渋谷のオフィスビル賃料相場と特徴を解説【エリア別比較】

渋谷のオフィスビル、賃料相場と特徴を解説

進化し続ける街、渋谷。かつては若者文化の発信地として知られていましたが、近年の大規模な再開発を経て、今や日本を代表する最先端のビジネスハブへと変貌を遂げました。特にIT企業やスタートアップを中心に多くの企業が集積し、新たなイノベーションが生まれる活気に満ちたエリアとして、世界中から注目を集めています。

しかし、その人気と比例して「渋谷のオフィスは賃料が高いのではないか」「自社に合ったエリアはどこだろうか」といった悩みや疑問を抱える経営者や担当者の方も少なくないでしょう。渋谷と一言で言っても、駅周辺の最新高層ビルエリアから、落ち着いた雰囲気のエリアまで、その表情は実に多様です。

本記事では、渋谷にオフィスの開設を検討している方に向けて、最新のオフィス賃料相場から、ビジネス拠点としての具体的なメリット、進化し続ける将来性、そしてエリアごとの詳細な特徴までを網羅的に解説します。さらに、コストを抑えながら渋谷にオフィスを構えるための実践的な方法や、代表的なオフィスビル、人気のレンタルオフィスまで、オフィス選びに必要な情報を余すところなくお届けします。

この記事を最後まで読めば、渋谷のオフィス市場に関する解像度が上がり、自社の成長戦略に最適なオフィスを見つけるための確かな指針を得られるはずです。

渋谷エリアのオフィス賃料相場

渋谷にオフィスを構える上で、最も気になるのが賃料相場です。このエリアは非常に人気が高いため、都内でも賃料水準はトップクラスに位置します。しかし、一概に「高い」と判断するのではなく、その内訳や近隣エリアとの比較を正しく理解することが、適切なオフィス選びの第一歩となります。ここでは、坪単価という具体的な指標を用いて、渋谷の賃料相場を多角的に分析していきます。

坪単価で見る賃料相場

オフィスの賃料は、一般的に「坪単価」で示されます。これは1坪(約3.3平方メートル)あたりの月額賃料を指し、オフィスビルのグレードや立地を比較する際の重要な指標です。

渋谷エリアのオフィス賃料相場は、ビルの規模や築年数、駅からの距離によって大きく変動しますが、平均的な坪単価はおおむね25,000円から35,000円前後が目安となります。ただし、これはあくまで全体の平均値です。

例えば、渋谷スクランブルスクエアや渋谷ヒカリエといった駅直結の最新大規模ビル(ハイグレードビル)では、坪単価が40,000円を超えることも珍しくありません。これらのビルは、最新の設備、高い耐震性、そして何よりも「渋谷駅直結」という圧倒的な利便性とステータス性を備えているため、高額な賃料設定となっています。

一方で、駅から少し離れたエリアや、築年数が経過した中小規模のビルであれば、坪単価20,000円台前半で見つかる物件も存在します。特に、リノベーションが施され、内装が新しくなっている物件は、コストを抑えつつも快適なオフィス環境を実現できるため、スタートアップやベンチャー企業から人気を集めています。

ビル規模・グレード 坪単価の目安 特徴
大規模・ハイグレードビル 35,000円~50,000円+ 駅直結・駅近、築浅、最新設備、高い知名度とステータス性
中規模ビル 25,000円~35,000円 駅から徒歩5~10分圏内、標準的な設備、多様な選択肢
小規模・築古ビル 20,000円~28,000円 駅からやや離れる、築年数が経過しているがリノベーション物件も多い

賃料相場を考える上で注意したいのが「共益費(管理費)」の存在です。募集要項に記載されている坪単価には、共益費が含まれている場合と含まれていない場合があります。共益費は、ビルの共用部(エレベーター、廊下、トイレなど)の清掃や維持管理、警備などにかかる費用で、賃料とは別に請求されます。共益費の相場は、坪単価の10%~20%程度(坪あたり3,000円~6,000円)が一般的です。物件を比較検討する際は、必ず賃料と共益費を合算した「総額」で判断することが重要です。

【よくある質問】
Q. 渋谷のオフィス賃料は今後どうなりますか?
A. 渋谷エリアでは大規模な再開発が一段落し、オフィスビルの大量供給が落ち着きつつあります。一方で、IT企業を中心に底堅い需要が続いているため、賃料相場が大きく下落する可能性は低いと考えられます。特に、ハイグレードビルや利便性の高いビルは、高い水準を維持するでしょう。ただし、経済情勢や働き方の変化(リモートワークの普及など)によっては、空室率が変動し、相場に影響を与える可能性も否定できません。常に最新の市場動向を注視することが大切です。

近隣エリアとの賃料相場比較

渋谷の賃料相場が高いのか安いのかを客観的に判断するために、都内の他の主要ビジネスエリアと比較してみましょう。東京のオフィス市場は、エリアごとに集積する産業や街の特性が異なり、それが賃料相場にも反映されています。

エリア 坪単価の目安 主な特徴
丸の内・大手町・有楽町 40,000円~55,000円 日本の経済中枢。金融機関、大手商社、大企業本社が集積。国内最高水準の賃料。
渋谷 25,000円~35,000円 IT・スタートアップの聖地。クリエイティブ産業も多い。若者文化とビジネスが融合。
新宿 23,000円~33,000円 都庁を擁する行政の中心地。多様な業種の大企業から中小企業までが集まる巨大ターミナル。
品川 24,000円~34,000円 新幹線停車駅。メーカーやグローバル企業の本社が多い。羽田空港へのアクセスが良好。
六本木 30,000円~40,000円 外資系企業、IT企業、クリエイティブ系企業が集積。国際色豊かで洗練された街。

この表からわかるように、渋谷の賃料相場は、日本のビジネスの中心地である丸の内・大手町エリアよりは抑えられているものの、新宿や品川と同等か、やや高い水準にあります。六本木とは近い価格帯ですが、街の雰囲気や集まる企業のカラーが異なります。

なぜ、渋谷はこれほど高い人気と賃料水準を維持しているのでしょうか。その理由は、単なる交通の便の良さだけではありません。次の章で詳しく解説する「IT企業の集積」や「トレンド発信地としてのブランド力」といった、他のエリアにはない独自の付加価値が、渋谷のオフィス市場を支えているのです。

企業がオフィス移転を検討する際には、単純な賃料の安さだけでなく、自社の事業内容やブランドイメージ、採用戦略にそのエリアが合致しているかという視点が不可欠です。例えば、金融機関や士業が信頼性を重視して丸の内を選ぶように、IT企業やクリエイティブ企業が革新性や人材の魅力を求めて渋谷を選ぶのは、非常に合理的な経営判断と言えるでしょう。

したがって、渋谷の賃料を評価する際は、そのコストに見合うだけのビジネス上のメリット(人材獲得、情報収集、ブランディングなど)を享受できるかどうかを総合的に判断することが求められます。

なぜ人気?渋谷にオフィスを構える3つのメリット

IT企業が集積するビジネスハブ、複数路線が乗り入れる交通の要所、新しい文化やトレンドが生まれる街

渋谷のオフィス賃料は都内でも高水準ですが、それでもなお多くの企業がこの地を目指すのには明確な理由があります。交通の利便性はもちろんのこと、渋谷ならではのビジネスエコシステムや文化的な魅力が、企業成長の強力なエンジンとなるからです。ここでは、渋谷にオフィスを構えることで得られる3つの大きなメリットを深掘りします。

① IT企業が集積するビジネスハブ

渋谷が「ビットバレー(Bit Valley)」という愛称で呼ばれるようになったのは1990年代後半のことです。インターネットの黎明期に、多くのITベンチャー企業がこの地に集まり始め、シリコンバレーになぞらえてそう呼ばれるようになりました。それから四半世紀以上が経過した現在、渋谷は名実ともに日本最大のIT・スタートアップ集積地としての地位を確立しています。

大手プラットフォーマーから急成長中のメガベンチャー、そして創業間もないスタートアップまで、あらゆるフェーズのIT企業がこの地にオフィスを構えています。この「集積のメリット」は計り知れません。

第一に、最先端の情報交換が活発に行われる点です。競合でありながらも、同じ業界の企業が近距離に集まることで、自然と情報交換の機会が生まれます。エンジニアやマーケター向けの勉強会、ミートアップ、カンファレンスが日常的に開催されており、常に最新の技術動向やビジネストレンドに触れることができます。こうした環境は、自社のサービス開発や事業戦略を練る上で非常に有益です。例えば、あるWebサービス企業が新しい技術の導入を検討している際、近隣の企業が主催する勉強会に参加することで、実装経験のあるエンジニアから直接リアルな知見を得られる、といったことが頻繁に起こります。

第二に、優秀なIT人材の採用に有利である点です。特に若手で優秀なエンジニアやクリエイターは、刺激的で成長できる環境を求めています。IT企業の集積地である渋谷は、彼らにとって非常に魅力的な勤務地です。「渋谷で働く」こと自体が一種のステータスとなり、採用ブランディングにおいて強力な武器となります。また、転職を考えている優秀な人材が、まずは渋谷エリアの企業から探し始めるというケースも多く、採用活動の効率化にも繋がります。

第三に、ビジネスアライアンスや協業の機会が豊富な点です。すぐ近くに潜在的なパートナー企業が存在するため、新たな事業展開や共同プロジェクトが生まれやすい土壌があります。例えば、AI技術を持つスタートアップが、大手ゲーム会社と連携して新しいコンテンツを開発する、あるいはデータ分析に強みを持つ企業が、Eコマース企業にコンサルティングを提供するなど、物理的な近さがビジネスの化学反応を促進します。ランチミーティングや仕事帰りの一杯といった気軽な交流から、大きなビジネスチャンスが生まれることも少なくありません。

このように、渋谷は単にIT企業が多いというだけでなく、企業、人、情報が有機的に結びつき、新たな価値を創造する「エコシステム」が形成されていることが最大の強みです。このエコシステムの中に身を置くこと自体が、企業の競争力を高める無形の資産となるのです。

② 複数路線が乗り入れる交通の要所

ビジネスにおいて「時間」は最も貴重な資源の一つです。その観点から、オフィスの立地における交通アクセスの重要性は言うまでもありません。渋谷駅は、JR4路線、私鉄・地下鉄5路線の合計9路線が乗り入れる、世界有数の巨大ターミナル駅です。この圧倒的な交通利便性は、企業活動のあらゆる側面で大きなメリットをもたらします。

【渋谷駅に乗り入れる路線】

  • JR: 山手線、埼京線、湘南新宿ライン、成田エクスプレス
  • 東急電鉄: 東横線、田園都市線
  • 京王電鉄: 井の頭線
  • 東京メトロ: 銀座線、半蔵門線、副都心線

まず、社員の通勤利便性が格段に向上します。山手線は都心を周回し、埼京線・湘南新宿ラインは埼玉・神奈川方面へ、東急東横線・田園都市線は神奈川方面へ、京王井の頭線は東京西部へ、そして東京メトロ各線は都内のあらゆる場所へと繋がっています。これにより、東京、神奈川、埼玉、千葉の一都三県から、乗り換えの負担が少なく通勤することが可能です。
採用活動においても、通勤のしやすさは応募者にとって重要な判断基準となります。幅広いエリアから優秀な人材を惹きつけられる点は、企業にとって大きなアドバンテージです。

次に、顧客やパートナー企業が来訪しやすいというメリットがあります。営業活動や商談において、相手に「アクセスしにくい」という印象を与えてしまうのは避けたいところです。渋谷であれば、都内の主要なビジネス街(新宿、池袋、東京、品川など)から30分以内でアクセスできるため、アポイントメントの設定がスムーズに進みます。また、地方や海外からの来訪者にとっても、成田エクスプレスが停車し、羽田空港へのリムジンバスも多数運行しているため、非常に分かりやすく便利な立地です。

さらに、社員自身の移動効率も高まります。都内各所での打ち合わせや、首都圏近郊の支社への移動など、ビジネスパーソンのフットワークを軽くします。例えば、午前中は横浜のクライアントと商談し、午後は新宿で打ち合わせ、夕方には渋谷のオフィスに戻って業務を行う、といったスピーディーな活動が可能になります。

この交通ネットワークのハブであることは、特に広範囲に顧客を持つ企業や、多様なバックグラウンドを持つ社員を雇用する企業にとって、代えがたい価値を持ちます。渋谷の交通利便性は、日々の業務効率を向上させ、ビジネスチャンスを拡大するための強固な基盤と言えるでしょう。

③ 新しい文化やトレンドが生まれる街

渋谷は、ビジネスの街であると同時に、常に新しい文化やトレンドを生み出し続ける情報発信地としての顔を持っています。ファッション、音楽、アート、食など、あらゆるジャンルで最先端のモノ・コトが集まり、若者を中心に絶えず新しいムーブメントが生まれています。このクリエイティブな空気は、オフィスを構える企業にとって、様々な形でプラスの影響を与えます。

最大のメリットは、クリエイティビティやインスピレーションの源泉が身近にあることです。特に、広告、デザイン、エンターテインメント、アパレルといったクリエイティブ産業に従事する企業にとって、街全体がアイデアの宝庫となります。街を歩く人々のファッション、話題のカフェ、アートギャラリーでの展示、ライブハウスの熱気など、日常的に五感を刺激する情報に触れることで、斬新な企画やデザインが生まれやすくなります。オフィスの窓から見える景色や、ランチタイムに散策するストリートが、新たなインスピレーションを与えてくれるかもしれません。

また、企業のブランディングにおいても、渋谷という立地は強力な効果を発揮します。「渋谷にオフィスがある」という事実は、それだけで「先進的」「クリエイティブ」「時代をリードしている」といったポジティブなイメージを社内外に与えます。これは、感度の高い顧客へのアピールや、優秀な若手人材の採用において有利に働きます。企業のウェブサイトや名刺に記載された「東京都渋谷区」の住所は、無言の内に企業のアイデンティティを語るメッセージとなり得ます。

さらに、社員のエンゲージメントや満足度の向上にも繋がります。渋谷には、多種多様な飲食店やショップ、文化施設が密集しており、ランチやアフターファイブの選択肢が非常に豊富です。話題のレストランでのチームランチ、仕事帰りのショッピング、同僚との映画鑑賞など、オンとオフを充実させる環境が整っています。こうした環境は、社員のワークライフバランスを向上させ、働くことへのモチベーションを高める効果が期待できます。

渋谷という街が持つダイナミズムと文化的な多様性は、単なる利便性を超えた価値を提供します。論理的な思考が求められるビジネスシーンに、感性や創造性といった右脳的な要素をプラスしてくれる。これこそが、他のビジネス街にはない、渋谷ならではのユニークな魅力なのです。

大規模再開発で進化し続ける渋谷の将来性

国際競争力の強化、防災機能の向上、歩行者ネットワークの整備、エンタテイメントシティの進化

現在の渋谷の姿は、一朝一夕にできあがったものではありません。「100年に1度」とも称される大規模な再開発プロジェクトが、2010年代から現在に至るまで継続的に行われてきた結果です。この壮大な都市再生は、渋谷を単なる商業地や若者の街から、世界を代表する先進的なビジネス・カルチャー拠点へと押し上げました。そして、その進化はまだ終わっていません。ここでは、渋谷の再開発がもたらした変化と、これからの街の将来性について解説します。

この再開発プロジェクトは、東急グループ、JR東日本、東京メトロなどが連携し、渋谷駅とその周辺エリアを一体的に整備するものです。その主な目的は、以下の4つに集約されます。

  1. 国際競争力の強化: グローバル企業や多様な人材を惹きつける、魅力的なビジネス環境と都市機能の創出。
  2. 防災機能の向上: 災害に強い街づくり。帰宅困難者支援機能の整備や、耐震性の高いインフラ構築。
  3. 歩行者ネットワークの整備: 複雑で谷地形だった駅周辺の動線を改善し、誰もが歩きやすく、回遊しやすい街へ。
  4. エンタテイメントシティの進化: 渋谷ならではの文化・情報発信機能をさらに強化し、世界中から人々が集まる交流拠点へ。

これらの目的を達成するため、数々の象徴的なプロジェクトが実行されてきました。2012年の「渋谷ヒカリエ」開業を皮切りに、2017年には「渋谷キャスト」、2018年には渋谷川沿いに「渋谷ストリーム」「渋谷ブリッジ」が誕生。そして2019年には、駅直上にそびえる「渋谷スクランブルスクエア(東棟)」と、道玄坂に「渋谷フクラス」が開業し、渋谷のスカイラインと人の流れを劇的に変えました。

これらの再開発の大きな特徴は、単にオフィスビルを建設するだけでなく、商業施設、文化施設、ホテル、クリエイティブスペースなどを複合的に整備している点です。これにより、働く、遊ぶ、暮らす、学ぶといった多様な都市機能が高度に融合し、街全体に新たな魅力と活気を生み出しています。

そして、この進化の波はまだ続いています。2023年11月には、桜丘口地区で開発が進められていた「Shibuya Sakura Stage(渋谷サクラステージ)」が竣工しました。これはオフィス、商業施設、サービスアパートメント、住宅などからなる大規模複合施設で、特に国際医療施設や子育て支援施設を整備し、多様なワーカーや居住者のニーズに応える拠点として期待されています。

さらに、渋谷駅の改良工事も継続中です。かつては地上と地下にホームが分散し、乗り換えが複雑だったJR埼京線ホームが山手線ホームと並列化され、利便性が大幅に向上しました。今後は、バラバラだった駅の出入り口を整理し、駅と街をシームレスに繋ぐ「アーバン・コア」と呼ばれる立体的な動線が整備される計画です。これにより、谷底にある駅から丘の上の街へと、誰もがスムーズに移動できるようになります。

これらの再開発がもたらす将来的なメリットは計り知れません。
まず、オフィス供給量の増加と質の向上です。最新の設備と高いBCP(事業継続計画)性能を備えたハイグレードなオフィスが次々と誕生し、企業の選択肢はますます多様化しています。

次に、ビジネス環境のさらなる成熟です。歩行者デッキ「スカイウェイ」が整備されることで、駅周辺の主要なビルが雨に濡れずに移動できるようになり、ビジネスワーカーの利便性が向上します。また、国際的なカンファレンスに対応できるホールや、スタートアップを支援するインキュベーション施設も充実し、渋谷のビジネスエコシステムはさらに強固なものになるでしょう。

そして、防災都市としての安全性向上も見逃せません。災害時には約1万人規模の一時滞在施設や備蓄倉庫が機能し、企業の事業継続を支えます。

渋谷の再開発は、単なるビルの建て替えではなく、都市のOS(オペレーティングシステム)そのものをアップデートする壮大な試みです。この進化し続けるダイナミズムこそが、渋谷の未来への最大の投資であり、ここにオフィスを構える企業にとって、将来にわたる成長の基盤となるのです。今後も渋谷は、世界で最も刺激的で可能性に満ちたビジネスエリアとして、その価値を高め続けていくことは間違いありません。

【エリア別】渋谷オフィス街の特徴

渋谷と一言で言っても、その顔はエリアごとに大きく異なります。駅前の喧騒から少し離れるだけで、落ち着いた雰囲気が広がる場所もあれば、クリエイターが集まる個性的な通りもあります。自社のカルチャーや事業内容、そして予算に合った最適なオフィスを見つけるためには、各エリアの特性を深く理解することが不可欠です。ここでは、渋谷の主要なオフィス街を6つのエリアに分け、それぞれの特徴を詳しく解説します。

エリア名 特徴 主な企業の傾向 賃料相場の傾向
渋谷駅周辺エリア 大規模再開発の中心地。最新鋭のランドマークビルが林立。交通利便性は最高。 大手IT企業、グローバル企業、メガベンチャー 最も高い
桜丘町エリア 再開発で変貌。ITベンチャーの集積地。落ち着きと新しさが共存。 ITベンチャー、スタートアップ、クリエイティブ系 高い
道玄坂エリア 飲食店や商業施設が多く賑やか。中小規模のオフィスビルが中心。 IT系、エンタメ系、サービス業 中~高
神南・宇田川町エリア 公園通りやファイヤー通り周辺。アパレルやデザイン系が多く、おしゃれな雰囲気。 クリエイティブ系、アパレル、デザイン事務所 中~高
宮益坂エリア 青山方面に繋がる坂。比較的落ち着いた雰囲気。中小規模ビルが多く、穴場も。 スタートアップ、IT系、各種専門職 中程度
東・並木橋エリア 渋谷と恵比寿の中間。落ち着いた住環境も混在。隠れ家的なオフィスが多い。 デザイン事務所、クリエイティブスタジオ、IT系 中程度

渋谷駅周辺エリア

まさに「新しい渋谷」を象徴するエリアです。渋谷スクランブルスクエア、渋谷ヒカリエ、渋谷ストリームといった、再開発によって生まれた大規模なランドマークビルがこのエリアに集中しています。JRや地下鉄の各駅に直結しており、交通アクセスは言うまでもなく最高レベルです。

オフィスは最新鋭の設備を備えたハイグレードなものがほとんどで、大規模なフロア面積を確保できるため、大手IT企業やグローバル企業、急成長を遂げたメガベンチャーなどが本社を構えています。ビルの低層階には話題の商業施設やレストランが入り、ステータス性と利便性を両立させています。

一方で、賃料相場は渋谷の中でも最も高い水準にあります。企業の顔となるヘッドオフィスや、ブランドイメージを重視する企業にとって最適なエリアですが、相応のコストは覚悟する必要があります。このエリアにオフィスを構えること自体が、企業の成功と信頼性の証しとも言えるでしょう。

桜丘町エリア

JR山手線の西側に位置し、かつては中小のビルや住宅が混在する比較的落ち着いたエリアでしたが、2023年竣工の「渋谷サクラステージ」によって劇的に変貌を遂げました。この再開発により、最先端のオフィス、商業施設、住宅が一体となった新たな街が誕生し、渋谷の新たな玄関口として注目されています。

もともとこのエリアには、ITベンチャーやスタートアップが多く集積しており、「ビットバレー」のDNAを色濃く受け継いでいます。再開発後もその流れは加速しており、新しいオフィスビルには多くの成長企業が入居しています。渋谷駅周辺の喧騒から一歩離れた立地でありながら、歩行者デッキによって駅とのアクセスも改善され、落ち着いた環境と利便性を両立させたい企業に人気です。賃料相場は駅周辺に次いで高い水準ですが、今後の発展が最も期待されるエリアの一つです。

道玄坂エリア

渋谷の代名詞ともいえる「渋谷109」がある道玄坂は、飲食店やライブハウス、商業施設がひしめき合う、渋谷で最もエネルギッシュで賑やかなエリアです。このエリアのオフィスは、中小規模のビルが多く、雑多な雰囲気が魅力でもあります。

IT関連企業やエンターテインメント系の企業、アプリ開発会社などが多く集まっています。常に新しい刺激を求めるカルチャーを持つ企業や、BtoCサービスを展開する企業にとっては、市場のリアルな空気を肌で感じられる最適な環境と言えるかもしれません。賃料は、築年数や駅からの距離によって幅がありますが、新築の大規模ビルが少ない分、比較的柔軟な選択が可能です。ただし、繁華街の中心にあるため、夜間も賑やかで、静かな執務環境を求める場合には注意が必要です。

神南・宇田川町エリア

渋谷区役所や公園通り、ファイヤー通りを含むこのエリアは、道玄坂の喧騒とは対照的に、洗練されたおしゃれな雰囲気が漂います。代々木公園にも近く、緑豊かな環境も魅力の一つです。

歴史的にアパレルブランドの旗艦店やプレスルーム、デザイン事務所などが多く集まっており、クリエイティブ産業の拠点としての性格が強いエリアです。オフィスビルも、デザイン性の高い中小規模のものが中心となります。ファッション、広告、Webデザイン、出版といった、センスや感性が重要視される業種の企業に特におすすめです。街並みそのものがインスピレーションの源泉となり、クリエイティブな仕事に良い影響を与えるでしょう。

宮益坂エリア

渋谷駅から青山・表参道方面へと続く宮益坂周辺は、大通りから一本入ると、比較的落ち着いたオフィス街が広がっています。大規模なランドマークビルは少ないですが、手頃なサイズの中小規模ビルが豊富にあり、スタートアップやベンチャー企業にとって選択肢の多いエリアです。

青山通り(国道246号線)に近いため、交通の便も良好です。駅前の喧騒から少し距離を置きたいが、利便性は損ないたくないというニーズに応えてくれます。IT企業はもちろん、コンサルティングファームや士業など、様々な業種の企業が見られます。渋谷の中では比較的賃料が落ち着いている物件も見つけやすく、コストを意識しつつ渋谷に拠点を持ちたい企業にとっては狙い目のエリアと言えるでしょう。

東・並木橋エリア

渋谷駅の東側、恵比寿方面に広がるエリアで、明治通り沿いにはオフィスビルが立ち並びますが、少し入ると閑静な住宅街も混在しています。渋谷と恵比寿という二つの人気エリアのちょうど中間に位置するのが特徴です。

このエリアは、落ち着いた環境でクリエイティブな仕事に集中したい企業に人気があります。特に、デザイン事務所や設計事務所、映像制作会社、小規模なIT企業などが「隠れ家」的なオフィスを構えていることが多いです。渋谷駅からは少し歩きますが、その分賃料は抑えめになる傾向があります。また、おしゃれなカフェやレストランも点在しており、落ち着いた雰囲気の中で質の高いワークライフを送りたいと考える企業やワーカーに適したエリアです。

渋谷のランドマークとなる代表的なオフィスビル

渋谷スクランブルスクエア、渋谷ヒカリエ、渋谷ストリーム、渋谷サクラステージ、セルリアンタワー、渋谷マークシティ、渋谷フクラス、渋谷クロスタワー

渋谷の街を歩けば、その進化を象徴する数々の個性的なオフィスビルが目に飛び込んできます。これらのビルは単なるワークスペースではなく、街の新たな人の流れを生み出し、渋谷のブランドイメージを形成する重要な役割を担っています。ここでは、渋谷を代表するランドマーク的なオフィスビルを8つ取り上げ、それぞれの特徴を紹介します。

渋谷スクランブルスクエア

渋谷の新しいシンボルとも言える、地上47階建て、高さ約230mを誇る超高層複合施設です。渋谷駅に直結・直上という究極の立地を誇り、2019年に東棟が開業しました。オフィスフロアは高層部に位置し、圧倒的な眺望と最新の設備を備えています。特に、屋上に設けられた展望施設「SHIBUYA SKY(渋谷スカイ)」は、東京を一望できる観光名所としても絶大な人気を誇ります。グローバルに事業を展開する大手IT企業などが多数入居しており、名実ともに渋谷のトップグレードビルと言えます。

渋谷ヒカリエ

2012年に開業し、渋谷再開発の先駆けとなった複合施設です。地上34階建てで、オフィスフロアのほか、ミュージカル劇場「東急シアターオーブ」やイベントホール、商業施設「ShinQs(シンクス)」などを内包しています。「文化・情報発信拠点」というコンセプトの通り、クリエイティブ産業の集積地となっており、IT・ゲーム・エンタメ関連の有力企業が多く入居しています。駅直結の利便性に加え、文化的な刺激に満ちた環境が、創造性を求める企業を惹きつけています。

渋谷ストリーム

渋谷駅南側、渋谷川沿いに2018年に開業した地上35階建ての複合施設です。かつての東横線地上ホーム跡地を再開発したもので、川沿いに賑わいのある広場や遊歩道が整備されているのが特徴です。オフィスフロアには大手IT企業が入居し、低層階には個性的な飲食店が集まっています。また、ホールやホテルも併設されており、クリエイティブワーカーの多様な活動をサポートすることを目指しています。渋谷の新たな南の玄関口として、活気あるシーンを創出しています。

渋谷サクラステージ

2023年11月に桜丘町エリアに誕生した、渋谷で最も新しい大規模複合施設です。オフィスや商業施設に加え、住宅、サービスアパートメント、国際医療施設、起業支援施設など、多彩な機能を持つ2つのタワーから構成されています。「めぐり歩いて、楽しいまち」をコンセプトに、縦横に繋がる歩行者ネットワークや緑豊かな広場が整備され、街の回遊性を高めています。グローバルなビジネスワーカーや居住者の多様なライフスタイルに対応する、次世代の街づくりを体現したプロジェクトです。

セルリアンタワー

2001年に開業した、渋谷の超高層ビルの先駆け的存在です。地上41階建てのビルには、オフィスフロアのほか、高級ホテル「セルリアンタワー東急ホテル」や能楽堂、ジャズクラブなどが入居しています。国道246号線沿いの落ち着いた立地で、駅前の喧騒からは少し距離があります。開業から20年以上経過した今もなお、その品格とステータス性は健在で、大手企業や外資系企業に選ばれ続けています。渋谷の成熟したビジネスシーンを象徴するビルの一つです。

渋谷マークシティ

2000年に開業した、京王井の頭線渋谷駅に直結する複合施設です。オフィス、ホテル(渋谷エクセルホテル東急)、商業施設「渋谷マークシティ」が一体となっています。道玄坂上に位置し、JR渋谷駅方面とは連絡通路で結ばれており、雨の日でも濡れずに移動できる利便性が魅力です。IT黎明期から多くのベンチャー企業を輩出してきた歴史があり、現在も様々な業種の企業が入居しています。交通の要所としての利便性を重視する企業にとって、依然として魅力的な選択肢です。

渋谷フクラス

道玄坂一丁目の旧東急プラザ渋谷跡地に、2019年に開業した地上18階建ての複合施設です。高層階がオフィスフロア、中層階が商業施設「東急プラザ渋谷」、低層階には空港リムジンバスも発着するバスターミナルや観光支援施設を備えています。「大人をたのしめる渋谷へ」をコンセプトに、成熟した層をターゲットにしたテナント構成が特徴です。世界中の人々を迎え入れる渋谷の新たなゲートウェイとしての役割を担っています。

渋谷クロスタワー

1975年に竣工した、渋谷で最も歴史のある高層オフィスビルの一つです。地上32階建てのアイコニックな外観は、長年にわたり渋谷のスカイラインを形成してきました。かつては多くの大手企業が本社を構え、日本のIT産業の成長と共に歩んできた象徴的なビルでもあります。築年数は経過していますが、適切にリニューアルが施され、現在も多くの企業に利用されています。宮益坂上に位置し、渋谷のビジネス街の歴史を感じさせる存在です。

渋谷でオフィスの賃料を抑える3つの方法

駅から少し離れたエリアを検討する、築年数の条件を広げて探す、レンタルオフィスやサービスオフィスを利用する

渋谷の魅力は十分に理解していても、やはりネックになるのが高い賃料コストです。特に、スタートアップや中小企業にとっては、オフィス賃料が経営を圧迫する要因になりかねません。しかし、いくつかの工夫や視点の転換によって、渋谷という一等地でありながら、コストを抑えてオフィスを構えることは十分に可能です。ここでは、そのための具体的な3つの方法を紹介します。

① 駅から少し離れたエリアを検討する

オフィス賃料に最も大きく影響する要因の一つが「駅からの距離」です。一般的に、駅直結や徒歩1〜3分圏内の物件は最も賃料が高く、徒歩5分、10分と離れるにつれて、坪単価は緩やかに下がっていく傾向があります。

「渋谷にオフィスを構えたい」という希望は持ちつつも、「駅徒歩5分以内」という条件を「徒歩10分以内」に広げるだけで、選択肢の幅は大きく広がり、賃料も大幅に抑えられる可能性があります。例えば、渋谷駅周辺エリアや桜丘町エリアではなく、宮益坂エリアの奥や、東・並木橋エリア、神泉駅方面まで視野を広げてみましょう。これらのエリアは、渋谷の中心部からは少し歩きますが、その分賃料相場は落ち着いています。

駅から離れることのデメリット(例:顧客来訪時の案内が少し複雑になる、社員の通勤時間が数分増える)はもちろんありますが、それを上回るメリットも存在します。

  • コスト削減効果: 削減できた賃料分を、人材採用やマーケティング、研究開発など、事業成長に直結する分野へ投資できます。
  • 静かで落ち着いた環境: 駅前の喧騒から離れることで、社員が業務に集中しやすい静かな執務環境を確保できます。クリエイティブな思考や緻密な作業が求められる職種には、かえって好都合な場合もあります。
  • 隠れた優良物件: 駅から少し離れたエリアには、大規模開発の波に乗らなかった、個性的で魅力的な中小規模ビルが眠っていることがあります。

自社のビジネスモデルを鑑みて、来客の頻度がそれほど高くない場合や、社員の多くがリモートワークを併用している場合などは、駅からの距離という条件を柔軟に見直すことが、コスト削減の最も効果的な一手となり得ます。

② 築年数の条件を広げて探す

新築や築浅(築5年以内など)のビルは、最新の設備やデザイン、高い耐震性能を備えているため、当然ながら賃料は高めに設定されます。もしコストを抑えたいのであれば、「築年数」の条件を大胆に広げてみることをおすすめします。

具体的には、築20年、30年といった、いわゆる「築古」のビルも積極的に検討対象に含めてみましょう。一見すると古さが気になるかもしれませんが、多くのビルオーナーは競争力を維持するために、定期的な改修やリノベーションを行っています。

  • リノベーション物件: エントランスやトイレ、給湯室といった共用部が全面的にリニューアルされていたり、オフィス区画内がスケルトン状態からモダンな内装に一新されていたりする物件は数多く存在します。このような物件は、古い建物の躯体を活かしつつ、内装は新築同様の快適性を備えているため、コストパフォーマンスが非常に高い選択肢です。
  • 耐震性の確認: 築年数が古いビルを検討する際に最も重要なのが耐震性です。建築基準法が大きく改正された1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物は「新耐震基準」を満たしており、震度6強から7程度の地震でも倒壊しないレベルの耐震性が求められています。この基準を満たしているかどうかは、必ず確認しましょう。さらに耐震補強工事が実施されていれば、より安心です。

古いビルには、新築ビルにはない魅力もあります。天井高が高かったり、窓が大きくとられていたりと、現代の画一的なビルにはない個性的な空間が見つかることもあります。企業のオリジナリティを表現したい場合、あえてレトロな雰囲気のビルを選んで、内装を自由にデザインするというのも一つの戦略です。「新しさ」という固定観念を外すことで、予算内で理想的なオフィス空間を実現できる可能性が広がります

③ レンタルオフィスやサービスオフィスを利用する

数名から数十名規模の企業や、プロジェクト単位での短期的な拠点を探している場合、一般の賃貸オフィス契約ではなく、レンタルオフィスやサービスオフィスを利用するという選択肢が非常に有効です。

一般賃貸オフィスとの最大の違いは、契約形態と提供されるサービスにあります。

  • 初期費用の大幅な削減: 一般賃貸では、敷金(保証金)として賃料の6ヶ月〜12ヶ月分、さらに礼金、仲介手数料、内装工事費など、多額の初期費用が必要です。一方、レンタルオフィスは入会金と数ヶ月分の利用料で済む場合が多く、初期投資を劇的に抑えることができます
  • 柔軟な契約期間: 一般賃貸の契約期間は通常2年からで、中途解約には違約金が発生します。レンタルオフィスは月単位での契約が可能な場合も多く、事業の状況に合わせてオフィスの規模を柔軟に拡大・縮小できます。
  • オールインワンのサービス: 机や椅子、インターネット回線、複合機といったオフィス家具や設備があらかじめ備え付けられています。また、受付サービスや電話代行、会議室の利用などが料金に含まれていることも多く、入居後すぐに事業を開始できます

渋谷には、駅直結のランドマークビル内にも多くのレンタルオフィスが進出しています。これにより、本来であれば莫大なコストがかかるハイグレードビルの一等地の住所を、比較的リーズナブルな価格で利用できるという大きなメリットも生まれます。これは、企業の信頼性やブランドイメージを高める上で非常に効果的です。

もちろん、一人当たりのスペースが手狭になりがち、共用部でのプライバシーやセキュリティに配慮が必要といったデメリットもあります。しかし、コストを抑えつつ、スピーディーかつ柔軟に渋谷でのビジネスをスタートさせたい企業にとって、レンタルオフィスやサービスオフィスは、検討すべき非常に合理的な選択肢と言えるでしょう。

渋谷で人気のレンタルオフィス・サービスオフィス3選

コストを抑えつつ、一等地の住所と充実したサービスを手に入れたい企業にとって、レンタルオフィスやサービスオフィスは非常に魅力的な選択肢です。特に渋谷エリアには、世界的なブランドから日系の高品質なサービスまで、多種多様な選択肢が存在します。ここでは、その中でも特に知名度と人気が高い3つのサービスをピックアップし、それぞれの特徴を解説します。
※各サービスのプランや料金は変動する可能性があるため、詳細は必ず公式サイトでご確認ください。

① リージャス 渋谷マークシティ

リージャス(Regus)は、世界120カ国以上、4,000以上の拠点を展開する、世界最大手のフレキシブルオフィスプロバイダーです。その圧倒的なネットワークとブランド力は、グローバルに事業を展開する企業や、国内外への出張が多いビジネスパーソンにとって大きな魅力となります。

そのリージャスが渋谷マークシティ内に構えるのが「リージャス 渋谷マークシティ」です。最大の強みは、何と言っても京王井の頭線渋谷駅に直結し、JR渋谷駅とも連絡通路で繋がる抜群のロケーションです。雨の日でも濡れることなくアクセスでき、交通の利便性は申し分ありません。

提供されるサービスは多岐にわたります。

  • プライベートオフィス: 1名用から数十名用まで、完全に独立した施錠可能な個室オフィス。
  • コワーキングスペース: オープンな空間で他の利用者とスペースを共有するプラン。コストを抑えたいフリーランスやスタートアップに最適。
  • バーチャルオフィス: 物理的なスペースは借りずに、渋谷マークシティの一等地の住所や電話番号を利用できるプラン。法人登記も可能です。
  • 会議室: 時間単位で利用できるミーティングスペース。

リージャスの会員になることで、世界中のリージャスセンターのビジネスラウンジを利用できる点も大きなメリットです。世界中を飛び回るビジネスワーカーにとって、「どこにいても自分のオフィスがある」という安心感を提供してくれます。信頼性の高いインフラと世界標準のサービスを求める企業に最適な選択肢です。
(参照:リージャス公式サイト)

② サーブコープ 渋谷ヒカリエ

サーブコープ(Servcorp)は、オーストラリア発祥のプレミアムなサービスオフィス・バーチャルオフィスプロバイダーです。特に、質の高い秘書サービスと充実したITインフラに定評があり、「5つ星ホテル級のサービス」を標榜しています。

「サーブコープ 渋谷ヒカリエ」は、その名の通り、渋谷のランドマークである渋谷ヒカリエの11階に位置します。このステータス性の高い住所を利用できること自体が、企業のブランディングに大きく貢献します。

サーブコープが他社と一線を画すのは、そのサービス品質へのこだわりです。

  • バイリンガル秘書サービス: 高度なトレーニングを受けた受付スタッフや秘書が常駐し、来客応対や電話応対、翻訳、資料作成といった業務をプロフェッショナルにサポートします。外資系企業や海外との取引が多い企業には特に心強いサービスです。
  • 最先端のITインフラ: 高速で安定したインターネット環境はもちろん、独自のVoIP電話システムにより、どこにいても会社の電話番号で受発信が可能です。ITサポートチームも常駐しており、万が一のトラブルにも迅速に対応します。
  • グローバルネットワーク: 世界中のサーブコープ拠点のコワーキングスペースを無料で利用でき、出張時のワークスペースとしても活用できます。

料金体系はリージャスなどの他のサービスに比べてやや高めに設定されていますが、その分、クオリティの高いサービスと最高のビジネス環境を求める企業、例えば士業、コンサルティングファーム、金融関連企業など、信頼性が事業の根幹をなす業種から絶大な支持を得ています。
(参照:サーブコープ公式サイト)

③ ビジネスエアポート渋谷南平台

ビジネスエアポートは、大手不動産デベロッパーである東急不動産が運営する、日本のシェアオフィスブランドです。そのコンセプトは「空港ラウンジのような、上質で快適な空間」。海外のサービスオフィスとは一味違う、日本ならではのきめ細やかなおもてなしと、洗練されたデザインが特徴です。

「ビジネスエアポート渋谷南平台」は、渋谷駅からは少し歩いた、閑静な高級住宅街として知られる南平台町に位置します。駅前の喧騒から離れた落ち着いた環境で、集中して業務に取り組みたいクリエイターやワーカーに人気の拠点です。

この拠点の魅力は、その上質な空間設計とコミュニティ機能にあります。

  • デザイン性の高い空間: 有名デザイナーが手掛けたインテリアは、まさに高級ラウンジそのもの。利用者がリラックスし、かつ創造性を発揮できるような工夫が随所に凝らされています。
  • 多様なワークスペース: 集中したい時のための個室ブース「ソロ」、オープンな「ラウンジ」、複数人で利用できる「サービスオフィス」など、気分や用途に合わせて働く場所を選べます。
  • コミュニティ形成の支援: 会員同士の交流を促すイベントが定期的に開催されたり、常駐するコンシェルジュがビジネスマッチングをサポートしてくれたりします。新たな協業やイノベーションが生まれるきっかけを提供しています。

東急不動産が運営しているという安心感も大きなポイントです。日本のビジネス文化を理解した上で設計されたサービスと空間は、特に国内企業やフリーランスにとって、非常に心地よく使いやすいものとなっています。質の高い環境で、他のワーカーとの繋がりも大切にしたいと考える方に最適なサービスです。
(参照:ビジネスエアポート公式サイト)

まとめ

本記事では、進化を続けるビジネスハブ・渋谷のオフィス市場について、賃料相場からエリア別の特徴、コスト削減のノウハウまで、多角的に詳しく解説してきました。

渋谷は、坪単価25,000円から35,000円が相場となる都内屈指の人気エリアですが、その価格には確かな理由があります。IT企業が集積する強力なビジネスエコシステム、9路線が乗り入れる圧倒的な交通利便性、そして新しい文化やトレンドを生み出し続けるクリエイティブな土壌。これらが融合し、他のビジネス街にはない独自の価値を生み出しているのです。

さらに、「100年に1度」の大規模再開発を経て、渋谷は国際競争力と防災機能を備えた未来志向の都市へと生まれ変わりました。この進化は今も続いており、渋谷にオフィスを構えることは、企業の将来的な成長への投資とも言えるでしょう。

オフィス選びにおいては、まず自社の事業フェーズ、企業カルチャー、そして予算を明確にすることが重要です。

  • 企業の顔となる拠点を求める大手企業は、駅周辺のランドマークビルが最適でしょう。
  • 成長中のITベンチャーやスタートアップは、新たなビジネスチャンスが生まれる桜丘町や、コストと利便性のバランスが良い宮益坂エリアが適しています。
  • クリエイティビティを重視する企業なら、神南・宇田川町エリアや東・並木橋エリアの落ち着いた環境がインスピレーションを与えてくれるはずです。

そして、コストが課題となる場合でも、駅から少し離れたエリアを検討したり、築年数の条件を広げたり、あるいはレンタルオフィスやサービスオフィスを活用したりすることで、渋谷に拠点を構える道は開けます。特に、初期費用を抑え、柔軟な契約が可能なレンタルオフィスは、多くの企業にとって現実的で賢い選択肢となり得ます。

渋谷は、多様な選択肢を提供してくれる懐の深い街です。この記事で得た知識を基に、ぜひ自社のビジョンを実現するための最適なオフィスを見つけてください。自社のアイデンティティに合致したエリアとオフィス形態を選択することこそが、この刺激的な街でビジネスを成功させるための重要な鍵となります。