横浜は、東京都心への優れたアクセス、独自のブランド力、そして比較的安価なオフィス賃料を背景に、ビジネス拠点としての魅力を高めています。特に近年は、働き方の多様化や企業のコスト意識の高まりから、本社や支店の移転先として横浜を選択する企業が増加傾向にあります。
しかし、一口に「横浜」と言っても、エリアごとにその特性や賃料相場は大きく異なります。グローバル企業が集積する未来都市「みなとみらい」から、歴史と風格が漂う「関内」、交通の要衝である「横浜駅周辺」、新幹線の玄関口「新横浜」まで、それぞれのエリアが独自の顔を持っています。
本記事では、2024年の最新データに基づき、横浜の賃貸オフィス市場を徹底的に解説します。エリア別・坪数別の詳細な賃料相場から、市場の最新動向、横浜にオフィスを構えるメリット・注意点、そして自社に最適な物件を見つけるための具体的なポイントまで、網羅的にご紹介します。横浜でのオフィス開設や移転を検討している経営者や担当者の方は、ぜひ本記事を意思決定の一助としてご活用ください。
目次
横浜の賃貸オフィス市場の現状と特徴
近年、横浜の賃貸オフィス市場は、多くの企業から熱い視線を集めています。その背景には、東京一極集中のリスク分散や、多様化する働き方への対応、そしてコストパフォーマンスの追求といった、現代企業が抱える複合的な課題に対する有効な解決策を横浜が提示しているからです。
まず、横浜の最大の魅力の一つは、東京都心に匹敵する交通利便性と、比較的手頃な賃料水準の両立にあります。横浜駅から品川駅まではJR東海道本線で約20分、渋谷駅へは東急東横線で約30分と、都内の主要ビジネス拠点へのアクセスは非常にスムーズです。このため、都心に本社を置く企業がサテライトオフィスを設置したり、あるいは本社機能の一部を移転したりするケースが増えています。これにより、従業員の通勤負担を軽減し、ワークライフバランスの向上を図りながら、事業継続計画(BCP)の観点からもリスクを低減できます。
横浜市の経済規模も、ビジネス拠点としてのポテンシャルを裏付けています。横浜市は政令指定都市の中でも最大の人口を誇り、市内総生産は愛知県や大阪府のそれに匹敵する規模です。古くからの港湾都市としての機能に加え、製造業、IT・情報通信業、ライフサイエンス、観光・MICEなど、多様な産業が集積しており、強固な経済基盤を形成しています。特に、みなとみらい21地区には、名だたる大企業が研究開発拠点や本社を構え、イノベーションの創出拠点として機能しています。
こうしたビジネス環境は、スタートアップやベンチャー企業にとっても魅力的です。横浜市は「イノベーション都市・横浜」を掲げ、スタートアップ支援に力を入れています。市内にはインキュベーション施設やコワーキングスペースが充実しており、起業家やクリエイターが集まるコミュニティが形成されつつあります。多様な企業や人材が集まることで、新たなビジネスチャンスや協業が生まれやすい土壌が育まれているのです。
オフィスビルの供給面では、横浜市場は安定した成長を見せています。みなとみらい21地区や横浜駅周辺では、近年も大規模な再開発プロジェクトが進行し、最新の設備を備えたハイグレードなオフィスビルが次々と誕生しています。これらの新築ビルは、高い耐震性や環境性能(ZEB認証など)、感染症対策を施した空調システム、そして多様な働き方に対応する共用スペースなどを備えており、企業のBCP対策や従業員満足度の向上、ESG経営の推進に貢献します。
一方で、関内・馬車道エリアや新横浜エリアなどには、比較的小規模でリーズナブルな賃料の既存ビルも豊富に存在します。企業の規模や成長フェーズ、求めるオフィス環境に応じて、新築のハイグレードビルからコストを抑えた既存ビルまで、幅広い選択肢から検討できるのが横浜市場の厚みと言えるでしょう。
テレワークの普及は、オフィスの役割そのものを問い直すきっかけとなりましたが、横浜のオフィス市場にとっては追い風となっている側面もあります。「毎日出社」から「週数回の出社」へと働き方がシフトする中で、従業員はより快適な住環境を求める傾向が強まりました。その結果、神奈川県内に居住する優秀な人材が、都心まで長時間通勤するのではなく、職住近接が可能な横浜の企業を選ぶケースが増えています。企業側にとっても、横浜にオフィスを構えることが、優秀な人材の採用・定着における競争優位性に繋がりつつあります。
総じて、横浜の賃貸オフィス市場は、交通利便性、コスト、人材確保、多様な産業集積、そして豊富な物件選択肢といった複数の強みを兼ね備えています。単なる「東京の代替」ではなく、独自の価値を持つ主体的なビジネス拠点として、その存在感をますます高めているのが現状です。
横浜の賃貸オフィスの賃料相場
横浜で賃貸オフィスを探す上で、最も重要な要素の一つが賃料相場です。相場を正確に把握することで、現実的な予算計画を立て、効率的な物件探しが可能になります。ここでは、横浜の賃料相場を「エリア別」と「坪数別」の2つの切り口から詳しく解説します。
なお、賃料は一般的に「坪単価」で示され、月額賃料を契約面積(坪)で割った金額を指します。また、表示される坪単価には、共益費(管理費)が含まれている場合と含まれていない場合があります。本記事では、より実態に近いコスト感を把握するため、共益費を含んだ坪単価を目安として記載します。
【エリア別】横浜の賃貸オフィス賃料相場
横浜はエリアごとに街の雰囲気や集まる企業、そして賃料相場が大きく異なります。自社の事業内容やブランドイメージ、主な取引先などを考慮し、最適なエリアを見極めることが重要です。
エリア名 | 共益費込・坪単価(目安) | 特徴 |
---|---|---|
横浜駅周辺エリア | 18,000円~28,000円 | 交通の要衝。百貨店や商業施設が集積し、利便性が非常に高い。多様な業種の企業が集まる。 |
みなとみらい21エリア | 20,000円~32,000円 | 横浜を代表するビジネス・観光エリア。大規模な新築ハイグレードビルが多く、大企業やIT企業が集積。 |
関内・馬車道エリア | 12,000円~20,000円 | 神奈川県庁や横浜市役所などが集まる行政の中心地。歴史的建造物も多く、落ち着いた雰囲気。 |
新横浜エリア | 13,000円~23,000円 | 東海道新幹線の停車駅。製造業の研究開発拠点や全国展開する企業の支店・営業所が多い。 |
※上記の坪単価は、ビルのグレード(築年数、規模、設備など)によって変動します。あくまで一般的な目安としてご参照ください。
参照:三幸エステート株式会社「横浜市オフィスマーケット」、CBRE「ジャパンオフィスマーケットビュー」
横浜駅周辺エリア
賃料相場(共益費込・坪単価):18,000円~28,000円
横浜駅は、JR各線、東急東横線、京急本線、相鉄本線、横浜市営地下鉄ブルーライン、みなとみらい線と、実に6社11路線が乗り入れる日本有数のターミナル駅です。この圧倒的な交通利便性が、横浜駅周辺エリア最大の強みです。都内主要駅はもちろん、神奈川県内各地へのアクセスも抜群で、従業員の通勤利便性や営業活動の効率性を重視する企業にとって最適なロケーションと言えます。
駅周辺には百貨店や大型商業施設、飲食店街が密集しており、ビジネスだけでなく、ランチやアフターファイブの利便性も非常に高いです。オフィスビルは、駅直結の最新ビルから、少し離れた場所に立つ中小規模のビルまでバリエーションが豊富です。近年、駅西口を中心に再開発が進み、新たなオフィス床も供給されています。
賃料相場は、みなとみらいエリアに次ぐ高水準ですが、その利便性の高さを考えれば十分に競争力のある価格帯です。業種を問わず、あらゆる企業にとって検討の価値があるオールラウンドなエリアです。
みなとみらい21エリア
賃料相場(共益費込・坪単価):20,000円~32,000円
みなとみらい21(MM21)は、横浜の顔とも言えるエリアです。計画的に整備された美しい街並み、海を望む開放的な景観、そして集積する最先端のオフィスビル群が、唯一無二のビジネス環境を創出しています。横浜市内では最も賃料相場が高いエリアであり、企業のブランドイメージを向上させたい、あるいは最先端の環境で優秀な人材を惹きつけたいと考える企業に選ばれています。
このエリアには、大手メーカーの研究開発拠点やグローバルIT企業の本社などが多数立地しており、イノベーションを生み出すエコシステムが形成されています。オフィスビルは、大規模で設備水準の高いハイグレードな物件が中心です。耐震性やBCP性能はもちろん、環境配慮型(ZEB Readyなど)のビルも多く、ESG経営を重視する企業からの需要も高いです。
また、国際会議場(パシフィコ横浜)や美術館、大型商業施設、高級ホテルなども集積しており、ビジネスから文化、エンターテインメントまで多様な機能が融合している点も魅力です。賃料は高めですが、それに見合うだけの価値とステータスを提供するエリアと言えるでしょう。
関内・馬車道エリア
賃料相場(共益費込・坪単価):12,000円~20,000円
関内・馬車道エリアは、神奈川県庁や横浜市役所、裁判所などが集まる行政の中心地です。横浜開港時代の歴史的な建造物が今なお残り、重厚で落ち着いた雰囲気が漂います。JR根岸線・横浜市営地下鉄ブルーラインの関内駅、みなとみらい線の馬車道駅が最寄りとなり、交通アクセスも良好です。
このエリアのオフィスビルは、比較的中小規模のものが多く、築年数が経過した味わいのあるビルも少なくありません。その分、賃料相場は横浜都心部(横浜駅・みなとみらい)と比較してリーズナブルな水準にあります。コストを抑えつつ、横浜の中心地に近い場所にオフィスを構えたい企業に適しています。
特に、官公庁との連携が多い業種や、弁護士・会計士・司法書士といった士業、あるいは落ち着いた環境を求めるデザイン事務所やコンサルティングファームなどからの人気が高いエリアです。近年は、歴史的建造物をリノベーションしたクリエイティブなオフィスなども登場しており、新たな魅力も生まれています。
新横浜エリア
賃料相場(共益費込・坪単価):13,000円~23,000円
新横浜エリアの最大の特徴は、東海道新幹線の停車駅であることです。東京・名古屋・大阪など、国内の主要都市へのアクセスが非常に容易なため、全国に拠点を持つ企業の支店や営業所、あるいは出張が多い業種の企業にとって絶好のロケーションです。羽田空港へのアクセスもリムジンバスでスムーズです。
駅周辺には、大規模なオフィスビルが林立しており、特に大手製造業の研究開発部門やIT企業のサテライトオフィスなどが集積しています。横浜アリーナや日産スタジアムといった大規模集客施設があることでも知られています。
賃料相場は、横浜駅周辺やみなとみらいエリアと比較すると手頃でありながら、交通の利便性は非常に高いというコストパフォーマンスに優れたエリアです。オフィスビルは、比較的大型のものが多く、企業の規模拡大にも対応しやすいでしょう。広域でのビジネス展開を視野に入れる企業にとって、戦略的な拠点となりうるエリアです。
【坪数別】横浜の賃貸オフィス賃料相場
次に、オフィスの面積(坪数)別に賃料相場を見ていきましょう。企業の成長フェーズや従業員数によって必要な面積は変わります。自社の事業計画と照らし合わせながら、適切な規模のオフィスを検討することが重要です。
坪数 | 月額賃料(目安) | 従業員数(目安) | 主なターゲット企業 |
---|---|---|---|
20坪未満 | 20万円~50万円 | 1~10名 | スタートアップ、個人事業主、士業事務所 |
20坪~50坪 | 40万円~120万円 | 10~25名 | 成長期の中小企業、企業の小規模な部署 |
50坪~100坪 | 100万円~250万円 | 25~50名 | 中堅企業、大企業の支店・営業所 |
100坪以上 | 200万円~ | 50名~ | 大企業、本社機能、研究開発拠点 |
※上記はエリアやビルのグレードを平均した大まかな目安です。1人あたりの必要面積を2坪として従業員数を算出しています。
20坪未満
20坪未満の小規模オフィスは、1名から10名程度の規模で事業を行うスタートアップや個人事業主、士業事務所などに最適なサイズです。この規模の物件は、横浜の各エリアに点在しており、特に横浜駅周辺や関内エリアで見つけやすい傾向にあります。
月額賃料は比較的手頃ですが、注意点もあります。小規模なビルに入居することが多く、その場合、エントランスの見た目や共用部の設備(トイレ、給湯室など)が最新のビルに比べて見劣りすることがあります。また、機械警備が入っていない、エレベーターがないといった物件もあるため、内覧時にはセキュリティや利便性をしっかりと確認する必要があります。近年は、サービスオフィスやコワーキングスペースも選択肢として増えており、初期費用を抑えたい場合や柔軟な契約期間を求める場合には有効な選択肢となります。
20坪~50坪
20坪から50坪の規模は、従業員数10名から25名程度の中小企業や、大企業内の一部署、プロジェクトルームなど、最も需要の厚いゾーンです。横浜のオフィス市場においても供給物件数が最も多く、エリアやビルのグレード、レイアウトの形状など、多様な選択肢の中から自社の希望に合った物件を探しやすいのが特徴です。
この規模になると、多くのオフィスビルでOAフロア(配線を床下に収納できる)が標準装備となり、個別空調(部屋ごとやゾーンごとに温度設定が可能)の物件も増えるため、快適な執務環境を構築しやすくなります。会議室やリフレッシュスペースを設けるなど、レイアウトの自由度も高まります。企業の成長に合わせて拡張移転を視野に入れつつ、まずはこの規模からスタートするというケースが非常に多いです。
50坪~100坪
従業員数が25名を超え、50名程度までの規模になると、50坪から100坪のオフィスが必要になります。この規模は、順調に成長を続ける中堅企業や、大企業の支店・営業所などがメインターゲットです。
選択できるオフィスビルも、よりグレードの高いものが視野に入ってきます。立地の良い新耐震基準のビルが中心となり、企業の信頼性やブランディング向上にも繋がります。1フロアをまるごと借りる「ワンフロア貸し」の物件も増え、他のテナントを気にすることなく、自社独自のオフィス空間を創り上げることが可能です。セキュリティ面でも、カードキーによる入退室管理システムなどが導入されているビルが多くなり、安心して事業に集中できる環境が整います。ただし、この規模の物件は、特に人気のエリアでは競争が激しくなることもあるため、早めの情報収集が肝心です。
100坪以上
100坪を超える大規模オフィスは、従業員数50名以上の大企業や、本社機能、コールセンター、研究開発拠点などのニーズに対応します。横浜では、特にみなとみらいエリアや横浜駅周辺、新横浜エリアにこうした大規模な床を供給できるオフィスビルが集中しています。
これらのビルは、最新の設備と高いスペックを誇ります。広々としたエントランス、複数の高速エレベーター、非常用発電機、充実した共用部(カフェテリアやフィットネスジムを併設するビルも)など、従業員満足度を高め、生産性を向上させるための機能が備わっています。企業の顔として、また優秀な人材を惹きつけるための戦略的な投資として、最高水準のオフィス環境を求める企業に選ばれています。当然、賃料総額は高額になりますが、それに見合う価値を提供する物件と言えるでしょう。
横浜の賃貸オフィス市場の動向【2024年最新】
横浜の賃貸オフィス市場は、社会経済情勢や企業の働き方の変化を映し出しながら、常に変動しています。最新の市場動向を把握することは、オフィス移転の最適なタイミングを見極め、有利な条件で契約を結ぶために不可欠です。ここでは、2024年現在の「賃料相場」と「空室率」の推移、そして「今後の市場予測」について解説します。
賃料相場の推移
横浜のオフィス賃料は、過去数年間、堅調な推移を見せています。特に、みなとみらいエリアや横浜駅周辺エリアでは、新築ハイグレードビルの竣工が相場を牽引し、上昇傾向が続いていました。これらのエリアでは、企業の旺盛な拡張・移転ニーズに対し、供給が追い付かない状況が一部で見られ、賃料の上昇を後押ししていました。
2020年以降のコロナ禍では、テレワークの普及によりオフィス需要が一時的に減退し、賃料の上昇ペースは鈍化しました。一部の企業ではオフィスの縮小や解約の動きも見られ、市場にはやや不透明感が漂いました。
しかし、2023年後半から2024年にかけて、経済活動の正常化とともに、オフィスへの回帰や新たな働き方に対応するための移転需要が回復しています。特に、従業員のエンゲージメント向上やコラボレーション促進を目的とした、より質の高いオフィス環境への移転(クオリティフライト)の動きが活発化しています。これにより、築年数が新しく、設備が充実したハイグレードなビルの賃料は底堅く推移、あるいは再び上昇基調にあります。
一方で、築年数が古く、設備が時代に合わなくなった二次空室(テナントが退去した後の空室)の物件では、賃料が伸び悩む、あるいは下落圧力にさらされるケースも見られ、ビルのグレードによる賃料の二極化が進んでいるのが現状です。全体として見れば、横浜のオフィス賃料相場は安定しており、今後も底堅く推移すると予測されます。
参照:三幸エステート株式会社「2024年4月度 横浜市オフィスマーケットデータ」
空室率の推移
空室率は、オフィス市場の需給バランスを示す重要な指標です。一般的に、空室率が5%を下回ると、貸し手(オーナー)側が有利な「貸し手市場」とされ、賃料は上昇しやすくなります。逆に5%を上回ると、借り手(テナント)側が有利な「借り手市場」となり、賃料交渉がしやすくなる傾向があります。
コロナ禍以前の横浜市場では、旺盛な需要を背景に空室率は歴史的な低水準で推移していました。しかし、コロナ禍に入ると、企業のオフィス戦略見直しにより解約が増加し、空室率は一時的に上昇しました。特に2021年から2022年にかけては、複数の大規模新築ビルが竣工したこともあり、供給の増加が空室率を押し上げました。
2024年現在、横浜全体の空室率は、エリアやビルのグレードによって差はあるものの、おおむね安定した水準で推移しています。三幸エステートの調査によると、2024年4月時点での横浜ビジネス地区(YBD)全体の空室率は5%台後半で推移しており、コロナ禍のピーク時からは改善傾向にあります。
参照:三幸エステート株式会社「2024年4月度 横浜市オフィスマーケットデータ」
特に、みなとみらいエリアでは、新規供給された大規模ビルのリーシング(テナント誘致)が順調に進んでおり、空室率は改善傾向です。横浜駅周辺エリアも同様に底堅い需要に支えられています。一方で、関内エリアや一部の既存ビルでは、依然として空室が目立つケースもあり、エリアや物件ごとの個別性が強い市場環境と言えます。
市場全体としては、急激な空室率の上昇や低下は見込まれにくく、安定した需給環境が続くと予測されます。これは、オフィスを探す企業にとっては、極端に焦る必要はないものの、優良物件は競争になる可能性を念頭に置き、計画的に物件探しを進めるべき状況であることを示唆しています。
今後の市場予測と再開発情報
横浜のオフィス市場の将来を占う上で、現在進行中および計画中の再開発プロジェクトが重要な鍵を握ります。これらのプロジェクトは、新たなオフィス床を供給するだけでなく、街全体の魅力を高め、さらなる企業誘致と人口流入を促進するからです。
特に注目されるのが、横浜駅周辺の再開発です。横浜駅きた西口鶴屋地区では、地上44階建ての複合ビル「THE YOKOHAMA FRONT」が2024年に竣工し、住宅、商業施設に加え、グローバルスカイコモンズ(国際交流拠点)などが整備されました。今後も、エキサイトよこはま22(横浜駅周辺大改造計画)に基づき、駅西口エリアや東口エリアで複数の開発計画が進行しており、横浜の玄関口としての機能がさらに強化されていく見込みです。
参照:横浜市都市整備局「エキサイトよこはま22(横浜駅周辺大改造計画)」
みなとみらい21地区でも、大型開発はまだ続きます。53街区、55街区、60・61街区など、未利用の区画では、今後もオフィス、ホテル、商業施設、エンターテインメント施設などを含む大規模な複合開発が計画されています。これらの開発が進むことで、みなとみらいはビジネス拠点としてだけでなく、世界的な観光・MICE拠点としての地位をより強固なものにするでしょう。
参照:横浜市都市整備局「みなとみらい21地区の開発状況」
新横浜エリアでは、2027年以降に予定されているリニア中央新幹線の神奈川県駅(仮称)の設置が大きなポテンシャルを秘めています。開業すれば、新横浜から品川までが約10分、名古屋までが約30分で結ばれることになり、ビジネスにおける時間的・地理的な概念が大きく変わります。これを起爆剤として、新横浜エリアのオフィス需要は中長期的に大きく高まる可能性があります。
これらの再開発により、横浜のオフィス市場には今後も質の高いオフィスが継続的に供給される見込みです。短期的には、新規供給が空室率を一時的に押し上げる可能性もありますが、中長期的には、都市機能の向上によって企業誘致がさらに進み、旺盛な需要がこれらの供給を吸収していくと予測されます。横浜は、将来にわたって成長が期待できる、ポテンシャルの高いオフィス市場であり続けるでしょう。
横浜で賃貸オフィスを借りるメリット
多くの企業がビジネス拠点として横浜を選ぶのには、明確な理由があります。コスト、アクセス、人材、そして行政のサポートといった多角的なメリットが、企業の持続的な成長を後押しします。ここでは、横浜にオフィスを構える具体的なメリットを4つの観点から深掘りします。
東京都心部より賃料が安い
企業経営において、固定費であるオフィス賃料の最適化は極めて重要な課題です。その点で、横浜の最大のメリットは、東京都心部と比較して賃料が大幅に安いことにあります。
例えば、東京の代表的なビジネス一等地である丸の内・大手町エリアでは、ハイグレードビルの坪単価は40,000円を超えることも珍しくありません。渋谷や新宿でも、30,000円台が一般的です。これに対し、横浜で最も賃料水準の高いみなとみらいエリアでも坪単価は20,000円台から30,000円台前半、横浜駅周辺では20,000円台が中心です。関内や新横浜まで視野を広げれば、10,000円台で質の良いオフィスを見つけることも十分に可能です。
仮に50坪のオフィスを借りる場合を考えてみましょう。
- 東京・丸の内(坪単価40,000円):月額賃料 200万円
- 横浜・みなとみらい(坪単価25,000円):月額賃料 125万円
この差額は月額75万円、年間では実に900万円にも達します。この削減できたコストを、新たな人材の採用、研究開発への投資、マーケティング活動の強化などに振り向けることができます。これは、特に成長段階にある中小企業やスタートアップにとって、事業を加速させるための大きな原動力となります。大企業にとっても、コストセンターである管理部門などを横浜に移転させることで、全社的なコスト構造の改革に繋がります。この圧倒的なコストパフォーマンスの良さが、企業を横浜に惹きつける強力な引力となっているのです。
主要駅へのアクセスが良い
コストが安くても、ビジネスの生命線である交通アクセスが不便では意味がありません。横浜はその点でも非常に優れています。前述の通り、横浜駅は日本有数の巨大ターミナルであり、都内の主要ビジネス拠点へ30分前後でダイレクトにアクセス可能です。
- 横浜駅からの所要時間(目安)
- 品川駅:約17分(JR東海道本線)
- 渋谷駅:約27分(東急東横線 Fライナー特急)
- 新宿駅:約33分(JR湘南新宿ライン)
- 東京駅:約26分(JR東海道本線)
このように、複数の選択肢を使ってスピーディーに都心へ移動できるため、都内のクライアントとの商談や打ち合わせにも全く支障がありません。むしろ、神奈川県内や静岡方面へのアクセスも良好なため、より広域なビジネス展開において有利に働く場面も多いでしょう。
さらに、羽田空港へのアクセスの良さも見逃せません。京急線を利用すれば横浜駅から約30分で、また横浜駅東口のバスターミナル(YCAT)からはリムジンバスが頻繁に運行しており、こちらも約30分で空港に到着します。国内出張はもちろん、海外との取引が多いグローバル企業にとっても、この利便性は大きな魅力です。
新横浜駅からは東海道新幹線が利用でき、名古屋や大阪へも乗り換えなしで移動できます。これほどの陸・空の交通インフラが整備されている都市は、首都圏でも限られています。「コスト」と「時間」というビジネスにおける二大資源を効率化できる点こそ、横浜の交通アクセスがもたらす本質的なメリットと言えるでしょう。
優秀な人材を確保しやすい
企業の成長を支える最も重要な資産は「人」です。その点において、横浜は優秀な人材の宝庫であり、採用活動においても大きなアドバンテージがあります。
横浜市は370万人以上という日本最大の人口を擁する基礎自治体であり、その背後には神奈川県全域、さらには東京都の多摩地域といった広大な居住エリアが控えています。これらの地域に住む人々にとって、満員電車で長時間かけて都心まで通勤するよりも、横浜市内で働くことは大きな魅力です。特に、近年ワークライフバランスを重視する傾向が強まる中で、「職住近接」は企業選びの重要な基準の一つになっています。横浜にオフィスを構えることで、こうした層の優秀な人材に対して効果的にアプローチできます。
また、横浜市内および周辺には、横浜国立大学、横浜市立大学、慶應義塾大学(日吉・矢上キャンパス)、神奈川大学など、数多くの大学や研究機関が集積しています。これにより、専門知識を持った新卒学生や、産学連携のパートナーを見つけやすい環境が整っています。IT、バイオ、ものづくりといった分野で、大学発のベンチャーや共同研究も活発に行われています。
さらに、横浜は「住みたい街ランキング」で常に上位にランクインする、生活拠点としての魅力も兼ね備えています。洗練された都市機能と、海や緑といった豊かな自然が共存し、ショッピングやグルメ、文化施設も充実しています。従業員が仕事だけでなくプライベートも充実させられる環境は、エンゲージメントを高め、人材の定着(リテンション)にも繋がります。採用競争が激化する現代において、企業が従業員に提供できる「働きやすさ」「暮らしやすさ」は、他社との強力な差別化要因となるのです。
自治体の補助金や助成金制度が利用できる
横浜市は、市内経済の活性化と雇用の創出を目指し、企業誘致に非常に積極的です。その一環として、横浜市内にオフィスを新設・移転・拡張する企業を対象とした、手厚い補助金や助成金制度を用意しています。これらの制度をうまく活用することで、オフィス開設にかかる初期投資を大幅に軽減できます。
代表的な制度が「横浜市企業立地促進条例」に基づく助成制度です。この制度では、対象となる重点産業(IT・コンテンツ、健康・医療(ライフサイエンス)、環境・エネルギー、ものづくり等)の企業が、市内に事業所を新設または拡張する際に、様々な助成を受けることができます。
- 事業所設置助成:投下固定資産額(土地・建物を除く)の一部を助成。
- 雇用助成:新規に雇用した市民(横浜市民)の数に応じて助成。
- 賃料助成:賃借するオフィスの賃料の一部を、一定期間にわたって助成。
特に賃料助成は、ランニングコストである賃料負担を直接的に軽減するものであり、企業にとって非常に魅力的なインセンティブです。助成の対象となる条件や金額、申請手続きの詳細は年度によって変わるため、必ず横浜市の公式サイトで最新情報を確認する必要がありますが、こうした制度の存在は、横浜が企業を温かく迎え入れている証左と言えるでしょう。
これらの公的サポートは、企業の財務的な負担を軽くするだけでなく、地域社会から歓迎されているという安心感にも繋がります。横浜市という強力なパートナーを得て事業をスタートできることは、目に見えない大きなメリットなのです。
参照:横浜市経済局「企業立地支援(助成制度)」
横浜で賃貸オフィスを借りる際の注意点
多くのメリットがある一方で、横浜でオフィスを借りる際にはいくつかの注意点も存在します。これらの点を事前に理解し、対策を講じることで、移転後の「こんなはずではなかった」という事態を防ぐことができます。
エリアによって交通の便に差がある
「横浜は交通の便が良い」と一括りにするのは早計です。確かに横浜駅や新横浜駅の交通結節点としての機能は傑出していますが、オフィスを構える具体的なエリアやビルによっては、利便性に大きな差が生じることを認識しておく必要があります。
例えば、みなとみらいエリアは非常に洗練されたビジネス街ですが、メインとなる交通手段はみなとみらい線です。JRや東急東横線を利用する従業員は、横浜駅で乗り換える必要があります。この数分の乗り換えが、毎日の通勤においては意外なストレスになる可能性も考慮すべきです。また、桜木町駅から徒歩でアクセスできるビルも多いですが、駅からビルまでの距離は事前に正確に把握しておく必要があります。特に夏場の炎天下や雨天時の通勤を想定しておくことが重要です。
関内エリアも同様に、JR根岸線と横浜市営地下鉄ブルーラインが主軸となります。東急東横線や相鉄線沿線に住む従業員にとっては、横浜駅での乗り換えが発生します。
さらに、同じエリア内でも、駅からオフィスまでのアプローチには注意が必要です。地図上では近く見えても、実際には人通りが多くて歩きにくかったり、急な坂道があったりするケースもあります。これは従業員の通勤負担だけでなく、来客時の印象にも影響します。特に、横浜は丘陵地が多いため、坂の存在は軽視できません。
対策としては、必ず複数の候補物件を実際に訪れ、最寄り駅からオフィスまで自分の足で歩いてみることです。朝の通勤ラッシュの時間帯や、天候の悪い日にチェックできれば、より現実的な状況を把握できるでしょう。また、従業員の居住地をアンケートなどで把握し、多くの従業員にとって通勤しやすいエリアや路線はどこかを分析することも、移転を成功させるための重要なプロセスです。
商業施設や飲食店の充実度はエリアで異なる
日々のランチ環境や、仕事終わりの会食・懇親会の場所は、従業員の満足度やコミュニケーションの活性化に直結する重要な要素です。この点においても、横浜はエリアによって状況が大きく異なります。
横浜駅周辺やみなとみらいエリアは、百貨店やショッピングモール、無数の飲食店が集積しており、ランチやディナーの選択肢に困ることはまずありません。高級なレストランから手頃な定食屋、カフェまで、あらゆるニーズに対応できるため、従業員満足度は非常に高いでしょう。来客をもてなす際の店選びにも便利です。
一方で、関内・馬車道エリアも飲食店は多いですが、官庁街という土地柄、夜は比較的早く閉まる店も少なくありません。歴史ある名店が多い一方で、若者向けのカジュアルな店は横浜駅周辺に比べると限られるかもしれません。
新横浜エリアは、駅ビルや駅周辺には飲食店が集中していますが、駅から少し離れたオフィス街になると、途端に選択肢が少なくなる傾向があります。特にランチタイムは、特定の店に人が集中し、いわゆる「ランチ難民」が発生しやすいエリアとも言われています。自社ビル内に社員食堂やカフェテリアがあれば問題ありませんが、そうでない場合は、周辺のランチ環境を事前にリサーチしておくことが不可欠です。お弁当を持参する従業員のために、休憩や食事をとれるリフレッシュスペースをオフィス内に十分に確保するといった配慮も重要になります。
オフィスを内覧する際には、物件の内部だけでなく、必ず周辺を歩き回り、どのような店舗があるか、昼食時間帯の混雑状況はどうかなどを自分の目で確かめることを強くお勧めします。こうした地道な確認が、従業員が毎日快適に働ける環境づくりに繋がるのです。
横浜で自社に合う賃貸オフィスを探す4つのポイント
横浜という魅力的な市場で、数多くの物件の中から自社にとって本当に最適なオフィスを見つけ出すためには、戦略的なアプローチが必要です。ここでは、移転を成功に導くための4つの重要なポイントを解説します。
① 事業計画から必要な広さや条件を明確にする
オフィス探しを始める前に、まず行うべき最も重要な作業が「自社の事業計画と連動したオフィス要件の明確化」です。感覚や思いつきで物件を探し始めると、途中で判断基準がぶれてしまい、結果的に最適な選択ができなくなります。
具体的には、以下の項目を具体的に洗い出しましょう。
- 必要な広さ(面積):現在の従業員数だけでなく、3年後、5年後の人員計画を基に算出します。一般的に、1人あたりのオフィス面積は2坪~4坪が目安とされます。開放的な空間にしたいのか、集約的なレイアウトで良いのかによっても変わります。将来の増員を見越して少し広めの物件を借りるのか、まずはジャストサイズで借りて、手狭になったら再度移転するのか、という方針を定めておくことが重要です。
- 予算:月額賃料の上限を明確に設定します。この際、賃料だけでなく、共益費(管理費)も含んだ「総額」で考えることが大切です。また、敷金(保証金)、礼金、仲介手数料、前払賃料、内装工事費、什器購入費、引越し費用など、移転にかかる初期費用の総額も概算で把握し、資金計画を立てておきましょう。
- 必要な設備:自社の業務に不可欠な設備をリストアップします。例えば、「OAフロア」「個別空調」「24時間利用可能」「機械警備」「光ファイバー対応」などは多くの企業で必須条件となるでしょう。その他にも、「会議室の数」「リフレッシュスペースの確保」「男女別のトイレ」「駐車場・駐輪場の有無」など、譲れない条件を整理します。
- 企業のブランディング:オフィスは、従業員だけでなく、顧客や取引先、採用候補者など、社外のステークホルダーに対する「企業の顔」でもあります。自社のブランドイメージ(例:先進的、信頼感、クリエイティブ、堅実など)に合致したビルのグレードやデザイン、立地を選ぶという視点も忘れてはなりません。
これらの要件を文書化し、社内で合意形成しておくことで、後の物件選定や不動産会社とのコミュニケーションが非常にスムーズになります。
② 各エリアの特性を理解して候補を絞る
要件が固まったら、次に横浜のどのエリアが自社に合っているかを検討します。これまでの章で解説してきた各エリアの特性を、自社の事業内容と照らし合わせてみましょう。
- 横浜駅周辺エリア:交通の利便性を最優先し、多様な人材にアプローチしたい企業。営業活動が中心の企業や、幅広い業種のクライアントを持つ企業に適しています。
- みなとみらい21エリア:企業のブランドイメージ向上を狙う企業。特に、最先端のイメージを重視するIT企業、グローバル企業、研究開発拠点などに最適です。採用競争力の強化にも繋がります。
- 関内・馬車道エリア:コストを抑えつつ、落ち着いた環境で業務に集中したい企業。弁護士や会計士などの士業、官公庁との連携が多い企業、クリエイティブ系の小規模なオフィスに向いています。
- 新横浜エリア:新幹線を多用する企業や、全国に拠点を持つ企業の支社・支店。出張が多い企業や、広域でのビジネスを展開する企業にとって戦略的な拠点となります。
自社の「業種」「主要な取引先の所在地」「従業員の通勤アクセス」「採用したい人材のペルソナ」などを総合的に考慮し、候補となるエリアを2〜3つに絞り込むと、その後の物件探しが効率化します。一つのエリアに固執せず、複数の可能性を検討することが、思わぬ優良物件との出会いに繋がることもあります。
③ 働き方やオフィスの用途を考慮する
現代のオフィスは、単に机を並べて作業するだけの場所ではありません。特にテレワークが浸透した今、「何のためにオフィスに集まるのか」というオフィスの存在意義そのものを再定義することが求められています。
- 出社とテレワークの比率:全員が毎日出社するのか、ハイブリッドワークを導入するのかによって、必要な座席数やオフィスのレイアウトは大きく変わります。ハイブリッドワークで出社率が低い場合は、固定席を設けない「フリーアドレス制」を導入することで、面積を効率化し、賃料を削減できる可能性があります。
- オフィスの役割:オフィスの主な役割を「集中して個人作業を行う場」と位置付けるのか、それとも「従業員同士の偶発的なコミュニケーションやコラボレーションを生み出す場」と位置付けるのか。後者を重視する場合、カフェスペースやソファ席、大小様々なミーティングスペース、雑談を促すようなオープンスペースを充実させる必要があります。
- Web会議への対応:オンラインでの打ち合わせが常態化した現在、Web会議専用の個室ブースや、音漏れに配慮した会議室の設計は不可欠です。オフィス内で多くの従業員が同時にWeb会議を行うと、騒音問題が発生し、生産性を著しく低下させる可能性があります。
自社が目指す働き方を実現できるような、柔軟なレイアウト変更が可能な物件を選ぶことが重要です。間仕切り壁の設置・撤去が容易か、電源やLANの配置は自由に変更できるか、といった点も内覧時に確認しましょう。理想の働き方を実現するための「器」として、オフィスを捉える視点が求められます。
④ 信頼できる不動産会社に相談する
自社だけで最適なオフィスを見つけ出すのは、非常に困難です。市場に出回っている物件情報はごく一部であり、条件の良い物件ほど、非公開のまま水面下で取引されるケースが少なくありません。そこで不可欠となるのが、事業用不動産を専門に扱う仲介会社の存在です。
信頼できる不動産会社は、以下のような価値を提供してくれます。
- 非公開物件の紹介:独自のネットワークを駆使し、インターネット上には掲載されていない優良な非公開物件や、近々空きが出る予定の「先行情報」を提供してくれます。
- 専門的な知見:各エリアの相場や市場動向、ビルの特性などを熟知しており、自社の要件に合った最適な物件を客観的な視点で提案してくれます。
- 条件交渉の代行:賃料やフリーレント(一定期間の賃料が無料になる特典)期間、敷金の減額など、素人では難しい貸主側との条件交渉を、プロとして代行してくれます。これにより、有利な条件で契約できる可能性が高まります。
- 煩雑な手続きのサポート:物件探しから内覧の設定、契約、引き渡しに至るまで、煩雑な手続きを全面的にサポートしてくれます。
良いパートナーとなる不動産会社を選ぶポイントは、「横浜エリアに精通しているか」「事業用不動産の実績が豊富か」「担当者が親身に相談に乗ってくれるか」などです。1社に絞らず、複数の会社に声をかけ、提案内容や担当者の対応を比較検討することをお勧めします。
横浜エリアの賃貸オフィス探しにおすすめの仲介会社3選
横浜で賃貸オフィスを探す際、どの不動産会社に相談すれば良いか迷う方も多いでしょう。ここでは、横浜エリアに強く、実績も豊富な代表的な仲介会社を3社ご紹介します。それぞれの特徴を理解し、自社のニーズに合った会社を選ぶ参考にしてください。
① 三幸エステート
三幸エステート株式会社は、オフィスビルや事業用不動産の仲介を専門とする、業界大手の不動産会社です。全国に拠点を展開しており、横浜にも支店を構え、地域に密着したサービスを提供しています。
最大の特徴は、その圧倒的な情報量と、マーケットデータの分析力にあります。同社が定期的に発表する「オフィスマーケットデータ」は、賃料相場や空室率の動向を把握するための資料として、業界内外で広く活用されています。こうした詳細なデータに基づき、客観的な視点から戦略的なオフィス移転の提案を受けられるのが強みです。
取り扱い物件は、中小規模のビルから大規模なハイグレードビルまで幅広く、スタートアップから大企業まで、あらゆる企業のニーズに対応可能です。特に、データに基づいた論理的な意思決定を重視する企業や、市場の動向を正確に把握した上で移転計画を立てたい企業にとって、非常に頼りになるパートナーとなるでしょう。オフィス移転に関するコンサルティングサービスも充実しており、単なる物件紹介に留まらない、総合的なサポートが期待できます。
参照:三幸エステート株式会社 公式サイト
② CBRE(シービーアールイー)
CBRE(シービーアールイー)は、米国に本拠を置く、世界最大級の事業用不動産サービス会社です。日本法人も全国に拠点を持ち、横浜支店を通じて地域に根差したサービスを展開しています。
グローバル企業ならではの広範なネットワークと、多岐にわたるサービスラインナップがCBREの強みです。オフィスの賃貸借仲介はもちろん、不動産の売買、プロパティマネジメント(ビル管理)、コンサルティング、不動産鑑定評価など、不動産に関するあらゆるニーズにワンストップで対応できます。
特に、大規模なオフィス物件や、外資系企業の日本進出・拠点開設といった案件に豊富な実績を持っています。グローバル基準のサービス品質を求める企業や、本社機能の移転など、複雑で大規模なプロジェクトを検討している企業にとって、最適な選択肢の一つです。同社も詳細な市場調査レポートを定期的に発行しており、データに基づいた的確なアドバイスを提供しています。世界的な知見とローカルな専門知識を融合させた提案力は、他の会社にはない魅力と言えます。
参照:CBRE株式会社 公式サイト
③ 貸事務所ドットコム横浜
「貸事務所ドットコム横浜」は、株式会社あしたのオフィスが運営する、横浜・川崎エリアに特化した賃貸オフィス・事務所の検索サイトおよび仲介サービスです。
大手仲介会社が大規模物件に強みを持つ一方で、貸事務所ドットコム横浜は、地域に密着し、中小規模のオフィス物件を数多く取り扱っているのが特徴です。ウェブサイトはエリアや駅、面積、賃料など、細かい条件で物件を検索しやすく、情報が整理されていて使いやすいと評判です。
地域特化型ならではの、きめ細やかでフットワークの軽い対応が期待できます。初めてオフィスを借りるスタートアップや、コストを抑えたい中小企業、特定のエリアでピンポイントに物件を探したい企業などにとって、非常に心強い存在です。ウェブサイトで気になる物件を見つけて問い合わせるという形はもちろん、希望条件を伝えれば、サイトに掲載されていない物件も含めて提案してくれます。「地元の情報に詳しい専門家に相談したい」というニーズに的確に応えてくれるサービスです。
参照:貸事務所ドットコム横浜 公式サイト
まとめ
本記事では、2024年の最新情報に基づき、横浜の賃貸オフィス市場について、エリア別の賃料相場から市場動向、オフィスを構えるメリット、そして物件探しの具体的なポイントまで、多角的に解説してきました。
横浜は、東京都心への優れたアクセスと、比較的手頃な賃料水準を両立させた、非常にコストパフォーマンスの高いビジネス拠点です。みなとみらいの先進的なオフィス街から、横浜駅周辺の利便性の高いエリア、関内の落ち着いた環境、新横浜の広域アクセス拠点まで、多様なビジネスニーズに応える多彩なエリアが存在します。
市場は現在、ビルのグレードによる二極化が進みつつも、全体としては安定した需給環境にあります。進行中の再開発プロジェクトは、横浜の都市としての魅力をさらに高め、中長期的な成長ポテンシャルを裏付けています。優秀な人材の確保や、横浜市による手厚い助成金制度も、この地で事業を行う大きなメリットと言えるでしょう。
自社に最適なオフィスを見つけるためには、場当たり的な物件探しではなく、戦略的なアプローチが不可欠です。
- 事業計画に基づき、必要な広さや予算、設備などの要件を明確にする。
- 各エリアの特性を深く理解し、自社の事業やブランドに合った候補地を絞り込む。
- 自社が目指す働き方を定義し、それを実現できる柔軟性のあるオフィス空間を考える。
- 横浜エリアに精通した、信頼できる不動産仲介会社をパートナーとして選ぶ。
これらのポイントを押さえ、計画的にオフィス探しを進めることが、移転の成功、ひいては企業の持続的な成長へと繋がります。この記事が、皆様の横浜でのオフィス戦略を考える上での一助となれば幸いです。