオフィスです。入居企業は、初期費用を抑えつつ、デザイン性の高いオフィスにすぐに入居できるメリットがあります。

これらのオフィスは、特に移転コストを抑えたいスタートアップやベンチャー企業にとって、非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。

⑤ レンタルオフィスやシェアオフィスも選択肢に入れる

特に1名から10名程度の少人数の企業や、プロジェクト単位の短期利用、地方の営業拠点設立などのケースでは、一般の賃貸借契約にこだわらず、より柔軟なオフィス形態を検討するのがおすすめです。

  • レンタルオフィス: 必要な什器や通信環境がすべて整った個室スペースを、月単位で契約できるサービスです。敷金・礼金が不要な場合が多く、初期費用を劇的に抑えられます。入居・退去もスピーディーに行えるため、事業の状況変化に柔軟に対応できます。
  • シェアオフィス(コワーキングスペース): オープンな空間のデスクを複数の企業や個人で共有する形態です。非常に低コストで利用を開始でき、他の利用者とのコミュニティ形成が生まれる可能性もあります。

これらのサービスは、月額費用に光熱費や通信費が含まれていることが多く、コスト管理がしやすいのもメリットです。自社の事業フェーズや働き方に合わせて、賃貸オフィス以外の選択肢も視野に入れることで、最適なコストで最適なワークプレイスを確保できます。

賃貸契約以外も選択肢に!名古屋のおすすめレンタルオフィス5選

従来の賃貸オフィス契約は、まとまった初期費用や長期契約が基本となり、特にスタートアップや少人数の企業にとってはハードルが高い場合があります。そこで注目されているのが、より柔軟かつ低コストで利用できる「レンタルオフィス」です。ここでは、名古屋市内に拠点を構える代表的なレンタルオフィスサービスを5つご紹介します。

サービス名 特徴 こんな企業におすすめ
① リージャス (Regus) 世界最大手のネットワーク。国内外に多数の拠点を持ち、ビジネスに必要な設備が充実。企業の信頼性を高める一等地の住所が利用可能。 グローバルに展開する企業、出張が多い企業、高い信頼性を求める企業
② サーブコープ (Servcorp) 超一等地のハイスペックビルに特化。バイリンガル秘書サービスなど、質の高いサポートが充実。企業のブランディングに最適。 外資系企業、エグゼクティブ層、質の高い秘書・ITサポートを求める企業
③ WeWork デザイン性の高いクリエイティブな空間と、活発なコミュニティが特徴。イベントや交流会が頻繁に開催される。 スタートアップ、クリエイティブ系企業、ネットワーキングを重視する企業
④ いいオフィス 全国47都道府県に広がる圧倒的な拠点数が魅力。月額定額制で、登録した拠点はもちろん全国の提携スペースが利用可能。 場所に縛られず働きたいノマドワーカー、多拠点展開を目指す企業
⑤ 天翔オフィス 初期費用(入室契約金)の安さが最大の特徴。個室中心で、更新料や原状回復費用も不要。コストを徹底的に抑えたい場合に最適。 起業家、フリーランス、コストを最優先に考えるスタートアップ

※料金やサービスの詳細は各公式サイトでご確認ください。

① リージャス (Regus)

世界120カ国以上、4,000以上の拠点を展開する、世界最大手のフレキシブルオフィスプロバイダーです。名古屋市内でも、名駅の「JPタワー名古屋」や「名古屋プライムセントラルタワー」、栄の「名古屋広小路ビルヂング」など、ビジネス一等地に複数の拠点を構えています。

【特徴】

  • 圧倒的なネットワーク: 国内外の主要都市に拠点があるため、契約すれば出張先のラウンジなども利用でき、非常に便利です。
  • 多様なプラン: 家具付きのプライベートオフィスから、コワーキングスペース、バーチャルオフィス(住所・電話番号の利用)まで、企業のニーズに合わせた多様なプランが用意されています。
  • 充実の標準装備: 高速インターネット、オフィス家具、受付サービスなどが標準で提供され、すぐに入居してビジネスを開始できます。
    (参照:リージャス公式サイト)

② サーブコープ (Servcorp)

世界トップクラスのランドマークビルに特化して拠点を展開しているのがサーブコープの特徴です。名古屋では、名駅の「名古屋ルーセントタワー」や伏見の「名古屋日興證券ビル」など、誰もが知るハイスペックビルに入居しています。

【特徴】

  • 最高のロケーション: 超一等地の住所を名刺やウェブサイトに記載できるため、企業のブランドイメージを大きく向上させます。
  • 質の高い秘書サービス: 高度なトレーニングを受けたバイリンガルの秘書チームが、電話応対や来客対応、翻訳などの業務をサポートしてくれます。
  • 強力なITインフラ: 独自開発のITインフラにより、高速で安定した通信環境と万全のセキュリティを提供しています。
    (参照:サーブコープ公式サイト)

③ WeWork

クリエイティブで開放的な空間デザインと、入居者同士のコミュニティ形成を強みとするグローバルなブランドです。単なる「働く場所」ではなく、新たなビジネスチャンスやイノベーションが生まれる「場」を提供することを目指しています。名古屋では、ささしまライブ駅直結の「グローバルゲート」に拠点を構えています。

【特徴】

  • デザイン性の高い空間: 洗練されたデザインのラウンジや共用エリアは、従業員の創造性を刺激し、働くモチベーションを高めます。
  • 活発なコミュニティ: アプリを通じて入居者同士が繋がり、情報交換や協業が生まれる仕組みがあります。ネットワーキングイベントも頻繁に開催されます。
  • 柔軟なメンバーシップ: ホットデスク(自由席)からプライベートオフィスまで、企業の規模や成長に合わせて柔軟にプランを変更できます。
    (参照:WeWork公式サイト)

④ いいオフィス

「どこでもいい仕事。」をコンセプトに、日本全国47都道府県に1,000以上の拠点を展開する、国内最大級のネットワークを誇ります。フランチャイズ形式で加盟店を増やしており、カフェやホテル、カラオケボックスなど、多様な空間がワークスペースとして利用できます。

【特徴】

  • 圧倒的な拠点数と手頃な価格: 月額定額制で全国の提携スペースを利用できるプランがあり、非常にコストパフォーマンスが高いです。
  • 多様なワークスペース: 都心のオフィスビルから郊外のカフェまで、その日の気分や目的に合わせて働く場所を選べます。
  • 簡単な利用手続き: アプリで空席確認からチェックイン、決済まで完結するため、手軽に利用を開始できます。
    (参照:いいオフィス公式サイト)

⑤ 天翔オフィス

「安い、きれい、便利」をコンセプトに、特に初期費用の安さを追求しているレンタルオフィスです。主に東京を中心に展開していますが、名古屋にも「天翔オフィス名古屋駅前」があります。

【特徴】

  • 業界最安レベルの初期費用: 契約時に必要なのは入室契約金と初月家賃のみで、敷金・礼金・保証金は一切不要です。
  • シンプルな料金体系: 月額費用にはインターネット代や水道光熱費が含まれており、更新料や退去時の原状回復費用もかからないため、コスト管理が非常に明瞭です。
  • 個室中心のプラン: プライバシーが確保された個室が中心で、法人登記も可能です。会議室などの共用設備も無料で利用できます。
    (参照:天翔オフィス公式サイト)

これらのレンタルオフィスは、従来の賃貸契約とは異なるメリットを多く持っています。自社の状況に合わせて、こうした新しいオフィスの形も積極的に検討してみることをおすすめします。

名古屋の賃貸オフィス探しに関するよくある質問

名古屋の賃貸オフィス探しに関するよくある質問

ここまで名古屋のオフィス市場について詳しく解説してきましたが、最後によく寄せられる質問とその回答をまとめます。

名古屋で最も賃料相場が高いエリアはどこですか?

2024年現在、名古屋で最も賃料相場が高いのは「名駅エリア」です。

その理由は主に以下の3つです。

  1. 圧倒的な交通利便性: JR、名鉄、近鉄、地下鉄、新幹線が集まる中部地方最大の交通結節点であり、ビジネスの拠点として最高のアクセスを誇ります。
  2. 大規模再開発の進行: リニア中央新幹線の開業を見据え、「JPタワー名古屋」や「JRゲートタワー」に代表されるような、最新鋭のハイスペックな大型オフィスビルが次々と供給されており、これがエリア全体の賃料を牽引しています。
  3. 高いステータス性: 日本を代表する大企業の支社や支店が集中しており、「名駅にオフィスを構えること」自体が企業のブランドイメージや信頼性の向上に繋がります。

これらの要因から、特に新築や駅直結のビルでは坪単価が25,000円を超え、30,000円台に達することも珍しくありません。名古屋でオフィスを探す上で、名駅エリアは利便性とステータスを最高レベルで求める企業向けの、プレミアムなエリアと言えます。

賃料が比較的安いエリアはありますか?

はい、あります。名古屋市内で比較的賃料を抑えやすいエリアとしては、主に以下の2つのパターンが考えられます。

  1. 中心市街地から少し離れた主要駅周辺:
    • 金山エリア: JR・名鉄・地下鉄が乗り入れる総合駅でありながら、名駅や栄に比べて坪単価が数千円安く、コストパフォーマンスに優れています。名古屋市南部や三河方面からのアクセスも良く、採用面でも有利に働く可能性があります。
    • 千種エリア、今池エリア: JR中央線と地下鉄東山線が利用できる千種駅や、東山線と桜通線が交差する今池駅周辺も狙い目です。都心へのアクセスを保ちつつ、賃料を抑えることができます。
  2. 主要エリア内でも駅から少し歩く場所:
    • 名駅や栄、伏見といった人気エリア内でも、駅から徒歩10分以上離れると、賃料は比較的リーズナブルになります。例えば、「伏見駅徒歩12分」や「栄駅徒歩10分」といった物件は、住所としては一等地でありながら、駅近の物件よりも借りやすい価格設定になっていることがあります。

コストを重視する場合は、エリアのブランド力や駅からの距離といった条件を少し緩和して探すことで、予算内で条件の良い物件に出会える可能性が高まります。

まとめ

本記事では、2024年の最新情報に基づき、名古屋の賃貸オフィス市場について多角的に解説してきました。

名古屋のオフィス市場は、リニア中央新幹線の開業という大きな変革期を前に、活況を呈しています。名駅エリアを中心に大規模な再開発が進み、新たなオフィスビルが次々と供給される一方で、働き方の多様化も進んでおり、企業にとってはオフィス戦略を見直す絶好の機会となっています。

オフィス選びを成功させるためには、以下のステップで検討を進めることが重要です。

  1. 市場とエリアの理解: まず、名古屋全体の市場動向を把握し、「名駅」「栄」「伏見」「丸の内」「金山」といった主要エリアそれぞれの特性と賃料相場を理解します。
  2. 自社のニーズの明確化: 次に、自社の従業員数、事業計画、企業カルチャーに基づき、必要な面積やレイアウト、求めるビルのグレードや立地条件を具体的に洗い出します。
  3. コストの全体像の把握: 月々の賃料だけでなく、敷金・保証金などの初期費用から、光熱費といったランニングコストまで、オフィスにかかる費用の全体像を正確に把握し、無理のない予算計画を立てます。
  4. 柔軟な選択肢の検討: 従来の賃貸オフィス契約だけでなく、コスト削減のコツを実践したり、初期費用を抑えられるレンタルオフィスやシェアオフィスといった新しい選択肢も視野に入れたりすることで、より最適なワークプレイスを見つけられる可能性が広がります。

オフィス移転は、単なる「場所の移動」ではありません。それは、従業員の働きがいを高め、生産性を向上させ、ひいては事業の成長を加速させるための重要な「戦略的投資」です。

この記事で得た知識をもとに、自社の未来を切り拓くための、最適なオフィスを見つけてください。名古屋というポテンシャルに満ちた都市で、貴社のビジネスがさらに飛躍することを願っています。