窓の交換リフォーム費用はいくら?内窓設置の相場や補助金を解説

窓の交換リフォーム費用はいくら?、内窓設置の相場や補助金を解説

「冬は窓際がひんやりして寒い」「窓の結露がひどくてカビが心配」「外の騒音が気になって落ち着かない」「電気代やガス代が高騰していて光熱費をなんとか節約したい」

住宅に関するこのようなお悩みの多くは、実は「窓」が原因かもしれません。住宅の中で最も熱の出入りが激しい場所は窓であり、窓の性能を向上させることは、快適で経済的な暮らしを実現するための非常に効果的な手段です。

窓のリフォームと一言でいっても、内窓を設置する手軽なものから、窓全体を交換する大掛かりなものまで、さまざまな方法があります。当然、その内容によって費用も大きく変わってきます。

「うちの窓をリフォームする場合、費用はいくらくらいかかるんだろう?」
「どんなリフォーム方法があって、それぞれどんなメリット・デメリットがあるの?」
「費用を少しでも安く抑える方法はないの?」
「補助金が使えるって聞いたけど、どんな制度があるの?」

この記事では、そんな窓リフォームに関するあらゆる疑問にお答えします。リフォーム内容別の費用相場から、工事方法の違い、場所別の価格帯、費用の内訳、そして国や自治体が実施しているお得な補助金制度まで、網羅的に詳しく解説します。

この記事を最後まで読めば、あなたの家に最適な窓リフォームの方法と、その適正な費用感が明確に理解できるはずです。後悔しない窓リフォームを実現するために、ぜひ参考にしてください。

【リフォーム内容別】窓の交換・リフォーム費用相場

窓のリフォームは、目的や予算に応じていくつかの方法から選ぶことができます。ここでは、代表的な4つのリフォーム内容別に、それぞれの費用相場と特徴を解説します。どの方法がご自身の状況に合っているか、比較検討してみましょう。

リフォーム内容 費用相場(1箇所あたり) 工期の目安 特徴
窓全体の交換 10万円~50万円 0.5日~数日 断熱性・気密性・デザイン性を根本から改善できるが、費用は高め。
内窓(二重窓)の設置 5万円~15万円 1~2時間 既存の窓はそのままに、内側にもう一つ窓を追加。断熱・防音効果が高く、比較的安価で工期も短い。
窓ガラスのみの交換 3万円~10万円 1~2時間 既存のサッシを活かし、ガラスだけを高性能なものに交換。手軽に断熱性能をアップできる。
サッシのみの交換 5万円~20万円 2~3時間 既存のガラスを活かし、サッシだけを交換。サッシの劣化が激しい場合に選択される。

窓全体の交換

窓全体の交換は、既存の窓をサッシ(窓枠)ごと新しいものに取り替えるリフォームです。現在の窓の性能に根本的な不満がある場合や、デザインを一新したい場合に最適な方法と言えます。

費用相場は、1箇所あたり約10万円~50万円と幅広く、窓のサイズやグレード、工事方法(後述するカバー工法・はつり工法)によって大きく変動します。例えば、一般的な腰高窓(幅170cm×高さ110cm程度)をカバー工法で交換する場合、15万円~25万円程度が目安です。リビングにあるような大きな掃き出し窓になると、20万円~40万円以上かかることもあります。

最大のメリットは、断熱性、気密性、防音性、防犯性、デザイン性といった窓のあらゆる性能を飛躍的に向上させられる点です。最新の高性能な窓(例:樹脂サッシ+トリプルガラス)を選べば、まるで別の家のように快適な室内環境を実現できます。また、窓のデザインや開閉方式(引き違い窓から滑り出し窓へ変更など)を自由に変えられるのも魅力です。

一方で、他のリフォーム方法に比べて費用が高額になる点がデメリットです。また、工事方法によっては壁を壊す必要があり、工期が長くなったり、騒音や粉塵が発生したりする場合があります。しかし、その分得られる効果は絶大であり、住宅の資産価値向上にもつながるリフォームです。

内窓(二重窓)の設置

内窓(二重窓)の設置は、今ある窓の内側にもう一つ新しい窓を取り付けるリフォームです。既存の窓はそのまま残すため、比較的簡単な工事で済み、費用も抑えられることから、近年非常に人気が高まっています。

費用相場は、1箇所あたり約5万円~15万円が目安です。腰高窓なら5万円~10万円、大きな掃き出し窓でも10万円~20万円程度で設置可能なケースが多く、コストパフォーマンスに優れています。工期も非常に短く、1箇所あたり1時間~2時間程度で完了するため、日常生活への影響が少ないのも大きなメリットです。

内窓を設置する最大の効果は、断熱性と防音性の劇的な向上です。既存の窓と新しい内窓の間に生まれる空気層が、熱の伝わりや音の侵入を強力にブロックします。これにより、冬は暖かく、夏は涼しい室内環境を保ちやすくなり、光熱費の削減に直結します。また、外の交通音や近隣の生活音が気になる場合にも、驚くほどの静けさを実感できるでしょう。

さらに、結露の発生を大幅に抑制できる効果もあります。内窓の設置は、国の省エネリフォーム補助金制度の対象となることが多く、これを活用すればさらに費用を抑えることが可能です。

デメリットとしては、窓が二重になるため、開閉の手間が2回になる点が挙げられます。また、窓枠の奥行きが多少必要になるため、カーテンレールやブラインドの取り付け位置に工夫が必要になる場合があります。

窓ガラスのみの交換

窓ガラスのみの交換は、既存のサッシはそのまま利用し、ガラス部分だけを高性能なものに入れ替えるリフォームです。サッシの状態は良好だが、ガラスの断熱性能を上げたい、またはガラスが割れてしまったという場合に適しています。

費用相場は、1箇所あたり約3万円~10万円です。交換するガラスの種類(ペアガラス、Low-Eペアガラス、真空ガラスなど)やサイズによって価格は変動します。例えば、一般的な単板ガラスから、標準的なペアガラス(複層ガラス)に交換する場合、腰高窓で3万円~6万円程度が目安です。

この方法のメリットは、比較的安価かつ短時間(1箇所あたり1~2時間)で、窓の断熱性能をピンポイントで向上させられる点です。特に、熱伝導率の高いアルミサッシに、断熱効果の高いLow-Eペアガラスを組み合わせるだけでも、結露の軽減や冷暖房効率の改善が期待できます。

ただし、注意点もあります。サッシ自体の性能は変わらないため、サッシ部分からの熱の出入りや隙間風が残る可能性があります。特に古いアルミサッシの場合、ガラスだけを高性能にしても、サッシのフレーム部分で結露が発生してしまうことも考えられます。リフォーム効果を最大限に引き出すには、サッシの状態も考慮して、内窓設置や窓全体の交換と比較検討することが重要です。

サッシのみの交換

サッシのみの交換は、既存の窓ガラスは再利用し、サッシ(窓枠)だけを新しいものに取り替えるリフォームです。これは、ガラスに問題はないものの、サッシの歪みや破損によって開閉がスムーズにできない、隙間風がひどい、といった場合に選択されることがあります。

費用相場は、1箇所あたり約5万円~20万円です。サッシの素材(アルミ、樹脂、複合)やサイズによって価格が変わります。

メリットは、サッシの機能的な問題を解決できる点です。例えば、古いアルミサッシから断熱性の高い樹脂サッシに交換すれば、サッシ部分からの熱損失を減らし、結露の発生を抑える効果が期待できます。

しかし、この方法はあまり一般的ではありません。その理由として、多くのケースでサッシが劣化している場合はガラスも同様に性能が低いことが多く、両方を交換した方が費用対効果が高いからです。また、既存のガラスと新しいサッシの寸法を正確に合わせる必要があり、施工の難易度が高い点も挙げられます。そのため、多くの場合は窓全体の交換(カバー工法)が推奨される傾向にあります。

【工事方法別】窓の交換リフォーム費用と特徴

窓全体を交換する場合、その工事方法には大きく分けて「カバー工法」と「はつり工法」の2種類があります。どちらを選ぶかによって、費用、工期、仕上がりが大きく異なります。それぞれの特徴を理解し、ご自宅の状況や希望に合った方法を選びましょう。

工事方法 費用相場(1箇所あたり) 工期の目安 メリット デメリット
カバー工法 10万円~30万円 0.5日~1日 ・工期が短い
・費用が安い
・騒音や粉塵が少ない
・外壁や内装を傷めない
・窓のサイズが少し小さくなる
・デザインの自由度は低い
はつり工法 20万円~50万円以上 2日~1週間程度 ・窓のサイズや種類を自由に変更できる
・開口部を最大限に活かせる
・住宅の根本的な問題を解決できる
・工期が長い
・費用が高い
・騒音や粉塵が多い
・外壁や内装の補修が必要

カバー工法

カバー工法は、既存の窓枠を残したまま、その上から新しい窓枠を「カバー」するように取り付ける工法です。壁や柱を壊す必要がないため、現在の窓リフォームにおける主流となっています。

費用相場は、1箇所あたり約10万円~30万円が目安です。はつり工法に比べて、壁の解体や補修、廃材処分などの費用がかからないため、コストを大幅に抑えることができます。

最大のメリットは、工期が非常に短いことです。1箇所あたり、早ければ2~3時間、長くても半日~1日で工事が完了します。大掛かりな工事ではないため、騒音や粉塵の発生も最小限に抑えられ、近隣への配慮が必要な場合や、在宅しながらのリフォームでも安心して行えます。外壁や内装を傷つけることがないため、リフォームに伴う追加の補修費用が発生しないのも大きな利点です。

一方で、デメリットも存在します。それは、既存の窓枠の内側に新しい枠を設置するため、窓の開口部が縦横それぞれ数センチ程度小さくなる点です。ほとんどの場合は気にならないレベルですが、元々小さな窓や、採光を少しでも多く取り入れたい場所では、圧迫感を感じる可能性もゼロではありません。また、既存の窓枠をベースにするため、窓の種類やサイズを全く新しいものに自由に変更することは難しいです。

【よくある質問】
Q. カバー工法で窓はどれくらい小さくなりますか?
A. 製品や元の窓の状況にもよりますが、一般的には上下左右それぞれ2~3cm程度、合計で4~6cmほど小さくなります。リフォーム業者に依頼すれば、施工後の窓サイズがどれくらいになるか、事前にシミュレーションしてもらうことも可能です。

はつり工法(壁を壊す方法)

はつり工法は、既存の窓をサッシごと壁から完全に取り外し、壁を一部解体(はつる)して、新しい窓を設置する工法です。従来から行われてきた方法で、大規模なリフォームや新築時と同じような施工になります。

費用相場は、1箇所あたり約20万円~50万円以上と、カバー工法に比べて高額になります。窓本体の価格に加え、壁の解体費用、大工工事費、内装(クロス)や外壁の補修費用、そしてそれらに伴う人件費や廃材処分費が必要になるためです。

この工法の最大のメリットは、デザインやサイズの自由度が非常に高いことです。例えば、「小さな窓を大きな掃き出し窓に変更する」「窓のなかった壁に新しく窓を設置する」といった、間取りの変更を伴うようなリフォームも可能です。開口部のサイズを最大限に活かせるため、採光や眺望を重視する場合には最適な方法です。また、壁の内部まで確認できるため、雨漏りの原因調査や柱の補修など、住宅の構造的な問題を根本から解決することもできます。

デメリットは、やはり費用と工期です。工事は壁の解体から始まるため、騒音や粉塵が大きく発生し、工期も最低でも2日、規模によっては1週間以上かかることもあります。工事期間中は窓に養生がされるため、その部屋の使用が制限されるなど、生活への影響も大きくなります。外壁や内装の補修が必須となるため、リフォーム箇所が窓周辺だけでなく、広範囲に及ぶことも考慮しておく必要があります。

【場所別】窓の交換リフォーム費用相場

住宅にはリビングの大きな窓からトイレの小さな窓まで、さまざまな場所に窓が設置されています。場所やサイズによってリフォーム費用は大きく変わるため、ここでは場所別の費用相場を解説します。

※費用は、内窓設置とカバー工法による窓交換の2パターンで記載します。

場所 窓の種類 内窓設置の費用相場 カバー工法の費用相場 特徴・注意点
リビング 掃き出し窓 10万円~20万円 20万円~40万円 サイズが大きく費用は高め。断熱・防音効果を最も実感しやすい。
寝室・子供部屋 腰高窓 5万円~10万円 15万円~25万円 断熱性や防音性を高め、快適な睡眠環境を確保することが重要。
浴室・お風呂 小窓・中窓 5万円~12万円 10万円~20万円 湿気対策が必須。カビに強い樹脂サッシや、プライバシーを守る型板ガラスがおすすめ。
トイレ 小窓 4万円~8万円 8万円~15万円 防犯対策として面格子付きや、換気機能のある窓が選択肢になる。
天窓・出窓 特殊窓 20万円~60万円以上 施工が複雑で高所作業も多いため高額に。足場代が別途かかる場合がある。

リビング(掃き出し窓)

リビングにある床まで続く大きな「掃き出し窓」は、住宅の中で最もサイズが大きく、リフォーム費用も高額になる傾向があります。
内窓を設置する場合の費用相場は10万円~20万円、カバー工法で窓全体を交換する場合は20万円~40万円程度が目安です。

リビングは家族が最も長く過ごす空間であり、この窓の性能を上げることは住まい全体の快適性を左右します。大きな窓は熱の出入りも大きいため、断熱リフォームの効果を最も実感しやすい場所でもあります。高性能な窓に交換することで、冬の冷え込みや夏の厳しい日差しを大幅に和らげ、エアコンの効きが格段に良くなります。開放感を損なわないよう、カバー工法の場合はどれくらい開口部が狭くなるか、事前に確認しておくと良いでしょう。

腰高窓

寝室や子供部屋、書斎などによく見られる、大人の腰くらいの高さにある「腰高窓」は、最も標準的なサイズの窓です。
内窓設置の費用相場は5万円~10万円、カバー工法での交換は15万円~25万円程度が目安となります。

寝室であれば、断熱性を高めて冬の朝の冷え込みを防いだり、防音性を高めて外の音を気にせず安眠できる環境を整えたりすることが重要です。子供部屋では、結露を防いでカビの発生を抑え、健康的な環境を保つことが大切です。また、子供の転落防止のために、ストッパー付きの窓や開口制限ができるタイプの窓を選ぶといった配慮も考えられます。

浴室・お風呂の窓

浴室の窓は、湿気とプライバシーへの配慮が特に重要です。サイズは比較的小さいことが多いですが、特殊な環境のため、適切な製品選びが求められます。
内窓設置の費用相場は5万円~12万円、カバー工法での交換は10万円~20万円程度です。

浴室リフォームでは、湿気や水に強く、カビが発生しにくい樹脂製のサッシを選ぶのが一般的です。アルミサッシは腐食しやすいため避けた方が無難です。また、外からの視線を遮るために「型板ガラス」や「すりガラス」が標準的に使われます。断熱性能の高い窓に交換することで、冬場のヒートショック対策にも繋がり、安全で快適なバスタイムを実現できます。

トイレの窓

トイレの窓は、採光や換気のために設置される小さな窓がほとんどです。
内窓設置の費用相場は4万円~8万円、カバー工法での交換は8万円~15万円程度と、比較的手頃な価格でリフォーム可能です。

小さい窓であっても、断熱性能を上げることでトイレ内の温度環境を改善できます。また、トイレは死角になりやすいため、防犯対策も重要です。面格子を取り付けたり、割れにくい防犯ガラスを選んだりすることで、セキュリティを高めることができます。換気扇がないトイレの場合は、換気機能が付いた滑り出し窓などに交換するのも良い選択です。

天窓・出窓

屋根に設置される「天窓(トップライト)」や、壁から突き出た形の「出窓」は、特殊な形状と施工場所のため、リフォーム費用が高額になります。
窓の交換費用は20万円~60万円以上が目安となり、製品代に加えて専門的な技術を持った職人の手間賃がかかります。内窓の設置は形状的に難しい場合がほとんどです。

天窓は高所作業となるため、多くの場合で足場の設置が必要となり、その費用(15万円~30万円程度)が別途発生します。また、雨漏りのリスクが常に伴う場所であるため、防水処理を含めた確実な施工が不可欠です。
出窓は、複数の窓や天板、カウンターなどで構成されており、構造が複雑です。どこまでリフォームするかによって費用は大きく変動します。断熱性能が低い古い出窓は、結露の温床になりやすいため、断熱性の高い製品への交換がおすすめです。これらの特殊な窓のリフォームは、豊富な経験と実績を持つ専門業者に依頼することが絶対条件です。

窓リフォームにかかる費用の内訳

商品代(窓本体・ガラス・サッシ)、工事費、諸経費(廃材処分費など)

リフォーム業者から提示される見積書。その内容を正しく理解することは、適正価格で工事を依頼し、後々のトラブルを防ぐために非常に重要です。窓リフォームの費用は、主に「商品代」「工事費」「諸経費」の3つで構成されています。それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

商品代(窓本体・ガラス・サッシ)

商品代は、リフォーム費用の総額のうち、最も大きな割合を占める項目です。具体的には、新しい窓のガラス、サッシ(窓枠)、クレセント(鍵)などの部品代が含まれます。この商品代は、選ぶ製品のグレードによって大きく変動します。

  • ガラスの種類
    ガラスの性能は、窓の断熱性や快適性を決定づける重要な要素です。

    • 単板ガラス(1枚ガラス): 最も安価ですが、断熱性が低く、現在の新築住宅ではほとんど使用されません。
    • ペアガラス(複層ガラス): 2枚のガラスの間に空気層を設けたもの。単板ガラスに比べて断熱性が高く、結露防止効果もあります。現在の標準的なガラスです。
    • Low-E(ロウイー)ペアガラス: ペアガラスのガラス表面に特殊な金属膜(Low-E膜)をコーティングしたもの。夏の強い日差し(赤外線)を反射し、冬は室内の暖かさを外に逃がしにくくする高断熱・遮熱ガラスです。
    • トリプルガラス(3層ガラス): 3枚のガラスで2つの空気層を作ったもの。非常に高い断熱性能を誇りますが、その分価格も高くなり、重量も増します。
    • 真空ガラス: 2枚のガラスの間を真空状態にしたもの。空気層よりも薄く、高い断熱性能を発揮します。既存のサッシにそのまま取り付けられる場合もあります。
  • サッシ(窓枠)の素材
    サッシの素材も、断熱性や価格に大きく影響します。

    • アルミサッシ: 安価で耐久性が高いですが、熱伝導率が高く、断熱性能が低いのが欠点。結露が発生しやすいです。
    • 樹脂サッシ: 塩化ビニル樹脂製で、熱伝導率がアルミの約1/1000と非常に低く、断熱性能・気密性に最も優れています。結露にも非常に強いです。
    • 複合サッシ(アルミ樹脂複合サッシ): 室外側に耐久性の高いアルミ、室内側に断熱性の高い樹脂を使用したハイブリッドタイプ。両者の良い点を兼ね備え、近年人気が高まっています。
    • 木製サッシ: デザイン性が高く、断熱性にも優れていますが、価格が高く、定期的なメンテナンスが必要です。

見積書では、これらの商品名や型番が具体的に記載されているかを確認しましょう。「窓一式」といった曖昧な表記の場合は、どのようなグレードの製品が使われるのか、詳細な内訳を必ず質問することが大切です。

工事費

工事費は、職人が実際に作業を行うための費用、つまり人件費です。これには、既存の窓の取り外し(撤去)、新しい窓の取り付け、防水処理、建付け調整などの作業が含まれます。

工事費は、以下の要素によって変動します。

  • 工事方法: 前述の通り、壁を壊さない「カバー工法」に比べて、壁の解体と補修が必要な「はつり工法」は、作業工程が多いため工事費が高くなります。
  • 窓のサイズと重量: 大きく重い窓ほど、搬入や設置に手間がかかるため、工事費が上がります。
  • 設置場所: 2階以上の窓や天窓など、足場が必要な高所での作業は、危険手当や足場設置費用が加算され、工事費が高くなります。
  • 職人の人数: 1人で作業できるか、2人以上必要かによっても人件費は変わります。

見積書には「取付工事費」「施工費」といった項目で記載されます。どのような作業が含まれているのか、不明な点があれば確認しましょう。

諸経費(廃材処分費など)

諸経費は、工事を円滑に進めるために必要な、商品代と工事費以外のさまざまな費用を指します。主なものには以下のような項目があります。

  • 廃材処分費: 取り外した古い窓ガラスやサッシ、はつり工法の場合は壁の解体で出たコンクリート片などを、法律に従って適切に処分するための費用です。
  • 運搬費(輸送費): 新しい窓を工場や倉庫から現場まで運ぶための費用です。
  • 養生費: 工事中に床や壁、家具などが傷ついたり汚れたりしないように、シートやテープで保護(養生)するための費用です。
  • 現場管理費: 工事全体の進捗管理や安全管理、事務手続きなどにかかる費用です。会社の利益もここに含まれることが多いです。
  • 駐車場代: 現場に駐車場がない場合に、近隣のコインパーキングなどを利用するための費用です。

これらの費用は、見積書では「諸経費一式」としてまとめられていることがよくあります。一式計上自体は問題ありませんが、あまりに高額な場合は、どのような費用が含まれているのか内訳を尋ねてみても良いでしょう。誠実な業者であれば、丁寧に説明してくれます。

窓をリフォームするメリット

断熱性・気密性が向上し光熱費を削減できる、結露の発生を抑えられる、防音・遮音効果が高まる、防犯性能が向上する、住宅の見た目がきれいになる

窓リフォームにはまとまった費用がかかりますが、それ以上に多くのメリットを暮らしにもたらしてくれます。ここでは、窓をリフォームすることで得られる具体的な5つのメリットを詳しく解説します。

断熱性・気密性が向上し光熱費を削減できる

窓リフォームにおける最大のメリットは、住宅の断熱性と気密性が向上し、光熱費を大幅に削減できることです。

住宅全体の熱の出入りを調べたデータによると、冬の暖房時に室内の暖かい熱が外に逃げる割合は、窓やドアなどの開口部からが約58%と、最も大きいことがわかっています。(参照:一般社団法人 日本建材・住宅設備産業協会)
同様に、夏の冷房時には、外の熱気の約73%が窓から侵入してきます。つまり、いくら高性能なエアコンを使っても、窓の性能が低いと、熱がどんどん逃げたり入ってきたりして、効率が非常に悪い状態になってしまうのです。

窓を断熱性の高いペアガラスや樹脂サッシにリフォームすることで、この熱の出入りを効果的にブロックできます。その結果、「夏は涼しく、冬は暖かい」快適な室内環境が実現します。冷暖房の効きが格段に良くなるため、エアコンの設定温度を控えめにでき、稼働時間も短縮できます。これが、月々の電気代やガス代の節約に直結するのです。

特に内窓の設置やカバー工法による窓交換は、省エネ効果が高く、長期的に見ればリフォーム費用を光熱費の削減分で回収できる可能性も十分にあります。

結露の発生を抑えられる

冬の朝、窓ガラスがびっしょりと濡れている「結露」。見た目が不快なだけでなく、放置するとカーテンや壁紙にカビを発生させたり、窓枠や床を腐食させたりする原因となり、健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。

結露は、屋外の冷たい空気で冷やされた窓ガラスに、室内の暖かく湿った空気が触れることで発生します。つまり、窓の断熱性が低いほど発生しやすくなります。

窓リフォームによって、断熱性の高いペアガラスや樹脂サッシを導入すると、外の冷気が室内のガラス面に伝わりにくくなります。これにより、ガラスの表面温度が下がりにくくなり、結露の発生を劇的に抑制できます。特に、既存の窓との間に空気層を作る内窓の設置は、結露対策として非常に高い効果を発揮します

毎朝の面倒な拭き掃除から解放されるだけでなく、カビやダニの発生を防ぎ、アレルギー対策にもつながるため、小さなお子様や高齢者がいるご家庭にとっては特に大きなメリットと言えるでしょう。

防音・遮音効果が高まる

「家の前を通る車の音がうるさい」「近所の子供の声や工事の音が気になる」といった騒音の悩みも、窓リフォームで解決できる場合があります。

音は空気の振動によって伝わりますが、その侵入経路の多くも窓です。気密性の低い古い窓は、隙間から音が漏れ入りやすくなっています。また、薄い単板ガラスは音の振動をそのまま伝えてしまいます。

内窓を設置して二重窓にすると、既存の窓と内窓の間の空気層がクッションの役割を果たし、音の伝わりを大幅に減衰させます。これにより、外部からの騒音が軽減され、室内が静かな空間になります。道路沿いや線路沿いの住宅、繁華街に近い住宅などでは、特にその効果を実感できるでしょう。

また、ガラスを特殊な防音合わせガラスに交換することでも、特定の周波数の音を効果的に遮断できます。静かな環境は、リラックスして過ごす時間や、集中して仕事や勉強に取り組む時間を確保するために不可欠です。

防犯性能が向上する

警察庁の統計によると、住宅への侵入窃盗(空き巣)の侵入経路として最も多いのが「窓」です。(参照:警察庁 住まいる防犯110番)
特に、クレセント(鍵)周りのガラスを割って手を入れて鍵を開ける「ガラス破り」という手口が多発しています。

窓リフォームは、こうした侵入犯罪に対する防犯性能を高める上でも非常に有効です。

  • 防犯合わせガラス: 2枚のガラスの間に強靭な特殊フィルムを挟んだガラスです。衝撃を受けてもヒビが入るだけで貫通しにくいため、ガラス破りに非常に時間がかかり、侵入を諦めさせる効果が高いです。
  • 内窓(二重窓): 窓が二重になっていることで、単純に侵入に倍の手間と時間がかかるため、空き巣に狙われにくくなります。
  • 補助錠や面格子: 既存の窓に後付けすることも可能ですが、リフォームの際に一体型の製品を選ぶことで、よりスマートで強固な防犯対策ができます。

大切な家族と財産を守るためにも、窓の防犯性能向上は重要なメリットです。

住宅の見た目がきれいになる

長年使ってきた窓は、傷や汚れ、日焼けによる変色などで、どうしても古びた印象を与えてしまいます。窓は「住宅の顔」とも言われる部分であり、その見た目は家全体のイメージを大きく左右します。

窓を新しくリフォームすることで、外観も内観も一新され、まるで新築のような美しい見た目を取り戻すことができます。サッシの色やデザインを、外壁や内装の雰囲気に合わせて選ぶことで、住まい全体のデザイン性を高めることも可能です。

例えば、無機質なアルミサッシから、温かみのある木目調の樹脂サッシに変えるだけで、部屋の雰囲気はがらりと変わります。窓がきれいになると、気分も明るくなり、住まいへの愛着も一層深まるでしょう。これは、性能向上だけでなく、暮らしの質を高める心理的なメリットと言えます。

窓をリフォームするデメリット

多くのメリットがある窓リフォームですが、もちろんデメリットや注意すべき点も存在します。契約前にこれらを理解しておくことで、後悔のないリフォーム計画を立てることができます。

リフォーム費用がかかる

最も大きなデメリットは、当然ながらリフォームに費用がかかることです。これまで見てきたように、窓リフォームは決して安い買い物ではありません。1箇所あたり数万円から、家全体の窓をリフォームするとなると100万円以上の費用がかかることもあります。

この初期投資をどう捉えるかが重要です。窓リフォームは単なる修繕ではなく、「未来の光熱費を削減するための投資」「快適で健康的な暮らしを実現するための投資」「住宅の資産価値を高めるための投資」という側面を持っています。

後述する補助金制度を賢く活用したり、複数の業者から見積もりを取って適正価格で契約したりすることで、負担を軽減することは可能です。目先の費用だけでなく、長期的な視点でコストパフォーマンスを考えることが大切です。

工事中は騒音や人の出入りがある

リフォーム工事である以上、工事期間中は騒音や振動、そして職人の出入りが発生します

カバー工法や内窓設置であれば、1箇所あたり数時間~1日程度で完了するため、影響は比較的少ないです。しかし、はつり工法のように壁を解体する場合は、大きな音や粉塵が発生し、工期も数日に及びます。

  • 在宅ワークをしている方: 工事の騒音でオンライン会議に集中できない可能性があります。工事日程を事前に業者としっかり打ち合わせ、仕事への影響が少ない日を選ぶなどの調整が必要です。
  • 小さなお子様やペットがいるご家庭: 普段と違う人の出入りや大きな音に、ストレスを感じてしまうかもしれません。工事中は別の部屋で過ごす、あるいは一時的に外出するなどの配慮が求められます。
  • 近隣への配慮: 工事の音は、隣近所にも聞こえます。トラブルを避けるためにも、事前にリフォーム業者から、あるいはご自身で近隣の方へ工事の日程などを伝え、挨拶をしておくとスムーズです。

リフォーム業者を選ぶ際には、こうした生活への影響を最小限にするための配慮(養生の徹底、作業時間の遵守など)をしっかり行ってくれるかどうかも、重要な判断基準の一つです。

窓リフォームの費用を安く抑える方法

補助金・助成金制度を活用する、複数の業者から相見積もりを取る、火災保険が適用できるか確認する、関連するリフォームをまとめて依頼する

窓リフォームは大きな出費ですが、いくつかのポイントを押さえることで、費用を賢く抑えることが可能です。ここでは、誰でも実践できる具体的なコスト削減方法を4つご紹介します。

補助金・助成金制度を活用する

窓リフォームの費用を抑える上で、最も効果的で重要なのが補助金・助成金制度の活用です。国や自治体は、省エネ性能の高い住宅を増やすことを目的に、断熱リフォームに対して手厚い補助制度を用意しています。

特に、高性能な窓への交換や内窓の設置は、補助金の対象となる代表的な工事です。制度によっては、リフォーム費用の最大1/2相当、上限200万円といった非常に高額な補助を受けられる場合もあります。

代表的な国の制度には「先進的窓リノベ2024事業」や「子育てエコホーム支援事業」などがあります。これらの制度は予算がなくなり次第終了となるため、リフォームを検討し始めたら、まずは利用できる補助金がないかを確認し、早めに動き出すことが肝心です。詳しい制度の内容については、後の章で詳しく解説します。

複数の業者から相見積もりを取る

同じ内容のリフォームでも、依頼する業者によって見積もり金額は大きく異なることがあります。適正な価格で質の高い工事をしてもらうためには、必ず複数の業者(できれば3社以上)から見積もりを取る「相見積もり」を行いましょう。

相見積もりには、以下のようなメリットがあります。

  • 適正な価格相場がわかる: 複数の見積もりを比較することで、そのリフォーム内容に対するおおよその相場観が養われます。これにより、不当に高い金額を提示する業者や、逆に安すぎて手抜き工事が疑われる業者を見抜くことができます。
  • 価格交渉の材料になる: 他社の見積もりを提示することで、価格交渉を有利に進められる可能性があります。
  • 提案内容や担当者の対応を比較できる: 単に価格だけでなく、提案される窓のグレード、工事内容の詳細、担当者の知識や対応の丁寧さなどを比較検討できます。安さだけで選ぶのではなく、総合的に信頼できる業者を見つけることが、失敗しないリフォームの鍵です。

手間はかかりますが、この一手間が数十万円の差を生むことも少なくありません。

火災保険が適用できるか確認する

あまり知られていませんが、台風、強風、雹(ひょう)、雪、または飛来物など、自然災害によって窓ガラスが割れたり、サッシが破損したりした場合には、ご自身が加入している火災保険が適用される可能性があります

火災保険の多くは、「風災・雹災・雪災補償」という項目を含んでいます。もし、窓の破損の原因がこれらの自然災害によるものであれば、保険金を使って修理費用を賄えるかもしれません。

ただし、以下の点に注意が必要です。

  • 免責金額(自己負担額): 多くの保険契約では、一定額(例:20万円)までは自己負担となる「免責方式」が採用されています。損害額がこの免責金額以下の場合は、保険金は支払われません。
  • 経年劣化は対象外: あくまで自然災害による突発的な損害が対象であり、老朽化による不具合や破損は補償の対象外です。
  • 申請手続き: 保険を適用するには、被害状況の写真や修理見積書など、必要書類を揃えて保険会社に申請する必要があります。

心当たりがある場合は、まずはご自身の保険証券を確認し、保険会社や代理店に問い合わせてみましょう。

関連するリフォームをまとめて依頼する

もし、窓リフォーム以外にも、外壁塗装や屋根の修理、内装の張り替えなど、他に検討しているリフォームがある場合は、それらをまとめて同じ業者に依頼することで、トータルコストを抑えられる可能性があります。

なぜなら、リフォーム工事では、個別の工事費以外に、足場の設置費用、現場管理費、廃材処分費といった共通の経費が発生するからです。これらの工事を別々のタイミングで行うと、その都度共通経費がかかってしまいますが、同時に行えば1回分で済みます。

特に、2階以上の窓交換や外壁塗装など、どちらも足場が必要な工事をまとめると、足場代(15万円~30万円程度)を一度で済ませられるため、非常に大きな節約効果が期待できます。

リフォーム計画を立てる際には、目先の窓だけでなく、住宅全体のメンテナンス計画を長期的な視点で考え、まとめて工事できる部分がないか検討してみることをおすすめします。

窓リフォームで使える補助金制度【2024年最新版】

2024年現在、国は脱炭素社会の実現に向けて、住宅の省エネ化を強力に推進しており、窓リフォームに対して過去に例を見ないほど手厚い補助金制度を用意しています。ここでは、代表的な国の補助金制度と、自治体独自の制度について、最新の情報を基に解説します。

※補助金制度は予算の上限に達し次第、申請受付が終了となります。また、制度内容は変更される可能性があるため、検討の際には必ず各事業の公式サイトで最新情報を確認してください。

補助金制度名 管轄 主な対象工事 補助上限額(一戸あたり) 特徴
先進的窓リノベ2024事業 環境省・経済産業省・国土交通省 高性能な窓・ガラスへの交換、内窓設置 200万円 補助率が非常に高く、窓リフォームに特化した制度。最も優先的に検討すべき補助金。
子育てエコホーム支援事業 国土交通省 開口部・壁・床等の断熱改修、エコ住宅設備の設置など 20万円~60万円 対象工事が幅広い。子育て・若者夫婦世帯は上限額が引き上げられる。
長期優良住宅化リフォーム推進事業 国土交通省 住宅性能向上のためのリフォーム全般 80万円~210万円 住宅全体の性能を総合的に高める大規模リフォーム向け。
既存住宅における断熱リフォーム支援事業 環境省 高性能建材(窓・ガラス・断熱材)を用いた断熱改修 120万円(戸建) 一定の省エネ効果(15%以上)が見込まれるリフォームが対象。

先進的窓リノベ2024事業

現在、窓リフォームを検討するなら、真っ先に活用を考えるべき最もお得な補助金制度です。正式名称は「断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業」で、環境省、経済産業省、国土交通省の3省が連携して実施しています。

  • 目的: 既存住宅の窓を高性能な断熱窓に改修することで、エネルギー価格高騰への対応、省エネの推進、CO2排出量削減を図る。
  • 対象工事: ガラス交換、内窓設置、外窓交換(カバー工法・はつり工法)。
  • 補助額: 工事費用の1/2相当等、上限200万円。補助額は、工事内容と窓の性能(Uw値という断熱性能を示す数値に基づきSS、S、Aの3グレードに分類)、サイズによって定められた金額が適用されます。補助率が非常に高いのが最大の特徴です。
  • 申請方法: 補助金の申請は、工事を請け負う事業者(登録事業者)が行います。施主( homeowner)が自ら申請する必要はありません。そのため、この補助金を利用したい場合は、登録事業者の中からリフォーム業者を選ぶ必要があります。
  • 注意点: 補助額の合計が5万円未満の工事は対象外です。また、予算がなくなり次第終了となります。

参照:先進的窓リノベ2024事業 公式サイト

子育てエコホーム支援事業

エネルギー価格などの物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若者夫婦世帯を支援し、省エネ投資を促進することを目的とした国土交通省の事業です。

  • 対象者: 全ての世帯が対象ですが、子育て世帯(18歳未満の子を有する世帯)または若者夫婦世帯(夫婦のいずれかが39歳以下の世帯)は補助額の上限が引き上げられます
  • 対象工事: 窓の断熱改修(ガラス交換、内窓設置、外窓交換)のほか、外壁や床の断熱改修、エコ住宅設備(高効率給湯器、節水型トイレなど)の設置、子育て対応改修(ビルトイン食洗機、宅配ボックスなど)も対象となり、複数の工事を組み合わせて申請可能です。
  • 補助額: 1戸あたりの上限額は、世帯属性や住宅の性能によって異なります。例えば、子育て世帯・若者夫婦世帯が既存住宅をリフォームする場合、上限は30万円です。
  • 併用ルール: 「先進的窓リノベ2024事業」と併用が可能です。ただし、同じ窓に対して両方の補助金を重複して受けることはできません。例えば、「リビングの窓は先進的窓リノベ事業で、寝室の窓は子育てエコホーム支援事業で」といった使い分けが可能です。

参照:子育てエコホーム支援事業 公式サイト

長期優良住宅化リフォーム推進事業

住宅を長持ちさせ、質の高いストックとして次世代に継承していくことを目指す、国土交通省の補助金制度です。

  • 目的: 既存住宅の性能向上や子育て世帯向け改修、三世代同居対応改修などを支援する。
  • 対象工事: 劣化対策、耐震性、省エネルギー対策など、住宅全体の性能を総合的に向上させるリフォームが対象。窓の断熱改修も省エネ対策の一環として補助対象になります。
  • 補助額: リフォーム後の住宅性能に応じて、補助率(工事費用の1/3)と補助限度額(最大210万円/戸)が設定されています。
  • 特徴: インスペクション(住宅診断)の実施が必須であり、リフォーム後の住宅が一定の基準を満たす必要があります。申請手続きがやや複雑なため、大規模なリノベーションを計画している方向けの制度と言えます。

参照:長期優良住宅化リフォーム推進事業 公式サイト

既存住宅における断熱リフォーム支援事業

環境省が実施する、高性能な建材を用いた断熱改修を支援する事業です。

  • 目的: 既存住宅の断熱性能を高め、エネルギー消費を削減する。
  • 対象工事: 高性能な窓やガラス、断熱材を用いたリフォーム。
  • 補助額: 補助対象経費の1/3以内、上限120万円/戸(戸建住宅の場合)
  • 特徴: リフォームによって、地域ごとに定められたエネルギー削減率(例:15%以上)を達成する必要があります。申請には、エネルギー計算など専門的な知識が必要となる場合があります。

参照:公益財団法人北海道環境財団 既存住宅における断熱リフォーム支援事業 公式サイト

自治体独自の補助金・助成金

国の制度に加えて、お住まいの市区町村が独自に省エネリフォームやバリアフリーリフォームに対する補助金・助成金制度を設けている場合があります

これらの制度の大きなメリットは、国の補助金と併用できるケースが多いことです。例えば、「先進的窓リノベ事業」で国の補助金を受けつつ、さらに市や区の制度からも補助金を受ける、といったことが可能な場合があります。

制度の有無や内容は自治体によって大きく異なるため、「〇〇市 住宅リフォーム 補助金」「〇〇区 省エネ 助成金」といったキーワードで、お住まいの自治体のホームページを検索してみることを強くおすすめします。

窓リフォームを始める前の注意点

マンションの場合は管理規約を確認する、DIYでの交換は難しい、悪徳業者に注意する

窓リフォームはメリットの多い投資ですが、思わぬトラブルに発展しないよう、事前に知っておくべき注意点があります。ここでは、特に重要な3つのポイントを解説します。

マンションの場合は管理規約を確認する

戸建てではなくマンションにお住まいの場合、窓リフォームを検討する際に最も重要な注意点が、管理規約の確認です。

マンションの窓は、法律上「共用部分」に分類されるのが一般的です。共用部分とは、廊下やエレベーターのように、居住者全員で共有して使用する場所を指します。専有部分である室内とは異なり、共用部分である窓サッシや窓ガラスを、個人の判断で勝手に交換・リフォームすることは原則としてできません

もし、管理組合に無断で工事を行ってしまうと、規約違反として原状回復を求められるなど、大きなトラブルに発展する可能性があります。

リフォームを検討し始めたら、まず最初に管理規約を読み返し、窓の取り扱いについて確認しましょう。その上で、必ず管理組合や管理会社にリフォームの可否や、工事可能な範囲(例:ガラスのみ交換は可、内窓設置は専有部分の工事として可など)、申請手続きについて問い合わせてください。近年では、マンション全体で窓の改修を計画するケースや、一定の基準を満たせば個別のリフォームを認める規約に改定するケースも増えています。

DIYでの交換は難しい

リフォーム費用を少しでも節約したいという思いから、「内窓の設置くらいなら自分でできるのでは?」とDIYを考える方もいるかもしれません。しかし、窓の交換や設置は、専門的な知識と技術を要する難易度の高い作業であり、DIYで行うことは推奨できません

安易にDIYに手を出した場合、以下のようなリスクが伴います。

  • 施工不良による性能低下: 正確な採寸や取り付けができていないと、窓と壁の間に隙間が生じ、本来得られるはずの断熱性や防音性が十分に発揮されません。
  • 雨漏りの発生: 特に外窓の交換では、防水処理が不十分だと、壁の内部に雨水が浸入し、柱や断熱材を腐食させる深刻な事態を引き起こす可能性があります。
  • 事故のリスク: 窓ガラスは重く、割れやすいものです。作業中にガラスを落下させて大怪我をしたり、建物を傷つけたりする危険性があります。
  • 補助金の対象外: 国や自治体の補助金制度は、登録事業者が施工することが条件となっている場合がほとんどです。DIYでは補助金を利用できません。

確実な性能と安全性を確保し、結果的にコストパフォーマンスを高めるためにも、窓リフォームは必ず信頼できるプロの業者に依頼しましょう。

悪徳業者に注意する

残念ながら、リフォーム業界には、消費者の知識不足や不安に付け込む悪徳業者が存在します。高額な契約を結んだものの、手抜き工事をされたり、追加で不当な料金を請求されたりといったトラブルに巻き込まれないよう、十分な注意が必要です。

悪徳業者には、以下のような特徴が見られます。

  • 突然の訪問販売: 「近所で工事をしているので、今ならお宅の窓も安くできますよ」などと言って、アポイントなしに訪問してくる。
  • 過度な不安を煽る: 「このままでは家がダメになる」「すぐに工事しないと危険だ」などと大げさな言葉で不安を煽り、契約を急がせる。
  • 大幅な値引きを提示する: 「今日契約してくれるなら半額にします」といった、契約を即決させるための極端な値引きを提示する。
  • 見積書の内容が曖昧: 「工事一式」といった表記ばかりで、使用する製品の型番や数量、単価などの詳細な内訳が記載されていない。
  • 契約を急かす: 詳細な説明を省き、「とりあえずサインだけ」と契約を急かせる。

こうした業者に出会った場合は、その場で契約せず、きっぱりと断る勇気が大切です。複数の業者から話を聞き、冷静に比較検討する時間を設けることが、悪徳業者から身を守るための最善の策です。

失敗しない!窓リフォーム業者の選び方

窓リフォームの実績が豊富か、見積書の内容が明確で分かりやすいか、保証やアフターサービスが充実しているか、建設業許可や資格を保有しているか

窓リフォームの成否は、業者選びにかかっていると言っても過言ではありません。信頼でき、質の高い工事を行ってくれる優良な業者を見つけるために、以下の4つのポイントをチェックしましょう。

窓リフォームの実績が豊富か

リフォーム業者と一言でいっても、得意な分野はさまざまです。水回りが得意な業者、外壁塗装が専門の業者など、それぞれに専門性があります。窓リフォームを成功させるためには、やはり窓の工事に関する専門知識と豊富な施工実績を持つ業者を選ぶことが重要です。

業者のウェブサイトで、これまでの施工事例を確認してみましょう。どのような窓(内窓、カバー工法など)を、どれくらいの件数手掛けているかを見ることで、その業者の経験値を知ることができます。

また、補助金制度の申請代行に慣れているかも重要なチェックポイントです。補助金を利用するには、複雑な手続きが必要になる場合があります。実績豊富な業者であれば、制度の内容を熟知しており、スムーズに申請手続きを進めてくれるため、施主側の負担が大幅に軽減されます。

見積書の内容が明確で分かりやすいか

複数の業者から取得した見積書は、価格だけでなく、その内容の「分かりやすさ」と「詳細さ」を比較しましょう。

優良な業者の見積書は、誰が見ても内容を理解できるように、丁寧かつ具体的に作成されています

  • 商品名の記載: 使用する窓やガラスのメーカー名、商品名、型番などが正確に記載されているか。
  • 単価と数量: 「一式」という曖昧な表現だけでなく、各項目について単価と数量が明記されているか。
  • 工事内容の内訳: 「取付工事費」だけでなく、どのような作業(撤去、設置、コーキング、養生など)が含まれているかが分かるようになっているか。
  • 諸経費の内訳: 「諸経費一式」の金額が大きすぎる場合、その内訳(廃材処分費、運搬費など)が記載されているか、または質問に対して明確に答えられるか。

見積書に不明な点があった場合、その質問に対して担当者が丁寧に、専門用語をかみ砕いて説明してくれるかどうかも、その業者の信頼性を測る上で良い判断材料になります。

保証やアフターサービスが充実しているか

リフォーム工事は、完了したら終わりではありません。万が一、工事後に不具合が発生した場合に、きちんと対応してもらえるかどうかが非常に重要です。

窓リフォームに関する保証には、大きく分けて2種類あります。

  1. メーカー保証(商品保証): 窓やガラスといった製品そのものに対する保証です。メーカーが定めた期間内(通常1~2年程度)に、製品の欠陥による不具合が発生した場合に適用されます。
  2. 工事保証(自社保証): リフォーム業者が、自社の施工が原因で発生した不具合(例:窓の建付け不良、コーキングの剥がれなど)に対して、無償で修理などを行うことを約束する保証です。

この「工事保証」の有無と、その内容(保証期間、保証範囲など)を必ず契約前に書面で確認しましょう。保証制度がしっかりしている業者は、自社の工事品質に自信を持っている証拠です。また、定期点検などのアフターサービスを提供しているかどうかも、長く安心して付き合える業者かどうかを見極めるポイントになります。

建設業許可や資格を保有しているか

業者の技術力や信頼性を客観的に判断する指標として、公的な許可や資格の有無も確認しておきましょう。

  • 建設業許可: 請負金額が500万円以上(建築一式工事の場合は1,500万円以上)のリフォーム工事を行うためには、都道府県知事または国土交通大臣から「建設業許可」を受ける必要があります。この許可を得ている業者は、経営面や技術面で一定の基準をクリアしていると判断できます。
  • 関連資格: 窓リフォームに直接関連する国家資格には、「ガラス施工技能士」や「サッシ施工技能士」などがあります。こうした資格を持つ職人が在籍していることは、高い技術力の裏付けとなります。

これらの許可や資格は、業者のウェブサイトや会社案内に記載されていることが多いです。必須ではありませんが、信頼できる業者を選ぶ上での一つの安心材料として参考にすると良いでしょう。