「毎日を過ごす部屋だからこそ、心から満足できるおしゃれな空間で暮らしたい」
「ありきたりな間取りではなく、自分の個性を表現できるような部屋に住みたい」
東京で賃貸物件を探している方の中には、このような想いを抱いている方も多いのではないでしょうか。そんなこだわりのライフスタイルを求める方に最適な選択肢が「デザイナーズ賃貸マンション」です。
デザイナーズ賃貸は、建築家やデザイナーが独自のコンセプトに基づいて設計した、デザイン性の高い物件を指します。コンクリート打ちっ放しの壁、開放的な吹き抜け、大きな窓から光が差し込むリビングなど、一般的な賃貸物件にはない魅力的な空間が広がっています。
しかし、その一方で「家賃が高そう」「住みにくいのでは?」といった不安や疑問を感じる方も少なくありません。また、数多くの物件の中から、本当に自分に合った一室を見つけ出すのは簡単なことではありません。
この記事では、東京でデザイナーズ賃貸マンションを探している方に向けて、その魅力や注意点、上手な探し方を徹底的に解説します。デザイナーズ賃貸の基礎知識から、東京のエリア別家賃相場、内見時に必ずチェックすべきポイント、そしておすすめの賃貸情報サイトまで、網羅的にご紹介します。
この記事を最後まで読めば、デザイナーズ賃貸に関するあらゆる疑問が解消され、自信を持って理想の部屋探しを始められるようになるでしょう。 あなただけの特別な空間を見つけ、東京での毎日をより豊かに彩るための一歩を踏み出しましょう。
目次
デザイナーズ賃貸とは
まずはじめに、「デザイナーズ賃貸」とは具体的にどのような物件を指すのか、その定義と一般的な賃貸物件との違いを詳しく見ていきましょう。この言葉が持つ意味を正しく理解することが、理想の物件探しへの第一歩となります。
建築家やデザイナーが設計したこだわりの物件
デザイナーズ賃貸とは、建築家やデザイナーが、その独自の設計思想やコンセプトに基づいて創造した賃貸物件のことを指します。法律などで明確に定義されているわけではありませんが、一般的には、住む人のライフスタイルや感性に訴えかける、強いこだわりが反映された物件を総称してこのように呼びます。
建築家やデザイナーは、単に「住むための箱」を作るのではありません。彼らは、空間を構成する一つひとつの要素に意味を持たせ、独自の美学を追求します。
- 空間構成の妙: 一般的な物件では見られないような、大胆な空間の使い方(例えば、大きな吹き抜け、スキップフロア、ガラス張りのバスルームなど)を取り入れ、視覚的な広がりや生活の楽しさを演出します。
- 素材へのこだわり: コンクリート打ちっ放し、無垢材のフローリング、アイアン、タイル、特殊な塗装など、素材の質感や経年変化を楽しめるような建材を効果的に使用します。これにより、空間に深みと個性が生まれます。
- 光と風の設計: 大きな窓や天窓(トップライト)を設けて自然光を巧みに取り入れたり、風の通り道を計算して設計したりすることで、心地よく健やかな室内環境を創り出します。
- ディテールの追求: ドアノブ、スイッチプレート、水栓金具、照明器具といった細部に至るまで、全体のデザインコンセプトに調和するものを選定、あるいはオリジナルで製作することもあります。
これらのこだわりは、物件全体に統一された世界観を生み出し、画一的な集合住宅とは一線を画す、まるでアート作品のような佇まいを醸し出します。デザイナーズ賃貸に住むということは、単に便利な場所に住むのではなく、建築家の思想やデザイナーの感性という「付加価値」と共に暮らすことを意味するのです。それは、日々の暮らしに新たな発見や感動をもたらし、住む人のクリエイティビティを刺激する体験となるでしょう。
一般的な賃貸物件との違い
では、デザイナーズ賃貸と一般的な賃貸物件は、具体的にどのような点が異なるのでしょうか。両者の特徴を比較することで、デザイナーズ賃貸の輪郭がよりはっきりと見えてきます。以下の表に、主な違いをまとめました。
項目 | デザイナーズ賃貸 | 一般的な賃貸物件 |
---|---|---|
デザイン性 | 建築家やデザイナーの強いこだわりが反映され、独創的で個性的。 コンセプトが明確で、内外装に統一感がある。 | 機能性やコスト効率が重視され、多くの人に受け入れられやすい標準的・画一的なデザインが多い。 |
間取り | 吹き抜け、メゾネット、ロフト、円形の部屋など、ユニークで非定型的なプランが多い。開放感を重視する傾向。 | 2DK、3LDKなど、万人向けの機能的な間取りが中心。プライバシーと効率性を重視した部屋割り。 |
内装・建材 | コンクリート打ちっ放し、無垢材、タイル、ガラスなど、素材の質感を活かした特徴的な建材を多用。 | クロス貼りの壁、合板フローリングなど、コストパフォーマンスとメンテナンス性に優れた標準的な建材が主流。 |
設備 | デザイン性の高いシステムキッチン、タンクレストイレ、最新のIoT家電など、意匠性と機能性を両立した設備が導入されることがある。 | 給湯器、エアコン、ユニットバスなど、生活に必要十分な標準設備が中心。 |
家賃 | 設計・建築コストや希少価値が反映され、周辺相場よりも高い傾向にある。 | 市場の標準的な相場に基づいて設定される。 |
収納 | デザインを優先し、収納スペースが少ない、または「見せる収納」を前提としたオープンな収納が多い場合がある。 | クローゼットや押入れなど、実用性を重視した十分な収納スペースが確保されていることが多い。 |
ターゲット層 | ライフスタイルにこだわりがあり、デザイン性を重視する層。クリエイター、単身者、DINKS(子どものいない共働き夫婦)など。 | 学生、新社会人、ファミリー層など、幅広い層を対象とし、住みやすさや利便性を重視する。 |
このように、一般的な賃貸物件が「最大公約数的な快適さ」を追求するのに対し、デザイナーズ賃貸は「特定のライフスタイルや美意識を持つ人への深い共感」を追求していると言えます。
例えば、一般的な物件ではデッドスペースと見なされるような場所も、デザイナーズ物件ではあえて印象的な空間として活かすことがあります。壁が少なく開放的なワンルームは、プライバシーを重視するファミリーには不向きかもしれませんが、空間を自由に使いたいクリエイターにとっては理想的なアトリエ兼住居となり得ます。
どちらが良い・悪いという話ではなく、何を重視して住まいを選ぶかという価値観の違いです。自分のライフスタイルや価値観を深く見つめ、デザイナーズ賃貸が持つ独特の魅力と、一般的な賃貸物件が持つ実用性のどちらが自分に合っているかを考えることが、満足のいく部屋選びの鍵となるでしょう。
東京のデザイナーズ賃貸に住む5つのメリット
デザイン性の高さばかりが注目されがちなデザイナーズ賃貸ですが、実際に住むことで得られるメリットはそれだけではありません。ここでは、東京という大都市でデザイナーズ賃貸を選ぶことの具体的な5つのメリットを掘り下げていきます。
① デザイン性が高くおしゃれな空間で暮らせる
最大のメリットは、やはりその卓越したデザイン性の中で毎日を過ごせることです。自分の感性にぴったりと合う、洗練された空間に身を置くことは、日々の生活の質(QOL)を大きく向上させます。
朝、コンクリート打ちっ放しの壁に差し込む光で目覚め、夜は間接照明が照らす無垢材の床でリラックスする。そんな映画のワンシーンのような日常は、デザイナーズ賃貸ならではの体験です。自宅が単なる「寝に帰る場所」ではなく、「心を満たすための空間」へと変わります。
- 多様なデザインコンセプト: 東京のデザイナーズ賃貸は、そのデザインも多種多様です。ミニマルで無機質な「モダン」、温かみのある「ナチュラル」、インダストリアルな「ヴィンテージ」など、自分の好みに合わせて選べます。ガラス張りの壁で仕切られた大胆な空間もあれば、茶室のような静謐さを感じさせる和モダンな空間も存在します。
- インテリアが映える: 洗練された空間は、それ自体が最高の背景となります。お気に入りのソファやアート、照明などを置けば、まるでインテリア雑誌の1ページのような空間を自分で作り上げることができます。空間と家具が互いに引き立て合い、自分だけの世界観を表現する楽しさは格別です。
- 創造性の刺激: クリエイティブな仕事をしている人にとって、住環境はインスピレーションの源泉です。既成概念にとらわれない空間は、新たなアイデアや発想を生み出すきっかけを与えてくれるかもしれません。自宅で過ごす時間が長くなる現代において、住まいが創造性を刺激してくれることは大きなメリットと言えるでしょう。
このように、優れたデザインの空間で暮らすことは、日々の満足度を高めるだけでなく、自己表現の喜びや新たなインスピレーションを与えてくれる、非常に価値のある投資なのです。
② 開放感のある間取りが多い
東京の賃貸物件は、スペースが限られているため、どうしても窮屈に感じてしまうことがあります。しかし、デザイナーズ賃貸には、実際の面積以上に空間を広く感じさせる工夫が凝らされている物件が多くあります。
- 吹き抜け・高い天井高: デザイナーズ賃貸の代名詞とも言えるのが「吹き抜け」です。縦方向への広がりが生まれることで、圧倒的な開放感を得られます。リビングの上部が吹き抜けになっているだけで、視線が上に抜け、心地よい開放感が生まれます。また、吹き抜けでなくとも、一般的な賃貸物件の天井高(約2.4m)よりも高い2.7mや3mといった物件も珍しくありません。
- 大きな窓・採光設計: 壁一面の大きな窓や、床から天井まで届くハイサッシ、空からの光を取り込む天窓(トップライト)なども、開放感を演出する重要な要素です。東京の密集した市街地でも、巧みな設計によって明るく開放的な室内を実現しています。
- 壁の少ない間取り: 間仕切り壁を極力減らした大きなワンルームや、ガラスのパーテーションでゆるやかに空間を区切る間取りも特徴的です。視線が遮られないため、空間全体を一体として感じることができ、広々とした印象を与えます。
- スキップフロア: 部屋の中に短い階段で段差を設ける「スキップフロア」も、空間に変化と奥行きをもたらす手法です。同じフロア内でもゾーニングが生まれ、単調にならずリズミカルな空間構成を楽しめます。
こうした設計上の工夫により、たとえ専有面積がコンパクトなワンルームや1LDKであっても、閉塞感を感じることなく、のびのびとした気持ちで生活できます。物理的な広さだけでなく、体感的な広がりを重視する設計思想が、都心での暮らしにゆとりをもたらしてくれるのです。
③ 最新の設備が整っていることがある
デザイナーズ賃貸は、見た目のデザインだけでなく、暮らしの快適性を高める機能面にもこだわっている物件が少なくありません。特に築年数の浅い物件や、リノベーション物件では、一般的な賃貸物件よりもグレードの高い最新設備が導入されているケースが多く見られます。
- キッチン設備: デザイン性の高いシステムキッチンは代表例です。美しいだけでなく、IHクッキングヒーター、大型のシンク、食器洗い乾燥機、浄水器などがビルトインされていることもあります。料理好きにとっては、毎日の調理が楽しくなる魅力的なポイントです。
- バスルーム・トイレ: ガラス張りのシャワールーム、猫足のバスタブ、ホテルライクな洗面台など、バスルームもデザインの見せ所です。機能面でも、浴室乾燥機や追い焚き機能はもちろん、ミストサウナなどが付いていることも。トイレも、見た目がすっきりしたタンクレストイレや、手洗いカウンター付きのものが採用されやすい傾向にあります。
- 空調・セキュリティ: 天井埋め込み式のビルトインエアコンは、壁掛けタイプと違ってインテリアを邪魔せず、空間をすっきりと見せます。また、後述する防犯性の高さにもつながりますが、オートロックや防犯カメラ、TVモニター付きインターホンなどのセキュリティ設備も標準仕様となっている場合がほとんどです。
- スマートホーム対応: 近年では、スマートフォンで照明やエアコン、給湯器などを遠隔操作できるスマートホーム対応の物件も増えています。先進的なライフスタイルを求める人にとっては、大きな魅力となるでしょう。
ただし、注意点として、すべてのデザイナーズ賃貸が最新設備を備えているわけではありません。 築年数が古いヴィンテージ物件などでは、デザインを優先してあえてシンプルな設備に留めている場合もあります。設備を重視する場合は、内見時に一つひとつ仕様を確認することが重要です。
④ 防犯性が高く安心して暮らせる
特に女性の一人暮らしや、都心部で生活する上で、住まいの安全性は非常に重要な要素です。デザイナーズ賃貸は、物件の付加価値を高める一環として、防犯設備に力を入れている傾向があります。
- 高度なセキュリティシステム:
- オートロック: エントランスにオートロックが設置されているのは、もはや標準仕様と言えます。中には、エントランスと各住戸の玄関前で二重にチェックするダブルオートロックシステムを採用している物件もあります。
- 防犯カメラ: エントランス、エレベーター、廊下、駐車場など、共用部の各所に防犯カメラが設置されていることが多く、犯罪の抑止力となります。
- TVモニター付きインターホン: 訪問者の顔を確認してから解錠できるため、不要な訪問や不審者の侵入を防ぐのに効果的です。
- ディンプルキー: ピッキングに強いとされるディンプルキーや、カードキー、電子ロックなどを採用している物件も多く、不正解錠のリスクを低減します。
- プライバシーへの配慮: 設計段階からプライバシー保護が考慮されているのも特徴です。例えば、外からの視線が入りにくいように窓の位置が工夫されていたり、隣戸との間に空間を設けたり、玄関ドアが共用廊下から直接見えないように配置されていたりすることがあります。
もちろん、一般的な賃貸物件でもセキュリティの高いものは増えていますが、デザイナーズ賃貸は「安心」という価値を提供することもデザインの一部と捉えている場合が多いのです。都心での生活において、日々の安全が高度なレベルで確保されているという事実は、何物にも代えがたい精神的な安らぎをもたらしてくれるでしょう。
⑤ 自慢の部屋に友人を招待できる
ライフスタイルを重視する人にとって、住まいは自分自身を表現するキャンバスのようなものです。デザイン性の高い部屋は、友人や知人を招いた際に、会話のきっかけとなり、自分という人間をより深く知ってもらうための最高の舞台装置となります。
- コミュニケーションの活性化: 「この壁、コンクリートなんだ!」「この照明、おしゃれだね」といったように、部屋のディテールが自然と会話の糸口になります。自分のこだわりを話したり、相手の感想を聞いたりすることで、コミュニケーションがより豊かになります。
- ホームパーティーの楽しさ: 開放的なリビングやデザイン性の高いキッチンがあれば、ホームパーティーを開くのも一層楽しくなります。手料理を振る舞ったり、お気に入りの音楽を流したりしながら、心地よい空間で大切な人たちと時間を共有するのは、かけがえのない思い出となるでしょう。
- 自己肯定感の向上: 人から「素敵な部屋だね」と褒められることは、素直に嬉しいものです。自分の選んだ空間が評価されることで、自分のセンスに自信が持てるようになり、自己肯定感の向上にも繋がります。
- SNSでの発信: おしゃれな部屋は、写真映えも抜群です。インテリアや日々の暮らしの様子をSNSで発信すれば、多くの人から「いいね!」や共感を得られるかもしれません。自分のライフスタイルを発信することが好きな人にとっては、大きな魅力の一つです。
デザイナーズ賃貸に住むことは、単に個人的な満足感を得るだけでなく、他者との関係性を豊かにし、社会的な自己表現のツールともなり得るのです。
デザイナーズ賃貸に住む前に知りたい3つのデメリット
多くの魅力を持つデザイナーズ賃貸ですが、良い面ばかりではありません。契約してから「こんなはずではなかった」と後悔しないために、事前に知っておくべきデメリットや注意点もしっかりと理解しておきましょう。
① 家賃が相場より高い傾向にある
最も現実的で大きなデメリットは、家賃が周辺の同程度の広さ・築年数の一般的な賃貸物件と比較して高額になる傾向があることです。
- 高くなる理由:
- 設計・建築コスト: 著名な建築家やデザイナーに設計を依頼した場合の設計料や、コンクリート打ちっ放しのための型枠費用、特殊な建材の仕入れコストなど、初期投資が一般的な物件よりもかかっています。これらのコストが家賃に上乗せされるのは避けられません。
- 希少価値: デザイナーズ賃貸は、一般的な物件に比べて供給数が少なく、希少性が高いです。特に人気のエリアやデザインの物件は競争率も高くなるため、家賃は強気の価格設定になりがちです。
- 付加価値: 前述したデザイン性、開放感、最新設備といった「付加価値」に対する対価が家賃に含まれています。
- どのくらい高いのか: 一概には言えませんが、感覚的には同じエリア・広さの物件と比較して1割~3割程度、場合によってはそれ以上高くなることもあります。 例えば、相場が10万円のエリアであれば、11万円~13万円程度が目安となるでしょう。この差額を、デザイン性や満足度への投資として許容できるかどうかが、大きな判断基準となります。
- 対策:
- エリアを少しずらす: 都心の一等地から少し離れた駅やエリアで探すと、比較的リーズナブルなデザイナーズ物件が見つかることがあります。
- 築年数を考慮する: 新築や築浅にこだわらず、築年数が経過したリノベーション物件も視野に入れると、家賃を抑えられる可能性があります。
- 妥協点を見つける: 100%理想通りの物件は稀です。デザイン、立地、広さ、家賃など、自分の中で優先順位をつけ、「これだけは譲れない」という点以外は少し妥協することも大切です。
家賃は毎月発生する固定費です。自分の収入と支出のバランスを冷静に考え、無理のない範囲で物件を選ぶことが、長く快適に暮らし続けるための秘訣です。
② 収納スペースが少ない、または使いにくい場合がある
デザイン性を追求するあまり、生活における実用性、特に「収納」が犠牲になっているケースは少なくありません。見た目の美しさや空間の広がりを優先するため、クローゼットや押入れといった収納スペースが意図的に少なく設計されていることがあります。
- 「見せる収納」が前提の設計: デザイナーズ物件では、壁一面に作り付けの棚を設置したり、オープンなハンガーパイプを設けたりして、「見せる収納」を前提としていることがよくあります。これは、衣類や小物もインテリアの一部として楽しむという思想に基づいています。しかし、生活感のあるものを隠したい人や、整理整頓が苦手な人にとっては、かえってストレスの原因になりかねません。
- 収納の絶対量の不足: そもそもクローゼットが極端に小さい、あるいは全くないという物件も存在します。特にミニマルなデザインをコンセプトにした物件に多い傾向です。自分の持っている荷物の量を把握しておかないと、入居後に物が溢れかえってしまう事態に陥ります。
- 使いにくい形状の収納: 収納スペース自体はあっても、奥行きが浅すぎる、天井近くで使いにくい、柱が邪魔で効率的に使えないなど、形状が特殊で使い勝手が悪い場合もあります。
- 対策:
- 内見時の徹底チェック: 内見の際には、デザインに目を奪われるだけでなく、必ず全ての収納スペースの扉を開け、広さや奥行き、使い勝手を確認しましょう。
- 手持ちの荷物量を把握: 事前に自分の衣類、本、雑貨などがどのくらいの量あるのかを把握しておくことが重要です。収納ケースがいくつ必要か、などをシミュレーションしておくと良いでしょう。
- 収納家具の購入を検討: 物件の収納だけでは足りない場合、自分で収納家具を用意する必要があります。その際は、部屋のデザインに合うものを選ぶセンスが問われます。また、家具を置くスペースがあるかどうかも、内見時に確認しておく必要があります。
物がすっきりと片付いてこそ、デザイン性の高い空間は真価を発揮します。自分のライフスタイルや荷物の量と、物件の収納力を冷静に照らし合わせることが失敗を防ぐ鍵です。
③ 家具の配置が難しい個性的な間取りも
デザイナーズ賃貸の魅力であるユニークな間取りは、時として家具のレイアウトを著しく困難にするというデメリットにもなり得ます。
- 非定型的な部屋の形状:
- 斜めの壁や曲線の壁: 部屋の一部が斜めになっていたり、壁がカーブを描いていたりするデザインは、見た目にはおしゃれですが、市販の四角い家具を壁にぴったりと付けることができません。デッドスペースが生まれやすく、空間を効率的に使うのが難しくなります。
- 円形の部屋: まれに、部屋全体が円形という大胆な物件もあります。ベッドやソファ、テーブルなど、あらゆる家具の配置に工夫とセンスが求められます。
- 柱の存在: 空間の真ん中にデザイン上のアクセントとして大きな柱が立っている場合、その柱をどう活かすか、あるいはどう避けて家具を配置するかが課題となります。
- 窓やドアの配置: 壁一面がガラス張りであったり、ドアや窓が特殊な位置に設置されていたりすると、家具を置ける壁面が限られてしまいます。特に、背の高い本棚やキャビネットを置きたいと考えている場合は注意が必要です。
- スキップフロアやメゾネット: 空間に変化が生まれて楽しい反面、家具の搬入が難しくなったり、掃除が大変になったりすることもあります。階段下のスペースをどう活用するかなど、立体的な発想が求められます。
- 対策:
- 内見時の徹底的な採寸: これは必須項目です。メジャーを持参し、家具を置きたい場所の寸法をミリ単位で正確に測りましょう。 特に、冷蔵庫や洗濯機、ベッド、ソファといった大型家具の設置スペースは念入りに確認が必要です。
- 搬入経路の確認: 部屋の寸法だけでなく、玄関ドアの幅と高さ、廊下や階段の幅、エレベーターのサイズなど、家具を部屋まで運び入れるための「搬入経路」の採寸も忘れてはいけません。せっかく契約したのに、家具が入らないという悲劇は絶対に避けたいところです。
- 柔軟な発想: 既成概念にとらわれず、家具の配置をパズルのように楽しむ姿勢も大切です。あえて家具を壁から離して置いたり、部屋の真ん中にソファを配置したりすることで、新たな魅力が生まれることもあります。
- 造作家具の検討: どうしても市販の家具が合わない場合は、空間に合わせて家具をオーダーメイドする「造作家具」という選択肢もありますが、当然コストはかかります。
個性的な間取りは、住む人の創造力を試す挑戦状のようなものです。その挑戦を楽しめる人にとっては最高の空間ですが、効率性や利便性を最優先する人にとっては、ストレスの原因になる可能性も秘めていることを理解しておきましょう。
東京のデザイナーズ賃貸の家賃相場
デザイナーズ賃貸を検討する上で、最も気になるのが家賃相場です。ここでは、東京23区の主要エリア別、そして間取り別に、デザイナーズ賃貸の家賃がどのくらいなのかを見ていきましょう。一般的な賃貸物件の相場とも比較することで、より具体的な予算感を掴むことができます。
※下記の家賃相場は、複数の大手賃貸情報サイトの公開データを基にした2024年時点での目安です。実際の家賃は、物件の築年数、駅からの距離、設備、デザインの希少性などによって大きく変動します。
エリア別の家賃相場
デザイナーズ物件が多く、人気の高いエリアを中心に、一般的な賃貸物件とデザイナーズ賃貸の家賃相場を比較してみましょう。
エリア | 間取り | 一般的な賃貸の家賃相場(目安) | デザイナーズ賃貸の家賃相場(目安) |
---|---|---|---|
港区(麻布・六本木・青山) | 1R/1K | 12万円~16万円 | 14万円~20万円以上 |
1LDK | 22万円~30万円 | 25万円~40万円以上 | |
渋谷区(恵比寿・代官山) | 1R/1K | 11万円~15万円 | 13万円~18万円以上 |
1LDK | 20万円~28万円 | 23万円~35万円以上 | |
目黒区(中目黒・自由が丘) | 1R/1K | 9万円~12万円 | 11万円~15万円以上 |
1LDK | 16万円~22万円 | 18万円~26万円以上 | |
新宿区(神楽坂・四ツ谷) | 1R/1K | 9万円~13万円 | 11万円~16万円以上 |
1LDK | 16万円~23万円 | 18万円~28万円以上 | |
世田谷区(三軒茶屋・下北沢) | 1R/1K | 8万円~11万円 | 10万円~14万円以上 |
1LDK | 14万円~19万円 | 16万円~23万円以上 |
参照:SUUMO、HOME’S等の賃貸情報サイトの公開データ
この表から分かるように、いずれのエリアでも、デザイナーズ賃貸は一般的な物件に比べて2万円〜5万円、あるいはそれ以上高い家賃設定となっています。特に港区や渋谷区といった都心部では、その価格差はさらに大きくなる傾向があります。
港区や渋谷区は、ステータス性の高い高級デザイナーズマンションが集中しており、30万円、40万円を超える物件も珍しくありません。一方、目黒区や世田谷区では、比較的手の届きやすい価格帯のおしゃれな物件も見つけやすく、デザイン性と住環境のバランスを重視する層に人気です。
家賃を抑えたい場合は、杉並区、中野区、品川区、大田区といったエリアまで範囲を広げて探してみると、掘り出し物のデザイナーズ物件に出会える可能性が高まります。
間取り別の家賃相場
次に、東京23区全体で見た場合の間取り別の家賃相場を見てみましょう。一人暮らし向けからファミリー向けまで、どの程度の予算が必要になるかの参考にしてください。
間取り | 一般的な賃貸の家賃相場(目安) | デザイナーズ賃貸の家賃相場(目安) | 主な特徴・注意点 |
---|---|---|---|
ワンルーム (1R) / 1K | 8万円~11万円 | 10万円~15万円 | コンパクトながらも、ロフトやメゾネット、高い天井高などで空間を広く見せる工夫が凝らされた物件が多い。収納が少ない傾向にあるため、荷物の少ない人向け。 |
1LDK | 14万円~20万円 | 16万円~25万円 | DINKSや、ゆったりと暮らしたい単身者に最も人気の間取り。リビングのデザインにこだわった物件が多く、選択肢も豊富。予算と理想のバランスが取りやすい。 |
2LDK | 20万円~30万円 | 23万円~35万円以上 | 小さな子どものいるファミリーや、書斎・仕事部屋が欲しいカップル向け。物件数は1LDKに比べると減少する。プライバシーとデザイン性の両立がポイント。 |
3LDK以上 | 28万円~ | 35万円~ | ファミリー向けの大型デザイナーズ物件。供給数はかなり少なく、希少性が高い。都心部ではタワーマンションの高層階など、高級物件が中心となる。 |
参照:SUUMO、HOME’S等の賃貸情報サイトの公開データ
やはり、どの間取りにおいても、デザイナーズ賃貸は一般的な物件よりも2割〜3割程度高いことが分かります。
一人暮らし向けのワンルームや1Kでも、家賃10万円以上がひとつの目安となります。デザインにこだわった分、家賃が高くなるのは仕方ないですが、その価値があると感じられるかどうかが重要です。
1LDKはデザイナーズ物件の供給が最も多いボリュームゾーンであり、様々なデザインや価格帯の物件から選ぶことができます。ライフスタイルを重視するカップルや単身者にとって、最も現実的で魅力的な選択肢と言えるでしょう。
家賃相場を把握した上で、自分の収入に見合った無理のない予算を設定し、その範囲内で最高の物件を探すこと。 これが、憧れのデザイナーズ賃貸での生活を長く楽しむための最も重要なポイントです。
おしゃれなデザイナーズ賃貸が多い東京のエリア
東京23区にはそれぞれ異なる魅力がありますが、中でも特におしゃれなデザイナーズ賃貸が集まるエリアが存在します。ここでは、代表的な5つの区をピックアップし、その街の特徴や、なぜデザイナーズ物件が多いのかを解説します。
港区
(麻布、六本木、青山、白金など)
- 街の特徴: 東京を代表する高級住宅街であり、ビジネス、商業、文化の最先端が集まるエリア。外資系企業や大使館が多く、国際色豊かな洗練された雰囲気が漂います。有名ブランドの旗艦店や高級レストラン、美術館などが点在し、常に時代の先端を行く刺激的な街です。
- デザイナーズ物件の特徴: 「ハイクラス」「ラグジュアリー」がキーワード。著名な建築家が手がけたランドマーク的なマンションや、眺望の良いタワーマンション、プライベート性の高い低層レジデンスなどが数多く存在します。最新の設備はもちろん、フィットネスジムやプール、コンシェルジュサービスといった共用施設が充実している物件も珍しくありません。
- なぜ多いのか: 高い家賃を支払える富裕層や外国人エグゼクティブからの需要が安定して高いため、デベロッパーもコストをかけてデザイン性の高い物件を建設する傾向にあります。ステータスを重視する層にとって、港区のデザイナーズマンションに住むこと自体が一種のブランドとなっています。
- こんな人におすすめ: 経済的に余裕があり、都心ならではの刺激的で上質な暮らしを求める人。職住近接を重視するビジネスパーソン。
渋谷区
(恵比寿、代官山、広尾、神宮前など)
- 街の特徴: 若者文化の発信地である渋谷駅周辺から、落ち着いた大人の街・恵比寿、ファッションとカルチャーの街・代官山まで、多様な顔を持つエリア。クリエイティブ産業が集積しており、常に新しいトレンドが生まれています。交通の便が非常に良く、どこへ行くにもアクセス抜群です。
- デザイナーズ物件の特徴: 「クリエイティブ」「トレンド感」がキーワード。流行に敏感な層をターゲットにした、先鋭的で遊び心のあるデザインの物件が豊富です。コンパクトながらも機能的でおしゃれなSOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)可の物件も多く、フリーランスやクリエイターに人気があります。
- なぜ多いのか: アパレル、IT、デザインといったクリエイティブ系の企業が多く、そこで働く人々の感性に合う住まいへの需要が高いことが理由です。また、土地の価格が高く、狭小地に建てられることが多いため、設計の工夫によって付加価値を高めたデザイナーズ物件が生まれやすい土壌があります。
- こんな人におすすめ: ファッションやカルチャーに敏感で、時代の最先端を感じながら暮らしたい人。仕事とプライベートをシームレスに楽しみたいクリエイターやフリーランス。
目黒区
(中目黒、自由が丘、学芸大学、祐天寺など)
- 街の特徴: 都心へのアクセスの良さと、落ち着いた住環境を両立した人気のエリア。目黒川沿いの桜並木で知られる中目黒、洗練されたショップが並ぶ自由が丘など、おしゃれでありながらもどこか肩の力が抜けた雰囲気が魅力です。センスの良いカフェや雑貨店、インテリアショップが多く、散策するだけでも楽しめます。
- デザイナーズ物件の特徴: 「ライフスタイル」「ナチュラル&モダン」がキーワード。都心の喧騒から少し離れ、自分らしい丁寧な暮らしを志向する人向けの物件が多いです。コンクリート打ちっ放しに無垢材のフローリングを組み合わせるなど、無機質さと温かみを融合させたバランスの良いデザインが人気を集めています。
- なぜ多いのか: 「おしゃれな街に住みたいが、渋谷や港区ほど騒がしいのは苦手」という層からの根強い需要があります。住環境を重視するデベロッパーや個人オーナーが多く、周辺の街並みに溶け込むような、質の高いデザイナーズ物件が供給されています。
- こんな人におすすめ: 都心への利便性は保ちつつ、落ち着いた環境で暮らしたい人。インテリアやカフェ巡りが好きで、日々の暮らしそのものを楽しみたい人。
新宿区
(神楽坂、四ツ谷、西新宿、早稲田など)
- 街の特徴: 日本最大のターミナル駅である新宿駅を擁し、交通の要衝として圧倒的な利便性を誇ります。超高層ビルが立ち並ぶオフィス街、石畳の路地が風情を醸し出す神楽坂、緑豊かな新宿御苑周辺、学生街の早稲田など、エリアごとに全く異なる表情を見せる多様性の街です。
- デザイナーズ物件の特徴: 「利便性」「多様性」がキーワード。西新宿のタワーマンションから、神楽坂の和モダンな低層マンション、リノベーションによって生まれ変わった個性的な物件まで、バリエーションが非常に豊かです。他の人気エリアに比べると、比較的リーズナブルなデザイナーズ物件が見つかることもあります。
- なぜ多いのか: 交通利便性を最優先に考える層からの圧倒的な需要があるため、新築・中古を問わず常に物件が供給されています。また、昔からの建物や町工場などをリノベーションしたユニークな物件が生まれやすいエリアでもあります。
- こんな人におすすめ: とにかく交通の便を重視する人。多様な文化が混在する刺激的な環境を楽しみたい人。様々なタイプのデザイナーズ物件を比較検討したい人。
世田谷区
(三軒茶屋、下北沢、二子玉川、成城など)
- 街の特徴: 23区で最も人口が多く、広大な面積を持つ区。サブカルチャーの聖地・下北沢、都心に近く活気のある三軒茶屋、自然豊かでファミリーに人気の二子玉川、閑静な高級住宅街の成城など、多彩な魅力を持つ街が点在しています。全体的に緑が多く、公園なども整備されており、住環境の良さには定評があります。
- デザイナーズ物件の特徴: 「住環境」「個性的」がキーワード。低層の集合住宅やメゾネットタイプの物件が多く、ゆったりとした敷地に建てられたものも少なくありません。建築家が自邸を兼ねて設計したこだわりの物件や、遊び心のあるリノベーション物件など、一点ものの個性的な物件に出会える可能性が高いエリアです。
- なぜ多いのか: 広い土地を確保しやすいため、独創的なデザインを実現しやすいという背景があります。また、住環境を重視するファミリー層や、自分らしいライフスタイルを求める単身者・カップルからの需要が高く、それに応える形で個性的な物件が供給されています。
- こんな人におすすめ: 都心から少し離れても、静かで緑の多い環境で暮らしたい人。画一的ではない、自分だけの特別な一室を探している人。
失敗しないデザイナーズ賃貸のおしゃれな物件の探し方
憧れのデザイナーズ賃貸ですが、やみくもに探し始めても理想の一室にはなかなかたどり着けません。ここでは、効率的かつ効果的に、失敗なくおしゃれな物件を見つけるための具体的な探し方のステップとコツを解説します。
こだわり条件で「デザイナーズ」を指定して検索する
物件探しの第一歩は、大手の総合賃貸情報サイトを活用することです。SUUMOやHOME’S、CHINTAIといったサイトは、掲載物件数が圧倒的に多く、まずは市場にどのような物件があるのかを広く把握するのに最適です。
- エリアと家賃上限を設定する: まずは住みたいエリア(複数可)と、毎月支払える家賃の上限を現実的な範囲で設定します。ここを曖昧にすると、際限なく探し続けることになってしまいます。
- 「こだわり条件」を活用する: 各サイトには、詳細な条件を指定して物件を絞り込む「こだわり条件」の機能があります。ここで、必ず「デザイナーズ物件」の項目にチェックを入れましょう。 これが基本中の基本です。
- フリーワード検索を使いこなす: 「デザイナーズ」という括りだけでは、好みのデザインに出会えないこともあります。そこで強力な武器になるのが「フリーワード検索」です。自分が理想とする空間のキーワードを入力してみましょう。
- 具体的なキーワード例:
- 内装・素材系: 「コンクリート打ちっ放し」「無垢材」「タイル貼り」「アイアン」「スケルトン」
- 間取り・構造系: 「吹き抜け」「メゾネット」「ロフト」「スキップフロア」「天井高い」
- 設備系: 「アイランドキッチン」「猫足バス」「ガラス張り」「ルーフバルコニー」
- これらのキーワードを複数組み合わせることで(例:「メゾネット コンクリート」)、より自分の理想に近い物件をピンポイントで探し出すことができます。
- 具体的なキーワード例:
この段階では、まだ「広く浅く」情報を集めることが目的です。少しでも気になった物件は、お気に入りリストにどんどん追加していきましょう。これにより、自分の好みの傾向や、そのエリアの相場観が自然と身についてきます。
複数の賃貸情報サイトを比較検討する
一つのサイトだけで物件探しを完結させてしまうのは非常にもったいないです。必ず複数の賃貸情報サイトを並行してチェックしましょう。 なぜなら、サイトによって掲載されている物件や情報が異なる場合があるからです。
- サイトによる掲載物件の違い:
- 不動産会社との関係性: 各賃貸サイトは、それぞれ異なる不動産会社と提携しています。そのため、Aサイトにしか載っていない「独占物件」や、Bサイトの方が情報更新が早い物件、といったケースが存在します。
- 情報の鮮度: 人気のデザイナーズ物件は、情報が公開されるとすぐに申し込みが入ってしまうことも珍しくありません。複数のサイトを定期的にチェックすることで、新着物件を見逃すリスクを減らせます。
- サイトごとの強みと特徴:
- SUUMO: 圧倒的な物件数を誇り、検索機能も非常に使いやすい。まずはここで全体像を掴むのが王道です。
- HOME’S: 物件の写真が豊富な傾向にあり、空間のイメージを掴みやすい。「見える!賃貸」など、独自のコンテンツも充実しています。
- CHINTAI: 独自の特集記事やキャンペーンが多く、違った切り口から物件を探す楽しさがあります。
最低でも大手の2〜3サイトはブックマークしておき、毎日、あるいは2日に1回は新着情報をチェックする習慣をつけることをおすすめします。良い物件との出会いはタイミングが全てです。そのタイミングを逃さないためにも、複数の情報源を持っておくことが極めて重要になります。
デザイナーズ物件に特化したサイトを活用する
大手の総合サイトで全体像を掴んだら、次はいよいよ「デザイナーズ物件」や「リノベーション物件」に特化した専門サイト(ポータルサイト)の活用です。これらのサイトは、物件探しの質を格段に向上させてくれます。
- 特化型サイトのメリット:
- 物件のセレクトセンス: そもそも掲載されている物件が、サイト運営者の独自の目線で厳選されています。そのため、一つひとつの物件のクオリティが高く、ただ眺めているだけでも楽しめます。
- 写真と文章のクオリティ: 物件の魅力を最大限に引き出す、美しくクオリティの高い写真が多数掲載されています。また、単なるスペックの羅列ではなく、その物件の持つストーリーやコンセプト、住んだ際の暮らしのイメージなどを、プロのライターが情緒豊かに綴った紹介文も魅力です。
- 独自の検索軸: 「ガレージ付き」「屋上あり」「DIY可能」「ヴィンテージ」など、住む人のライフスタイルに寄り添った、ユニークな切り口で物件を検索できます。
- 掘り出し物との出会い: 大手サイトには掲載されていない、小規模な不動産会社が扱う隠れた名物件や、これから募集が開始される「先行情報」などが見つかることもあります。
この後の章で詳しく紹介しますが、「R-STORE」や「goodroom」といったサイトが代表的です。これらのサイトは、もはや単なる物件情報サイトではなく、ライフスタイルを提案するメディアとしての側面も持っています。
探し方の王道フローは、「①大手サイトで広く探し、相場観を養う → ②特化型サイトで深く探し、心に響く物件を見つける」という流れです。この両輪をうまく回すことで、効率的に、そして満足度の高い物件探しが実現できるでしょう。
内見時に必ずチェックすべき4つのポイント
Webサイトで心惹かれる物件を見つけたら、次はいよいよ「内見」です。写真はあくまで物件の一側面を切り取ったもの。実際にその空間に身を置き、五感で感じることが何よりも重要です。特にデザイナーズ賃貸は、デザインに目を奪われて基本的なチェックを怠りがち。後悔しないために、内見時に必ず確認すべき4つのポイントを押さえておきましょう。
① 生活動線がスムーズか確認する
おしゃれな空間であることと、暮らしやすい空間であることは、必ずしもイコールではありません。 自分の日々の動きを具体的にシミュレーションし、生活動線に無理がないかを確認することが極めて重要です。
- 朝のシミュレーション:
- 「ベッドで目覚めて、トイレに行き、顔を洗って、キッチンでコーヒーを淹れ、着替えて玄関から出発する」という一連の流れを頭の中で(あるいは実際に歩いて)トレースしてみましょう。
- その際に、洗面所が極端に狭くないか、クローゼットと玄関が離れすぎていないか、キッチンでの作業スペースは十分か、といった点を確認します。
- 夜のシミュレーション:
- 「玄関に帰ってきて、荷物を置き、手を洗い、リビングでくつろぎ、お風呂に入って、寝室へ向かう」という流れも同様です。
- 特に、キッチンとダイニング、リビングの関係性は重要です。料理をしながらテレビを見たい、配膳や片付けをスムーズに行いたい、といった希望がある場合、その動線が確保されているかを確認しましょう。
- 家事動線のチェック:
- 洗濯動線は特に見落としがちです。「洗濯機から物干しスペース(ベランダや浴室乾燥機)までの距離は?」「取り込んだ洗濯物をたたむ場所は?」「それを収納する場所はどこか?」といった一連の動きがスムーズに行えるかを確認します。
- 掃除機をかける際に、部屋の隅々までコンセントが届くか、収納場所から掃除機を出し入れしやすいかもチェックポイントです。
デザインの面白さを追求した結果、生活動線が複雑になっている物件も少なくありません。 毎日繰り返される動作だからこそ、少しのストレスが積み重なって大きな不満に繋がります。自分のライフスタイルと照らし合わせ、その間取りが本当に自分に合っているかを冷静に判断しましょう。
② 手持ちの家具が収まるか採寸する
「一目惚れして契約したのに、愛用のソファが入らなかった…」これはデザイナーズ賃貸で起こりがちな悲劇の代表例です。個性的な間取りだからこそ、メジャー持参での徹底的な採寸は絶対に欠かせません。
- 設置スペースの採寸:
- 必須採寸リスト: ベッド、ソファ、ダイニングテーブル、テレビボード、冷蔵庫、洗濯機、本棚、デスクなど、自分が持っている(あるいは購入予定の)大型家具・家電のサイズを事前にメモしておきましょう。
- 内見時には、それらを置きたい場所の「幅」「奥行き」「高さ」を正確に測り、メモと比較します。壁が斜めだったり、柱があったりする場合は、特に慎重な採寸が必要です。
- 洗濯機パンと冷蔵庫置き場のサイズは特に重要です。ドラム式洗濯機などはサイズが大きいので要注意です。
- 搬入経路の採寸:
- 部屋の中にスペースがあっても、そこまでたどり着けなければ意味がありません。家具を運び込むための「搬入経路」の採寸を忘れないようにしましょう。
- チェックポイント:
- エントランス、共用廊下の幅
- エレベーターの扉の高さ・幅、内部の奥行き
- 階段の幅、踊り場のスペース
- 玄関ドアの開口部の高さ・幅
- 室内の廊下やドアの幅
- 特に、曲がり角や狭い通路がある場合は、家具を回転させられるだけのスペースがあるかどうかも重要です。不動産会社の担当者に確認し、場合によっては写真も撮っておくと安心です。
採寸は少し面倒に感じるかもしれませんが、この一手間を惜しむと、後で家具を買い替えたり、クレーンでの吊り上げ搬入で高額な費用が発生したりする可能性があります。「測るまでは、入ると信じない」くらいの気持ちで臨みましょう。
③ コンセントの位置と数を確認する
現代生活における生命線とも言えるのが「コンセント」です。 その位置と数も、暮らしの快適さを大きく左右する重要な要素ですが、意外と見落としがちです。
- 位置の確認:
- 「こんなところに?」という意外な場所にコンセントがあったり、「なぜここに無いの?」という場所に無かったりするのがデザイナーズ物件です。
- 家具の配置とセットで考える: 「ベッドの枕元にスマホ充電用のコンセントはあるか?」「ソファの近くに間接照明用のコンセントはあるか?」「デスク周りにPCやモニター用のコンセントは十分か?」など、家具を置いた状態を想像しながら位置を確認します。家具でコンセントが隠れてしまい、使えなくなるケースも多いので注意が必要です。
- キッチン周り: 冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、コーヒーメーカー、トースターなど、キッチンは家電の密集地帯です。必要な数のコンセントが、使いやすい位置にあるかを確認しましょう。
- テレビアンテナ端子やLANポートの位置も同時に確認し、テレビやルーターの配置を考えます。
- 数の確認:
- 各部屋、各壁面にコンセントがいくつあるかを数えましょう。延長コードを使えば解決できることもありますが、見た目がごちゃごちゃしてしまい、せっかくのデザインを損なう原因になります。
- 特に、PC作業や音楽・映像鑑賞など、多くの電子機器を使う趣味がある人は、コンセントの数は多ければ多いほど安心です。
コンセントの位置と数は、図面だけでは分からないことが多いです。内見時に自分の目で見て、指で触って、その場所を確かめることが大切です。
④ 周辺の環境や日当たりもチェックする
最後に、部屋の中だけでなく、窓の外や建物の周りにも目を向けることを忘れないでください。どんなに素敵な部屋でも、周辺環境が悪ければ快適な生活は送れません。
- 日当たりと眺望:
- 時間帯による変化: 可能であれば、日当たりの良い時間帯(午前中〜昼過ぎ)に内見するのがベストです。主要な窓がどの方角を向いているかを確認し、季節による太陽の高さの違いも想像してみましょう。夏は涼しく、冬は暖かいのが理想です。
- 窓からの景色: 窓を開けて、外の景色を確認します。目の前に別の建物が迫っていて圧迫感がないか、墓地や騒がしい施設が見えないかなどもチェックポイントです。
- 騒音・匂い:
- 音のチェック: しばらく部屋の中で静かにして、外から聞こえてくる音に耳を澄ませてみましょう。幹線道路の交通量、線路の音、近隣の工場や飲食店の騒音、子どもの声など、気になる音はないか確認します。窓を閉めた状態と開けた状態の両方でチェックするのがポイントです。
- 匂いのチェック: 近くに飲食店や工場などがある場合、窓を開けると匂いが入ってくることがあります。
- 共用部の確認:
- エントランス、廊下、ゴミ置き場、駐輪場など、共用部が清潔に保たれているかを確認します。共用部の管理状態は、そのマンションの管理品質や住民の民度を測るバロメーターになります。
- 周辺施設の確認:
- 内見の前後には、必ず自分の足で最寄り駅から物件まで歩いてみましょう。 不動産情報に記載されている「徒歩◯分」は、実際の体感とは異なることがあります。
- 坂道の有無、街灯の数、夜道の明るさや安全性などを確認します。
- スーパー、コンビニ、ドラッグストア、病院など、生活に必要な施設がどこにあるか、その距離感も把握しておくと、新生活のイメージがより具体的に湧いてきます。
これらのポイントを一つひとつ丁寧にチェックすることで、「デザインは最高だけど、住んでみたら不便だった」というミスマッチを防ぎ、心から満足できるデザイナーズ賃貸ライフを送ることができるでしょう。
東京のデザイナーズ賃貸が探せるおすすめサイト12選
大手の総合サイトに加え、独自の視点で物件をセレクトする特化型サイトを併用することが、理想のデザイナーズ賃貸を見つけるための鍵です。ここでは、東京のデザイナーズ物件探しで特に評価の高い、おすすめの賃貸情報サイトを12個厳選してご紹介します。
① R-STORE
「掘り出し物件、発掘サイト」というキャッチコピーの通り、宝探しのような感覚でワクワクしながら部屋探しができるサイトです。デザイン性の高い物件はもちろん、「ちょっと変わった」個性的な物件を数多く紹介しています。物件の紹介文が秀逸で、まるで物語を読むようにその部屋の魅力を知ることができます。
参照:R-STORE 公式サイト
② goodroom
「ここちよい暮らしを、もっと」をコンセプトに、オリジナルリノベーションブランド「TOMOS」の物件を中心に紹介しています。無垢材のフローリングを使った温かみのあるデザインが特徴で、ナチュラルテイストが好きな方には特におすすめです。スタッフによる丁寧な部屋のレビューも参考になります。
参照:goodroom 公式サイト
③ モダンスタンダード
都心の高級賃貸に特化したサイトです。タワーマンション、ペントハウス、高級低層レジデンスなど、港区や渋谷区を中心としたハイクラスなデザイナーズ物件を専門に扱っています。家賃20万円以上の物件が中心で、富裕層やエグゼクティブ向けのサービスが充実しています。
参照:モダンスタンダード 公式サイト
④ SUUMO
リクルートが運営する、言わずと知れた国内最大級の不動産情報サイトです。圧倒的な物件掲載数が最大の魅力。「デザイナーズ」での絞り込みはもちろん、フリーワード検索を駆使することで、膨大な情報の中から理想の物件を探し出すことができます。まずはここで相場観を養うのが王道です。
参照:SUUMO 公式サイト
⑤ CHINTAI
「暮らしを豊かにする情報を提供」を掲げる大手不動産情報サイト。SUUMOと並ぶ物件数を誇り、幅広い選択肢から探すことができます。独自の特集やキャンペーンも頻繁に行われており、様々な切り口で物件探しを楽しめます。
参照:CHINTAI 公式サイト
⑥ リノベる。
中古マンションの購入とリノベーションをワンストップで提供するサービスが有名ですが、リノベーション済みの賃貸物件も扱っています。豊富な施工事例から、自分の好みのデザインテイストを見つけるヒントが得られます。質の高いリノベーション物件を探している方におすすめです。
参照:リノベる。 公式サイト
⑦ 東京デザイン不動産
その名の通り、東京のデザイン性の高い不動産に特化したサイトです。建築家が設計した新築物件から、こだわりのリノベーション物件まで、独自のネットワークで集めた質の高い物件が揃っています。プロの目線でセレクトされた物件だけを見たいという方に最適です。
参照:東京デザイン不動産 公式サイト
⑧ TATO DESIGN
建築家と不動産のプロが運営する、デザイン感度の高い層に向けたサイト。「建築家と暮らす」をテーマに、アート性の高いユニークな物件や、まだ世に出ていない希少な物件情報を扱っています。他では見つからないような、特別な一室を探している方は必見です。
参照:TATO DESIGN 公式サイト
⑨ デザイナーズマンション
サイト名がそのまま「デザイナーズマンション」という、専門性の高いポータルサイトです。東京だけでなく全国のデザイナーズ物件を網羅しており、エリアやこだわりの条件で絞り込みやすいのが特徴。シンプルな作りで、目的の物件にたどり着きやすい構成になっています。
参照:デザイナーズマンション 公式サイト
⑩ a-TOM
都市型デザイナーズマンションの企画・開発から賃貸管理までを手がける「アトム」の公式サイト。自社ブランド「a-TOM(アトム)」シリーズの物件を中心に紹介しています。白を基調としたシンプルモダンで洗練されたデザインが特徴です。
参照:a-TOM 公式サイト
⑪ SOHO賃貸
SOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)として利用可能な賃貸物件に特化したサイトです。デザイン性の高い物件も多く、フリーランスやスタートアップ、クリエイターにとって非常に有用な情報源となります。住居兼事務所を探している方は、まずこのサイトをチェックしてみましょう。
参照:SOHO賃貸 公式サイト
⑫ TPO
「Tokyo Property Online」の略で、リノベーション、ヴィンテージ、DIY可能物件など、明確なコンセプトを持つ物件をセレクトして紹介しています。ライフスタイルから部屋を探すというコンセプトが特徴的で、自分の価値観に合った住まいを見つけやすいサイトです。
参照:TPO 公式サイト
デザイナーズ賃貸に関するよくある質問
最後に、デザイナーズ賃貸を探している多くの方が抱く、共通の疑問にお答えします。これまでの内容のまとめも兼ねて、ぜひ参考にしてください。
デザイナーズ賃貸の明確な定義はありますか?
結論から言うと、デザイナーズ賃貸に法律などで定められた明確な定義はありません。
これは不動産業界における一種の「呼称」であり、どの物件を「デザイナーズ」として扱うかは、それを紹介する不動産会社や物件のオーナーの判断に委ねられているのが現状です。
一般的には、「建築家やデザイナーが、明確なコンセプトや設計思想を持って手掛けた、デザイン性に優れた物件」を指します。しかし、その基準は曖昧です。例えば、
- 著名な建築家が設計した、独創性の高い物件
- 壁がコンクリート打ちっ放しである、というだけで「デザイナーズ」と謳われる物件
- 既存の物件をリノベーションしておしゃれにした物件
これら全てが「デザイナーズ賃貸」として市場に出ています。そのため、「デザイナーズ」という言葉だけに惑わされるのではなく、大切なのは、その物件のデザインが本当に自分の感性に合っているか、そしてライフスタイルにフィットするかどうかを、あなた自身の目で見て判断することです。
Webサイトの写真や紹介文を参考にしつつも、最終的には内見で実際の空間を体感し、その物件が持つ「こだわり」が自分にとって価値のあるものかを見極める姿勢が重要になります。
家賃は普通の物件と比べてどのくらい高くなりますか?
これも一概に「いくら」と断言することは難しいですが、一般的に、同じエリア・広さ・築年数の物件と比較して、家賃は1割〜3割程度高くなる傾向にあります。
例えば、家賃相場が10万円のエリアであれば11万円〜13万円、20万円のエリアであれば22万円〜26万円程度が一つの目安となるでしょう。もちろん、超有名建築家が手掛けた物件や、都心の一等地にあるハイクラスな物件であれば、相場の倍以上の家賃になることも珍しくありません。
この価格差は、
- 設計料やデザイン料
- コンクリート打ちっ放しや無垢材といった高価な建材費
- 供給数が少なく希少性が高いことによる付加価値
などが上乗せされているためです。
この割高な家賃を、「無駄なコスト」と考えるか、「日々の満足度やQOLを高めるための投資」と考えるかは、個人の価値観によります。毎月の支払いになる固定費ですので、ご自身の収入とライフスタイルをよく考慮し、無理のない範囲で、価格に見合う価値を感じられる物件を選ぶことが大切です。
一人暮らし向けのデザイナーズ賃貸はありますか?
はい、豊富にあります。むしろ、デザイナーズ賃貸は一人暮らしの方にこそ、非常に人気があり、おすすめの選択肢と言えます。
デザイナーズ物件は、ワンルームや1K、コンパクトな1LDKといった、単身者向けの間取りの供給が非常に多いのが特徴です。その理由は、
- 空間の自由度: ファミリー向け物件と違い、プライバシーのための細かな間仕切りが不要なため、デザイナーが大胆な空間設計に挑戦しやすい。
- ターゲット層との合致: ライフスタイルにこだわりを持ち、住まいに自己投資をしたいと考える単身者が、デザイナーズ物件の主なターゲット層と一致している。
一人暮らし向けのデザイナーズ物件には、以下のような工夫が凝らされていることが多くあります。
- ロフトやメゾネット: 縦の空間を有効活用し、居住スペースと就寝スペースを分けることで、コンパクトながらもメリハリのある生活を実現できます。
- 高い天井高や大きな窓: 実際の面積以上に部屋を広く、開放的に感じさせ、窮屈さを感じさせません。
- スケルトンやガラス張り: 視線を遮らない設計で、空間全体に一体感と広がりをもたらします。
「どうせ一人で暮らすなら、徹底的に自分の好きな空間を作りたい」と考える方にとって、デザイナーズ賃貸は最高のキャンバスとなります。限られたスペースだからこそ、デザインの力で豊かに暮らす。 そんな贅沢を味わえるのが、一人暮らし向けのデザイナーズ賃貸の最大の魅力です。ぜひ、あなただけの特別な城を見つけてください。