不動産の売買や賃貸は、人生における大きな決断の一つです。そして、その成否を大きく左右するのが、パートナーとなる不動産会社の選択です。特に、テレビCMや広告などでよく目にする「大手不動産会社」は、その知名度とブランド力から多くの人の選択肢に入るでしょう。しかし、一口に大手と言っても、各社にはそれぞれ異なる強みや特徴、サービスがあります。
「どの会社に頼めば、自分の希望に合った取引ができるのだろうか?」
「大手ならどこでも同じだと思っているけれど、本当にそうだろうか?」
このような疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。自分にとって最適な不動産会社を見つけるためには、各社の特徴を正しく理解し、比較検討することが不可欠です。
この記事では、不動産取引を検討している方に向けて、売買・賃貸それぞれの大手不動産会社をランキング形式で紹介し、その特徴を徹底的に比較・解説します。さらに、大手と中小の不動産会社の違い、大手ならではのメリット・デメリット、そして失敗しないための不動産会社の選び方まで、網羅的に掘り下げていきます。
この記事を最後まで読めば、数ある大手不動産会社の中から、あなたの目的や物件に最も合った一社を見つけ出すための、確かな知識と判断基準が身につくはずです。 不動産取引という重要なステップで後悔しないために、ぜひご活用ください。
目次
【売買仲介】大手不動産会社ランキングTOP10
不動産の売買を検討する際、まず気になるのが「どの会社が多くの取引を手がけているのか」という点です。取扱高の大きさは、その会社の集客力や販売力、そして市場からの信頼性を測る一つの重要な指標となります。ここでは、公益財団法人不動産流通推進センターが発表している「不動産業統計集」を基に、売買仲介における大手不動産会社をランキング形式でご紹介し、各社の特徴を詳しく解説します。
順位 | 会社名 | 2022年度 仲介取扱高 | 特徴 |
---|---|---|---|
1位 | 三井不動産リアルティ(三井のリハウス) | 2兆1,313億円 | 圧倒的なブランド力と全国ネットワーク、充実のサポート体制 |
2位 | 住友不動産販売 | 1兆3,418億円 | 直営店舗網とマンツーマン営業、売却サポートが強み |
3位 | 東急リバブル | 1兆2,285億円 | 先進的なIT活用と独自の売却保証サービス |
4位 | 野村の仲介+(PLUS) | 7,126億円 | 首都圏・関西圏中心、高品質なコンサルティング力 |
5位 | 三菱UFJ不動産販売 | 4,244億円 | 信託銀行系の総合力と富裕層向けサービス |
6位 | みずほ不動産販売 | 3,365億円 | 銀行・信託・証券との連携によるワンストップサービス |
7位 | オープンハウス・アーキテクト | (非公開・グループ全体で売買仲介事業を展開) | 戸建て・都心部の不動産に強み、独自の集客力 |
8位 | 積水ハウス不動産 | 2,746億円 | ハウスメーカー系、自社ブランド物件の売買に強み |
9位 | 大京穴吹不動産 | 2,050億円 | マンション管理実績を活かしたマンション売買のプロ |
10位 | 近鉄不動産 | 1,514億円 | 関西圏地盤、近鉄沿線での高いブランド力と情報網 |
※取扱高は、公益財団法人不動産流通推進センター「2023不動産業統計集(3月期改訂)」の「表6-2 流通大手各社の取扱高等の状況(2022年度)」を参照。オープンハウス・アーキテクトはグループとしての事業展開のため、個別の仲介取扱高は非公開ですが、業界での存在感からランクインしています。
① 三井不動産リアルティ(三井のリハウス)
「三井のリハウス」のブランド名で知られる三井不動産リアルティは、不動産売買仲介業界において長年トップの座に君臨する最大手です。 その最大の強みは、全国を網羅する圧倒的な店舗ネットワークと、それに裏打ちされた豊富な情報量にあります。都市部から郊外まで、どこに住んでいても質の高いサービスを受けやすいのが特徴です。
売却においては、長年の実績から蓄積された膨大な顧客データを活用し、スピーディかつ的確なマッチングを実現します。購入希望者にとっても、全国各地の多様な物件情報にアクセスできるため、希望に合った住まいを見つけやすいでしょう。
また、「360°サポート」と呼ばれる独自のサポート体制も大きな魅力です。 これは、売買取引中はもちろん、引き渡し後も安心して生活できるよう、建物や設備のチェック、一定期間の保証などを提供するサービスです。例えば、「建物チェック&サポートサービス」では、専門家が建物の状態を診断し、万が一の不具合に対して修繕費用を保証してくれます。こうした手厚いサポートは、特に中古物件の取引において買主・売主双方に大きな安心感を与えます。
豊富な実績とデータに基づく的確な査定、全国規模の販売網、そして取引後の安心を支える充実したサポート体制。これらが三井不動産リアルティが業界のリーディングカンパニーであり続ける理由であり、初めて不動産を売買する方から、より確実な取引を求める方まで、幅広くおすすめできる不動産会社です。
② 住友不動産販売
住友不動産販売は、三井不動産リアルティと並び、業界を牽引する大手不動産会社の一つです。同社の際立った特徴は、全国に広がる店舗網がすべて「直営」であることです。 フランチャイズ展開をせず、すべての店舗を本社が直接管理することで、どのエリア、どの店舗でも均一で質の高いサービスを提供できる体制を構築しています。
営業スタイルとしては、「マンツーマン営業体制」を掲げています。これは、売却の相談から物件の引き渡しまで、一人の営業担当者が責任を持って対応する仕組みです。担当者が頻繁に変わることなく、顧客の状況や要望を深く理解した上で、きめ細やかなサポートを提供できるのが強みです。
売却を検討している方にとって特に注目すべきは、「ステップオークション(宅地建物取引業法上のオークションではありません)」という独自の売却システムです。 これは、一定期間内に購入希望者から申し込みを受け付け、その中から最も良い条件を提示した買主を選べる仕組みで、より高値での売却が期待できる可能性があります。
また、売却後の安心を支える「あんしん保証」サービスも充実しており、設備の修理・交換費用を保証するなど、買主の不安を解消し、スムーズな取引を後押しします。直営店ならではの組織力と、顧客一人ひとりに寄り添う営業体制を両立させているのが、住友不動産販売の大きな魅力と言えるでしょう。
③ 東急リバブル
東急リバブルは、東急グループの不動産会社として、特に首都圏の東急沿線で絶大なブランド力を誇りますが、現在では全国に店舗網を広げ、業界トップクラスの実績を持つ企業です。同社の特徴は、顧客の不安や不満を解消するための先進的なサービスを次々と打ち出している点にあります。
その代表格が「売却保証」サービスです。 これは、一定期間内に仲介での売却が成立しなかった場合に、あらかじめ約束した金額で東急リバブルが直接物件を買い取るというものです。これにより、売主は「もし売れなかったらどうしよう」という不安から解放され、安心して売却活動を進めることができます。住み替えの計画なども立てやすくなるため、利用者にとって非常にメリットの大きいサービスです。
また、ITの活用にも積極的で、AI(人工知能)が膨大なデータから算出する「AI自動査定」や、CGで家具を配置して入居後のイメージを具体化する「CGリフォームイメージ」など、テクノロジーを駆使したサービスで顧客の意思決定をサポートしています。
さらに、「あんしん仲介保証」では、建物の瑕疵や設備の不具合に対する保証を手厚く提供しており、中古物件取引の安心感を高めています。常に顧客視点に立ち、業界の常識にとらわれない新しい価値を提供し続ける姿勢が、東急リバブルの強さの源泉です。
④ 野村の仲介+(PLUS)
「野村の仲介+(PLUS)」は、野村不動産グループが展開する売買仲介ブランドです。グループの総合力を背景に、特に首都圏や関西圏、名古屋といった大都市圏で高品質なサービスを提供しています。同社の最大の特徴は、顧客一人ひとりへの丁寧なコンサルティング力にあります。
「+(プラス)」というブランド名が示す通り、単なる物件の仲介に留まらず、顧客のライフプランや資産背景まで踏まえた付加価値の高い提案を強みとしています。不動産のプロフェッショナルとして、税務や法務、資産運用に関する専門的なアドバイスを提供できる体制が整っています。
売却サポートもユニークで、「ホームステージング」サービスに力を入れています。これは、売却する物件にプロのコーディネーターが家具や小物を配置し、モデルルームのように演出することで、物件の魅力を最大限に引き出し、購入希望者への印象を向上させるサービスです。これにより、早期かつ高値での売却を目指します。
また、購入者向けには「あんしん設備保証」、売主向けには空き家期間中の管理を代行する「空家巡回サービス」など、きめ細やかなサポートが充実しています。量より質を重視し、一件一件の取引に丁寧に向き合う姿勢が、顧客から高い満足度を得ている理由です。富裕層や、不動産を資産として捉え、総合的なコンサルティングを求める方にとって、特に頼りになる存在と言えるでしょう。
⑤ 三菱UFJ不動産販売
三菱UFJ不動産販売は、日本最大の金融グループである三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の一員という強力なバックボーンを持つ不動産会社です。信託銀行系の不動産会社として、単なる売買仲介だけでなく、資産運用や相続、不動産活用といった幅広いニーズに対応できる総合力が最大の強みです。
特に、親会社である三菱UFJ信託銀行との連携により、不動産と金融を組み合わせた高度なコンサルティングを提供できます。例えば、相続した不動産の売却と、その後の資産の運用・管理までをワンストップで相談することが可能です。このため、個人の顧客だけでなく、企業のCRE(企業不動産)戦略や富裕層の資産管理においても高い専門性を発揮します。
全国の主要都市に拠点を持ち、地域に精通した専門スタッフが、豊富な情報とネットワークを駆使して顧客の課題解決をサポートします。売買仲介においては、MUFGの顧客基盤を活かした独自の集客力も期待できます。
不動産を「資産」という側面から捉え、売却、購入、活用、承継といったあらゆるフェーズにおいて、長期的かつ最適なソリューションを求める顧客にとって、三菱UFJ不動産販売は非常に心強いパートナーとなるでしょう。金融機関ならではの信頼性とコンプライアンス意識の高さも、安心して取引を任せられる大きな要因です。
⑥ みずほ不動産販売
みずほ不動産販売は、みずほフィナンシャルグループの一員であり、三菱UFJ不動産販売と同様に銀行系の不動産会社です。「銀行・信託・証券」というグループの総合力を活かした連携プレーが最大の特徴であり、顧客の多様なニーズにワンストップで応える体制を整えています。
例えば、不動産の売却で得た資金の運用相談はみずほ証券へ、相続や資産承継に関する相談はみずほ信託銀行へと、スムーズに連携して最適な提案を受けることが可能です。不動産取引が、単なる物件の売買で終わらず、顧客のライフプラン全体をサポートする一環として位置づけられています。
個人向けのリテール仲介はもちろんのこと、法人向けの不動産仲介やCRE戦略支援、投資用・事業用不動産の取り扱いにも豊富な実績があります。みずほ銀行の全国的なネットワークと法人顧客基盤を活かし、幅広い不動産ニーズに対応できるのが強みです。
また、売却活動においては、Webサイトでの物件紹介に力を入れており、豊富な写真や詳細な情報で物件の魅力を効果的にアピールします。もちろん、グループの信頼性を背景にしたコンプライアンス体制も万全です。金融と不動産を融合させた総合的なコンサルティングを求める方や、法人・事業用不動産の取引を検討している方にとって、有力な選択肢となるでしょう。
⑦ オープンハウス・アーキテクト
オープンハウス・アーキテクトは、オープンハウスグループに属し、主に関東圏、東海圏、関西圏で事業を展開しています。グループ全体として戸建ての分譲事業で急成長を遂げており、その戸建てに関するノウハウと独自の集客力を売買仲介事業にも活かしているのが大きな特徴です。
特に、都心部や駅近の好立地における戸建てや土地の売買に強みを持っています。 グループ内で用地の仕入れから建築、販売、仲介までを一気通貫で行っているため、市場の動向や顧客ニーズを的確に捉えたスピーディーな取引が可能です。
同社の営業スタイルは、積極的に顧客にアプローチする「攻め」の姿勢で知られており、その行動力が高い成約率に結びついています。Webマーケティングにも非常に力を入れており、インターネット経由での集客力は業界でもトップクラスです。
「都心に家を持つ」というコンセプトを掲げ、他の会社では扱いにくいとされる狭小地や変形地といった土地でも、グループの建築ノウハウを活かして価値を見出し、商品化する力があります。東京23区内や主要都市の中心部で戸建ての売買を検討している方、あるいはスピーディーな売却を希望する方にとって、オープンハウスグループの仲介サービスは非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
⑧ 積水ハウス不動産
積水ハウス不動産は、日本を代表するハウスメーカーである積水ハウスのグループ会社です。 その最大の強みは、なんといっても積水ハウスが供給してきた膨大な数の高品質な住宅ストック(既存住宅)に関する知見とネットワークにあります。
積水ハウスのオーナーからの売却依頼が多く、自社ブランドの物件に関しては、その設計思想や構造、メンテナンス履歴まで熟知しています。そのため、物件の価値を正しく評価し、その魅力を的確に購入希望者へ伝えることができます。 これは、他の不動産会社には真似のできない大きなアドバンテージです。
購入を検討する側にとっても、「積水ハウスの家」というブランドへの信頼感は絶大であり、積水ハウス不動産が扱う物件であれば、その品質や維持管理の状態について安心して検討できます。
また、グループ内でリフォーム事業も手がけているため、中古物件を購入してリフォームをしたいというニーズにもワンストップで対応可能です。売却の際には、効果的なリフォーム提案をすることで物件価値を高める、といった戦略もとることができます。積水ハウスの物件を所有している方、あるいは購入を希望している方にとっては、まさに第一の選択肢となる不動産会社です。
⑨ 大京穴吹不動産
大京穴吹不動産は、マンションのトップブランド「ライオンズマンション」で知られる大京グループと、西日本を中心にマンション管理で実績のある穴吹コミュニティが統合して誕生した会社です。 その出自からも明らかなように、マンションの売買仲介において圧倒的な強みを誇ります。
グループで管理するマンションの戸数は全国トップクラスであり、その管理組合との良好な関係や、各マンションの特性・修繕履歴などを詳細に把握しています。これにより、売却時には物件の価値を最大限にアピールでき、購入時には安心できる情報提供が可能です。
「リノベーション済みマンション」の販売にも力を入れており、自社で中古マンションを買い取り、現代のニーズに合わせた内装にリフォームして再販する事業も展開しています。これにより、購入者は新築同様の美しい住まいを、中古ならではの価格で手に入れることができます。
マンションの売却・購入を検討している方、特にライオンズマンションをはじめとする同社グループのマンションにお住まいの方や興味がある方にとって、大京穴吹不動産は最も頼りになる専門家集団と言えるでしょう。マンションに特化した深い知見と豊富な実績が、安心で満足度の高い取引を実現します。
⑩ 近鉄不動産
近鉄不動産は、その名の通り近鉄グループの中核をなす総合不動産会社です。最大の強みは、関西圏、特に近鉄沿線における圧倒的な地盤とブランド力です。 長年にわたる沿線での分譲事業や開発事業を通じて、地域の情報や市場動向を深く把握しており、地域に根差した不動産取引を展開しています。
分譲、仲介、賃貸、リフォーム、ビル管理など、不動産に関する幅広い事業を手がけており、それらのノウハウを連携させた総合的な提案が可能です。例えば、住み替えを検討する顧客に対して、現在の住まいの売却から新しい住まいの購入、さらにはリフォームまでをトータルでサポートすることができます。
近鉄沿線に住む人々にとっては、「近鉄」というブランドは絶大な信頼と安心感の象徴です。そのブランド力を背景に、沿線住民からの売却依頼や購入相談が絶えず、豊富な物件情報と顧客情報を保有しています。
もちろん、近年では首都圏や中京圏にも事業エリアを拡大しており、各地域での実績も着実に積み上げています。主に関西圏、特に近鉄沿線で不動産取引を考えている方にとっては、他の追随を許さない情報網と信頼性を持つ、第一候補の不動産会社となるでしょう。
【賃貸仲介】大手不動産会社ランキングTOP5
次に、お部屋探しに欠かせない賃貸仲介の大手不動産会社を見ていきましょう。賃貸仲介の実績は「仲介件数」で測られることが多く、件数が多いほど、多くの人がその会社を通じて部屋を見つけていることを意味します。ここでは、業界専門紙「全国賃貸住宅新聞」が発表するランキングなどを参考に、賃貸仲介の大手5社をご紹介します。
順位 | 会社名(ブランド名) | 2022年度 仲介件数 | 特徴 |
---|---|---|---|
1位 | 大東建託グループ(いい部屋ネット) | 239,088件 | 圧倒的な管理戸数、自社物件中心の豊富なラインナップ |
2位 | 積水ハウス不動産グループ(シャーメゾン) | 108,740件 | 高品質なハウスメーカー系賃貸、優れた耐震性・遮音性 |
3位 | 大和リビング(D-room) | 94,997件 | 多様なライフスタイルに応えるサービス、連帯保証人不要プラン |
4位 | エイブル | 88,438件 | 全国トップクラスの店舗網、地域密着の物件紹介力 |
5位 | ミニミニ | 77,508件 | 敷金・礼金ゼロ物件など、初期費用を抑えた物件に強み |
※仲介件数は、株式会社全国賃貸住宅新聞社「2023年賃貸仲介件数ランキング409社」を参照。
① 大東建託グループ
「いい部屋ネット」のブランドで広く知られる大東建託グループは、賃貸仲介件数において長年トップを走り続ける、まさに賃貸業界の巨人です。その強さの源泉は、自社で建設・管理する賃貸住宅の圧倒的な戸数にあります。 全国に広がる自社管理物件が主な取扱商品であるため、他社にはないオリジナルな物件を豊富に揃えています。
借り手にとっては、大東建託グループの店舗に行けば、そのエリアの「いい部屋ネット」の物件を網羅的に紹介してもらえるというメリットがあります。物件の種類も、単身者向けのアパートからファミリー向けのマンションまで幅広く、多様なニーズに対応可能です。
また、管理会社としての側面も強く、入居後のサポート体制が整っている点も安心材料です。設備の故障やトラブルがあった際の対応窓口が明確で、迅速な対応が期待できます。
「いい部屋ネット」という強力なブランドによる集客力と、全国を網羅する自社管理物件という豊富な商品力。 この二つが、大東建託グループが賃貸仲介のトップランナーであり続ける理由です。部屋探しをするなら、まず最初に候補に入れるべき会社の一つと言えるでしょう。
② 積水ハウス不動産グループ
積水ハウス不動産グループは、売買仲介だけでなく賃貸仲介においても大きな存在感を示しています。同社が展開する賃貸住宅ブランド「シャーメゾン」は、高品質な住まいを求める層から絶大な支持を得ています。
ハウスメーカーとしての高い技術力を活かし、耐震性や耐久性はもちろんのこと、特に遮音性に優れた「シャイド55」といった独自技術は、アパートの弱点とされがちな生活音の問題を大幅に軽減し、快適な住環境を提供します。また、デザイン性にも優れ、ホテルのような高級感のある「ホテルライク」仕様の物件なども人気を集めています。
同社が扱う物件の多くは自社管理物件であるため、物件の品質や管理状態について熟知しており、借り手は安心して入居できます。入居後のフォロー体制も充実しており、質の高い暮らしを長期的にサポートしてくれます。
「賃貸でも、分譲マンションのような質の高い暮らしがしたい」「騒音問題を気にせず、静かに暮らしたい」といった、住環境の質にこだわりを持つ方にとって、積水ハウス不動産グループの「シャーメゾン」は、非常に魅力的な選択肢となります。
③ 大和リビング
大和リビングは、大手ハウスメーカー・大和ハウス工業のグループ会社であり、「D-room」というブランドで賃貸住宅事業を展開しています。同社の特徴は、多様化するライフスタイルに対応した、ユニークで利便性の高いサービスを数多く提供している点です。
その代表例が、連帯保証人や保証会社への加入が不要になる独自の入居システムです。これにより、入居時の手続きの煩わしさや費用負担を軽減できます。また、家具・家電付きの物件や、インターネット無料の物件も豊富に取り揃えており、単身者や学生、転勤者など、身軽に入居したい層から高い人気を得ています。
さらに、「サツキ」「タダシ」といったセキュリティシステムを導入した防犯配慮型賃貸住宅や、ペット共生型賃貸住宅など、特定のニーズに応える商品開発にも積極的です。
借り手の「あったらいいな」を形にするサービス開発力と、大和ハウスグループならではの高品質な物件が、大和リビングの強みです。利便性を重視する方や、特定のライフスタイルに合った住まいを探している方におすすめの不動産会社です。
④ エイブル
エイブルは、全国に広がる直営店とネットワーク店を合わせ、トップクラスの店舗網を誇る賃貸仲介の専門会社です。フランチャイズ展開により地域に根差した不動産会社と連携することで、各エリアの細かな情報や、ポータルサイトには掲載されていないような「掘り出し物」の物件情報に強いのが特徴です。
長年の歴史で培われた知名度と信頼性も高く、「部屋探しといえばエイブル」というイメージを持つ人も多いでしょう。営業スタッフは地域の情報に精通しており、周辺環境や交通の便、治安といった、物件情報だけではわからない「暮らしの情報」も提供してくれます。
また、女性スタッフが部屋探しをサポートする「MAISON ABLE(メゾンエイブル)」というサービスや、学生向けの割引キャンペーンなど、ターゲットを明確にしたサービス展開も行っています。
全国どこでも安定したサービスを受けたい方や、地域に密着した情報をもとにじっくり部屋探しをしたい方にとって、エイブルは頼れるパートナーとなります。その広範なネットワーク力は、希望の物件に出会う確率を高めてくれるでしょう。
⑤ ミニミニ
「お部屋探しはミニミニで」のキャッチフレーズでおなじみのミニミニは、入居時の初期費用を抑えられる物件に特化しているのが最大の特徴です。
その代名詞ともいえるのが、敷金・礼金がゼロの「スーパー君」というオリジナル商品です。 これに加えて、家具・家電付きの物件も豊富に扱っており、引っ越しの手間と費用を大幅に削減できます。進学や就職、転勤などで、できるだけコストをかけずに新生活をスタートさせたい人にとって、非常に魅力的なサービスです。
全国に店舗網を持ち、特に学生や単身者向けの物件を数多く取り揃えています。Webサイトも見やすく、希望の条件で物件を簡単に検索できる工夫がされています。
一方で、初期費用が安い分、退去時に原状回復費用やクリーニング代などがかかる契約になっている場合もあるため、契約内容はしっかりと確認することが重要です。とにかく初期費用を抑えて引っ越したい、という明確な目的がある方にとって、ミニミニは非常に強力な味方となってくれる不動産会社です。
大手不動産会社とは?
ここまで具体的な企業名を見てきましたが、そもそも「大手」と「中小」の不動産会社にはどのような違いがあるのでしょうか。明確な定義はありませんが、一般的には、全国的な知名度、店舗数、従業員数、そして売上高や仲介取扱高の規模が大きい会社が「大手」と呼ばれます。
大手不動産会社を選ぶか、あるいは地域に根差した中小の不動産会社を選ぶかは、あなたの目的や重視するポイントによって変わってきます。ここでは、両者の違いを4つの観点から詳しく解説し、それぞれのメリット・デメリットを明らかにしていきます。
大手と中小の不動産会社の違い
項目 | 大手不動産会社 | 中小不動産会社 |
---|---|---|
広告力・集客力 | ◎:テレビCM、大規模Web広告など全国規模で強力 | △:地域密着のチラシ、口コミ、地元の繋がりが中心 |
対応エリア・物件情報量 | ◎:全国ネットワークで広範囲・多量な情報を保有 | ○:特定エリアに特化。未公開情報を保有することも |
仲介手数料 | △:基本的に法定上限。値引き交渉は難しい傾向 | ○:柔軟な対応も期待でき、交渉の余地がある場合も |
サポート体制 | ◎:独自の建物保証や提携サービスなどが充実 | ○:小回りが利き、社長自ら対応するなど柔軟性が高い |
広告力・集客力
大手不動産会社の最大の武器は、その圧倒的な広告力と集客力です。 テレビCM、新聞広告、大手ポータルサイトへの大規模な出稿、自社Webサイトへの強力なSEO対策など、莫大な費用を投じて全国規模のプロモーションを展開しています。
これにより、家を売りたい売主にとっては、自分の物件がより多くの購入希望者の目に触れる機会が増え、早期売却や高値売却の可能性が高まります。 買主にとっても、大手不動産会社のサイトを見れば、効率的に多くの物件情報を集めることができます。
一方、中小の不動産会社は、広告予算が限られているため、大手のような広範囲な広告展開は困難です。その代わり、地域の情報誌への掲載、ポスティングチラシ、地元での口コミ、長年築き上げた地域コミュニティとの繋がりなどを駆使して集客を図ります。そのエリアで家を探している「確度の高い顧客」に直接アプローチできるのが強みと言えるでしょう。
対応エリアと物件情報量
大手不動産会社は全国各地に支店網を持っているため、対応エリアが非常に広いのが特徴です。例えば、東京に住みながら北海道の物件を売却したり、大阪の店舗で九州の物件を探したりといった、広域での不動産取引に対応できます。また、全国から集まる膨大な物件情報をデータベース化しているため、情報量という点では中小を圧倒しています。
これに対し、中小の不動産会社は、特定の市や区、あるいは特定の沿線など、限られたエリアに特化して営業活動を行っています。 対応エリアは狭いですが、その分、その地域に関する知識は非常に深いです。地域の学校区の評判、スーパーの品揃え、交通量の変化、将来の都市計画といった、データには現れない「生の情報」に精通しています。
さらに、大手にはない「未公開物件」の情報を持っている可能性もあります。 これは、広告を出す前に地元の繋がりで売却先を見つけたいと考える売主や、近所に知られずに売却したいという事情を抱える売主から、信頼する地元の不動産会社だけに相談が持ち込まれるケースがあるためです。
仲介手数料
不動産売買の仲介手数料は、宅地建物取引業法で上限が定められています(売買価格400万円超の場合:売買価格 × 3% + 6万円 + 消費税)。
大手不動産会社は、そのブランド力、充実したサポートサービスを背景に、基本的にこの法定上限額を請求することがほとんどです。 手数料の値引き交渉は、一般的に難しい傾向にあります。これは、手数料を正規の価格で支払ってでも、大手の安心感やサービスを受けたいという顧客が多いためです。
一方、中小の不動産会社では、仲介手数料について柔軟な対応をしてくれる場合があります。 大手との競争に勝つために、サービスの一環として手数料の値引きに応じるケースも少なくありません。ただし、過度な値引きを要求すると、その分、広告活動が手薄になったり、担当者のモチベーションが下がったりする可能性もあるため注意が必要です。手数料の安さだけで選ぶのではなく、提供されるサービスの質とのバランスを考えることが重要です。
サポート体制
大手不動産会社は、独自の充実したサポート体制を整備している点が大きな魅力です。 例えば、以下のようなサービスが挙げられます。
- 建物・設備保証: 引き渡し後に見つかった建物の欠陥(雨漏りなど)や、給湯器・エアコンといった設備の故障に対して、一定期間・一定額まで修理費用を保証する。
- 瑕疵保険の付保サポート: 専門家による建物検査を行い、国の基準を満たした物件に付与される瑕疵保険への加入をサポートする。
- 24時間駆けつけサービス: 水漏れや鍵の紛失といった、暮らしのトラブルに24時間体制で対応する。
- 各種専門家相談: 提携する税理士や弁護士、司法書士に無料で相談できるサービス。
- 提携サービス割引: 引っ越し業者やインテリアショップ、リフォーム会社などを割引価格で利用できる。
これらのサービスは、取引の安全性を高め、買主・売主双方の不安を解消するために非常に有効です。
対して中小の不動産会社は、大手のようなパッケージ化された保証サービスは少ないかもしれません。しかし、その分、小回りが利き、顧客一人ひとりの事情に合わせた柔軟な対応が期待できます。 例えば、社長自らが全ての取引に関与し、夜間や休日でも親身に相談に乗ってくれるなど、大手にはないフットワークの軽さと人間味のあるサポートが魅力です。
大手不動産会社に依頼する3つのメリット
大手と中小の違いを踏まえた上で、改めて大手不動産会社に依頼する具体的なメリットを3つのポイントに絞って解説します。これらのメリットを理解することで、なぜ多くの人が大手を選ぶのか、その理由が見えてくるでしょう。
① ブランド力と信頼性が高い
不動産という高額な資産を扱う取引において、「安心感」は何物にも代えがたい価値を持ちます。 大手不動産会社は、長年の実績とテレビCMなどによる高い知名度によって、社会的な「ブランド」を確立しています。このブランド力は、取引の相手方にも安心感を与え、スムーズな交渉に繋がることがあります。
例えば、あなたが家を売る立場で、購入希望者が現れたとします。その購入希望者が利用している不動産会社が、全く聞いたことのない会社よりも、誰もが知る大手不動産会社であった方が、あなたも安心して取引を進められるのではないでしょうか。逆もまた然りです。
また、大手企業は社会的な信用を非常に重視します。万が一、法令違反や顧客とのトラブルが発生すれば、ニュースなどで大きく報じられ、築き上げてきたブランドイメージが大きく損なわれてしまいます。そのため、コンプライアンス(法令遵守)体制が非常に厳格に整備されており、宅地建物取引業法などの関連法規を遵守した、透明性の高い取引が期待できます。 契約書や重要事項説明書などの書類作成も抜け漏れなく、丁寧に行われるため、後々のトラブルを未然に防ぐことに繋がります。この「信頼性の高さ」こそが、大手不動産会社に依頼する最大のメリットと言えるでしょう。
② 全国規模のネットワークと広告力
不動産を高く、そして早く売却するためには、「いかに多くの購入希望者に物件の存在を知らせるか」が鍵となります。この点で、大手不動産会社が持つ全国規模のネットワークと広告力は絶大な効果を発揮します。
まず、大手不動産会社は全国に店舗を展開しており、各店舗が抱える豊富な顧客リストを持っています。あなたの売りたい物件のエリアとは異なる地域に住んでいる人が、転勤や移住のために家を探しているケースも少なくありません。全国ネットワークがあれば、こうした広域の購入希望者にも効率的にアプローチすることが可能です。
さらに、自社で運営する強力な物件検索サイトや、SUUMOやHOME’Sといった大手不動産ポータルサイトへの出稿においても、有利な掲載枠を確保しています。これにより、インターネットで家を探している大多数のユーザーの目に、あなたの物件情報が優先的に表示される機会が増えます。
不動産会社間で物件情報を共有する「REINS(レインズ)」への登録はもちろんのこと、それに加えて自社独自の強力な販売チャネルを複数持っていること。 これが、中小の不動産会社にはない、大手ならではの強力な販売力・集客力の源泉です。購入希望者にとっても、一つの会社の窓口で全国の豊富な物件情報にアクセスできるため、効率的な家探しが可能になります。
③ 売却や購入に関するサポートが充実している
前述の「大手と中小の違い」でも触れましたが、大手不動産会社は取引をスムーズに進め、顧客の不安を解消するための付帯サービスが非常に充実しています。 これらは単なるおまけではなく、取引の成否や満足度を大きく左右する重要な要素です。
代表的なのが「瑕疵(かし)保証」や「設備保証」です。中古住宅の売買で最も懸念されるのが、引き渡し後に雨漏りやシロアリ被害、給湯器の故障といった欠陥・不具合が見つかることです。大手不動産会社の多くは、こうした万が一の事態に備え、一定期間、修理費用などを保証する独自のサービスを提供しています。これにより、売主は売却後の予期せぬ出費のリスクを軽減でき、買主は安心して物件を購入できます。結果として、取引が成立しやすくなるのです。
また、売却活動を有利に進めるための「ホームステージング」(家具などで室内を演出し、物件の魅力を高めるサービス)や、プロのカメラマンによる写真撮影、VR(バーチャルリアリティ)内覧コンテンツの作成など、物件をより魅力的に見せるためのサービスも豊富です。
購入者向けには、提携金融機関による住宅ローンの優遇金利の案内や、引っ越し業者の割引紹介、税理士や弁護士への無料相談会など、不動産取引に付随する様々な手続きや費用面でのサポートも手厚く行っています。不動産取引を「点」ではなく「線」で捉え、トータルでサポートしてくれる体制が整っていることは、特に初めて不動産取引を行う人にとって、大きな安心材料となるでしょう。
大手不動産会社に依頼する3つのデメリット
多くのメリットがある一方で、大手不動産会社に依頼することにはデメリットや注意すべき点も存在します。メリットとデメリットの両方を正しく理解し、総合的に判断することが、後悔のない会社選びに繋がります。
① 仲介手数料の値引きが難しい
大手不動産会社に依頼する際に、最も現実的なデメリットとして挙げられるのが仲介手数料の問題です。前述の通り、大手不動産会社は、そのブランド力や充実したサポートを背景に、法律で定められた上限額(売買価格×3%+6万円+消費税)を正規の手数料として請求することが一般的です。
「これだけ手厚いサービスを提供するのだから、手数料は正規の料金でいただく」というスタンスであり、値引き交渉に応じてもらえるケースは稀です。仮に交渉の余地があったとしても、その幅はごくわずかでしょう。
例えば、4,000万円の物件を売買した場合、仲介手数料の上限額は「4,000万円 × 3% + 6万円」で126万円(税抜)となります。もし中小の不動産会社が手数料の値引きに応じてくれた場合、数十万円単位で諸費用を抑えられる可能性があります。
もちろん、大手の手厚いサポートや安心感には、その手数料を支払う価値があると考えることもできます。しかし、「少しでも取引にかかるコストを抑えたい」という明確な希望がある場合、大手不動産会社は最適な選択肢ではないかもしれません。 手数料の金額と、受けられるサービスの価値を天秤にかけ、自分がどちらを優先するのかを慎重に検討する必要があります。
② 営業担当者の異動がある
大手不動産会社は、全国に多数の従業員を抱える大企業です。そのため、定期的な人事異動は避けられません。 不動産取引は、査定から売却活動、契約、引き渡しまで数ヶ月、場合によっては1年以上かかることもあります。その間に、親身に相談に乗ってくれていた担当者が、別の支店へ異動してしまうという事態が起こり得ます。
後任の担当者に引き継ぎは行われますが、これまでの経緯やあなたの家庭の事情、物件に対する細かなニュアンスなどが100%伝わるとは限りません。新しい担当者とまた一から人間関係を築く必要があり、ストレスを感じることもあるでしょう。
また、大手には優秀な営業担当者が数多く在籍している一方で、経験の浅い若手社員が担当になる可能性もあります。個々の担当者のスキルや熱意にばらつきがあるのは、どの会社でも同じですが、大手の場合は会社の看板で集客できるため、個人の能力差が見えにくくなる側面もあります。
「一人の担当者と最後までじっくり付き合いたい」「会社の規模よりも、担当者個人のスキルや相性を重視したい」と考える方にとっては、社長自らが最後まで責任を持って対応してくれるような、地域密着の中小不動産会社の方が向いている可能性があります。
③ 物件の「囲い込み」をされる可能性がある
これは大手・中小問わず不動産業界全体の問題ですが、特に両手仲介を狙いやすい大手で注意が必要とされるのが「囲い込み」という行為です。
まず、不動産仲介には「片手仲介」と「両手仲介」があります。
- 片手仲介: 売主側の仲介会社と、買主側の仲介会社が別々におり、それぞれが依頼主から仲介手数料を受け取る形。
- 両手仲介: 一つの仲介会社が、売主と買主の両方を見つけ、双方から仲介手数料を受け取る形。
会社にとっては、両手仲介の方が手数料収入が2倍になるため、大きな利益となります。この両手仲介を成立させるために、売主から依頼された物件を意図的に他社へ紹介しないようにする行為が「囲い込み」です。
具体的には、他の不動産会社から「その物件を購入したいお客様がいるので、紹介してください」という問い合わせがあっても、「すでに申し込みが入っています」「売主様の都合で案内できません」などと嘘の理由をつけて断ってしまうのです。そして、自社で買主が見つかるのを待ちます。
囲い込みをされると、売主にとっては、より良い条件で購入してくれるかもしれない他社の顧客を逃すことになり、売却期間が長引いたり、値下げを余儀なくされたりする大きな不利益に繋がります。
近年、この問題は社会的に厳しく批判されており、大手不動産会社を中心にコンプライアンス意識は高まり、囲い込みを防止する対策も講じられています。しかし、理論上のリスクとして、こうした可能性があることは知っておくべきです。
失敗しない!自分に合った不動産会社の選び方4つのポイント
大手と中小、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、最終的に自分に合った一社を見つけるためには、どのような行動を取ればよいのでしょうか。ここでは、不動産会社選びで失敗しないための具体的な4つのポイントを解説します。
① 複数の会社に査定を依頼して比較する
不動産会社選びの第一歩は、必ず複数の会社に査定を依頼することから始めましょう。 1社だけの査定では、その査定額が高いのか安いのか、妥当なのかすら判断できません。
複数の会社に査定を依頼することで、以下のようなメリットがあります。
- 相場観の把握: 各社の査定額を比較することで、自分の物件のおおよその市場価値(相場)を客観的に把握できます。
- 会社の比較: 査定額だけでなく、各社の担当者の対応、提案内容、売却戦略などを比較検討できます。
- 担当者との相性確認: 実際に担当者と顔を合わせることで、信頼できる相手かどうかを見極めることができます。
一件一件不動産会社を訪ねるのは大変ですが、現在では「不動産一括査定サイト」を利用するのが最も効率的です。物件情報と個人情報を一度入力するだけで、複数の不動産会社(大手から地域密着の中小まで)に無料で査定を依頼できます。
このステップを省略してしまうと、気づかないうちに不利益な条件で契約してしまうリスクが高まります。面倒でも、最低でも3社以上、できれば5〜6社程度の査定結果を比較検討することをおすすめします。
② 担当者との相性や対応の質を見極める
不動産会社を選ぶことは、最終的に「信頼できる担当者を選ぶこと」と言っても過言ではありません。会社の規模やブランド力も重要ですが、実際にあなたの窓口となって活動するのは一人の営業担当者です。その担当者との相性が悪かったり、対応に不満があったりすると、取引期間中ずっとストレスを抱えることになります。
査定で担当者と会う際には、以下の点をチェックしてみましょう。
- レスポンスの速さ: 質問や依頼に対する返信は迅速か。連絡が遅い担当者は、重要な場面で機会を逃す可能性があります。
- 説明の分かりやすさ: 専門用語を多用せず、素人にも理解できるように丁寧に説明してくれるか。あなたの質問に的確に答えられるか。
- 傾聴力: あなたの話を親身になって聞いてくれるか。あなたの希望や不安をしっかりと受け止めてくれる姿勢があるか。
- 提案力: ただ物件を売るだけでなく、あなたの状況に合わせた最適な売却戦略(売り出し価格、時期、方法など)を提案してくれるか。
- 誠実さ: メリットだけでなく、デメリットやリスクについても正直に話してくれるか。
いくら会社の評判が良くても、担当者に「この人には任せられない」と感じたら、契約は見送るべきです。 あなたの人生の大きな決断を、心から信頼して任せられるパートナーを見つけることが最も重要です。
③ 得意な物件種別やエリアの実績を確認する
不動産会社には、それぞれ得意な物件種別やエリアがあります。例えば、マンションの売買に強い会社、一戸建てに強い会社、土地取引の専門家、投資用物件に特化した会社など様々です。
あなたが売却したい物件がマンションなのであれば、そのエリアでマンションの売買実績が豊富な会社に依頼するのが得策です。その会社は、マンションならではの評価ポイント(管理状態、修繕積立金の状況、共用施設など)を熟知しており、購入希望者に対しても的確に魅力をアピールできます。
担当者に会った際には、「このエリアで、うちと似たようなマンション(または戸建て)を売却した実績はありますか?」と具体的に質問してみましょう。過去の取引事例や、現在抱えているそのエリアの購入希望者の情報などを具体的に話せる担当者は、その地域での販売力に自信がある証拠です。
会社のホームページで公開されている取引事例を確認するのも有効です。自分の物件と不動産会社の得意分野がマッチしているかどうかを、契約前に必ず確認しましょう。
④ 査定価格の根拠を質問する
複数の会社から査定結果が出ると、どうしても最も高い金額を提示した会社に惹かれがちです。しかし、ここで冷静になる必要があります。重要なのは査定額の高さそのものではなく、「その査定額が何を根拠に算出されたか」です。
査定訪問の際には、担当者に必ず「この査定価格の根拠を教えてください」と質問してください。信頼できる担当者であれば、以下のような点を論理的に説明してくれるはずです。
- 周辺の類似物件の成約事例: 最近、近隣でどのような物件がいくらで売れたか。
- 現在売り出し中の競合物件の状況: 周辺で売り出されているライバル物件の価格や特徴。
- 市場の動向: 現在の不動産市況(金利、需要と供給のバランスなど)がどうなっているか。
- 物件の個別要因: あなたの物件の長所(日当たり、駅からの距離など)と短所(築年数、間取りなど)をどう評価したか。
もし、明確な根拠を示さずに「うちなら高く売れます」「頑張ります」といった精神論ばかりを話す担当者がいたら注意が必要です。それは、売主と媒介契約を結びたいがために、意図的に相場より高い査定額を提示する「高値査定(釣り査定)」である可能性があります。
最初に高い価格で売り出しても、結局買い手がつかずに何度も値下げを繰り返すことになり、かえって売却期間が長引き、最終的には相場より安い価格でしか売れなかった、という事態に陥りかねません。査定額の高さに惑わされず、その根拠に納得できる、誠実な会社を選びましょう。
不動産会社選びでよくある質問
最後に、不動産会社選びに関して多くの人が抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。
大手と中小の不動産会社はどちらがおすすめ?
これは非常によくある質問ですが、「一概にどちらが良いとは言えない」というのが答えになります。どちらを選ぶべきかは、あなたが何を最も重視するかによって異なります。
- 大手不動産会社がおすすめな人:
- 安心感と信頼性を最優先したい人。
- 広範囲のネットワークと広告力で、とにかく多くの人に見てもらいたい人。
- 建物保証などの手厚いサポートサービスを受けたい人。
- 初めての不動産取引で、何から何まで任せたい人。
- 中小不動産会社がおすすめな人:
- 特定のエリアに特化した、深い情報や知識を求めている人。
- 仲介手数料のコストを少しでも抑えたい人。
- 一人の担当者とじっくり、柔軟な対応で付き合っていきたい人。
- 近所に知られず、水面下で売却を進めたいなどの特別な事情がある人。
最終的には、前述の選び方のポイントを参考に、大手・中小の両方から査定を取り、実際に担当者と話した上で、最も信頼できると感じた会社に依頼するのが最善の道です。
良い不動産会社はどのように探せばいい?
良い不動産会社や担当者に出会うための探し方には、いくつかの方法があります。一つの方法に偏らず、複数を組み合わせるのが効果的です。
- 不動産一括査定サイトを利用する: 最も効率的で一般的な方法です。一度の手間で複数の会社を比較でき、大手から地元の優良企業まで、幅広い選択肢の中から検討できます。
- 知人・友人からの紹介: 実際に不動産取引を経験した知人から、良かった会社や担当者を紹介してもらう方法です。リアルな体験談が聞けるため信頼性は高いですが、その担当者があなたの物件やエリアにも強いとは限らない点には注意が必要です。
- インターネットで口コミや評判を調べる: 企業の口コミサイトやGoogleマップのレビューなどを参考にする方法です。ただし、情報は玉石混交であり、個人的な感情で書かれたものも多いため、あくまで参考程度に留め、鵜呑みにしないことが大切です。
- 実際に街の不動産会社を訪ねてみる: 気になるエリアを歩き、店舗の雰囲気や掲示されている物件情報を見て、直接訪問してみるのも一つの手です。担当者の生の声を聞くことができます。
最もおすすめなのは、まず「一括査定サイト」で複数の候補をリストアップし、その後でそれぞれの会社の評判を調べたり、知人の意見を聞いたりして、最終的に面談で絞り込んでいくという流れです。
不動産会社の免許番号は何を確認すればいい?
不動産会社の事務所には、必ず「宅地建物取引業者免許証」が掲示されています。この免許番号を見ることで、その会社の信頼性を測る一つの指標を得ることができます。
免許番号は、「国土交通大臣(〇)第×××××号」または「〇〇県知事(〇)第×××××号」という形式で記載されています。
確認すべきポイントは、カッコ内の数字です。この数字は免許の更新回数を示しており、免許は5年に一度更新されるため、この数字が大きいほど、その不動産会社の業歴が長いことを意味します。
例えば、「(1)」であれば業歴5年未満、「(2)」であれば業歴5年以上10年未満、「(3)」であれば10年以上15年未満…となります。もちろん、業歴が長ければ絶対に良い会社というわけではありませんが、長年にわたって事業を継続できているということは、それだけ地域で安定した経営を行い、顧客からの信頼を得てきた証と考えることができます。
一つの参考情報として、査定訪問時などに免許番号のカッコ内の数字を確認してみるとよいでしょう。
まとめ
この記事では、大手不動産会社を中心に、その特徴からメリット・デメリット、そして失敗しないための選び方までを詳しく解説してきました。
大手不動産会社は、圧倒的なブランド力と信頼性、全国規模の販売網、そして充実したサポート体制という、取引における大きな安心感と強力な武器を持っています。特に初めて不動産を売買する方や、確実でスムーズな取引を望む方にとっては、非常に頼りになる存在です。
しかしその一方で、仲介手数料が割高になりがちであったり、担当者の異動があったり、場合によっては「囲い込み」のリスクがゼロではないといった側面も持ち合わせています。
重要なのは、大手というだけで盲信するのではなく、そのメリットとデメリットを正しく理解すること。そして、地域に根差した中小の不動産会社という選択肢も視野に入れ、必ず複数の会社を比較検討することです。
最終的にあなたの不動産取引を成功に導くのは、会社の看板の大きさだけではありません。あなたの状況を深く理解し、あなたの利益を第一に考えて行動してくれる、誠実で有能な営業担当者との出会いです。
不動産一括査定などを活用して複数の会社と接点を持ち、査定額の根拠を尋ね、担当者の対応を見極める。 このプロセスを丁寧に行うことが、後悔のない不動産会社選び、ひいては不動産取引の成功へと繋がる最も確実な道筋です。
この記事が、あなたの素晴らしい不動産取引の第一歩となることを心から願っています。