毎日使うお風呂は、一日の疲れを癒す大切な空間です。しかし、年月の経過とともに浴槽の傷みやカビ、設備の旧式化などが気になってくることも少なくありません。「そろそろリフォームしたいけど、費用がいくらかかるか不安…」と感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、風呂リフォームにかかる費用相場を、工事の種類や部分的な内容、価格帯別に徹底的に解説します。費用を左右するポイントや、賢くコストを抑えるコツ、利用できる補助金制度まで、風呂リフォームを成功させるために必要な情報を網羅的にご紹介します。これからリフォームを検討している方は、ぜひこの記事を参考にして、理想のバスルームを実現するための第一歩を踏み出してください。
目次
風呂・浴室リフォームの全体的な費用相場
まず、風呂・浴室リフォーム全体で、どのくらいの費用がかかるのかを把握しておきましょう。具体的な計画を立てる上で、大まかな予算感を知ることは非常に重要です。
費用は50万円~150万円が中心価格帯
風呂・浴室リフォームの全体的な費用相場は、50万円から150万円が最も一般的な価格帯です。もちろん、工事の内容や選ぶ設備のグレードによって費用は大きく変動しますが、多くのご家庭がこの範囲内でリフォームを実施しています。
なぜこの価格帯が中心となるのでしょうか。その理由は、現在の日本の住宅で主流となっている「ユニットバス」の交換が、リフォームの典型的なパターンだからです。ユニットバスから新しいユニットバスへ交換する場合、比較的工事が規格化されており、製品代と工事費を合わせるとこの価格帯に収まることが多くなります。
価格帯 | 主なリフォーム内容の目安 |
---|---|
~50万円 | 浴槽のみの交換、シャワー・水栓の交換、壁・床・天井の部分的な補修や張り替え、換気扇の交換など、部分的な修繕や設備の交換が中心。 |
50万円~150万円 | 標準的なグレードのユニットバスへの全体交換。最も多くのリフォームがこの価格帯に該当する。在来工法の浴室からユニットバスへの交換も、内容によってはこの範囲で可能。 |
150万円~ | ハイグレードなユニットバスへの交換、デザイン性の高い在来工法でのリフォーム、浴室の拡張や移動など、こだわりを反映させた大規模なリフォーム。 |
この中心価格帯である50万円~150万円の範囲内でも、費用の差が生まれる要因は主に以下の3つです。
- 現在の浴室の種類:壁や床がタイルでできている「在来工法」の浴室か、工場で製造されたパーツを現場で組み立てる「ユニットバス」かによって、解体や設置の手間が大きく変わります。一般的に、在来工法からユニットバスへのリフォームは、ユニットバス同士の交換よりも高額になる傾向があります。
- 新しいユニットバスのグレード:ユニットバスには、各メーカーが設定する「普及価格帯(ベーシック)」「ミドルグレード」「ハイグレード」といったランクが存在します。グレードが上がるほど、浴槽や壁の素材が高品質になったり、標準装備される機能が充実したりするため、本体価格が上昇します。
- 追加するオプション:浴室換気乾燥暖房機やジェットバス、浴室テレビといったオプション機能を追加すれば、その分費用は加算されます。
リフォームを検討し始めた段階では、「我が家の場合はいくらくらいかかるのだろう?」と疑問に思うはずです。まずはご自宅の浴室が在来工法かユニットバスかを確認し、どのような機能が欲しいかを大まかにイメージすることで、より具体的な予算感を掴むことができます。この記事の後半では、工事内容別や価格帯別の詳細な費用について解説していくので、ぜひ参考にしてください。
【工事の種類別】風呂リフォームの費用相場
風呂リフォームの費用は、現在の浴室の構造と、どのような浴室にリフォームするかという「工事の種類」によって大きく変動します。ここでは、代表的な3つの工事パターン別に、それぞれの費用相場と工事内容、特徴を詳しく解説します。
ユニットバスからユニットバスへの交換
現在の主流であるユニットバスから、新しいユニットバスへ交換するリフォームは、最も一般的で費用や工期の見通しが立てやすい工事です。
費用相場:約60万円~120万円
この工事の費用が比較的安定している理由は、既存の空間に新しい規格品のユニットバスを「はめ込む」形になるため、大掛かりな基礎工事や防水工事が不要な場合が多いからです。
主な工事内容
- 養生:搬入・搬出経路や作業スペースの床・壁を傷つけないように保護します。
- 既存ユニットバスの解体:壁パネル、天井、床、浴槽などを順番に解体・撤去します。
- 給排水・電気・換気ダクトの配管・配線工事:新しいユニットバスに合わせて、水道管やガス管、電気配線、換気ダクトの位置を調整・接続します。
- 新規ユニットバスの搬入・組立:床、壁、天井、浴槽の順にパーツを組み立てていきます。
- ドアの取り付けと内装仕上げ:浴室のドアを取り付け、洗面所との取り合い部分の壁紙(クロス)などを補修します。
- 清掃・引き渡し:全体の清掃を行い、動作確認をして引き渡しとなります。
費用の変動要因
同じユニットバス同士の交換でも、費用に幅があるのは、選ぶユニットバスの「グレード」と「オプション」が大きく影響するためです。
- ベーシックグレード(60万円~80万円):機能をシンプルに絞った普及価格帯のモデルです。基本的な断熱性能や清掃性は備わっていますが、デザインの選択肢は限られます。
- ミドルグレード(80万円~100万円):最も選ばれることが多い価格帯です。デザインやカラーの選択肢が豊富になり、節水シャワーや断熱性の高い浴槽が標準装備されるなど、機能性と価格のバランスが取れています。
- ハイグレード(100万円~120万円以上):高級感のある素材(人造大理石の浴槽など)が使われ、デザイン性も格段に向上します。肩湯や調光機能付き照明など、付加価値の高い機能が標準で搭載されていることもあります。
このリフォームを選ぶメリットは、何よりも工期の短さです。最短2日、長くても4日程度で完了することが多く、リフォーム期間中の負担を軽減できます。
在来工法の浴室からユニットバスへの交換
タイル張りの壁や床が特徴の「在来工法」の浴室から、現代的なユニットバスへ交換するリフォームです。機能性や清掃性、断熱性を向上させたい場合に選ばれることが多い工事です。
費用相場:約80万円~150万円以上
ユニットバス同士の交換に比べて費用が高くなるのは、解体作業と基礎工事に手間とコストがかかるためです。
主な工事内容
- 解体工事:タイルやコンクリート、防水層などをすべて解体・撤去します。この作業は粉塵や騒音が大きく、ユニットバスの解体より時間もかかります。
- 土台・柱の確認と補修:在来工法の浴室は、経年劣化により水漏れを起こし、土台や柱が腐食しているケースが少なくありません。解体後に腐食が見つかった場合は、追加で補修工事が必要となり、費用が加算されます。
- 基礎工事(土間コンクリート打ち):ユニットバスを設置するための平らで頑丈な床を作るため、コンクリートを打ちます。
- 給排水・電気配管工事:ユニットバスの仕様に合わせて、配管・配線を大幅に変更する必要があります。
- 断熱工事:壁や天井に断熱材を充填します。これにより、冬場のヒートショック対策など、浴室の快適性が格段に向上します。
- 新規ユニットバスの組立・設置:以降はユニットバス同士の交換と同様の流れです。
このリフォームの最大のメリットは、機能性の大幅な向上です。
- 清掃性の向上:タイルの目地がなくなり、汚れが付きにくく掃除が簡単なパネル壁になります。
- 断熱性の向上:浴室全体が断熱材で覆われ、冬でも暖かく快適な空間になります。
- 防水性の向上:水漏れのリスクが大幅に低減します。
費用は高めになりますが、日々の手入れのしやすさや快適性を考えると、満足度の非常に高いリフォームと言えるでしょう。
在来工法の浴室のリフォーム
既存の在来工法の良さを活かしつつ、部分的に修繕したり、設備を新しくしたりするリフォームです。デザインにこだわりたい、浴室の形状が特殊でユニットバスが入らない、といった場合に選択されます。
費用相場:約50万円~200万円以上
費用に大きな幅があるのは、工事の範囲を自由に決められるためです。浴槽の交換だけなら50万円程度で済むこともあれば、壁・床・天井をすべて作り直し、高級な素材を使えば200万円を超えることもあります。
主な工事内容
- 浴槽の交換:既存の浴槽を撤去し、新しい浴槽を設置します。
- 壁・床のタイル張り替え:既存のタイルを剥がし、下地処理と防水工事を行った上で、新しいタイルを張ります。
- 防水工事:浴室の寿命を左右する最も重要な工事です。アスファルト防水やFRP防水など、複数の工法があります。
- ドアや窓の交換:開口部のリフォームも可能です。
- 設備の交換:シャワーや水栓、換気扇などを新しくします。
このリフォームのメリットは、圧倒的なデザインの自由度です。檜の浴槽や海外製のタイル、ガラス張りの壁など、ユニットバスでは実現できない個性的な空間を創り出せます。
一方で、デメリットも存在します。
- 高コスト:職人の手作業が多くなるため、材料費・人件費ともに高額になりがちです。
- 長い工期:防水工事の乾燥期間などが必要なため、工期は2週間~1ヶ月以上かかることも珍しくありません。
- 品質が職人の腕に左右される:特に防水工事は、施工品質が低いと将来的に水漏れの原因となるため、信頼できる業者選びが不可欠です。
こだわりを追求したい方にとっては最適な選択肢ですが、費用と工期、そして業者選びの難易度が高いことを理解しておく必要があります。
【部分的な工事内容別】風呂リフォームの費用相場
浴室全体を交換する大規模なリフォームだけでなく、「浴槽だけ新しくしたい」「シャワーの機能性を上げたい」といった部分的なリフォームも可能です。ここでは、工事内容別の費用相場を詳しく見ていきましょう。
部分的な工事内容 | 費用相場の目安 | 主な特徴・注意点 |
---|---|---|
浴槽のみの交換・補修 | 交換:10万円~40万円 補修:3万円~10万円 |
交換は浴槽の素材やサイズで変動。補修はひび割れや塗装剥がれに対応。 |
シャワー・水栓金具の交換 | 3万円~10万円 | 節水機能やサーモスタット機能付きが人気。工事費込みの価格。 |
浴室ドアの交換 | 5万円~15万円 | 折れ戸、開き戸、引き戸など種類で変動。カバー工法なら短時間で完了。 |
壁・床・天井の張り替え | 壁:10万円~25万円 床:5万円~15万円 天井:5万円~10万円 |
浴室用シートやパネルが主流。タイルは高額になる。下地の状態により追加費用も。 |
浴室換気乾燥暖房機の設置 | 10万円~30万円 | 新規設置は電気工事が必要。既存換気扇からの交換は比較的安価。 |
給湯器の交換 | 15万円~40万円 | 号数やエコ機能(エコジョーズ/エコキュート)の有無で変動。 |
手すりの設置などバリアフリー化 | 手すり:2万円~5万円/箇所 段差解消:5万円~20万円 |
介護保険の対象となる場合がある。 |
浴室の拡張・移動 | 100万円~300万円以上 | 間取り変更を伴う大掛かりな工事。戸建てで可能、マンションでは困難。 |
浴槽のみの交換・補修
費用相場:交換 10万円~40万円、補修 3万円~10万円
浴槽にひび割れや変色、ザラつきが目立ってきた場合、交換または補修という選択肢があります。
交換する場合、費用は浴槽の素材によって大きく変わります。
- FRP(繊維強化プラスチック):最も安価で一般的な素材。10万円~。
- 人工(人造)大理石:デザイン性が高く、肌触りも良い。20万円~。
- ホーロー:高級感があり保温性が高いが、重量がある。30万円~。
- ステンレス:耐久性が高いが、デザインの選択肢は少ない。15万円~。
在来工法の浴室で浴槽を交換する場合、周囲のタイルを壊す必要があるため、追加で補修費用がかかる点に注意が必要です。
補修は、塗装やライニング(シートを貼る)といった方法があります。小さなひび割れや表面の劣化であれば、交換より安価に見た目を改善できます。ただし、あくまで応急処置的な側面もあり、数年で再び劣化する可能性を考慮する必要があります。
シャワー・水栓金具の交換
費用相場:3万円~10万円
シャワーや水栓金具の交換は、比較的安価で浴室の快適性を向上できる人気の高いリフォームです。手元で水流を止められる節水シャワーヘッドや、温度設定が安定するサーモスタット混合水栓などが人気です。高機能なモデルやデザイン性の高い海外製品を選ぶと費用は上がりますが、多くは10万円以内で工事まで完了します。
浴室ドアの交換
費用相場:5万円~15万円
浴室ドアは湿気で傷みやすく、パッキンのカビや開閉の不具合が起こりやすい箇所です。ドアの種類によって費用は変わり、折れ戸<開き戸<引き戸の順に高くなるのが一般的です。既存のドア枠を活かして新しいドアを取り付ける「カバー工法」であれば、壁を壊す必要がなく、数時間で工事が完了するためおすすめです。
壁・床・天井の張り替え
費用相場:壁 10万円~25万円、床 5万円~15万円、天井 5万円~10万円
カビや汚れが気になる壁・床・天井を新しくすることで、浴室の印象は一新されます。在来工法のタイルの上から直接貼れる浴室用化粧シートやパネルが主流で、工期も短く費用も抑えられます。特に床は、滑りにくく水はけの良い素材、冬場でもヒヤッとしない素材を選ぶと快適性が大きく向上します。下地の状態が悪く、補修が必要な場合は追加費用が発生します。
浴室換気乾燥暖房機の設置
費用相場:10万円~30万円
浴室換気乾燥暖房機は、冬場のヒートショック予防(暖房)、雨の日の洗濯物干し(乾燥)、夏場の湯上りを快適にする(涼風)、カビ対策(換気)と、一台で何役もこなす人気の設備です。既存の換気扇から交換する場合は比較的安価ですが、換気扇がない場所に新規で設置する場合は、壁の開口や電気配線工事が必要になるため高額になります。
給湯器の交換
費用相場:15万円~40万円
給湯器の寿命は一般的に10年~15年と言われています。浴室リフォームの際に、設置から年数が経っている場合は同時に交換するのがおすすめです。足場を組む必要がある場合など、別々に工事するよりも費用を抑えられることがあります。費用は、給湯能力を示す「号数」や、省エネ性能の高い「エコジョーズ(ガス)」や「エコキュート(電気)」を選ぶかどうかで変動します。
手すりの設置などのバリアフリー化
費用相場:手すり 2万円~5万円/箇所、段差解消 5万円~20万円
将来を見据えて、または家族のために浴室の安全性を高めるリフォームです。手すりの設置、出入り口の段差解消、滑りにくい床材への変更などが主な工事内容です。これらの工事は、介護保険制度の住宅改修費支給の対象となる場合があります。利用を検討する場合は、必ず工事前にケアマネジャーや自治体に相談しましょう。
浴室の拡張・移動
費用相場:100万円~300万円以上
「足を伸ばせる広いお風呂にしたい」「浴室の位置を変えたい」といった希望を叶えるリフォームです。洗面所やクローゼットのスペースを取り込んで浴室を広げたり、全く別の場所に移動させたりします。この場合、間取りの変更、柱や壁の撤去・新設、構造補強、給排水管や電気配線の大規模な移設などが必要となり、費用は非常に高額になります。基本的には戸建て住宅で可能な工事であり、構造上の制約が多いマンションでは困難なケースがほとんどです。
【価格帯別】予算でできる風呂リフォームの内容
リフォームを考える際、多くの人がまず「予算」から計画をスタートさせます。ここでは、具体的な予算別にどのようなリフォームが実現可能なのかを解説します。ご自身の予算と照らし合わせながら、リフォーム内容のイメージを膨らませてみましょう。
50万円未満でできること
この価格帯では、浴室全体の交換は難しいですが、気になる部分をピンポイントで改善し、快適性や機能性を回復させるリフォームが中心となります。
主なリフォーム内容
- 設備の交換:古くなったシャワー・水栓金具の交換、調子の悪い換気扇を新しいものに取り換える、といった工事が可能です。
- 浴槽の補修・塗装:ひび割れや表面の傷みを補修・再塗装することで、新品に近い見た目を取り戻せます。
- 壁・床の部分的な張り替え:カビがひどい一面だけを浴室用パネルに張り替える、床だけを滑りにくいシートにするといった工事が該当します。
- 安全性の向上:手すりの設置や、浴室ドアの交換など、比較的安価に安全対策を施せます。
- 低価格帯の浴槽交換:在来工法の浴室で、FRPなどのシンプルな浴槽に交換する工事。ただし、周囲の補修費が別途かかる場合があります。
この予算でのリフォームは、「古くなった箇所を新しくする」「壊れた機能を回復させる」といった現状回復や、部分的な機能アップが目的となります。全体的なイメージを一新するというよりは、今ある不満点を解消するための現実的な選択肢と言えるでしょう。
50万円~100万円でできること
この価格帯は、風呂リフォームで最もボリュームの大きいゾーンであり、多くの家庭で選択される標準的なリフォームが可能です。
主なリフォーム内容
- 普及価格帯(ベーシックグレード)のユニットバスへの交換:ユニットバスから新しいユニットバスへの交換であれば、この予算で十分に実現可能です。サイズは1216(0.75坪)や1616(1坪)といった標準的なものが中心となります。
- 基本的な機能の充実:最新のユニットバスはベーシックグレードでも、断熱性の高い浴槽や掃除のしやすい床・排水口、節水シャワーなどが標準装備されていることが多く、リフォームによる満足度は非常に高いです。
- 在来工法からユニットバスへの交換(一部):浴室の状態が良く、土台の補修などの追加工事がほとんど発生しない場合に限り、この予算内で在来工法からベーシックなユニットバスへの交換が可能なケースもあります。
50万円~100万円の予算は、コストを抑えつつ、現代的で機能的な浴室を手に入れるための現実的な目標となります。オプションをたくさん追加することは難しいかもしれませんが、日々の使い勝手や掃除のしやすさは格段に向上するでしょう。
100万円~150万円でできること
予算に少し余裕が生まれるこの価格帯では、機能性だけでなく、デザイン性や快適性をより追求したリフォームが可能になります。
主なリフォーム内容
- ミドルグレード~ハイグレードのユニットバスへの交換:壁パネルのデザインやカラーの選択肢が格段に増え、浴槽の素材も人工大理石など、より上質なものが選べるようになります。
- 人気のオプション機能の追加:浴室換気乾燥暖房機の設置は、この価格帯のリフォームで最も人気の高いオプションの一つです。その他、リラックス効果のある肩湯やジェットバス、調光機能付きの照明など、暮らしを豊かにする機能を追加できます。
- 在来工法からユニットバスへの交換:土台の補修など、多少の追加工事が発生しても、この予算内であればミドルグレード程度のユニットバスへのリフォームが十分に可能です。断熱工事もしっかりと行え、快適なバスルームが実現します。
- 窓の交換や断熱性の向上:ユニットバスの交換と同時に、窓を断熱性の高いペアガラス(複層ガラス)に交換するなど、浴室全体の断熱性能を高める工事も視野に入ります。
100万円~150万円の予算があれば、機能・デザイン・快適性のバランスが取れた、満足度の高い理想の浴室に近づけることができます。
150万円以上でできること
この価格帯は、こだわりを最大限に反映させた、ハイレベルなリフォームを実現するための予算です。
主なリフォーム内容
- 最上級グレードのユニットバスへの交換:各メーカーが誇る最上位モデルが選択可能になります。デザイン性はもちろん、素材の質感、搭載される機能(浴室テレビ、サウンドシステム、ミストサウナなど)すべてが最高品質です。
- デザイン性の高い在来工法でのリフォーム:タイルや石、木材など、好きな素材を自由に組み合わせて、世界に一つだけのオーダーメイドの浴室を創り上げることができます。猫足のバスタブを置いたり、ガラス張りの壁にしたりと、ホテルのような空間演出も可能です。
- 浴室の拡張・移動:隣接する部屋のスペースを取り込んで浴室を広くしたり、日当たりの良い場所に移動させたりといった、間取り変更を伴う大規模なリフォームが実現します。
150万円以上の予算をかけるリフォームは、単なる設備の更新ではなく、「暮らしの質を高めるための投資」と言えるでしょう。実現したいイメージが明確で、デザインや機能に一切妥協したくない場合に検討される価格帯です。
風呂リフォームの費用が決まる内訳
リフォーム会社から提示される見積書を見て、「何にいくらかかっているのか分からない」と戸惑うことのないよう、費用の内訳を正しく理解しておくことが重要です。風呂リフォームの費用は、大きく分けて「本体価格」「工事費用」「諸経費」の3つで構成されています。
ユニットバスなどの本体価格
これは、新しいユニットバスや浴槽、水栓といった「商品そのものの価格」です。見積書では「商品代」「設備費」などと記載され、総額の約40%~60%を占めることが多い、最も大きな割合を占める項目です。
本体価格は、前述の通り以下の要素で大きく変動します。
- グレード:ベーシック、ミドル、ハイグレードといったランク。
- サイズ:浴室の広さに合わせた規格サイズ。
- 素材:浴槽や壁パネル、床材の材質。
- オプション:浴室換気乾燥暖房機やジェットバスなどの追加機能。
リフォーム費用を考える際、多くの人がまずこの本体価格に注目しがちです。しかし、メーカーのカタログに記載されている「メーカー希望小売価格」と、実際にリフォーム会社から購入する価格は異なる点に注意が必要です。リフォーム会社はメーカーから商品を仕入れているため、通常は定価から割引された価格(仕入れ値に利益を上乗せした価格)が提示されます。割引率はリフォーム会社の仕入れ力によって異なるため、相見積もりを取る際は、同じ商品で比較することが重要です。
解体・設置などの工事費用
これは、職人が現場で行う作業に対する費用です。見積書では「工事費」「施工費」などと記載され、総額の約30%~50%を占めます。工事費用は、現在の浴室の状況やリフォーム内容によって大きく変動するため、非常に重要な項目です。
主な工事費用の内訳は以下の通りです。
- 仮設工事費(養生費):資材の搬入・搬出経路や作業場所の床・壁を保護するための費用。
- 解体・撤去工事費:既存の浴室を解体し、運び出すための費用。在来工法の場合は、コンクリートをはつる作業などが必要なため高額になります。
- 水道・ガス配管工事費:新しい設備に合わせて給水管、排水管、ガス管などを接続・移設する費用。
- 電気工事費:照明や換気扇、浴室暖房乾燥機などの配線工事費用。
- 木工事費(大工工事費):ユニットバスを設置するための下地作りや、在来工法からリフォームする際の土台・柱の補修費用。解体後に腐食が見つかった場合など、予期せぬ追加費用が発生する可能性が最も高い項目です。
- 組立・設置費:新しいユニットバスを組み立てて設置する費用。
- 内装工事費:浴室ドアの周りなど、洗面所との取り合い部分の壁紙(クロス)を補修する費用。
これらの項目が「一式」でまとめられている場合は、どのような作業が含まれているのか、詳細を確認することをおすすめします。
廃材処分などの諸経費
これは、工事を円滑に進めるために必要な、本体価格や工事費用以外の経費です。見積書では「諸経費」「現場管理費」「廃材処分費」などと記載され、総額の約5%~10%が目安となります。
主な諸経費の内訳は以下の通りです。
- 廃材処分費:解体した古い浴槽やタイルなどの産業廃棄物を、法律に則って適切に処分するための費用。
- 運搬費:新しいユニットバスや資材を現場まで運ぶための費用。
- 現場管理費:工事全体の工程管理や品質管理、安全管理を行うための費用。
- 駐車場代:工事車両を停める駐車スペースがない場合に発生する費用。
- 事務手数料:書類作成などの事務作業にかかる費用。
諸経費も「一式」と記載されることが多い項目ですが、不明な点があれば遠慮なくリフォーム会社に質問し、納得のいく説明を求めることが大切です。これらの内訳を理解することで、見積もりの妥当性を判断しやすくなり、安心してリフォームを進めることができます。
リフォーム費用を左右するポイント
風呂リフォームの費用がなぜこれほど変動するのか、その要因となる3つの主要なポイントを深掘りして解説します。これらのポイントを理解することで、予算内で最大限の満足を得るための計画を立てることができます。
浴室の広さ・サイズ
当然ながら、浴室が広ければ広いほど、リフォーム費用は高くなります。これは、本体価格と工事費用の両方に影響します。
ユニットバスのサイズ表記について
ユニットバスの広さは、一般的に「1216」や「1616」といった4桁の数字で表されます。これは浴室の内寸を示しており、前の2桁が奥行き(cm)、後ろの2桁が幅(cm)を表します。
- 1216(イチニーイチロク):内寸が120cm × 160cm。坪数でいうと約0.75坪で、マンションやコンパクトな戸建てでよく見られるサイズです。
- 1616(イチロクイチロク):内寸が160cm × 160cm。坪数でいうと1坪で、戸建てで最も標準的なサイズです。洗い場にゆとりがあります。
- 1620(イチロクニーゼロ):内寸が160cm × 200cm。1.25坪サイズで、洗い場が広く、親子で入ってもゆったりできる広さです。
サイズが大きくなると、使用する部材が増えるためユニットバスの本体価格が上がります。同時に、設置する面積が広がることで、解体範囲や下地処理、組立作業の手間も増え、工事費用も上昇します。
また、在来工法のリフォームにおいても、壁や床の面積が広ければ、その分タイルや防水材などの材料費と、職人の作業費(人件費)がかさみます。リフォームを検討する際は、まず自宅の浴室のサイズを測り、どの規格に該当するのかを把握しておくと、リフォーム会社との話がスムーズに進みます。
ユニットバスのグレード
ユニットバスの「グレード」は、本体価格を決定づける最も大きな要素の一つです。各メーカーは、機能やデザイン、素材の違いによって、主に3つのグレード展開をしています。
グレード | 価格帯の目安(本体価格) | 主な特徴 |
---|---|---|
ベーシック(普及価格帯) | 約40万円~70万円 | 機能をシンプルに絞り、価格を抑えたモデル。デザインやカラーの選択肢は少ないが、基本的な清掃性や断熱性は確保されている。 |
ミドルグレード | 約60万円~100万円 | 最も人気が高く、各メーカーが力を入れている価格帯。デザインの選択肢が豊富になり、節水・節湯機能や清掃性の高い床材などが標準装備されることが多い。 |
ハイグレード | 約90万円~200万円以上 | 高級感のある素材(人工大理石の浴槽など)や、洗練されたデザインが特徴。肩湯やミストサウナ、調光照明などの付加価値の高い機能が標準搭載されている。 |
グレード選びは、リフォームで何を最も重視するかという価値観が反映されます。「とにかくコストを抑えたい」のであればベーシックグレード、「機能とデザインのバランスを取りたい」ならミドルグレード、「特別なリラックス空間を創りたい」ならハイグレード、というように、自身のライフスタイルや予算に合わせて選ぶことが重要です。ショールームで実物を見て、触れて、各グレードの違いを体感してみることを強くおすすめします。
追加するオプション機能
標準仕様のユニットバスに、自分の好みに合わせて機能を追加できるのが「オプション」です。オプションは浴室での過ごし方をより快適で豊かにしてくれますが、追加すればするほど費用は加算されます。
人気のオプションと費用目安
- 浴室換気乾燥暖房機:約10万円~20万円。ヒートショック対策や室内干しに便利。
- ジェットバス/ブローバス:約15万円~25万円。気泡で体をマッサージし、リラックス効果を高める。
- ミストサウナ:約20万円~35万円。体を芯から温め、発汗を促す。
- 浴室テレビ:約10万円~30万円。半身浴をしながらテレビ鑑賞が楽しめる。
- サウンドシステム:約5万円~15万円。天井スピーカーから音楽を流せる。
- 断熱性の高い浴槽・風呂ふた:約5万円~10万円。お湯が冷めにくく、追い焚きの回数を減らせる省エネオプション。
- アップグレードした水栓やシャワーヘッド:約3万円~10万円。デザイン性の高いものや、より節水効果の高いものに変更。
これらのオプションを「あれもこれも」と追加していくと、当初の予算を大幅に超えてしまうことがよくあります。リフォーム計画の段階で、「絶対に譲れない機能」と「あれば嬉しい機能」に優先順位をつけ、冷静に取捨選択することが、賢い費用管理の鍵となります。
【住居タイプ別】風呂リフォーム費用の違いと注意点
風呂リフォームは、住居が「戸建て」か「マンション」かによって、費用相場や工事の進め方、注意すべき点が異なります。それぞれの特徴を理解し、ご自身の住まいに合った計画を立てましょう。
戸建ての費用相場と特徴
費用相場:約80万円~200万円
戸建ての風呂リフォームは、マンションに比べて費用がやや高額になる傾向があります。その理由はいくつかあります。
- 浴室サイズが大きい傾向:1坪(1616サイズ)以上のゆったりとした浴室が多く、それに伴いユニットバスの本体価格や工事費が上がります。
- 在来工法の浴室が多い:特に築年数の古い戸建てでは、タイル張りの在来工法の浴室がまだ多く残っています。在来工法からユニットバスへのリフォームは、解体や基礎工事に手間がかかるため、費用が高くなります。
- 土台や柱の腐食リスク:在来工法の浴室は水漏れしやすく、長年の使用で土台の木材や柱が腐食しているケースが少なくありません。解体後に腐食が発覚した場合、シロアリ被害の確認や駆除、構造部分の補修といった予期せぬ追加工事が必要となり、費用が数十万円単位で加算される可能性があります。
一方で、戸建てにはマンションにはないリフォームの自由度の高さという大きなメリットがあります。
- デザイン・サイズの自由度:構造上の制約が少ないため、好きなデザインのユニットバスを選んだり、オーダーメイドの在来工法でこだわりの空間を創ったりすることが可能です。
- 増築・移設のしやすさ:浴室を広くするための増築や、家の中での位置を変更する移設といった、大規模なリフォームにも対応しやすいです。
戸建てリフォームの注意点
- 断熱対策の徹底:マンションと違い、浴室が外気に直接面しているため、壁・床・天井、そして窓の断熱対策が重要です。断熱を怠ると、冬場に非常に寒い浴室になってしまい、ヒートショックのリスクが高まります。
- 給湯器の位置:浴室リフォームと同時に給湯器の交換も検討する場合、設置場所の自由度が高い分、最適な位置や機種を慎重に選ぶ必要があります。
マンションの費用相場と注意点
費用相場:約60万円~120万円
マンションの風呂リフォームは、戸建てに比べて費用を比較的抑えやすいのが特徴です。そのほとんどが、既存のユニットバスから新しいユニットバスへの交換工事となるため、工事内容が定型化されており、工期も短く済みます。
しかし、マンションには集合住宅ならではの特有の制約や注意点が存在します。これらを無視して計画を進めると、トラブルの原因となるため、必ず事前に確認が必要です。
マンションリフォームの注意点
- 管理規約の確認:リフォーム工事を行う前に、必ずマンションの管理規約を確認し、管理組合への届け出が必要です。規約には、工事可能な曜日や時間帯、床材の遮音等級、資材の搬入経路などが細かく定められている場合があります。
- サイズ・構造の制約:マンションの浴室は、梁(はり)や柱、配管スペース(パイプスペース)の位置によって、設置できるユニットバスのサイズや形状が制限されることがあります。「マンションリフォーム用」として販売されている、梁や柱に対応可能なユニットバスを選ぶ必要があります。
- 搬入・搬出経路の確保:エレベーターや廊下、玄関ドアのサイズによっては、大きな部材を搬入できない場合があります。事前にリフォーム会社に現地調査をしてもらい、搬入経路をしっかりと確認してもらうことが不可欠です。共用部分である廊下やエレベーターを傷つけないよう、丁寧な養生も求められます。
- 近隣への配慮:工事中は騒音や振動が発生するため、工事開始前に両隣や上下階の住民へ挨拶回りをしておくのがマナーです。リフォーム会社が代行してくれる場合もありますが、良好なご近所関係を保つためにも、ご自身でも一言伝えておくと良いでしょう。
これらの制約があるため、マンションリフォームは経験豊富な業者選びが特に重要になります。管理組合との折衝や、制約の中での最適なプラン提案など、専門的なノウハウが求められます。
風呂リフォームの費用を安く抑える6つのコツ
理想の浴室を実現したい一方で、費用はできるだけ抑えたいというのが本音でしょう。ここでは、リフォーム費用を賢く節約するための6つの具体的なコツをご紹介します。少しの工夫で、数十万円の差が生まれることもあります。
① 複数のリフォーム会社から相見積もりを取る
これは、費用を抑えるための最も基本的かつ効果的な方法です。同じ工事内容でも、リフォーム会社によって見積金額は大きく異なります。その理由は、会社の規模や仕入れ力、得意とする工事、利益率の設定などが違うためです。
最低でも3社から相見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。
- ポイント1:単純な価格比較で終わらない
- 一番安い見積もりが必ずしもベストとは限りません。内訳を確認し、必要な工事項目が漏れていないか、不自然に安い項目はないかをチェックしましょう。安すぎる場合は、後から追加費用を請求されるケースも考えられます。
- ポイント2:同じ条件で依頼する
- 比較の精度を高めるため、各社に依頼する際は、希望するユニットバスのメーカーやグレード、オプションなどをできるだけ同じ条件で伝えることが重要です。
- ポイント3:提案力や担当者の対応も評価する
- 見積金額だけでなく、こちらの要望に対してどのような提案をしてくれるか、質問に丁寧に答えてくれるかといった、担当者の質も重要な判断材料です。
相見積もりを取ることで、ご自宅のリフォーム費用の適正な相場観が養われ、価格交渉の材料にもなります。
② 機能やグレードに優先順位をつける
リフォームを計画していると、ショールームなどで最新の設備を見ると「あれもこれも付けたい」と夢が膨らみがちです。しかし、それが予算オーバーの最大の原因になります。
計画段階で、家族で話し合い、「絶対に譲れない条件」と「あれば嬉しいが、なくても良い条件」を明確にリストアップしましょう。
- 譲れない条件の例:「掃除のしやすさ」「冬でも暖かい断熱性」「手すりを付けて安全に」など。
- 妥協できる条件の例:「浴室テレビはスマホで代用できる」「ジェットバスは使わないかも」「壁のデザインは標準的なもので十分」など。
このように優先順位をつけることで、予算内で本当に必要なものにお金をかけ、削れる部分を冷静に判断できるようになります。
③ 補助金・助成金制度を活用する
国や自治体では、特定の条件を満たすリフォームに対して補助金や助成金を交付しています。これを活用しない手はありません。
主な対象となる工事は以下の通りです。
- バリアフリー改修:手すりの設置、段差解消、滑りにくい床への変更など。
- 省エネ改修:高断熱浴槽の設置、節水型水栓への交換、断熱窓への交換など。
- 同居対応改修:キッチン・浴室・トイレ・玄関のうち、2つ以上を増設する工事など。
これらの制度は、申請期間や予算上限が定められており、工事前に申請が必要なものがほとんどです。利用を検討する場合は、早めにリフォーム会社や自治体の窓口に相談しましょう。後の章で詳しく解説します。
④ 型落ち品やアウトレット品を検討する
ユニットバスは、毎年夏から秋にかけて新モデルが発売されることが多く、そのタイミングで旧モデル(型落ち品)が割引価格で提供されることがあります。機能的に最新モデルと大差ないことも多いので、コストを重視するなら狙い目です。
また、リフォーム会社が抱えている在庫品や、ショールームの展示品などを「アウトレット品」として安く販売している場合もあります。ただし、選択肢が限られる、保証内容が通常と異なる場合があるといったデメリットも理解しておく必要があります。
⑤ 他の箇所のリフォームと同時に行う
もし、洗面所やトイレ、給湯器など、浴室以外の水回りにも不満があるなら、まとめてリフォームすることでトータルの費用を抑えられる可能性があります。
理由は、複数の工事を一度に行うことで、
- 養生費や解体費、廃材処分費などの諸経費を一本化できる
- 職人の手配や現場管理が効率化され、人件費を圧縮できる
- 設備をまとめて発注することで、仕入れ価格の割引が期待できる
といったメリットがあるためです。リフォーム会社にとっても効率が良いため、値引き交渉がしやすくなることもあります。
⑥ 業者の繁忙期を避ける
リフォーム業界には、比較的仕事が少ない「閑散期」と、依頼が集中する「繁忙期」があります。
- 繁忙期:年末に向けて工事を終えたい人が増える秋~冬(9月~12月)や、企業の決算期にあたる2月~3月。
- 閑散期:雨で屋外作業がしにくい梅雨時期(6月~7月)や、休暇で在宅が難しい人が多い夏(8月)。
繁忙期は業者が忙しく、価格交渉に応じてもらいにくい傾向があります。一方で、閑散期に依頼すると、業者がスケジュールを確保しやすく、価格面で融通を利かせてくれる可能性があります。工事の時期を調整できるのであれば、閑散期を狙って相談してみるのも一つの手です。
風呂リフォームで活用できる補助金・助成金
リフォーム費用を抑える上で非常に有効な手段が、国や自治体が実施する補助金・助成金制度の活用です。ここでは、代表的な3つの制度について、その概要と利用する際のポイントを解説します。制度の内容は年度によって変更されるため、必ず最新の情報を公式サイトなどで確認してください。
介護保険制度
高齢者やその家族が安全に暮らせるように、住宅のバリアフリー化を支援する制度です。
- 対象者:要支援1・2、または要介護1~5の認定を受けている人が居住する住宅であること。
- 対象となる工事:
- 手すりの取り付け
- 段差の解消(浴室出入口の敷居撤去、洗い場と浴槽の高さの解消など)
- 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更(滑りにくい床材への変更など)
- 引き戸等への扉の取替え
- これらの工事に付帯して必要となる工事(下地補修、給排水設備工事など)
- 補助額:住宅改修費の支給限度基準額は20万円です。そのうち、所得に応じて7割~9割が保険給付され、自己負担は1割~3割となります。つまり、最大で18万円(自己負担1割の場合)の補助が受けられます。
- 注意点:
- 必ず工事着工前に、市区町村の窓口への事前申請が必要です。工事後の申請は認められません。
- ケアマネジャーや地域包括支援センターの担当者に相談し、「住宅改修が必要な理由書」を作成してもらう必要があります。
参照:厚生労働省「介護保険における住宅改修」
自治体のリフォーム補助金
お住まいの市区町村が独自に実施しているリフォーム支援制度です。内容は自治体によって多種多様で、非常に手厚い補助が受けられる場合もあります。
- 制度の例:
- 高齢者向け住宅リフォーム助成:介護保険とは別に、高齢者の安全な暮らしを支援する制度。
- 省エネルギー化リフォーム補助:高断熱浴槽や節水水栓の設置など、環境に配慮したリフォームを対象とする。
- 子育て世帯向けリフォーム補助:子育て世帯の住環境向上を目的とする。
- 三世代同居・近居支援:親世帯と子世帯が同居・近居するためのリフォームを支援する。
- 探し方:
- まずはお住まいの市区町村のウェブサイトで「リフォーム 補助金」などのキーワードで検索してみましょう。
- 「地方公共団体における住宅リフォームに関する支援制度検索サイト」(一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会が運営)を利用すると、全国の自治体の制度を横断的に検索できて便利です。
- 注意点:
- ほとんどの制度で予算の上限や申請期間が定められています。年度の早い時期に募集を締め切ってしまうことも多いため、早めの情報収集が鍵となります。
- 自治体内の業者に工事を依頼することが条件となっている場合もあります。
参照:一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会「地方公共団体における住宅リフォームに関する支援制度検索サイト」
国が実施する補助金制度
国は、省エネや子育て支援といった政策目的に沿った大規模な補助金事業を、年度ごとに実施することがあります。2024年度の代表的な事業は「子育てエコホーム支援事業」です。
- 子育てエコホーム支援事業の例(2024年度):
- 目的:エネルギー価格高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若者夫婦世帯による高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修等に対して支援することにより、2050年カーボンニュートラルの実現を図る事業。
- リフォームの対象工事と補助額(一部抜粋):
- 高断熱浴槽の設置:30,000円/戸
- 高効率給湯器の設置:30,000円/戸
- 節湯水栓の設置:5,000円/台
- 手すりの設置:5,000円/戸
- 浴室乾燥機の設置:23,000円/戸
- 段差解消:6,000円/戸
- 注意点:
- これらの工事は必須工事(開口部の断熱改修、外壁・屋根・天井または床の断熱改修、エコ住宅設備の設置のいずれか)と同時に行う必要があります。
- 申請はリフォーム業者が行う「事業者登録」が必須です。
- 国の事業は予算規模が大きいですが、予算上限に達し次第、申請受付が終了となります。
これらの補助金は併用できる場合とできない場合があります。どの制度をどのように活用するのが最も得策か、リフォーム会社に相談しながら進めるのが賢明です。
参照:国土交通省 子育てエコホーム支援事業 公式サイト
風呂リフォームの流れと工事期間
リフォームを考え始めてから、実際に新しいお風呂が完成するまでには、どのようなステップがあり、どのくらいの時間がかかるのでしょうか。全体像を把握しておくことで、スムーズに計画を進めることができます。
相談から引き渡しまでの流れ
風呂リフォームは、一般的に以下のような流れで進んでいきます。期間としては、相談から工事完了まで、およそ1ヶ月~3ヶ月を見ておくと良いでしょう。
- 情報収集・イメージ固め(約1~2週間)
メーカーのカタログやウェブサイト、SNSなどで情報を集め、どのような浴室にしたいか、デザインや機能、予算のイメージを固めます。家族で希望を話し合っておきましょう。 - リフォーム会社探し・相談(約1~2週間)
インターネットや知人の紹介などで、候補となるリフォーム会社を2~3社に絞り込み、相談の連絡をします。この段階で、大まかな要望と予算を伝えます。 - 現地調査・見積もり依頼(約1~2週間)
リフォーム会社の担当者が自宅を訪問し、浴室の寸法や構造、配管の位置などを詳しく調査します。この調査結果と、こちらの要望に基づいて、詳細なプランと見積書が作成されます。 - プラン決定・契約(約1~2週間)
提出された複数の見積書とプランを比較検討します。工事内容、金額、保証内容などをしっかり確認し、不明点はすべて解消した上で、依頼する会社を1社に決定し、工事請負契約を結びます。 - 近隣への挨拶
工事開始の1週間前までには、リフォーム会社と一緒に、またはご自身で両隣や上下階の住民へ挨拶に伺います。工事の期間や内容を伝え、理解を得ておくことがトラブル防止につながります。 - 着工
契約内容に基づき、工事が始まります。初日は主に養生と解体作業から入ります。 - 完工・引き渡し
工事が完了したら、リフォーム会社の担当者と一緒に、傷や汚れ、不具合がないか、設備は正常に動作するかなどを厳しくチェックします(完工検査)。問題がなければ、設備の取扱説明書や保証書を受け取り、引き渡しとなります。 - アフターサービス
工事後、何か不具合があった場合や、定期的な点検など、リフォーム会社の保証やアフターサービスが始まります。
工事にかかる期間の目安
実際に工事が始まってから、新しいお風呂が使えるようになるまでの期間は、工事の種類によって大きく異なります。この期間中は自宅のお風呂が使えないため、近所の銭湯やスポーツジム、短期滞在可能なホテルなどを事前に調べておくと安心です。
工事の種類 | 工事期間の目安 | 主な作業内容 |
---|---|---|
ユニットバス → ユニットバス | 2日 ~ 4日 | 1日目:解体・配管工事 2日目:ユニットバス組立 3日目以降:ドア取付・内装・電気工事、引き渡し |
在来工法 → ユニットバス | 4日 ~ 7日 | 1~2日目:解体・土間コンクリート打ち 3日目:コンクリート乾燥 4日目以降:配管・組立・内装工事、引き渡し |
在来工法 → 在来工法 | 2週間 ~ 1ヶ月以上 | 解体後、左官工事、防水工事、タイル工事など各工程で乾燥期間が必要なため、工期が長くなる。 |
工事期間はあくまで目安です。特に在来工法からのリフォームでは、解体してみて初めて土台の腐食などの問題が見つかり、追加の補修工事で工期が延びる可能性があります。スケジュールには余裕を持っておくことが大切です。
失敗しないリフォーム会社の選び方
風呂リフォームの成否は、どのリフォーム会社に依頼するかで9割決まると言っても過言ではありません。価格の安さだけで選んでしまうと、手抜き工事やアフターサービスの不備といったトラブルにつながりかねません。ここでは、信頼できるリフォーム会社を見極めるための3つの重要なポイントを解説します。
実績が豊富か確認する
まず確認すべきは、風呂・水回りのリフォーム実績が豊富かどうかです。リフォーム会社と一言でいっても、外壁塗装が得意な会社、内装デザインが得意な会社など、専門分野は様々です。
- ウェブサイトの施工事例をチェック
- 会社のウェブサイトに掲載されている「施工事例」のページを確認しましょう。風呂リフォームの事例が数多く掲載されていれば、それだけ経験とノウハウが蓄積されている証拠です。
- 事例の写真だけでなく、どのような課題があり、どう解決したかといったストーリーや、おおよその費用、工期などが具体的に記載されているかどうかも、信頼性を測る指標になります。
- 専門資格の有無
- 「建築士」「施工管理技士」といった国家資格や、「増改築相談員」などの公的資格を持つスタッフが在籍しているかどうかも、技術力の高さを判断する一つの目安になります。
- 建設業許可の有無
- 500万円以上のリフォーム工事を請け負うには、都道府県知事または国土交通大臣から「建設業許可」を受ける必要があります。この許可を得ている会社は、一定の経営基盤と技術力があると判断できます。
水回りの工事は、給排水や電気、ガスなどが複雑に絡み合う専門性の高い分野です。見た目の美しさだけでなく、水漏れなどを起こさない確実な施工が求められるため、実績は最も重要なチェックポイントです。
見積書の内容が明確で分かりやすいか
複数の会社から見積もりを取った際、その内容を比較することで会社の姿勢が見えてきます。
- 「一式」表記が多くないか
- 「解体工事 一式」「諸経費 一式」のように、詳細な内訳が書かれていない見積書は要注意です。どのような作業にいくらかかるのかが不透明で、後から「これは含まれていなかった」と追加料金を請求されるリスクがあります。
- 信頼できる会社の見積書は、項目ごとに「数量」「単価」「金額」が明記されており、素人でも内容を理解しやすいように配慮されています。
- 不明点への説明は丁寧か
- 見積書を見て疑問に思った点を質問した際に、担当者が面倒くさがらずに、専門用語をかみ砕いて丁寧に説明してくれるかどうかも重要です。顧客の不安や疑問に真摯に向き合う姿勢は、施工の丁寧さにもつながります。
- 提案内容が具体的か
- 単にこちらの要望通りの見積もりを出すだけでなく、「こちらのほうがお客様の暮らしに合っていますよ」「この機能があれば、将来的に便利ですよ」といった、プロの視点からの付加価値のある提案をしてくれる会社は、信頼度が高いと言えるでしょう。
見積書は、リフォーム会社との約束事を記した重要な書類です。内容に少しでも不安があれば、納得できるまで説明を求めましょう。
保証やアフターサービスが充実しているか
リフォームは、工事が終わればすべて完了というわけではありません。万が一の不具合に備えた保証と、その後のメンテナンス体制が整っているかどうかも、長く安心して付き合える会社かどうかを見極めるための大切なポイントです。
- 保証には2種類ある
- メーカー保証:ユニットバスや給湯器など、製品そのものに対する保証です。通常1~2年程度です。
- 工事保証:リフォーム会社が、自社が行った工事部分に対して独自に設定する保証です。水漏れや施工不良などが対象となります。
- 工事保証の内容を確認する
- 保証の対象となる範囲はどこまでか、保証期間は何年か(水回りは5年以上が望ましい)を、契約前に書面で必ず確認しましょう。「リフォーム瑕疵(かし)保険」に加入している会社であれば、万が一会社が倒産しても、保証が受けられるため安心です。
- 定期点検などのアフターフォロー
- 工事完了後、1年後、3年後などに定期的な点検を実施してくれるかどうかも確認しましょう。不具合の早期発見につながり、浴室を長く快適に使い続けることができます。
工事後の関係性まで大切にしてくれる会社こそが、本当に顧客のことを考えている良い会社です。価格だけでなく、これらのポイントを総合的に判断し、信頼できるパートナーを選んで、満足のいく風呂リフォームを実現してください。