広島市の賃貸物件探し方ガイド おすすめエリアと家賃相場を解説

広島市の賃貸物件探し方ガイド、おすすめエリアと家賃相場を解説

広島市は、中国・四国地方を代表する大都市でありながら、豊かな自然にも恵まれた魅力的な街です。瀬戸内海の温暖な気候、活気ある市街地、世界遺産をはじめとする歴史的な名所など、多彩な顔を持っています。転勤や進学、ライフスタイルの変化などを機に、広島市での新生活を検討している方も多いのではないでしょうか。

しかし、いざ賃貸物件を探し始めると、「どのエリアに住むのが自分に合っているのか」「家賃相場はどれくらいなのか」「物件探しの進め方が分からない」といった疑問や不安に直面することがあります。広島市は8つの行政区からなる政令指定都市であり、エリアごとに特色が大きく異なるため、自分に合った場所を見つけるには事前の情報収集が欠かせません。

この記事では、広島市で賃貸物件を探している方に向けて、後悔しないための物件探しのノウハウを網羅的に解説します。広島市の基本情報から、エリアごとの特徴、間取り・区別の家賃相場、目的別のおすすめエリア、さらには物件探しの具体的なステップや注意点まで、分かりやすく丁寧にご紹介します。

この記事を最後まで読めば、広島市の地理や交通事情、各エリアの魅力について深く理解でき、ご自身のライフスタイルや希望条件に最適な物件を見つけるための具体的な指針が得られるはずです。広島市での快適な新生活をスタートさせるための、信頼できるガイドとしてぜひご活用ください。

広島市はどんな街?基本情報を紹介

広島市での物件探しを始める前に、まずはこの街がどのような特徴を持っているのか、基本的な情報を押さえておきましょう。広島市は、活気あふれる都市機能と、豊かな自然環境が調和した、非常に住みやすい街として知られています。

8つの行政区で構成される政令指定都市

広島市は、中国地方で唯一の政令指定都市であり、人口約118万人(2024年5月1日時点の推計人口)を擁する大都市です。市域は「中区(なかく)」「東区(ひがしく)」「南区(みなみく)」「西区(にしく)」「安佐南区(あさみなみく)」「安佐北区(あさきたく)」「安芸区(あきく)」「佐伯区(さえきく)」という個性豊かな8つの行政区で構成されています。

市の中心に位置する中区は、官公庁やオフィスビル、商業施設が集まる広島の心臓部です。その周辺を東区、南区、西区が囲み、さらにその外側に、広大な面積を持つ安佐南区、安佐北区、安芸区、佐伯区が広がっています。

都心部である中区や南区は交通の便が良く、商業施設も充実しているため、単身者やDINKS(子供のいない共働き世帯)に人気があります。一方、安佐南区や佐伯区などの郊外エリアは、閑静な住宅街が広がり、子育て支援施設や公園も多いため、ファミリー層から高い支持を得ています。安佐北区や安芸区では、より自然に近い落ち着いた環境での暮らしが可能です。

このように、一口に「広島市」と言っても、区によって街の雰囲気や住環境は大きく異なります。そのため、賃貸物件を探す際には、まずそれぞれの区の特徴を理解し、自分のライフスタイルに合ったエリアを見つけることが非常に重要になります。

行政区 人口(2024年5月1日推計) 面積(km²) 特徴
中区 142,698人 15.32 広島市の中心部。商業・行政・文化の拠点。
東区 118,658人 39.42 広島駅新幹線口側。再開発が進むエリア。
南区 141,614人 26.46 広島駅や広島港があり、交通の要衝。
西区 190,064人 35.61 中心部へのアクセスが良く、商業施設も充実。
安佐南区 247,422人 117.03 最も人口が多い区。子育て世帯に人気のベッドタウン。
安佐北区 139,471人 353.33 最も面積が広い区。自然豊かで落ち着いた環境。
安芸区 75,985人 94.08 海と山に囲まれた、のどかな雰囲気。
佐伯区 134,801人 225.43 西部のベッドタウン。大型商業施設が点在。

参照:広島市「広島市の人口(毎月1日現在)」

交通アクセスの特徴

広島市は公共交通機関が非常に発達しており、特に都心部では車がなくても快適に生活できます。主な交通手段として、JR、新交通システム「アストラムライン」、そして市民の足として親しまれている路面電車とバスが挙げられます。

JRやアストラムラインが主要な交通網

広島市の鉄道網の中心は、東西を貫くJR山陽本線です。広島駅をハブとして、東は岡山方面、西は山口方面へと繋がっています。また、広島駅からは北へ向かうJR芸備線、可部方面へ向かうJR可部線、呉市方面へ向かうJR呉線も分岐しており、市内および近郊都市への移動に欠かせない路線です。特に山陽本線の西広島駅、横川駅、新白島駅、天神川駅などは、他の交通機関との乗り換えも便利で、駅周辺は人気の居住エリアとなっています。

もう一つの主要な交通網が、新交通システム「アストラムライン」です。正式名称を広島高速交通広島新交通1号線と言い、都心の中区・本通駅から北西部の安佐南区・広域公園前駅までを結んでいます。この路線は、安佐南区の住宅街と都心部を直結する重要な足であり、朝夕のラッシュ時には多くの通勤・通学客に利用されています。沿線には大規模なニュータウンが開発されており、ファミリー層に人気のエリアが広がっています。新白島駅でJR山陽本線と接続しているため、乗り換えの利便性も高いのが特徴です。

市民の足となる路面電車とバス

広島市の交通を語る上で欠かせないのが、広島電鉄(広電)が運行する路面電車です。その路線網は総営業キロ数で日本一を誇り、広島駅を起点に市内中心部をくまなくカバーしています。紙屋町や八丁堀といった中心市街地はもちろん、世界遺産の原爆ドームや宮島口へもアクセス可能です。

運賃は市内中心部であれば均一料金で分かりやすく、運行本数も非常に多いため、市民にとって最も身近な交通手段の一つとなっています。JRの駅からは少し離れているけれど、路面電車の電停が近くにある、という物件も多く、物件探しの際には「最寄りの電停からの距離」も重要なチェックポイントになります。

さらに、路面電車がカバーしきれないエリアは、広電バスや広島バスなどの路線バス網が補完しています。特に坂の多い住宅街や郊外へのアクセスに便利で、市内全域にきめ細かく路線が張り巡らされています。これらの公共交通機関をうまく使い分けることで、市内のほとんどの場所へスムーズに移動できます。

広島市の治安について

新しい街に住む上で、治安は誰もが気になるポイントです。広島県の警察が公表しているデータによると、広島県の刑法犯認知件数は年々減少傾向にあり、全国的に見ても治安は比較的安定していると言えます。

もちろん、市内のエリアによって雰囲気は異なります。例えば、中区の繁華街(流川・薬研堀周辺)は夜遅くまで多くの人で賑わうため、飲食店でのトラブルや客引きなどが見られます。こうしたエリアの近くに住む場合は、夜間の騒音や帰り道の安全性について、内見時にしっかりと確認することが大切です。

一方で、西区や安佐南区、佐伯区などの住宅街は、ファミリー層が多く住んでおり、地域コミュニティもしっかりしているため、比較的落ち着いた環境で暮らせます。特に、新興住宅地や大規模なマンションが立ち並ぶエリアは、街灯が多く道も整備されているため、女性の一人暮らしや子育て世帯にも安心感が高いでしょう。

ただし、「治安が良い」という評判だけでエリアを決めるのは早計です。人によって「静かさ」や「安心感」の尺度は異なります。最終的には、昼と夜の両方の時間帯に現地を訪れ、ご自身の目で街の雰囲気を確認することをおすすめします。また、物件選びの際には、オートロックやモニター付きインターホン、防犯カメラといったセキュリティ設備の有無も重要な判断基準となります。

総じて、広島市は都市の利便性と地域の落ち着きを兼ね備えた、安全で住みやすい街です。エリアごとの特性を理解し、ご自身のライフスタイルに合った場所を選ぶことで、安心して新生活をスタートできるでしょう。

広島市の家賃相場を間取り・区別に解説

賃貸物件を探す上で、最も重要な要素の一つが家賃です。広島市は政令指定都市の中でも比較的家賃が手頃と言われていますが、エリアや間取りによってその金額は大きく変動します。ここでは、広島市の家賃相場を「間取り別」と「区別」に分けて詳しく見ていきましょう。

(※本記事で紹介する家賃相場は、大手不動産ポータルサイトの情報を基にした2024年6月時点の目安です。実際の家賃は、物件の築年数、駅からの距離、設備などによって変動します。)

【間取り別】広島市全体の家賃相場

まずは、広島市全体の家賃相場を間取りごとに見ていきます。自分の希望する暮らしにどれくらいの家賃が必要になるのか、大まかな目安を掴んでおきましょう。

間取り 広島市全体の家賃相場 主な入居者層
ワンルーム・1K・1DK 4.5万円~6.5万円 学生、新社会人、単身者
1LDK・2K・2DK 6.5万円~9.0万円 カップル、新婚世帯、広さを求める単身者
2LDK・3K・3DK 8.0万円~12.0万円 ファミリー、ルームシェア
3LDK以上 11.0万円~ ファミリー、二世帯

ワンルーム・1K・1DK

ワンルーム、1K、1DKは、主に一人暮らし向けのコンパクトな間取りです。広島市全体の家賃相場は約4.5万円から6.5万円が中心価格帯となります。学生や新社会人、初めて一人暮らしをする方に最も選ばれているタイプです。

特に大学や専門学校が集まる東区や安佐南区、交通の便が良い西区などでは、このタイプの手頃な物件が豊富に見つかります。中心部である中区では相場がやや高くなる傾向がありますが、築年数が経過した物件や駅から少し離れた場所であれば、手頃な家賃で見つかることもあります。

ワンルームは居室とキッチンが一体化した間取り、1Kは居室とキッチンがドアで仕切られている間取り、1DKは食事スペース(ダイニング)とキッチンが一緒になった部屋と寝室がある間取りです。自炊をよくする方や、生活空間と食事・睡眠の空間を分けたい方は1Kや1DKを選ぶと快適に過ごせるでしょう。

1LDK・2K・2DK

1LDK、2K、2DKは、カップルや新婚世帯、あるいは荷物が多い・趣味のスペースが欲しいといった単身者に人気の間取りです。家賃相場は約6.5万円から9.0万円が目安となります。

1LDKは、リビング・ダイニング・キッチンと寝室が一つある間取りで、現代のライフスタイルに合っているため特に人気が高いです。二人でゆったりと過ごすリビングスペースを確保できます。2Kや2DKは、部屋が二つあるため、一部屋を寝室、もう一部屋を仕事部屋や趣味の部屋として使うなど、柔軟な使い方が可能です。

これらの間取りは、中心部へのアクセスが良い西区や南区、子育て環境が整い始めている安佐南区などで多くの物件が見つかります。特に新築や築浅の物件では、カウンターキッチンやウォークインクローゼットなど、人気の設備が整っていることが多いです。

2LDK・3K・3DK

2LDK、3K、3DKは、主にファミリー層向けの広めの間取りです。家賃相場は約8.0万円から12.0万円程度が中心ですが、タワーマンションなどではさらに高額になります。

2LDKは、リビング・ダイニング・キッチンの他に居室が二つあるため、夫婦の寝室と子供部屋を確保できます。子供が一人いるご家庭に最適な間取りと言えるでしょう。3Kや3DKは古い物件に多い間取りですが、リノベーションされてきれいになっていることもあります。部屋数が多いため、子供部屋の他に書斎を設けるなど、多様な使い方ができます。

これらのファミリー向け物件は、郊外のベッドタウンである安佐南区、安佐北区、佐伯区などに豊富です。これらのエリアは、比較的家賃が手頃で、公園や学校、スーパーなどが揃っており、子育てしやすい環境が整っています。

【区別】主要エリアの家賃相場

次に、広島市内の主要な行政区ごとに、一人暮らし向けの間取り(ワンルーム・1K・1DK)の家賃相場を比較してみましょう。住むエリアによって家賃が大きく異なることが分かります。

行政区 ワンルーム・1K・1DKの家賃相場 特徴・家賃の傾向
中区 6.0万円~8.0万円 市の中心部で最も相場が高い。利便性重視の単身者向け。
南区 5.5万円~7.5万円 広島駅周辺は高いが、駅から離れると手頃な物件も。
西区 5.0万円~6.5万円 中心部へのアクセスが良く、家賃とのバランスが取れた人気エリア。
東区 4.8万円~6.0万円 広島駅北側で再開発中。学生も多く、比較的リーズナブル。
安佐南区 4.5万円~5.8万円 アストラムライン沿線は人気。郊外のため家賃は手頃。
佐伯区 4.5万円~5.5万円 ファミリー層に人気のベッドタウン。単身者向け物件も手頃。

やはり、市の中心である中区が最も家賃相場が高く、利便性を最優先する単身赴任者や高所得者層に選ばれる傾向があります。次いで、広島駅を擁する南区、中心部に隣接する西区と続きます。これらのエリアは、交通の便や商業施設の充実度を考えると、納得の価格帯と言えるでしょう。

一方、安佐南区や東区、佐伯区といったエリアは、中心部から少し離れる分、家賃相場がぐっと手頃になります。アストラムラインやJRを利用すれば都心へのアクセスも良好なため、家賃を抑えつつ快適な生活を送りたい学生や新社会人にとっては非常に魅力的な選択肢です。

このように、広島市で物件を探す際は、まず「自分が家賃にいくらまで出せるか」という予算を明確にし、その予算内で探せるエリアはどこなのかを把握することが第一歩となります。利便性を取るか、家賃の安さを取るか、あるいはそのバランスをどこに置くかが、エリア選びの重要な鍵となるでしょう。

【目的別】広島市で賃貸を探すのにおすすめのエリア8選

広島市は8つの行政区からなり、それぞれが異なる魅力と特徴を持っています。ここでは、「どんな暮らしがしたいか」という目的別に、各区のおすすめポイントを詳しくご紹介します。ご自身のライフスタイルと照らし合わせながら、ぴったりのエリアを見つけてみてください。

① 中区:市の中心部で商業施設や繁華街が充実

中区は、広島市のまさに中心。広島県庁などの官公庁、企業のオフィス、デパートやファッションビルなどの商業施設、そして飲食店がひしめく繁華街が集結する、広島の経済・文化の中心地です。

【こんな人におすすめ】

  • とにかく利便性を最優先したい単身者・DINKS
  • 通勤時間を短縮したいビジネスパーソン
  • ショッピングや外食を日常的に楽しみたい方
  • 車を持たずにアクティブに暮らしたい方

【住環境・魅力】
中区の最大の魅力は、その圧倒的な利便性です。紙屋町・八丁堀エリアには「そごう広島店」や「広島三越」といった百貨店や、「広島PARCO」などのファッションビルが立ち並び、買い物に困ることはありません。また、夜には「流川(ながれかわ)」「薬研堀(やげんぼり)」といった中四国最大級の歓楽街が賑わいを見せ、グルメやエンターテイメントを満喫できます。

交通面では、JR新白島駅のほか、アストラムラインの本通駅や県庁前駅、そして市内を網羅する広電の路面電車が縦横無尽に走っており、市内のどこへ行くにもアクセスは抜群です。

【注意点】
利便性が高い分、家賃相場は市内で最も高額です。また、繁華街周辺は夜間も人通りが多く騒がしいため、静かな住環境を求める方には不向きかもしれません。物件を選ぶ際は、大通りや飲食店の近くを避け、一本入った通りなどを探すと良いでしょう。

② 南区:広島駅があり交通の拠点となるエリア

南区は、JR広島駅や広島港を擁する、まさに広島の玄関口です。新幹線や各JR在来線、高速バスが発着する広島駅周辺は、再開発によって駅ビル「minamoa(ミナモア)」が建設中で、今後さらなる発展が期待されています。

【こんな人におすすめ】

  • 出張や旅行が多く、新幹線や空港へのアクセスを重視する方
  • 広島駅周辺の商業施設をよく利用する方
  • プロ野球観戦が好きな方(マツダスタジアムがある)

【住環境・魅力】
南区の魅力は、何と言ってもその交通利便性の高さにあります。広島駅からは市内の主要な場所へはもちろん、県外への移動もスムーズです。駅周辺には商業施設や飲食店が豊富で、日常の買い物から休日のレジャーまで楽しめます。また、広島東洋カープの本拠地「MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島」も南区にあり、シーズン中は多くのファンで賑わいます。駅から少し離れると、閑静な住宅街も広がっており、利便性と居住性のバランスが取れたエリアです。

【注意点】
広島駅周辺は非常に便利ですが、その分家賃は高めに設定されています。また、駅の南側は比較的新しい街並みですが、北側(東区との境界付近)は昔ながらの住宅街で道が狭い場所もあるため、車を所有する方は注意が必要です。

③ 西区:中心部へのアクセスが良く閑静な住宅街

西区は、中区の西側に隣接し、都心へのアクセス性と穏やかな住環境を両立したエリアです。JR山陽本線と広電の路面電車が並走しており、交通の便が非常に良いのが特徴です。

【こんな人におすすめ】

  • 都心へのアクセスと家賃のバランスを重視したい方
  • 静かな環境で暮らしたい単身者やカップル
  • 週末はショッピングモールで過ごしたいファミリー

【住環境・魅力】
西区には、JRと広電の両方が利用できる「西広島駅」や「横川駅」といった主要な駅があります。特に横川駅周辺は、レトロな商店街と新しいカフェなどが混在する魅力的な街並みで、若者にも人気です。また、沿岸部には大型商業施設「アルパーク」があり、買い物や映画などを楽しめます。全体的に平坦な土地が多く、坂が少ないため自転車での移動もしやすいです。

【注意点】
海に近いエリアでは、津波や高潮のリスクについてハザードマップで確認しておくと安心です。また、人気エリアのため、条件の良い物件は競争率が高くなることがあります。

④ 東区:広島駅北側で再開発が進む注目エリア

東区は、広島駅の新幹線口側に広がるエリアです。かつては昔ながらの住宅街というイメージでしたが、近年は駅周辺の再開発が進み、高層マンションや商業施設が建設されるなど、大きく変貌を遂げている注目のエリアです。

【こんな人におすすめ】

  • 比較的手頃な家賃で広島駅近くに住みたい方
  • 広島大学光が丘キャンパスや広島市立大学などに通う学生
  • 新しい街並みで新生活をスタートしたい方

【住環境・魅力】
広島駅北口エリアは「エキキタ」と呼ばれ、おしゃれな飲食店やショップが増えています。駅直結の商業施設もあり、日常の利便性は高いです。駅から少し離れると、中山や温品(ぬくしな)といった落ち着いた住宅街が広がっており、比較的リーズナブルな家賃で物件を見つけることができます。

【注意点】
エリアによっては坂道が多い地域もあります。特に中山地区などは、自転車での移動を考えている場合は実際に道を歩いて傾斜を確認することをおすすめします。

⑤ 安佐南区:子育て世帯に人気のベッドタウン

安佐南区は、広島市で最も人口が多い区であり、アストラムライン沿線を中心に開発された大規模なニュータウンが広がる、人気のベッドタウンです。

【こんな人におすすめ】

  • 子育て中のファミリー世帯
  • 緑豊かな環境で、のびのびと暮らしたい方
  • アストラムラインで都心へ通勤・通学する方

【住環境・魅力】
安佐南区の最大の魅力は、その優れた子育て環境です。計画的に整備された街が多く、公園や緑地が豊富にあります。歩道が広く整備されている場所も多く、子供連れでも安心して歩けます。また、大型スーパーやドラッグストア、ファミリーレストランなどがロードサイドに点在しており、車での買い物にも便利です。アストラムラインを利用すれば、祇園や中筋、古市といった主要駅から都心の本通駅まで20分程度でアクセスできます。

【注意点】
アストラムラインの駅から離れた場所では、バス便になるか車が必須の生活となります。また、通勤ラッシュ時のアストラムラインは混雑が激しいことでも知られています。

⑥ 安佐北区:自然豊かで落ち着いた暮らしができる

安佐北区は、広島市で最も面積が広く、豊かな自然環境が魅力のエリアです。太田川の清流や緑深い山々に囲まれ、都市の喧騒から離れて静かに暮らしたい方に向いています。

【こんな人におすすめ】

  • 自然に囲まれたスローライフを送りたい方
  • 広い家や庭付きの物件を手頃な家賃で探したいファミリー
  • アウトドアや家庭菜園が趣味の方

【住環境・魅力】
安佐北区は、広大な土地を活かした戸建て住宅や、ゆったりとした敷地のマンションが多いのが特徴です。中心部に比べて家賃や土地の価格が手頃なため、同じ予算でもより広い住まいを確保できます。可部線沿線は比較的都心へのアクセスも良く、通勤・通学も可能です。週末には川遊びやハイキングなど、身近な自然を満喫できます。

【注意点】
エリアが広いため、場所によっては公共交通機関が不便なところも多く、日常生活において車が必須となる場合が多いです。また、冬場は市内中心部よりも積雪が多くなることがあります。

⑦ 佐伯区:大型商業施設もありファミリー層に人気

佐伯区は、広島市の西部に位置するベッドタウンです。JR山陽本線と広電宮島線が走り、都心へのアクセスも良好。安佐南区と並んで、子育て世代から高い人気を集めています。

【こんな人におすすめ】

  • 安佐南区と同様に、子育て環境を重視するファミリー
  • JRや広電宮島線を利用して通勤・通学する方
  • 大型アウトレットモールなどでの買い物を楽しみたい方

【住環境・魅力】
五日市駅周辺は再開発が進み、生活利便施設が充実しています。駅から少し離れると、区画整理されたきれいな住宅街が広がります。佐伯区の大きな特徴として、大型商業施設「THE OUTLETS HIROSHIMA(ジ アウトレット広島)」や「LECT(レクト)」があることが挙げられます。これらの施設には、ファッション、グルメ、エンターテイメントが集結しており、休日には多くの家族連れで賑わいます。

【注意点】
人気の住宅地では、朝の通勤ラッシュ時に道路が混雑することがあります。また、山に近いエリアでは、坂道が多い場所もあるため、内見時に周辺を歩いて確認すると良いでしょう。

⑧ 安芸区:海と山に囲まれたのどかな地域

安芸区は、広島市の南東部に位置し、海と山の両方の自然に恵まれたエリアです。JR呉線が通り、のどかで落ち着いた雰囲気が漂います。

【こんな人におすすめ】

  • 都会の喧騒から離れ、穏やかに暮らしたい方
  • 海や山の景色を楽しみたい方
  • 比較的リーズナブルな家賃で暮らしたい方

【住環境・魅力】
安芸区には、矢野や中野といったJR呉線の駅があり、広島駅までは20分程度でアクセス可能です。海沿いのエリアでは瀬戸内海の景色を、山側のエリアでは緑豊かな自然を楽しむことができます。市内中心部に比べて家賃相場がかなり手頃なため、生活コストを抑えたい方には魅力的な選択肢です。

【注意点】
JR呉線は、大雨などの天候によって運行に影響が出やすい路線としても知られています。また、店舗や施設は駅周辺に集中しているため、場所によっては車があった方が便利な生活になります。

【利便性重視】広島市で住むのにおすすめの駅ランキングTOP5

広島市内で特に交通の便が良く、生活しやすいと人気の駅をランキング形式でご紹介します。複数の路線が利用でき、駅周辺の環境も整っている駅が上位にランクインしています。

① 1位:横川駅

【利用可能路線】JR山陽本線、JR可部線、広島電鉄(路面電車)

横川駅は、JRと路面電車の両方が利用できる交通の結節点として、非常に高い利便性を誇ります。JRを使えば広島駅まで1駅約3分、路面電車を使えば紙屋町や八丁堀といった中心市街地へ乗り換えなしでアクセス可能です。

駅周辺には、昔ながらの雰囲気が残る「横川商店街」があり、個人経営の飲食店や雑貨店が軒を連ね、散策するだけでも楽しめます。一方で、スーパーやドラッグストア、銀行なども揃っており、日常生活の利便性も申し分ありません。レトロな雰囲気と現代的な利便性が共存する、暮らしやすさと楽しさを兼ね備えた街として、単身者からファミリーまで幅広い層に人気です。

② 2位:西広島駅

【利用可能路線】JR山陽本線、広島電鉄(路面電車)

西広島駅も、横川駅と同様にJRと路面電車の乗り換えが可能な便利な駅です。特に、路面電車の宮島線への乗り換えターミナル(広電西広島駅)としての役割が大きく、宮島方面へのアクセスも良好です。

現在、駅周辺では大規模な再開発事業が進行中であり、新しい駅ビルの建設や道路の整備が進められています。これにより、将来的にさらなる利便性の向上が期待される、ポテンシャルの高いエリアです。駅前にはスーパー「フレスタ」があり、日々の買い物にも困りません。中区に隣接していながら、比較的落ち着いた住環境が保たれているのも魅力の一つです。

③ 3位:新白島駅

【利用可能路線】JR山陽本線、アストラムライン

新白島駅は、JR山陽本線とアストラムラインが交差する、比較的新しい乗り換え駅です。2015年に開業し、広島の交通ネットワークを大きく変えました。JRを利用すれば広島駅まで1駅、アストラムラインを利用すれば中心部の本通駅まで2駅という、都心へのダブルアクセスが最大の強みです。

駅周辺は、広島城や中央公園にも近く、緑豊かな環境です。大きな商業施設はありませんが、その分静かで落ち着いた住環境が確保されています。職住近接を重視するビジネスパーソンや、スマートな都会暮らしを求める方におすすめの駅です。

④ 4位:広島駅

【利用可能路線】JR山陽新幹線、JR各在来線、広島電鉄(路面電車)

言わずと知れた広島のターミナル駅である広島駅は、交通利便性において右に出るものはありません。県内・県外どこへ行くにもアクセスは抜群で、出張や旅行が多い方にとっては最高の立地です。

駅ビルや駅周辺には、百貨店、専門店、飲食店、ホテルなどが集積しており、駅に行けば何でも揃います。現在進行中の再開発により、さらに魅力的な商業空間が生まれる予定です。家賃相場は高めですが、その価値に見合うだけの利便性と活気を享受できるでしょう。

⑤ 5位:天神川駅

【利用可能路線】JR山陽本線

天神川駅は、巨大ショッピングモール「イオンモール広島府中」と連絡通路で直結していることが最大の特徴です。ファッション、雑貨、グルメ、映画館など、約200の専門店が入っており、雨の日でも濡れることなく買い物やレジャーを楽しめます。

JR山陽本線で広島駅まで1駅約4分と、都心へのアクセスも良好です。駅周辺は比較的新しいマンションや住宅が多く、きれいに整備されています。買い物好きの方や、休日は近場で全てを済ませたいというファミリー層にとって、非常に魅力的な住環境と言えるでしょう。

広島市で賃貸物件を契約するまでの7ステップ

希望条件(家賃・エリア・間取りなど)を整理する、不動産ポータルサイトや不動産会社で物件を探す、気になる物件を内見する、入居の申し込みをする、入居審査を受ける、賃貸借契約を結ぶ、引っ越しの準備と手続きを進める

気に入ったエリアや駅が見つかったら、いよいよ具体的な物件探しと契約に進みます。ここでは、賃貸物件を契約するまでの一般的な流れを7つのステップに分けて解説します。スムーズに進めるために、全体の流れを把握しておきましょう。

① 希望条件(家賃・エリア・間取りなど)を整理する

まずは、自分がどんな部屋に住みたいのか、具体的な希望条件を整理することから始めます。紙やスマートフォンに書き出してみると、考えがまとまりやすくなります。

  • 家賃:月収の3分の1以内が目安。管理費や共益費も含めた「総家賃」で考えることが重要です。
  • エリア:通勤・通学先の場所、よく利用する駅、住みたい区などを決めます。
  • 間取り・広さ:一人暮らしなら1K、二人暮らしなら1LDKなど、ライフスタイルに合わせて考えます。
  • 駅からの距離:「徒歩10分以内」など、許容できる時間を設定します。
  • こだわり条件:バス・トイレ別、2階以上、オートロック、独立洗面台、ペット可、インターネット無料など、譲れない条件と妥協できる条件をリストアップします。

この段階で条件を明確にしておくことで、後の物件探しが格段に効率的になります。

② 不動産ポータルサイトや不動産会社で物件を探す

希望条件が固まったら、実際に物件を探し始めます。主な探し方は、「不動産ポータルサイト」と「地域の不動産会社」の2つです。

  • 不動産ポータルサイト(SUUMO、LIFULL HOME’Sなど):膨大な物件情報の中から、希望条件で絞り込んで検索できます。まずはポータルサイトで相場観を掴んだり、気になる物件をいくつか見つけたりするのがおすすめです。
  • 地域の不動産会社:ポータルサイトには掲載されていない「未公開物件」を紹介してくれることがあります。また、その地域の情報に詳しいため、住環境に関するリアルなアドバイスをもらえることもあります。

両方をうまく活用し、気になる物件が見つかったら不動産会社に問い合わせてみましょう。

③ 気になる物件を内見する

写真や間取り図だけでは分からない部分を確認するため、必ず内見(室内見学)をしましょう。内見は、物件探しのプロセスで最も重要なステップの一つです。

内見時には、メジャーやスマートフォン(カメラ、メモ機能)を持参すると便利です。部屋の広さや設備だけでなく、日当たり、風通し、窓からの景色、収納の大きさ、コンセントの位置と数、携帯電話の電波状況などを細かくチェックします。

また、部屋の中だけでなく、建物の共用部分(廊下、ゴミ置き場、駐輪場など)の管理状況や、周辺環境(スーパーやコンビニまでの距離、騒音、夜道の明るさなど)も自分の足で確認することが大切です。

④ 入居の申し込みをする

内見して「ここに住みたい!」と思える物件が見つかったら、不動産会社を通じて「入居申込書」を提出します。これは、「この物件を借りたい」という意思表示であり、この申込書をもとに入居審査が行われます。

申込書には、自分の氏名、住所、勤務先、年収などの個人情報や、連帯保証人の情報などを記入します。申し込みの際には、運転免許証や健康保険証などの身分証明書の提示を求められることが一般的です。人気物件はすぐに他の人から申し込みが入ってしまう可能性もあるため、決断は早めに行うのが吉です。

⑤ 入居審査を受ける

申し込みが完了すると、大家さんや管理会社、保証会社による入居審査が行われます。審査では、主に「家賃を継続的に支払う能力があるか」「トラブルを起こさずに住んでくれる人物か」といった点がチェックされます。

審査にかかる期間は、通常3日〜1週間程度です。この間、申込者本人や勤務先、連帯保証人に確認の電話がかかってくることがあります。審査に通過すると、不動産会社から連絡があります。

⑥ 賃貸借契約を結ぶ

審査に通ったら、いよいよ賃貸借契約です。不動産会社の店舗などで、宅地建物取引士から「重要事項説明」を受け、契約書の内容を確認した上で署名・捺印します。

重要事項説明は、物件や契約に関する非常に大切な内容なので、分からないことがあればその場で必ず質問しましょう。契約時には、敷金、礼金、仲介手数料、前家賃、火災保険料などの「初期費用」を支払います。金額が大きくなるため、事前に準備しておきましょう。契約が完了すると、物件の鍵を受け取れます(通常は入居日当日かその前日)。

⑦ 引っ越しの準備と手続きを進める

契約が終わったら、入居日に向けて引っ越しの準備を本格的に進めます。

  • 引越し業者の手配:複数の業者から見積もりを取ると費用を比較できます。
  • 荷造り:不要なものを処分しながら計画的に進めましょう。
  • ライフラインの手続き:電気、ガス、水道の利用開始手続きをします。特にガスの開栓には立ち会いが必要です。
  • 役所での手続き:現在の市区町村役場で「転出届」を提出し、「転出証明書」を受け取ります。引っ越し後は、広島市の区役所で「転入届」を提出します。
  • その他:郵便局への転居届、運転免許証の住所変更、インターネット回線の契約なども忘れずに行いましょう。

これらのステップを計画的に進めることで、スムーズに新生活をスタートさせることができます。

後悔しない!広島市の賃貸物件探しの4つのポイント

こだわりたい条件に優先順位をつける、ライフスタイルに合った間取りを選ぶ、必要な設備が整っているか確認する、内見時にチェックすべき項目をリストアップしておく

数多くの物件の中から、自分にとって本当に満足できる一部屋を見つけるためには、いくつかのコツがあります。ここでは、広島市での物件探しで後悔しないための4つの重要なポイントを解説します。

こだわりたい条件に優先順位をつける

物件探しを始めると、「駅近がいい」「新築がいい」「家賃は安く」など、多くの希望が出てくるものです。しかし、すべての条件を100%満たす完璧な物件は、残念ながらほとんど存在しません。予算という制約がある中で、理想の物件に近づくためには、希望条件に優先順位をつけることが不可欠です。

まずは、「これだけは絶対に譲れない」という条件を2〜3個決めましょう。例えば、「家賃7万円以内」「通勤時間が30分以内」「ペット可」などです。これが物件探しの「軸」になります。

次に、「できれば満たしたいが、妥協も可能」という条件を考えます。「バス・トイレ別(シャワーとトイレが別ならOK)」「独立洗面台(無くても可)」「築10年以内(リフォーム済みなら15年でも可)」といった具合です。

このように優先順位を整理しておくことで、不動産会社の担当者にも希望が伝わりやすくなり、より的確な物件を紹介してもらえます。また、多くの物件情報に惑わされることなく、冷静な判断ができるようになります。

ライフスタイルに合った間取りを選ぶ

間取りは、日々の生活の快適さを大きく左右します。家賃や立地だけで決めず、自分のライフスタイルに本当に合っているかをじっくり考えましょう。

  • 在宅ワークが多い方:仕事に集中できるスペースを確保できるかどうかが重要です。1LDKや2K以上の間取りで、一部屋を仕事部屋として使うのが理想的です。ワンルームでも、デスクを置くスペースが十分にあるか、オンライン会議で背景に映り込むものを気にする必要がないかなどを確認しましょう。
  • 料理が好きな方:キッチンの広さや機能性を重視しましょう。コンロが2口以上あるか、調理スペースは十分か、冷蔵庫を置くスペースはあるかなどをチェックします。カウンターキッチンなら、料理をしながら家族とコミュニケーションが取れます。
    • 荷物が多い方:収納スペースの大きさが重要です。クローゼットや押入れの広さ・奥行きはもちろん、玄関にシューズボックスがあるか、洗面所に収納棚があるかなども確認しましょう。ウォークインクローゼットやトランクルーム付きの物件も検討の価値があります。
  • 友人をよく招く方:プライベートな寝室と、ゲストをもてなすリビングスペースを分けられる1LDK以上の間取りがおすすめです。玄関から部屋の中が丸見えにならないかもチェックポイントです。

自分の生活を具体的にシミュレーションすることで、最適な間取りが見えてきます。

必要な設備が整っているか確認する

最近の賃貸物件には、生活を便利で快適にする様々な設備が備わっています。ただし、設備が充実すればするほど家賃は高くなる傾向にあるため、自分にとって本当に必要な設備は何かを見極めることが大切です。

【人気の設備リスト】

  • セキュリティ関連:オートロック、モニター付きインターホン、防犯カメラ、ディンプルキー
  • 水回り:バス・トイレ別、独立洗面台、浴室乾燥機、追い焚き機能
  • キッチン:システムキッチン、2口以上コンロ、IHクッキングヒーター
  • その他:宅配ボックス、インターネット無料、エアコン、ウォークインクローゼット、24時間ゴミ出し可

例えば、一人暮らしの女性ならセキュリティ設備は優先度が高いでしょう。ネット通販をよく利用するなら宅配ボックスは非常に便利です。一方で、シャワーで済ませることが多く湯船に浸からないなら、追い焚き機能は不要かもしれません。自分の生活に照らし合わせて、設備の要・不要を判断しましょう。

内見時にチェックすべき項目をリストアップしておく

内見は、物件の良し悪しを判断する最大のチャンスです。しかし、実際に部屋に入ると舞い上がってしまい、見るべきポイントを見逃してしまうことがよくあります。そうならないために、事前にチェックリストを作成しておくことを強くおすすめします。

【内見チェックリストの例】

  • 室内
    • 日当たりと風通し(時間帯による変化も考慮)
    • 壁や床の傷、汚れ、シミ
    • 収納の広さ(扉を開けて奥行きも確認)
    • コンセントやテレビアンテナ端子の位置と数
    • エアコンの年式と状態
    • 携帯電話の電波状況
    • 水回りの水圧、排水、臭い
  • 共用部
    • 廊下や階段の清潔さ
    • ゴミ置き場の管理状況(曜日や時間も確認)
    • 駐輪場・駐車場の空き状況と場所
    • エレベーターの有無と清潔さ
  • 周辺環境
    • 駅やバス停までの実際の道のり(坂道、街灯の有無)
    • スーパー、コンビニ、ドラッグストアなどの場所
    • 周辺の騒音(交通量、工事、近隣の施設など)
    • 昼と夜の雰囲気の違い

これらのポイントを一つひとつ確認することで、「住んでみたら思っていたのと違った」という失敗を防ぐことができます。

広島市ならではの物件探しの注意点

交通手段として路面電車の利用も視野に入れる、市街地は坂が多いことを考慮する、ハザードマップで災害リスクを確認しておく

どの都市にも、その土地ならではの地理的・文化的な特徴があります。広島市で物件を探す際には、以下の3つのポイントを特に意識しておくと、より快適な住まい選びができます。

交通手段として路面電車の利用も視野に入れる

広島市外から引っ越してくる方が見落としがちなのが、「路面電車(広電)」の重要性です。一般的な物件探しでは「JRの駅から徒歩◯分」という基準で考えがちですが、広島市では「電停(路面電車の停留所)から徒歩◯分」も非常に重要な指標となります。

JR山陽本線は市を東西に貫いていますが、南北の移動や、JRの駅がない中心市街地の細かな移動には路面電車が絶大な威力を発揮します。JRの駅からは遠くても、最寄りの電停からなら紙屋町や八丁堀といった中心部へ一本で行ける、という物件は数多く存在します。

特に、中区、西区、南区で物件を探す場合は、JRの路線図だけでなく、必ず広電の路線図も確認しましょう。運行本数も非常に多く、市民の生活に深く根付いているため、路面電車を使いこなせると行動範囲が格段に広がります。家賃を少し抑えたい場合、JRの駅から少し離れた路面電車沿線の物件を狙うのは賢い選択肢の一つです。

市街地は坂が多いことを考慮する

広島市は、太田川が形成したデルタ(三角州)の上に市街地が広がっているため、中区や南区の沿岸部など中心部は平坦な土地が多いです。しかし、その平野部を抜けて少し内陸に入ると、急に坂道が多くなるのが広島市の地形的な特徴です。

特に、東区(中山、戸坂など)、西区(己斐上など)、安佐南区(山本、高取など)、安佐北区、佐伯区の丘陵地帯には、坂の上にある住宅街が数多く存在します。これらのエリアは、見晴らしが良く静かな住環境が魅力ですが、日々の移動には体力が求められます。

物件情報に「駅から徒歩15分」とあっても、その道のりが急な上り坂であれば、体感的な負担はかなり大きくなります。自転車での移動を考えている場合、電動アシスト自転車が必須になるかもしれません。車を所有していない方や、ベビーカーを利用する子育て世帯の方は特に、内見の際に駅から物件まで実際に歩いてみて、坂の勾配や道のりを確認することが絶対に必要です。

ハザードマップで災害リスクを確認しておく

安心して暮らすためには、防災の視点も欠かせません。広島市は、市の中央を太田川が流れ、周囲を山々に囲まれているという地形的特徴から、水害(洪水・高潮)と土砂災害のリスクを抱えています。

2014年には安佐南区や安佐北区で大規模な土砂災害が発生し、2018年の西日本豪雨では市内各所で浸水や土砂崩れの被害が出ました。こうした過去の教訓から、防災意識は非常に高まっています。

物件探しをする際には、デザインや設備だけでなく、その土地が持つ災害リスクについても必ず確認しましょう。広島市では、「広島市防災ポータル」というウェブサイトで、住所を入力するだけで洪水、土砂災害、高潮、津波などのハザードマップを簡単に確認できます。

気になる物件が見つかったら、契約前に必ずこのポータルサイトで災害リスクの有無を確認する習慣をつけましょう。浸水想定区域や土砂災害警戒区域に含まれていないかをチェックし、万が一のリスクに備えておくことが、自分や家族の命を守る上で非常に重要です。

広島市の賃貸物件探しにおすすめの不動産会社

広島市で賃貸物件を探す際には、大手ポータルサイトと地域密着型の不動産会社を併用するのが効率的です。それぞれの特徴を理解し、うまく活用しましょう。

大手不動産ポータルサイト

まずは、圧倒的な情報量を誇る大手ポータルサイトで、広島市全体の物件の傾向や家賃相場を掴むのが基本です。希望の条件で絞り込み検索ができるので、効率的に物件を探せます。

SUUMO(スーモ)

株式会社リクルートが運営する、日本最大級の不動産情報サイトです。掲載物件数が非常に多く、広島市の物件も豊富に揃っています。独自の検索機能や特集記事も充実しており、初心者でも使いやすいのが特徴です。まずはSUUMOで探し始めるという方も多いでしょう。
参照:SUUMO公式サイト

LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)

株式会社LIFULLが運営する不動産情報サイトです。「住みたい街ランキング」などの独自コンテンツが人気で、物件探しを多角的にサポートしてくれます。検索条件の細かさに定評があり、「こだわり条件」でより自分の理想に近い物件を絞り込めます。
参照:LIFULL HOME’S公式サイト

at home(アットホーム)

アットホーム株式会社が運営する、老舗の不動産情報サイトです。全国の不動産会社が加盟しており、特に地域密着型の不動産会社の情報が豊富なのが強みです。大手だけでなく、地元の小規模な不動産会社が扱う掘り出し物物件が見つかる可能性もあります。
参照:at home公式サイト

地域密着型の不動産会社

大手ポータルサイトと並行して、広島市に根差した不動産会社にも相談してみることをおすすめします。地元の大家さんとの繋がりが強く、サイトには掲載されていない「未公開物件」を紹介してくれたり、地域のリアルな情報(治安、学校の評判、おすすめのお店など)を教えてくれたりすることがあります。

良和ハウス

広島県内でトップクラスの管理戸数と仲介件数を誇る、地域を代表する不動産会社です。広島市内に多数の店舗を構えており、各エリアの物件情報に精通しています。豊富な物件の中から、希望に合ったものを提案してくれるでしょう。
参照:良和ハウス公式サイト

大和興産

広島市を中心に、賃貸仲介・管理、売買など不動産事業を幅広く手掛けている会社です。特に広島市中心部や学生向け物件に強みを持っています。地域に密着したきめ細やかなサービスが期待できます。
参照:大和興産公式サイト

ウンコム

「株式会社不動産情報センター」が運営する賃貸専門サイトで、「ウンコム」というユニークな名称で親しまれています。広島市での実績も長く、地元の情報に詳しいスタッフからアドバイスを受けられます。親しみやすい雰囲気で相談しやすいと評判です。
参照:ウンコム公式サイト

広島市の賃貸探しに関するよくある質問

治安が良いエリア、子育てしやすいエリア、学生の一人暮らしにおすすめのエリア、物件探しに最適な時期

最後に、広島市での賃貸物件探しに関して、多くの方が抱く疑問にお答えします。

治安が良いエリアはどこですか?

一概に「ここが一番安全」と断定はできませんが、一般的にファミリー層が多く住む閑静な住宅街は、比較的治安が落ち着いていると言われています。具体的には、西区の西部(古江・高須など)、安佐南区(祇園・古市・中筋など)、佐伯区(五日市など)の住宅地は、地域の目が行き届きやすく、静かな環境を求める方に人気があります。

一方で、中区の流川・薬研堀といった繁華街周辺は、夜間は賑やかで便利な反面、トラブルが発生する可能性も他のエリアよりは高くなります。

ただし、これはあくまで一般的な傾向です。最も大切なのは、実際に自分の目で確かめること。昼と夜、平日と休日で街の雰囲気は変わるので、可能であれば時間帯を変えて現地を訪れ、ご自身の感覚で「安心できる」と思える場所を選ぶことをおすすめします。

子育てしやすいエリアはどこですか?

広島市で子育て世代から特に人気が高いのは、安佐南区と佐伯区です。

  • 安佐南区:アストラムライン沿線を中心に、計画的に開発されたニュータウンが広がっています。公園や緑地が多く、歩道が広く整備されているため、子供とのお散歩もしやすいです。子育て支援センターや小児科なども充実しており、同世代のファミリーが多いことから、地域のコミュニティにも溶け込みやすいでしょう。
  • 佐伯区:こちらも新興住宅地が多く、子育て世帯が多く暮らしています。大型商業施設「THE OUTLETS HIROSHIMA」や「LECT」があり、車でのまとめ買いや休日のお出かけに便利です。

これらのエリア以外でも、各区に子育て支援の拠点があります。広島市の「子育て応援サイト『Fun Fun Fun!』」などで、お住まいの地域の支援情報を確認してみるのも良いでしょう。

学生の一人暮らしにおすすめのエリアはありますか?

通学する大学のキャンパスがある場所によっておすすめエリアは異なりますが、共通して言えるのは「通学のしやすさ」と「家賃の手頃さ」のバランスが良いエリアです。

  • 広島大学(東広島市)に通う場合:JR山陽本線の西条駅(東広島市)周辺が最も便利ですが、広島市内で探すなら、乗り換えなしで行ける広島駅周辺(南区・東区)や、天神川駅(南区)周辺が候補になります。
  • 広島市立大学(安佐南区)に通う場合:大学の近くである安佐南区(沼田・大塚エリア)が第一候補です。アストラムライン沿線の駅(大塚駅、広域公園前駅など)周辺は、通学に便利です。
  • 修道大学(安佐南区)に通う場合:こちらも安佐南区が中心になります。アストラムラインやバスの路線を考慮して物件を探しましょう。
  • 市中心部の専門学校などに通う場合:家賃を抑えたいなら、中心部(中区)から少し離れた西区東区がおすすめです。JRや路面電車で手軽に中心部へアクセスできます。

いずれの場合も、スーパーやコンビニが近くにあるかなど、生活の利便性も忘れずにチェックしましょう。

物件探しを始めるのに最適な時期はいつですか?

賃貸物件探しには、繁忙期(1月〜3月)閑散期(6月〜8月、11月頃)があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、ご自身の状況に合わせて最適な時期を選びましょう。

  • 繁忙期(1月〜3月)
    • メリット:転勤や進学に伴う引っ越しが集中するため、市場に出てくる物件数が最も多くなります。選択肢が豊富なので、理想の物件に出会える可能性が高まります。
    • デメリット:探している人も多いため、良い物件はすぐに埋まってしまいます。競争が激しく、家賃交渉なども難しい傾向にあります。不動産会社も忙しいため、じっくり相談する時間が取りにくいこともあります。
  • 閑散期(6月〜8月頃)
    • メリット:引っ越す人が少ないため、競争相手が少なく、じっくりと物件を探せます。空室期間を避けたい大家さんが、家賃や初期費用の交渉に応じてくれる可能性も高まります。
    • デメリット:市場に出回る物件数が少ないため、選択肢が限られます。

時間に余裕があるなら、物件数が比較的多く、繁忙期ほど混雑していない4月〜5月や、9月〜10月頃に探し始めるのが、バランスが取れていておすすめです。