働き方の多様化が進む現代において、オフィスのあり方も大きく変化しています。特に、スタートアップ企業やフリーランス、企業のサテライトオフィスとして注目を集めているのが「レンタルオフィス」です。しかし、シェアオフィスやバーチャルオフィスなど類似のサービスも多く、どれを選べば良いか分からないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、レンタルオフィスの基本的な知識から、メリット・デメリット、失敗しない選び方のポイントまでを網羅的に解説します。さらに、2024年の最新情報に基づき、主要なレンタルオフィスサービス10選を徹底比較。それぞれの特徴や料金体系を詳しくご紹介します。この記事を読めば、あなたのビジネスに最適なワークスペースを見つけるための、確かな知識と判断基準が身につくはずです。
目次
レンタルオフィスとは?
レンタルオフィスとは、一言で表すと「ビジネスに必要な設備やサービスが予め整えられた、専有可能な個室スペースを借りられるサービス」です。多くの場合、オフィス家具(机、椅子)、インターネット環境、複合機などが完備されており、契約後すぐに事業を開始できる手軽さが最大の特徴です。
従来の賃貸オフィスのように、内装工事を行ったり、什器を一つひとつ揃えたりする必要がありません。また、受付サービスや電話代行、郵便物の受け取りといったビジネスサポートも提供されることが多く、少人数の企業や個人事業主でも、まるで大企業のようなオフィス環境を構築できます。
契約形態も柔軟で、数ヶ月単位の短期契約から可能な場合が多いため、事業の成長段階やプロジェクトの期間に合わせて、オフィスの規模を柔軟に変更できるスケーラビリティも魅力の一つです。このように、レンタルオフィスは初期投資を抑えつつ、スピーディーかつ柔軟にビジネスの拠点を確保したいと考える現代のビジネスパーソンにとって、非常に合理的な選択肢となっています。
他のオフィス形態との違いを比較
レンタルオフィスへの理解を深めるために、混同されがちな他のオフィス形態との違いを明確にしておきましょう。ここでは、シェアオフィス(コワーキングスペース)、バーチャルオフィス、賃貸オフィスとの違いを比較します。
比較項目 | レンタルオフィス | シェアオフィス・コワーキングスペース | バーチャルオフィス | 賃貸オフィス |
---|---|---|---|---|
スペースの形態 | 施錠可能な完全個室 | オープンスペースの共有席(一部個室プランあり) | 物理的なスペースなし(住所・電話番号のみ) | 専有のオフィス空間 |
プライバシー | 高い | 低い(個室プランを除く) | – | 非常に高い |
初期費用 | 低い(月額料金の1〜3ヶ月分程度) | 非常に低い(数千円〜数万円) | ほぼ不要 | 高い(月額料金の6〜12ヶ月分以上) |
月額料金 | 中程度 | 低い | 非常に低い | エリア・広さによる |
提供サービス | 充実(受付、会議室、複合機など) | 共有設備が中心(Wi-Fi、フリードリンクなど) | 住所利用、郵便物転送、電話代行が中心 | 基本的になし(自前で用意) |
契約の柔軟性 | 高い(短期契約可能) | 非常に高い(月単位、ドロップインも) | 非常に高い | 低い(通常2年契約) |
法人登記 | ほとんどの施設で可能 | 可能な施設が多い | 可能な施設が多い | 可能 |
レイアウト自由度 | 低い | なし | – | 高い |
シェアオフィス・コワーキングスペースとの違い
レンタルオフィスとシェアオフィス・コワーキングスペースの最大の違いは「スペースの専有性」にあります。
- レンタルオフィス: 施錠可能な完全個室が基本です。プライバシーが確保されており、機密情報や個人情報を扱う業務にも適しています。PCや書類を置いたまま退室できるため、セキュリティ面でも安心感があります。集中して作業に取り組みたい、あるいはチーム内でのディスカッションを気兼ねなく行いたい場合に最適です。
- シェアオフィス・コワーキングスペース: 主にオープンスペースのフリーアドレス席を複数の利用者と共有します。利用者同士の交流が生まれやすく、コミュニティ形成や新たなビジネスチャンスにつながる可能性があります。ただし、プライバシーの確保は難しく、電話やWeb会議の際には周囲への配慮が必要です。近年では、個室プランを提供する施設も増えていますが、基本的には「共有」がコンセプトの中心です。
つまり、プライベートな執務空間と高いセキュリティを重視するならレンタルオフィス、コストを抑えつつ他の利用者との交流を求めるならシェアオフィスが適していると言えるでしょう。
バーチャルオフィスとの違い
レンタルオフィスとバーチャルオフィスの違いは、「物理的なワークスペースの有無」という点に尽きます。
- レンタルオフィス: 実際に作業を行うための物理的な個室スペースを提供します。住所利用や法人登記に加え、日々の業務を行う「場所」としての機能がメインです。
- バーチャルオフィス: 物理的なスペースは提供されず、「住所」や「電話番号」といったビジネスに必要な機能のみを貸し出すサービスです。主な目的は、法人登記や名刺・Webサイトに記載する事業用住所の確保、郵便物の受け取り・転送、電話代行などです。作業自体は自宅やカフェなど、別の場所で行うことが前提となります。
したがって、実際にオフィスで働く場所が必要な場合はレンタルオフィス、事業用の住所や電話番号だけが必要で、作業場所は問わないという場合はバーチャルオフィスが選択肢となります。コスト面ではバーチャルオフィスが圧倒的に安価です。
賃貸オフィスとの違い
レンタルオフィスと賃貸オフィスの間には、「コスト構造」「契約の柔軟性」「提供されるサービス」において大きな違いがあります。
- コスト構造:
- レンタルオフィス: 敷金・礼金が不要な場合が多く、初期費用を大幅に抑えられます。月額料金には光熱費やインターネット料金が含まれていることがほとんどで、コスト管理が容易です。
- 賃貸オフィス: 敷金、礼金、保証金、仲介手数料など、月額賃料の6ヶ月~1年分以上の高額な初期費用がかかります。また、内装工事費やオフィス家具、OA機器の購入費用も別途必要です。
- 契約の柔軟性:
- レンタルオフィス: 1ヶ月単位など、短期での契約が可能です。事業の状況に応じて、より広い部屋への移動や解約が比較的容易に行えます。
- 賃貸オフィス: 通常、2年単位の長期契約が基本で、中途解約には違約金が発生することが一般的です。
- 提供されるサービスと自由度:
- レンタルオフィス: 受付や会議室、複合機など、ビジネスに必要な設備やサービスが最初から揃っています。ただし、内装やレイアウトの変更は原則としてできず、自由度は低いです。
- 賃貸オフィス: 設備やサービスはすべて自前で用意する必要がありますが、その分、内装やレイアウトを自社のブランドイメージに合わせて自由にカスタマイズできます。
スピーディーに低コストで事業を始めたいスタートアップや、柔軟なオフィス戦略を求める企業にはレンタルオフィスが、長期的な視点で自社独自のオフィス環境を構築したい企業には賃貸オフィスが向いていると言えるでしょう。
レンタルオフィスを利用する5つのメリット
レンタルオフィスが多くのビジネスパーソンに選ばれるのには、明確な理由があります。ここでは、レンタルオフィスを利用することで得られる5つの主要なメリットについて、具体的な背景と共に詳しく解説します。
① 初期費用を抑えてすぐに事業を始められる
レンタルオフィスの最大のメリットは、圧倒的に低い初期費用で、迅速に事業をスタートできる点にあります。
一般的な賃貸オフィスを契約する場合、以下のような多額の初期費用が発生します。
- 保証金(敷金): 賃料の6~12ヶ月分
- 礼金: 賃料の1~2ヶ月分
- 仲介手数料: 賃料の1ヶ月分
- 前家賃: 1ヶ月分
- 火災保険料
これだけで、賃料の10ヶ月分以上が必要になるケースも珍しくありません。仮に月額30万円のオフィスであれば、300万円以上の初期費用がかかる計算です。さらに、これに加えて内装工事費、オフィス家具(机、椅子、キャビネット)、OA機器(PC、複合機、電話機)、インターネット回線の敷設工事費などが別途必要となり、トータルの初期投資は数百万円規模に膨れ上がります。
一方、レンタルオフィスの場合、これらの費用の多くが不要です。必要な初期費用は主に以下の通りです。
- 入会金(契約事務手数料): 賃料の1ヶ月分程度
- 保証金: 賃料の1~3ヶ月分程度(不要な場合や、保証会社利用料で代替する場合もある)
- 初月利用料
賃貸オフィスと比較して、初期費用を10分の1以下に抑えることも可能です。また、オフィス家具やインターネット環境は既に完備されているため、契約後、PC一台あればすぐに業務を開始できます。この「コスト」と「時間」の大幅な削減は、特に資金調達が限られているスタートアップや、スピーディーな事業展開が求められる新規プロジェクトにとって、計り知れない価値を持ちます。
② 都心の一等地にオフィスを構えられる
ビジネスにおいて、オフィスの所在地は企業の信頼性やブランドイメージに直結する重要な要素です。東京の丸の内、大手町、新宿、渋谷といった都心の一等地や主要ターミナル駅の近くにオフィスを構えることは、取引先や顧客、採用候補者に対して大きな信頼感を与えます。
しかし、これらのエリアで賃貸オフィスを借りようとすると、当然ながら賃料は非常に高額になります。中小企業やスタートアップにとって、都心一等地の住所を持つことは資金的に大きなハードルとなるでしょう。
レンタルオフィスは、この課題を解決します。多くのレンタルオフィスは、まさにこうしたビジネスの中心地に拠点を構えています。月額数万円からの利用料で、本来であれば高嶺の花である超一等地の住所を自社の所在地として名刺やWebサイトに記載し、法人登記にも利用できるのです。
これにより、以下のようなメリットが期待できます。
- 企業信用の向上: 金融機関からの融資や、大手企業との取引において、オフィスの住所が信用評価の一助となることがあります。
- 採用活動の有利化: 交通の便が良い都心のオフィスは、優秀な人材にとって魅力的であり、採用競争において有利に働く可能性があります。
- 営業効率の向上: 主要な取引先が集まるエリアに拠点を置くことで、移動時間が短縮され、営業活動の効率が上がります。
このように、レンタルオフィスを活用すれば、事業規模に関わらず、誰もが知る一流のビジネスアドレスを手に入れることができ、企業の成長を加速させる強力な武器となります。
③ ビジネスに必要な設備やサービスが揃っている
自前でオフィスを構える場合、事業運営に必要な設備やインフラを一つひとつ選定し、契約・設置しなければなりません。これには多大な手間と時間がかかります。
レンタルオフィスでは、ビジネスに不可欠なハードウェアとソフトウェア(サービス)がパッケージとして提供されているため、利用者は本来のコア業務に集中できます。
具体的に利用できる主な設備やサービスは以下の通りです。
- オフィス家具: デスク、オフィスチェア、キャビネットなど
- インターネット環境: 高速Wi-Fi、有線LAN(施設による)
- OA機器: 複合機(コピー、プリント、スキャン、FAX)、シュレッダー
- 共有スペース: 会議室、ラウンジ、セミナールーム、フォンブース
- その他設備: フリードリンク、キッチン、ロッカー
- ビジネスサポート:
- 受付サービス: 来客対応、お茶出し
- 郵便物・宅配便の受取代行・転送
- 電話代行・秘書サービス: 専用電話番号の提供、オペレーターによる一次対応
- 法人登記サポート
これらの設備やサービスを自社で個別に用意する場合と比較してみましょう。例えば、受付スタッフを一人雇用すれば月額20万円以上の人件費がかかります。高速インターネット回線や複合機のリース契約も月々数万円のコストが発生します。レンタルオフィスの月額料金には、これらの費用が実質的に含まれていると考えることができます。
特に、来客対応を行う受付サービスや、不在時でもビジネスチャンスを逃さない電話代行サービスは、少人数で運営している企業にとって非常に価値の高いサポートです。レンタルオフィスは、単なる「場所」を借りるだけでなく、事業運営を円滑にするための包括的なソリューションを提供しているのです。
④ 契約期間が柔軟でリスクが低い
ビジネス環境は常に変化しており、将来の予測は困難です。事業が急成長して人員が増加することもあれば、逆に事業を縮小せざるを得ない状況も考えられます。このような不確実性の中で、従来の賃貸オフィスのように2年間の長期契約を結ぶことは、企業にとって大きなリスクとなり得ます。
レンタルオフィスは、このリスクを大幅に軽減します。多くのレンタルオフィスでは、1ヶ月や3ヶ月といった短期間での契約が可能です。これにより、ビジネスの状況変化に合わせた柔軟な対応ができます。
- スケーラビリティ(拡張性): 事業が成長し、より広いスペースが必要になった場合、同じ施設内でより大きな個室に移動したり、複数の部屋を契約したりすることが容易です。逆に、人員が減少した場合は、より小さな部屋に移ることでコストを最適化できます。
- リスクヘッジ: 新規事業の立ち上げや、期間限定のプロジェクトチーム用のオフィスとして利用する場合、プロジェクトの終了と共にオフィスを解約できるため、無駄なコストが発生しません。市場の反応を見ながら事業の継続を判断する「テストマーケティング」の拠点としても最適です。
- 迅速な移転: 一般的なオフィスの移転には、数ヶ月にわたる準備期間と多額の費用がかかります。レンタルオフィス間の移動であれば、煩雑な手続きや原状回復工事も不要で、迅速かつ低コストで移転を完了できます。
このように、契約期間の柔軟性は、企業の固定費を変動費化し、経営の機動性を高める上で極めて重要なメリットです。変化の激しい時代において、事業を軽やかに、そして強かに運営していくための強力な基盤となるでしょう。
⑤ 法人登記や住所利用が可能
起業する際や個人事業主として活動する上で、事業用の住所を確保することは必須です。自宅の住所を法人登記や事業所所在地として公開することも可能ですが、プライバシーの観点から抵抗を感じる方が多いでしょう。不特定多数に自宅住所が知られてしまうリスクは避けたいものです。
ほとんどのレンタルオフィスでは、その住所を利用して法人登記を行うことが認められています。これにより、自宅住所を公開することなく、社会的な信用を得られるオフィスの住所で事業を始めることができます。
前述の通り、レンタルオフィスの多くは都心の一等地やビジネス街に立地しているため、その住所を登記できること自体の価値は非常に高いです。これは、単にプライバシーを守るだけでなく、企業のブランディング戦略の一環としても機能します。
また、法人登記だけでなく、Webサイト、名刺、パンフレット、各種契約書など、あらゆるビジネスシーンでその住所を使用できます。郵便物や宅配便もその住所で受け取ることができ、受付スタッフが代理で受領してくれるため、外出が多い方でも安心です。
バーチャルオフィスでも住所利用や法人登記は可能ですが、物理的なオフィススペースが存在しないため、業種によっては許認可が下りないケース(例:士業、古物商、人材派遣業など、事業所としての実態が求められる業種)があります。その点、個室スペースという実態を持つレンタルオフィスであれば、多くの業種で問題なく許認可の申請が可能です。これは、レンタルオフィスが持つ信頼性の高さを示す重要なポイントと言えるでしょう。
レンタルオフィスの3つのデメリットと注意点
レンタルオフィスは多くのメリットを持つ一方で、利用する上で知っておくべきデメリットや注意点も存在します。これらを事前に理解し、対策を講じることで、契約後のミスマッチを防ぐことができます。
① 長期利用では割高になる場合がある
レンタルオフィスの手軽さや充実したサービスは、月額料金に反映されています。そのため、利用期間が数年にわたる場合、トータルの支払額が賃貸オフィスを借りるよりも割高になる可能性があります。
これは、レンタルオフィスの月額料金に、賃料だけでなく、光熱費、インターネット料金、共益費、受付サービスなどの人件費、共有スペースの維持費などが含まれているためです。一方、賃貸オフィスは月々の賃料自体は安く見えますが、これらの費用は別途発生します。
一つの目安として、3年以上の長期にわたって同じ規模のオフィスを利用し続ける見通しが立っている場合や、従業員数が10名を超えるような規模になってきた場合には、賃貸オフィスとのコスト比較を慎重に行うことをおすすめします。
比較する際は、月々の支払いだけでなく、初期費用(敷金・礼金、内装費、什器購入費など)や、退去時の原状回復費用も含めた「トータルコスト(TCO: Total Cost of Ownership)」で判断することが重要です。
例えば、ある程度の規模に成長した企業が、自社のカルチャーを反映したオフィス環境を構築しつつ、コストを最適化したいと考えるフェーズに移行した際には、賃貸オフィスへの移転が合理的な選択となる場合があります。レンタルオフィスはあくまで事業の成長段階に応じた一時的な、あるいは柔軟な選択肢と捉え、長期的なオフィス戦略を常に検討しておくことが賢明です。
② 内装やレイアウトの自由度が低い
レンタルオフィスは、提供される家具や設備をそのまま利用することが前提となっています。そのため、内装の変更や大規模なレイアウトのカスタマイズは基本的に認められていません。
壁にポスターを貼ったり、棚を取り付けたりといった軽微な変更さえも、契約で禁止されていることがほとんどです。持ち込める家具にも制限がある場合があります。これは、退去時に速やかに次の入居者を迎えられるよう、部屋を標準的な状態に保つ必要があるためです。
この制約は、以下のような場合にデメリットとなり得ます。
- 企業ブランディング: 自社のコーポレートカラーやロゴをオフィスデザインに反映させ、企業文化を醸成したいと考えている企業にとっては、物足りなさを感じるでしょう。
- 独自のワークフロー: 特殊な機材を使用したり、独自の業務フローに合わせた特殊なデスク配置が必要だったりする場合、レンタルオフィスの標準的なレイアウトでは対応できない可能性があります。
- 快適性の追求: こだわりのオフィスチェアや昇降式デスクなど、個人の身体や好みに合わせた備品を使いたい場合でも、持ち込みが許可されないことがあります。
このように、自社独自の「色」を出したオフィス環境を構築したい企業や、業務内容が特殊な企業にとって、レンタルオフィスの画一的な空間は窮屈に感じられるかもしれません。内装の自由度を重視する場合は、賃貸オフィスや、内装をある程度カスタマイズできる「セットアップオフィス」などを検討する必要があります。
③ 個室でもプライバシーやセキュリティに注意が必要
レンタルオフィスは「個室」であることが特徴ですが、そのプライバシーやセキュリティのレベルは施設によって大きく異なります。「完全個室」と謳われていても、必ずしも万全とは限らない点に注意が必要です。
- 防音性: 最も注意すべき点の一つが防音性です。特に、壁が天井まで達しておらず、上部が空いている「半個室」タイプの部屋では、隣室の会話や電話の声が聞こえてくることがよくあります。完全個室であっても、壁の材質によっては音が漏れやすい場合もあります。機密性の高い情報を扱う会議や、クライアントとの重要な電話が多い業務の場合、防音性は内覧時に必ずチェックすべき項目です。
- 共有スペースでの情報漏洩: ラウンジやキッチンなどの共有スペースは、他の企業の利用者も行き交う場所です。リラックスした雰囲気から、つい自社の内部情報や取引先の情報を話してしまうと、意図せず情報が漏洩するリスクがあります。共有スペースでの会話内容には、常に注意を払う必要があります。
- セキュリティレベル: レンタルオフィス全体のセキュリティ対策も重要です。エントランスがオートロックになっているか、フロアや個室への入退室管理はどのように行われているか(ICカード、暗証番号など)、監視カメラは設置されているか、といった点を確認しましょう。また、受付にスタッフが常駐しているかどうかも、セキュリティレベルを測る上で重要な指標となります。
個室だからと安心せず、自社の事業内容や取り扱う情報の機密性に合わせて、十分なプライバシーとセキュリティが確保できる施設かどうかを、自分の目と耳で確かめることが不可欠です。
【失敗しない】レンタルオフィスの選び方と比較ポイント8つ
数多くのレンタルオフィスの中から、自社に最適な一社を見つけ出すためには、明確な比較基準を持つことが重要です。ここでは、レンタルオフィス選びで失敗しないための8つの比較ポイントを具体的に解説します。
① 立地とアクセスの良さ
オフィスの立地は、日々の業務効率や従業員の満足度、さらには企業のブランドイメージにまで影響を与える最重要項目です。
- 交通の利便性:
- 最寄り駅からの距離: 駅から徒歩5分以内が理想的です。雨の日や夏の暑い日でも、ストレスなく通勤できます。
- 利用可能な路線数: 複数の路線が利用できる駅であれば、従業員の通勤経路の選択肢が広がり、交通機関の遅延時にも対応しやすくなります。取引先へのアクセスも向上します。
- 周辺環境:
- ビジネス環境: 銀行の支店、郵便局、役所の出張所などが近くにあると、事務手続きがスムーズに進みます。
- 生活環境: コンビニエンスストア、多様な飲食店、カフェなどが充実していると、ランチや休憩時間の利便性が高まり、従業員の満足度向上につながります。
- クライアントへの印象: 業種にもよりますが、洗練されたエリアやビジネスの中心地にオフィスを構えることで、来訪するクライアントに良い印象を与えることができます。
自分や従業員の通勤利便性だけでなく、主要な取引先へのアクセスや、採用活動における候補者の来訪しやすさといった多角的な視点で立地を評価しましょう。
② 料金体系(月額料金・初期費用・追加料金)
料金の比較は、月額の基本料金だけで判断してはいけません。契約から退去までにかかるトータルコストを把握することが不可欠です。
- 初期費用:
- 内訳: 入会金、事務手数料、保証金(敷金)、初月利用料などを確認します。保証金は退去時に返還されるのか、償却される部分はないかもチェックしましょう。
- 月額料金:
- 含まれるもの: 基本料金に何が含まれているか(共益費、光熱費、インターネット利用料、清掃費など)を明確にします。
- 含まれないもの(追加料金): 以下の項目は、基本料金とは別に「使った分だけ」請求される従量課金制であることが多いです。料金単価を必ず確認しましょう。
- 会議室利用料(無料時間枠を超過した場合)
- 複合機の印刷・コピー代(白黒/カラーの単価)
- 電話代行や秘書サービスのオプション料金
- 法人登記のオプション料金
- 郵便物転送料金
- ロッカー利用料
複数の候補を比較する際は、自社の利用状況を想定し、「月額基本料+毎月発生しそうな追加料金」の合計額で見積もることで、より現実的なコスト比較が可能になります。
③ 部屋のタイプと広さ(個室・半個室・固定席)
レンタルオフィスには、プライバシーレベルや広さの異なる様々な部屋タイプがあります。自社の業務内容や従業員数、必要なセキュリティレベルに合わせて選びましょう。
- 完全個室: 天井まで壁で仕切られ、施錠可能な部屋です。プライバシーとセキュリティが最も高く、機密情報を扱う業務や、集中したい場合に最適です。1名用から10名以上で利用できる部屋まで、サイズは様々です。
- 半個室: パーティションなどで区切られていますが、天井部分が空いているタイプの部屋です。完全個室より料金は安価ですが、音漏れしやすいため、プライバシーの確保は限定的です。Web会議や電話が多い業務には不向きな場合があります。
- 固定席(ブース席): オープンスペース内に設けられた、自分専用のデスクスペースです。個室ほどのプライバシーはありませんが、フリーアドレス席とは異なり、常に同じ場所で作業でき、荷物を置いておくことも可能です。
平米(㎡)数や「〇名用」という表記だけでなく、実際に内覧して部屋の形やデッドスペースの有無、窓からの採光などを確認することが重要です。同じ面積でも、部屋の形状によって使い勝手は大きく変わります。
④ 設備とサービスの充実度
レンタルオフィスの価値は、部屋そのものだけでなく、付帯する設備やサービスによって大きく左右されます。自社のビジネスに本当に必要なものは何かを見極めましょう。
会議室の有無と利用料金
クライアントとの打ち合わせやチームミーティングが多い企業にとって、会議室の仕様は重要なチェックポイントです。
- 数と広さ: 利用したい時に予約が取れない、という事態を避けるため、施設の総戸数に対して会議室の数が十分かを確認します。様々な人数に対応できる広さの会議室が揃っていると便利です。
- 料金体系: 月に数時間まで無料で利用できるプランがあるか、有料の場合の料金はいくらか(1時間あたり〇円)、予約システムは使いやすいかなどを確認しましょう。
複合機・ネット環境
今やビジネスに不可欠なインフラです。
- 複合機: コピー・印刷料金(白黒/カラー)は必ず確認します。大量に印刷する業務がある場合、この単価が月々のコストに大きく影響します。
- ネット環境: インターネットの回線速度(上り/下り)は十分か、有線LAN接続は可能か、セキュリティ対策はされているかなどを確認します。特にIT系の企業や、大容量のデータをやり取りする業務では、回線の安定性が生命線となります。
郵便物受取・転送サービス
外出が多い方や、オフィスを不在にしがちな方には必須のサービスです。
- 受取: 受付スタッフが代理で受け取ってくれるか、専用のメールボックスに投函されるかを確認します。書留やクール便など、特殊な郵便物への対応も確認しておくと安心です。
- 転送: 受け取った郵便物を指定の住所に転送してくれるサービスがあるか、その頻度(毎日、週一回など)と料金体系を確認しましょう。
電話・秘書代行サービス
企業の「顔」となる電話応対をアウトソースできる便利なサービスです。
- サービス内容: 専用の電話番号を借りられるか、不在時にオペレーターが社名で応答してくれるか、用件をメールやチャットで報告してくれるかなど、具体的なサービス内容を確認します。
- 料金体系: 基本料金でどこまでカバーされ、どこからが従量課金になるのか(例:月〇コールまで無料、超過分は1コール〇円)を把握しておくことが重要です。
⑤ セキュリティ対策
企業の機密情報や個人情報を守るため、セキュリティ対策は厳重にチェックする必要があります。
- 入退室管理:
- ビル・エントランス: 24時間入退館が可能か。夜間や休日の入館方法は。
- オフィスフロア: ICカードや暗証番号など、関係者以外が入れない仕組みになっているか。
- 個室: 各個室の施錠方法は(シリンダー錠、電子錠など)。
- 監視体制:
- 防犯カメラ: エントランスや共有スペースに設置されているか。
- 有人受付: 受付にスタッフが常駐している時間は。常駐していることで、不審者の侵入抑止につながります。
- その他: 警備会社との契約の有無も、セキュリティレベルを測る指標になります。
⑥ 契約期間と更新条件
契約内容の詳細は、後々のトラブルを避けるために必ず確認しましょう。
- 最低契約期間: 1ヶ月からか、3ヶ月や6ヶ月の縛りがあるか。
- 解約予告期間: 解約を申し出るのは、退去の何ヶ月前までか(通常1~3ヶ月前)。この期間を過ぎると余分な賃料が発生します。
- 更新手続き: 契約更新は自動更新か、手続きが必要か。更新料は発生するか。
⑦ 利用可能時間とルール
働き方のスタイルに合うかどうか、施設の利用ルールを確認します。
- 利用可能時間: 24時間365日利用可能か、それとも平日の日中のみか。深夜や休日に作業することが多い場合は、24時間利用可能な施設が必須です。
- ゲストの同伴(ドロップイン): 自分の個室や共有スペースに、打ち合わせなどでゲストを招き入れることは可能か。その際の手続きや追加料金の有無は。
- その他のルール: 飲食に関するルール、喫煙スペースの有無、電話やWeb会議が可能な場所の指定など、細かいハウスルールも確認しておきましょう。
⑧ 内覧時のチェックポイント
Webサイトやパンフレットの情報だけでは分からないことは多いです。契約前には必ず内覧を行い、自分の目で確かめることが最も重要です。
- 防音性: 隣の部屋の音はどの程度聞こえるか。実際に壁を軽く叩いてみたり、スタッフに協力してもらって音漏れを確認したりしましょう。
- 空調: 個別に温度設定が可能か、それとも全館一括管理か。快適な業務環境に直結します。
- 清潔感: オフィス全体や水回り(トイレ、給湯室)は清潔に保たれているか。清掃の頻度も確認しましょう。
- 雰囲気: 他の入居者はどのような業種・年代の人が多いか。静かに集中できる環境か、活気のある雰囲気か。自分や自社の社風に合っているかを感じ取ります。
- スタッフの対応: 内覧時のスタッフの対応は、入居後のサポート品質を推し量る重要な指標です。質問に丁寧かつ的確に答えてくれるか、親身になってくれるかを見ましょう。
これらの8つのポイントを総合的に比較検討することで、自社のニーズに合致し、後悔のないレンタルオフィス選びができるはずです。
【2024年最新】おすすめのレンタルオフィス10選を比較
ここでは、国内外で高い人気と実績を誇る、おすすめのレンタルオフィスサービス10社を厳選してご紹介します。それぞれの特徴、料金、拠点などを比較し、あなたに最適なサービスを見つける手助けをします。
サービス名 | 特徴 | 料金目安(1名用個室) | 国内拠点数(目安) | 法人登記 |
---|---|---|---|---|
リージャス (Regus) | 世界最大級の拠点網。国内外の出張が多い企業に最適。 | 要問い合わせ | 170拠点以上 | 可能 |
サーブコープ (SERVCORP) | 高品質な秘書サービスと五つ星ホテル並みの設備。信頼性を重視する企業向け。 | 要問い合わせ | 約25拠点 | 可能 |
WeWork | デザイン性の高い空間と活発なコミュニティ。スタートアップやクリエイターに人気。 | 要問い合わせ | 約35拠点 | 可能 |
天翔オフィス | 圧倒的な低コスト。初期費用・更新料無料で、起業家を強力にサポート。 | 月額3万円台〜 | 10拠点以上 | 可能 |
アントレサロン | 起業支援サービスが充実。バーチャルオフィスからレンタルオフィスまで提供。 | 月額3万円台〜 | 15拠点以上 | 可能 |
THE HUB | 駅直結・駅近の好立地。個室とコワーキングスペースを併設。 | 月額4万円台〜 | 20拠点以上 | 可能 |
BIZcomfort | 全国に広がる拠点網とリーズナブルな料金。コワーキング併設で多様な働き方に対応。 | 月額2万円台〜 | 150拠点以上 | 可能 |
いいオフィス | 日本全国47都道府県に展開。多様な提携スペースを利用可能。 | 施設により異なる | 1,000拠点以上 | 施設により異なる |
ハローオフィス | 首都圏中心に展開。リーズナブルな完全個室オフィスを提供。 | 月額3万円台〜 | 70拠点以上 | 可能 |
BasisPoint | 会議室が充実したコワーキングスペースが母体。新橋・五反田などに展開。 | 月額5万円台〜 | 約5拠点 | 可能 |
※料金や拠点数は2024年5月時点の公式情報をもとにした目安であり、変動する可能性があります。正確な情報は各公式サイトでご確認ください。
① リージャス (Regus)
世界120カ国以上、4,000拠点という圧倒的なネットワークを誇る、レンタルオフィス業界のグローバルリーダーです。国内にも主要都市を中心に170以上の拠点を構えています。最大の強みは、契約メンバーであれば国内外のリージャスビジネスラウンジを追加料金なしで利用できる点。海外出張や国内の地方出張が多いビジネスパーソンにとって、どこでも快適なワークスペースを確保できるのは大きな魅力です。オフィスのグレードも様々で、あらゆるビジネスニーズに対応できます。
- 特徴: 世界最大の拠点網、グローバルなビジネス展開のサポート
- おすすめな人: 海外や国内の出張が多い企業、グローバル企業、信頼性を重視する士業
- 参照: リージャス (Regus) 公式サイト
② サーブコープ (SERVCORP)
「五つ星ホテルレベルのサービス」を標榜し、高品質なオフィス環境とバイリンガル対応の優秀な秘書サービスに定評があります。東京駅や丸の内、新宿、横浜、大阪、福岡など、各都市の超一等地に立つハイグレードビルにのみ拠点を構えており、企業のブランドイメージ向上に大きく貢献します。ITインフラにも多額の投資を行っており、高速で安定したインターネット環境や、専門のITサポートチームによる24時間対応など、テクノロジー面でのサポートも万全です。コストは比較的高めですが、それに見合うだけの価値と信頼性を提供します。
- 特徴: ハイグレードな立地と設備、質の高い秘書・ITサポート
- おすすめな人: 外資系企業、エグゼクティブ、企業の信頼性を最優先する経営者
- 参照: サーブコープ (SERVCORP) 公式サイト
③ WeWork
デザイン性の高いスタイリッシュな内装と、利用者同士の交流を促進する活発なコミュニティが最大の特徴です。単なるワークスペースの提供に留まらず、定期的に開催されるイベントや専用アプリを通じて、入居者同士のビジネスマッチングやコラボレーションを積極的に支援します。クリエイティブな発想を求めるスタートアップやフリーランスに絶大な人気を誇ります。柔軟なメンバーシッププランが用意されており、企業の成長に合わせてオフィスを拡張しやすいのも魅力です。
- 特徴: おしゃれなデザイン、活発なコミュニティ、ネットワーキングの機会
- おすすめな人: スタートアップ、クリエイター、IT関連企業、ネットワーキングを重視する人
- 参照: WeWork 公式サイト
④ 天翔オフィス
「圧倒的な低コスト」をコンセプトに、起業家やスタートアップを強力に支援するレンタルオフィスです。最大の魅力は、入会金、保証金、退去時の原状回復費用、更新料がすべて無料であること。初期費用を極限まで抑えて事業を始めたい方にとって、これ以上ない選択肢と言えるでしょう。それでいて、会議室やインターネットも無料で利用できるなど、サービス内容は充実しています。都内の主要駅近に拠点を展開しており、コストパフォーマンスは業界トップクラスです。
- 特徴: 業界最安クラスの料金、初期費用・更新料・原状回復費が無料
- おすすめな人: 起業家、スタートアップ、コストを最優先に考えたい個人事業主
- 参照: 天翔オフィス 公式サイト
⑤ アントレサロン
東京、神奈川、埼玉で15拠点以上を展開し、特に起業支援に力を入れているのが特徴です。月額3,800円のバーチャルオフィスプランから、フリーデスクプラン、個室プランまで、事業のステージに合わせた多様なプランを提供。運営会社が起業支援サービスを手掛けているため、会社設立サポートや助成金・補助金の申請支援、税理士紹介など、起業前後の様々な相談に乗ってもらえるのが強みです。起業仲間と出会える交流会も頻繁に開催されています。
- 特徴: 充実した起業支援サービス、リーズナブルな料金設定、柔軟なプラン
- おすすめな人: これから起業する方、起業直後の方、専門家のサポートを受けたい方
- 参照: アントレサロン 公式サイト
⑥ THE HUB
全拠点が駅直結または駅徒歩1分以内という抜群のアクセスを誇ります。コワーキングスペースとサービスオフィス(個室)を併設しており、働き方に合わせて柔軟に使い分けが可能です。メンバーは全拠点のコワーキングスペースを追加料金なしで利用できるため、外出先でのスキマ時間の活用にも便利です。洗練されたデザインのラウンジや、集中できる個室ブースなど、設備も充実しています。
- 特徴: 全拠点が駅直結・駅近の好立地、コワーキングスペースも利用可能
- おすすめな人: 移動や外出が多い営業職、複数の拠点を使い分けたい方
- 参照: THE HUB 公式サイト
⑦ BIZcomfort (ビズコンフォート)
全国に150以上の拠点を展開し、そのネットワークの広さとコストパフォーマンスの高さで人気を集めています。24時間365日利用可能で、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を実現できます。特筆すべきは、コワーキングスペースとレンタルオフィスが一体となっている拠点が多く、「全拠点プラン」を契約すれば、全国のBIZcomfortを追加料金なしで利用できる点です。食事やWeb会議に関するルールが緩やかな拠点も多く、自由度の高い働き方を求める人にフィットします。
- 特徴: 全国規模の拠点網、24時間365日利用可能、高いコストパフォーマンス
- おすすめな人: 全国を飛び回るビジネスパーソン、地方に拠点が欲しい企業、夜間や休日も作業したい方
- 参照: BIZcomfort (ビズコンフォート) 公式サイト
⑧ いいオフィス
「どこでもいい世界を」をコンセプトに、日本全国47都道府県に1,000以上の提携ワークスペースを展開しています。直営のレンタルオフィスだけでなく、加盟している多種多様なコワーキングスペースやカフェなどを、月額プランで利用できるのが特徴です。場所や時間にとらわれない自由な働き方を実現したい人にとっては、最適なプラットフォームと言えるでしょう。レンタルオフィス(個室)の提供は一部拠点に限られますが、その圧倒的な拠点数は他に類を見ません。
- 特徴: 47都道府県を網羅する圧倒的な拠点数、多様な提携スペース
- おすすめな人: ノマドワーカー、全国に出張が多い方、様々なワークスペースを試したい方
- 参照: いいオフィス 公式サイト
⑨ ハローオフィス
首都圏を中心に、リーズナブルな価格で完全個室のレンタルオフィスを提供しています。派手な共用施設や過剰なサービスを省くことで、低価格を実現しているのが特徴です。シンプルに「集中できる自分だけの個室」を求めているユーザーのニーズに応えます。24時間利用可能で、法人登記や郵便物受取などの基本的なサービスはしっかり押さえているため、コストを抑えつつ事業に必要な最低限のオフィス機能を確保したい場合に適しています。
- 特徴: リーズナブルな完全個室、シンプルなサービス構成
- おすすめな人: コストを抑えたい個人事業主やスタートアップ、静かな執務環境を求める方
- 参照: ハローオフィス 公式サイト
⑩ BasisPoint (ベイシスポイント)
もともとは会議室が充実したコワーキングスペースとしてスタートしており、その強みを活かしたレンタルオフィスを展開しています。新橋、五反田、神保町など、都内のビジネス街に拠点を構え、すべての個室プランにコワーキングスペースの利用が含まれています。特筆すべきは、入居者は併設の会議室を無料で利用できる点です(一部条件あり)。クライアントとの打ち合わせや社内ミーティングが多い企業にとっては、非常に大きなメリットとなるでしょう。
- 特徴: 会議室が無料で利用可能、コワーキングスペースも使える
- おすすめな人: 打ち合わせや会議が多い企業、スタートアップ、士業
- 参照: BasisPoint (ベイシスポイント) 公式サイト
レンタルオフィスの費用相場
レンタルオフィスを検討する上で、最も気になるのが費用です。ここでは、初期費用と月額料金の相場、さらに主要エリア別の料金感を解説します。
初期費用の内訳と相場
賃貸オフィスに比べて格段に安いのがレンタルオフィスの初期費用ですが、それでもある程度のまとまった費用は必要です。
費用項目 | 内容 | 相場 |
---|---|---|
入会金(事務手数料) | 契約時に支払う手数料。返還されない。 | 月額料金の0.5〜1.5ヶ月分 |
保証金(保証料) | 賃貸の敷金に相当。退去時に一部または全額が返還されることが多い。保証会社への保証料として支払う場合もある。 | 月額料金の1〜3ヶ月分(不要な施設も多い) |
初月利用料 | 入居する月の利用料。日割りの場合と、翌月分と合わせて請求される場合がある。 | 月額料金の1ヶ月分 |
合計 | 月額料金の2〜5ヶ月分程度 |
例えば、月額10万円のオフィスであれば、初期費用は20万円〜50万円程度が目安となります。天翔オフィスのように初期費用がほとんどかからないサービスもあるため、コストを抑えたい場合はそうした運営会社を選ぶのが得策です。
月額料金の内訳と相場
毎月支払う月額料金は、主に以下の要素で構成されます。
- 基本料金: 個室の利用料です。広さ、立地、窓の有無などで変動します。
- 共益費: 共有スペースの維持管理費、光熱費、清掃費などです。基本料金に含まれている場合と、別途請求される場合があります。
- 必須オプション料金: 法人登記や郵便物受取などが、基本プランに含まれず有料オプションとなっている場合があります。
- 従量課金: 会議室の利用料、複合機の印刷代、電話代行サービスのコール数など、利用した分だけ支払う費用です。
月々の支払総額は「基本料金+共益費+固定オプション料+従量課金」となります。予算を立てる際は、自社が毎月どの程度従量課金サービスを利用するかをシミュレーションしておくことが重要です。
主要エリア別の料金相場
レンタルオフィスの月額料金は、エリアによって大きく変動します。ここでは、東京および主要都市における1名用個室の料金相場をご紹介します。
エリア | 1名用個室の月額料金相場 | 特徴 |
---|---|---|
東京駅・丸の内・大手町 | 8万円〜20万円以上 | 日本のビジネス中枢。最も賃料相場が高いが、得られるブランドイメージも最高クラス。 |
新宿・渋谷 | 6万円〜15万円 | 交通の要衝であり、IT・ベンチャー企業が集積。利便性とステータスを両立。 |
港区(新橋・品川・六本木) | 7万円〜18万円 | 大企業や外資系企業が多く、多様なビジネスチャンスがあるエリア。 |
池袋・上野・秋葉原 | 4万円〜10万円 | 都心に比べると比較的リーズナブル。交通の便も良く、コストを抑えたい企業に人気。 |
横浜 | 5万円〜12万円 | みなとみらい地区を中心に発展。都内へのアクセスも良好。 |
大阪(梅田・本町) | 4万円〜10万円 | 西日本のビジネス中心地。活気があり、多様な業種が集まる。 |
名古屋(名駅・栄) | 4万円〜9万円 | 中部地方の経済拠点。製造業関連の企業も多い。 |
福岡(天神・博多) | 4万円〜8万円 | スタートアップ支援が盛んな都市。アジアへのゲートウェイとしても注目されている。 |
※上記はあくまで目安であり、運営会社やビルのグレード、部屋の仕様によって料金は大きく異なります。
同じエリア内でも、駅から少し離れたり、築年数が経過したビルだったりすると料金は安くなる傾向にあります。自社の予算と、立地に求める優先順位を照らし合わせて検討しましょう。
レンタルオフィスはこんな人・企業におすすめ
レンタルオフィスのメリットを最大限に活かせるのは、どのような人や企業なのでしょうか。具体的な利用シーンを想定して解説します。
起業・スタートアップしたばかりの方
資金やリソースが限られている起業家やスタートアップにとって、レンタルオフィスは最適な選択肢です。初期費用を大幅に削減できるため、貴重な資金を事業開発やマーケティングなど、より本質的な分野に投下できます。法人登記可能な都心の住所は社会的信用を高め、資金調達や人材採用を有利に進める一助となります。事業の成長に合わせてオフィスを拡張できる柔軟性も、先行きが不透明なスタートアップ期のリスクを低減します。
フリーランスや個人事業主
自宅での作業では集中できない、オンとオフの切り替えが難しいと感じているフリーランスや個人事業主にもおすすめです。月数万円の投資で、仕事に集中できるプロフェッショナルな環境を手に入れることができます。クライアントを招いて打ち合わせができる会議室や、信頼性を高める事業用住所も利用でき、ビジネスのステージを一段階引き上げるきっかけになります。バーチャルオフィスと異なり、許認可が必要な士業の方(弁護士、税理士、行政書士など)も安心して開業できます。
企業の支店やサテライトオフィスとして
本社から離れたエリアに営業拠点や開発拠点をスピーディーに開設したい企業にとって、レンタルオフィスは非常に効率的です。現地で人材を採用し、すぐに業務を開始できるため、市場への迅速な参入が可能になります。また、BCP(事業継続計画)対策の一環として、本社が機能しなくなった際のバックアップオフィスとして契約しておくケースも増えています。近年では、従業員の多様な働き方を支援するためのサテライトオフィスとして活用し、職住近接を実現する企業も多く見られます。
期間限定のプロジェクトチーム
数ヶ月から1年程度の期間限定プロジェクトのために、わざわざ賃貸オフィスを契約するのは非効率です。レンタルオフィスであれば、プロジェクトの期間に合わせて柔軟に契約し、終了と同時に解約できます。必要な設備はすべて揃っているため、チームは本来のミッションに集中できます。大手企業が新規事業開発や社内ベンチャーのために、本社とは別の場所に機動的なチームを置く際にも活用されています。
レンタルオフィス契約までの4つのステップ
実際にレンタルオフィスを契約するまでの流れは、非常にシンプルでスピーディーです。ここでは、基本的な4つのステップをご紹介します。
① 問い合わせ・情報収集
まずは、インターネットで自社の希望条件(エリア、予算、人数など)に合うレンタルオフィスを探します。この記事で紹介したような比較サイトや、各運営会社の公式サイトが情報源となります。気になるオフィスが見つかったら、Webサイトのフォームや電話で問い合わせ、詳細な資料を請求したり、内覧の予約をしたりします。この段階で、料金体系や空室状況について、不明な点を質問しておくと良いでしょう。
② 内覧
契約前の最も重要なステップが内覧です。Webサイトの情報だけでは分からない、オフィスのリアルな姿を確認します。
「【失敗しない】レンタルオフィスの選び方と比較ポイント8つ」で挙げたチェックポイント(特に防音性、清潔感、空調、利用者の雰囲気、スタッフの対応など)を念頭に、複数の候補を実際に訪問して比較検討しましょう。疑問点はその場でスタッフにすべて質問し、解消しておくことが大切です。可能であれば、実際に利用する時間帯(例:平日の昼間)に訪問すると、普段のオフィスの雰囲気がよく分かります。
③ 申し込み・審査
内覧を経て、契約したいオフィスが決まったら、運営会社に申し込みの意思を伝えます。通常、申込書に必要事項を記入し、必要書類と共に提出します。
- 法人契約の場合: 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)、代表者の身分証明書など
- 個人契約の場合: 身分証明書、住民票、確定申告書の控えなど
提出された書類をもとに、運営会社による入居審査が行われます。審査の内容は会社によって異なりますが、主に反社会的勢力との関わりがないか、支払い能力があるかなどがチェックされます。審査期間は、最短で即日、通常は2〜3営業日程度です。
④ 契約・入居
審査に通過すると、契約手続きに進みます。契約書の内容を十分に確認し、署名・捺印します。その後、指定された期日までに初期費用(入会金、保証金、初月利用料など)を振り込みます。入金が確認されると、オフィスの鍵や入退室用のICカードが引き渡され、契約した入居日から利用を開始できます。申し込みから入居まで、最短で数日、長くても1〜2週間程度で完了することが多く、そのスピーディーさがレンタルオフィスの魅力の一つです。
レンタルオフィスに関するよくある質問
最後に、レンタルオフィスの利用を検討している方からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
法人登記は可能ですか?
はい、ほとんどのレンタルオフィスで法人登記が可能です。これはレンタルオフィスの大きなメリットの一つです。ただし、一部の格安サービスや、プランによっては法人登記がオプション(有料)扱いになっている場合があります。また、稀に登記不可の施設も存在するため、契約前に法人登記が可能かどうか、また追加料金が発生するかどうかを必ず確認してください。登記を希望する場合は、その旨を申し込み時に伝えることが重要です。
最短でいつから利用できますか?
申し込みから最短で即日〜翌営業日に入居可能なサービスもあります。一般的には、申し込み・審査に2〜3営業日、契約手続きと初期費用の入金確認に1〜2営業日かかるため、トータルで3日〜1週間程度を見ておくと良いでしょう。急いでいる場合は、問い合わせの際に「最短でいつから利用可能か」を確認し、審査に必要な書類を事前に準備しておくとスムーズに進みます。
保証人や保証会社は必要ですか?
一般的な賃貸オフィスとは異なり、連帯保証人や保証会社の利用が不要なケースが多いです。これもレンタルオフィスの手軽さの一因です。ただし、運営会社の方針によっては、保証金の預託を求められたり、提携する保証会社の利用が必須であったりする場合があります。特に、法人としての実績がまだない設立直後の会社や個人事業主の場合、代表者個人の連帯保証を求められることもあります。これも契約前に確認すべき重要なポイントです。
内覧なしで契約できますか?
技術的には、Webサイトやメールのやり取りだけで契約手続きを進め、内覧なしで契約することも可能な場合があります。しかし、内覧なしでの契約は絶対に推奨しません。
写真や図面だけでは、実際の部屋の広さの感覚、窓からの眺めや日当たり、壁の薄さ(防音性)、オフィス全体の清潔感や雰囲気、他の利用者のマナーなどを正確に把握することは不可能です。契約してから「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、必ず現地に足を運び、ご自身の五感でワークスペースとしての快適性や機能性を確かめるようにしてください。内覧は、あなたのオフィス選びの成否を分ける最も重要なプロセスです。