給湯器交換の費用相場はいくら?号数別の価格や業者選びを解説

給湯器交換の費用相場はいくら?、号数別の価格や業者選びを解説

毎日使うお湯を供給してくれる給湯器は、私たちの生活に欠かせない重要な住宅設備です。しかし、突然の故障や経年劣化による交換が必要になったとき、「一体いくらかかるのだろう?」と費用面で不安を感じる方は少なくありません。給湯器の交換費用は、本体価格だけでなく、機能や号数、設置場所、依頼する業者によって大きく変動します。

この記事では、給湯器交換にかかる費用の総額相場から、その詳細な内訳、種類・号数・設置場所別の価格、そして費用を賢く抑えるための具体的な方法まで、網羅的に解説します。さらに、失敗しない業者選びのポイントや、利用できる補助金制度についても詳しくご紹介します。

この記事を読めば、給湯器交換に関する費用や流れの全体像を把握し、ご自身の状況に最適な給湯器と信頼できる業者を選び、納得のいく価格で交換を完了させることができるでしょう。これから給湯器の交換を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

給湯器交換にかかる費用の総額相場

給湯器の交換を考えた際に、最も気になるのが「総額でいくらかかるのか」という点でしょう。一般的な家庭用ガス給湯器の交換にかかる費用の総額相場は、約10万円から40万円程度とされています。この価格帯に幅があるのは、選ぶ給湯器の本体価格や必要な工事の内容によって費用が大きく異なるためです。

例えば、お湯を出すだけのシンプルな機能の給湯器であれば10万円台で収まることもありますが、追い焚き機能や床暖房に対応した高機能なモデルを選ぶと、30万円以上になることも珍しくありません。

大切なのは、この総額がどのような要素で構成されているのかを正しく理解することです。費用を構成する内訳を知ることで、業者から提示された見積書の内容を適切に判断し、不要なコストを削減することにも繋がります。

費用の内訳:本体価格+工事費+その他

給湯器交換の総額費用は、主に「給湯器本体の価格」「基本工事費」「追加工事費」「リモコン代・その他諸経費」の4つから構成されています。それぞれの項目について、詳しく見ていきましょう。

費用の内訳 費用相場(目安) 概要
給湯器本体の価格 4万円 ~ 30万円以上 メーカー、機能(給湯専用、追い焚き、暖房)、号数、エコジョーズか否かによって変動。
基本工事費 3万円 ~ 6万円 既存給湯器の撤去、新規給湯器の設置、配管接続、ガス接続、リモコン交換、点火確認など。
追加工事費 5,000円 ~ 5万円以上 特殊な設置状況(高所作業、狭所作業)、配管や排気筒の交換・延長、電源工事などで発生。
リモコン代・その他 1万円 ~ 4万円 リモコン本体の価格。その他、出張費や駐車料金などがかかる場合がある。

給湯器本体の価格

交換費用の中で最も大きな割合を占めるのが、給湯器本体の価格です。本体価格は、主に以下の要素によって決まります。

  • メーカー: リンナイやノーリツ、パロマなどが主要なメーカーです。同じような性能でもメーカーによって価格が若干異なります。
  • 機能: 最もシンプルな「給湯専用」タイプが安価で、お風呂の「追い焚き機能」が付くと価格が上がります。さらに、追い焚き機能には設定水位まで自動でお湯はりをし、保温まで行う「オートタイプ」と、それに加えて自動足し湯や追い焚き配管の自動洗浄機能まで備わった「フルオートタイプ」があり、フルオートの方が高価になります。床暖房や浴室暖房乾燥機に対応した「暖房機能付き給湯器(給湯暖房用熱源機)」は、最も高価格帯のモデルです。
  • 号数: 給湯器の能力を示す「号数」が大きくなるほど、一度に多くのお湯を供給できるため、本体価格も高くなります。
  • 省エネ性能: 従来の給湯器よりもガス使用量を削減できる「エコジョーズ」は、本体価格が通常タイプよりも数万円高くなりますが、長期的に見るとガス代の節約に繋がります。

給湯器本体は定価(メーカー希望小売価格)が設定されていますが、多くの交換業者はメーカーから安く仕入れているため、定価の30%~80%引きといった割引価格で提供しています。割引率は業者によって大きく異なるため、複数の業者から見積もりを取ることが重要です。

基本工事費

基本工事費は、給湯器を安全かつ確実に設置するために必要な標準的な作業にかかる費用です。相場としては3万円~6万円程度が一般的です。

基本工事に含まれる主な作業内容は以下の通りです。

  • 既存の古い給湯器の取り外し・撤去
  • 新しい給湯器の設置・固定
  • 給水管・給湯管の接続
  • ガス管の接続
  • 追い焚き配管の接続(追い焚き機能付きの場合)
  • リモコンの交換・設置
  • 電源の接続
  • ガス漏れチェック
  • 点火・試運転と動作確認
  • 施主への操作説明
  • 撤去した古い給湯器の処分

これらの作業は、有資格者が行わなければならない専門的なものです。業者によっては「基本工事費一式」と記載されていることが多いですが、見積もりの段階で具体的にどのような作業が含まれているのかを確認しておくと安心です。

追加工事費

基本工事費に含まれない、特殊な作業が必要になった場合に発生するのが追加工事費です。どのような状況で追加工事が必要になるかは、現在の設置環境によって異なります。

追加工事が発生する主なケースと費用目安は以下の通りです。

  • 設置場所に関する追加工事:
    • 高所や狭所など、作業が困難な場所への設置(5,000円~)
    • 給湯器の設置タイプを変更する場合(例:据え置き→壁掛け)
    • PS(パイプスペース)設置で、特殊なアダプターや金枠が必要な場合(10,000円~)
  • 配管・排気に関する追加工事:
    • 給水・給湯フレキ管の交換(劣化している場合)(5,000円~)
    • ガス可とう管の交換(長さが足りない、劣化している場合)(5,000円~)
    • 排気筒の延長や交換、トップの交換(10,000円~)
    • 追い焚き配管の延長や新規設置(15,000円~)
    • ドレン排水工事(エコジョーズを新規設置する場合)(5,000円~15,000円)
  • その他:
    • 電源(コンセント)の増設工事(15,000円~)
    • ガス栓の増設・交換(10,000円~)

現地調査をしっかり行わない業者に依頼すると、工事当日に高額な追加費用を請求されるトラブルに繋がることがあります。契約前に必ず現地調査をしてもらい、追加工事の可能性があるか、その場合の費用はいくらかを明確にした見積書を提示してもらうことが非常に重要です。

リモコン代・その他諸経費

給湯器本体とは別に、リモコンの費用もかかります。給湯器とリモコンはセットで交換するのが基本です。古いリモコンは新しい給湯器に対応していないことがほとんどだからです。

リモコンには、基本的な操作のみの「標準リモコン」と、光熱費の目安表示やインターホン機能などが付いた「高機能リモコン」があります。リモコン代の相場は、台所と浴室のリモコンセットで1万円~4万円程度です。高機能リモコンを選ぶと、その分費用は高くなります。

その他、業者によっては以下の諸経費が見積もりに含まれる場合があります。

  • 出張費: 業者の拠点から現場までの距離が遠い場合に発生することがあります。
  • 駐車料金: 工事車両を停める駐車スペースがない場合に、近隣のコインパーキング代が実費で請求されることがあります。

これらの諸経費が基本料金に含まれているのか、別途請求されるのかも、見積もりの段階で確認しておくべきポイントです。総額を安く見せるために、これらの費用を見積もりに含めず、後から請求する業者もいるため注意が必要です。

【給湯器の種類別】交換費用の相場

給湯器は、搭載されている機能によって大きく4つの種類に分けられます。どの種類の給湯器を選ぶかによって、交換費用の総額は大きく変わります。ここでは、それぞれの種類の特徴と費用相場について詳しく解説します。

給湯器の種類 機能の特徴 交換費用の総額相場(工事費込み) こんな人におすすめ
給湯専用給湯器 給湯のみのシンプルな機能。蛇口からお湯を出すだけ。 8万円 ~ 18万円 一人暮らし、お風呂はシャワーで済ませることが多い方、コストを最優先したい方。
追い焚き機能付き給湯器 給湯+追い焚き機能。浴槽のお湯を温め直せる。 15万円 ~ 30万円 家族でお風呂に入る方、お湯の張り替えを節約したい方、入浴時間がバラバラなご家庭。
暖房機能付き給湯器 給湯+追い焚き+温水暖房機能。床暖房や浴室暖房に対応。 25万円 ~ 50万円 床暖房や浴室暖房乾燥機を設置している、または設置したい方。快適性を重視する方。
エコジョーズ 高効率ガス給湯器。排熱を再利用し、ガス使用量を削減。 各タイプの費用 + 3万円~8万円 ガス代を節約したい方、環境に配慮したい方、長期的なコストパフォーマンスを重視する方。

給湯専用給湯器

給湯専用給湯器は、その名の通り、お湯を供給することに特化した最もシンプルなタイプの給湯器です。キッチンやシャワー、洗面台の蛇口をひねるとお湯が出る、という基本的な機能のみを備えています。浴槽にお湯をためることはできますが、ぬるくなったお湯を温め直す「追い焚き」機能はありません。

【メリット】

  • 本体価格が安い: 機能がシンプルな分、他のタイプに比べて本体価格が最も安価です。
  • 構造が単純で故障しにくい: 搭載されている部品が少ないため、構造的に故障のリスクが比較的低いとされています。
  • 交換費用が安い: 本体価格が安いため、工事費を含めた総額も最も安く抑えられます。交換費用の総額相場は8万円~18万円程度です。

【デメリット】

  • 追い焚きができない: 浴槽のお湯が冷めてしまった場合、高温のお湯を足す「足し湯」でしか温度を上げられません。
  • お湯はりが手動: 浴槽にお湯をためる際は、自分で蛇口を開け、適量になったら蛇口を閉める必要があります。自動ストップ機能が付いている機種もありますが、追い焚き付き給湯器のように全自動ではありません。

【こんな人におすすめ】

  • 一人暮らしの方
  • お風呂はシャワーで済ませることがほとんどの方
  • 追い焚き機能は不要で、とにかく初期費用を抑えたい方

追い焚き機能付き給湯器(オート・フルオート)

現在、一般家庭で最も普及しているのが、この追い焚き機能付き給湯器です。給湯機能に加えて、浴槽のお湯を循環させて温め直す「追い焚き」機能が搭載されています。このタイプには、機能の違いによって「オート」と「フルオート」の2種類があります。

交換費用の総額相場は、オートタイプで15万円~28万円、フルオートタイプで18万円~30万円程度が目安です。

【オートタイプの特徴】

  • 自動お湯はり: スイッチひとつで設定した湯量・湯温まで自動でお湯をためます。
  • 自動保温: 浴槽のお湯の温度が下がると、自動で追い焚きをして設定温度を保ちます。
  • 追い焚き: 手動で追い焚き操作も可能です。

【フルオートタイプの特徴】
オートタイプの機能に加えて、以下の便利な機能が搭載されています。

  • 自動足し湯: 浴槽のお湯が減ると、自動で設定水位までお湯を足してくれます。
  • 追い焚き配管自動洗浄: 入浴後、浴槽のお湯を排水する際に、追い焚き配管内をきれいなお湯で自動的に洗浄します。これにより、配管内に溜まりがちな皮脂汚れや雑菌の繁殖を抑え、清潔なお風呂を保てます。

【オートとフルオート、どちらを選ぶべきか?】
フルオートは多機能な分、オートタイプよりも本体価格が2万円~3万円ほど高くなります。どちらを選ぶかは、ライフスタイルや価値観によります。

  • オートがおすすめな人: 基本的な自動お湯はりと保温機能で十分、少しでも費用を抑えたい方。
  • フルオートがおすすめな人: 家族が多く入浴時間がバラバラなご家庭、常に清潔なお風呂に入りたい方、快適性を重視する方。

長期的な衛生面や利便性を考えると、フルオートは価格差以上の価値があると感じる方が多いようです。

暖房機能付き給湯器(給湯暖房用熱源機)

暖房機能付き給湯器は、給湯、追い焚き機能に加えて、お湯を熱源として利用する温水暖房システムに接続できる高機能な給湯器です。TES(テス)システムとも呼ばれ、主に床暖房や浴室暖房乾燥機、温水ルームヒーターなどに温水を供給します。

【メリット】

  • 1台で給湯・暖房をまかなえる: 給湯器と暖房用の熱源機を別々に設置する必要がなく、省スペースです。
  • 快適な住環境を実現: 床暖房は足元から部屋全体をムラなく暖め、浴室暖房乾燥機は冬場のヒートショック対策や梅雨時期の衣類乾燥に役立ちます。

【デメリット】

  • 本体価格が高い: 多機能で複雑な構造のため、本体価格が他のタイプに比べて高額になります。
  • 交換費用が高額: 本体価格が高いため、交換費用の総額相場も25万円~50万円程度と高額になります。
  • 故障時の影響が大きい: この1台が故障すると、給湯だけでなく暖房設備もすべて使えなくなってしまいます。

【こんな人におすすめ】

  • すでに床暖房や浴室暖房乾燥機を設置しているご家庭(同じ暖房機能付きへの交換が必須)。
  • リフォームなどを機に、新たに温水暖房システムを導入したい方。

エコジョーズ

エコジョーズは、特定の機能を持つ給湯器の名称ではなく、高い省エネ性能を持つガス給湯器の愛称です。これまで捨てられていた排気ガス中の熱(潜熱)を再利用して、効率よくお湯を作る仕組みになっています。

【メリット】

  • ガス代を節約できる: 従来型の給湯器の熱効率が約80%なのに対し、エコジョーズの熱効率は約95%に達します。これにより、ガス使用量を約13%~15%削減でき、年間のガス代を1万円~2万円程度節約できる可能性があります。
  • 環境にやさしい: ガス使用量が減るため、CO2排出量も削減でき、環境負荷を低減します。
  • 補助金の対象になる: 国や自治体が実施する省エネ設備導入に関する補助金の対象となる場合が多く、初期費用の一部が補助される可能性があります。

【デメリット】

  • 本体価格が高い: 従来型の給湯器と比較して、本体価格が3万円~8万円程度高くなります。
  • ドレン排水工事が必要: 排熱を再利用する過程で「ドレン水」という酸性の凝縮水が発生します。このドレン水を排水するための配管工事が別途必要になります(設置状況によっては不要な場合もあります)。

【エコジョーズは本当にお得か?】
初期費用は高くなりますが、ガス代の節約分で数年~10年程度で元が取れるとされています。ガスの使用量が多いご家庭(特にプロパンガスを使用しているご家庭)ほど、早く初期費用の差額を回収できます。長期的な視点で見れば、エコジョーズを選ぶメリットは大きいと言えるでしょう。現在、新しく設置されるガス給湯器の多くがエコジョーズタイプになっています。

【号数・家族構成別】交換費用の相場

給湯器を選ぶ際、機能と並んで重要なのが「号数」です。号数は給湯器の能力を示し、どのくらいの湯量を使えるかを左右します。家族構成やライフスタイルに合わない号数を選ぶと、「シャワーの勢いが弱い」「お湯はりが遅い」といった不満に繋がるため、慎重に選ぶ必要があります。

号数とは、「水温+25℃」のお湯を1分間に何リットル出せるかを示した数値です。例えば、16号の給湯器であれば、水温が15℃の時に40℃(15℃+25℃)のお湯を1分間に16リットル出す能力がある、ということです。

号数が大きくなるほど一度にたくさんのお湯を使えるようになりますが、その分本体価格も高くなります。ここでは、代表的な号数である16号、20号、24号について、それぞれに適した家族構成と交換費用の相場を解説します。

号数 家族構成の目安 主な使い方 交換費用の総額相場(工事費込み)
16号 1~2人 シャワー、またはキッチンでの単独使用。同時使用は湯量が少なくなる。 8万円 ~ 20万円
20号 2~3人 シャワーとキッチンなど、2ヶ所での同時使用も可能。 12万円 ~ 25万円
24号 4人以上 シャワー、キッチン、洗面台など、複数箇所での同時使用でも余裕がある。 14万円 ~ 30万円

※上記の費用相場は、給湯専用や追い焚き機能付きなど、機能によって変動します。

16号:1〜2人家族向け

16号は、家庭用給湯器の中では最も小さい号数です。1分間に16リットルのお湯を供給できる能力を持ちます。

【適した家族構成・ライフスタイル】

  • 一人暮らし
  • 二人暮らし(夫婦のみなど)
  • お湯を同時に複数の場所で使うことが少ない方

16号の場合、シャワーを使いながらキッチンで洗い物をすると、シャワーの勢いが弱くなるなど、湯量が不足気味に感じることがあります。お湯の使い方が限定的で、同時使用をほとんどしないのであれば、16号でも十分快適に使用できます。

【費用相場】
本体価格が最も安価なため、交換費用も抑えられます。給湯専用なら8万円~、追い焚き機能付きでも15万円前後から交換が可能です。とにかく初期費用を抑えたい単身者や二人暮らしの世帯に適しています。

【注意点】
現在二人暮らしでも、将来的に家族が増える可能性がある場合は、後々のことを考えて20号以上を選んでおくのが賢明です。給湯器は一度設置すると10年以上使う設備なので、将来のライフスタイルの変化も考慮して選びましょう。

20号:2〜3人家族向け

20号は、1分間に20リットルのお湯を供給できる能力を持ち、現在の戸建てやマンションでバランスの取れた標準的な号数として多く採用されています。

【適した家族構成・ライフスタイル】

  • 2~3人家族(夫婦+子供1人など)
  • お湯の同時使用が時々あるご家庭

20号であれば、冬場でもキッチンで洗い物をしながらシャワーを使う、といった2ヶ所同時使用にもある程度対応できます。湯量に大きな不満を感じることは少なく、多くのご家庭で快適に使用できる号数です。

【費用相場】
16号に比べると本体価格が1万円~2万円ほど高くなります。追い焚き機能付きの場合、総額で15万円~25万円程度が相場となります。製品のラインナップも豊富で、機能や価格の選択肢が多いのも特徴です。

【号数アップの検討】
現在16号を使っていて湯量に不満を感じている場合、20号への号数アップは非常に有効な選択肢です。ただし、マンションのPS(パイプスペース)設置の場合など、設置スペースの都合で号数アップができないケースもあるため、事前に業者に確認が必要です。

24号:4人以上の家族向け

24号は、家庭用としては最大クラスの号数で、1分間に24リットルというパワフルな給湯能力を誇ります。

【適した家族構成・ライフスタイル】

  • 4人以上の大家族
  • 二世帯住宅
  • 育ち盛りの子供がいて、お湯の使用量が多いご家庭
  • キッチン、シャワー、洗面所など、複数の場所で同時にお湯を使うことが多い方

24号なら、家族が立て続けにシャワーを浴びたり、お風呂のお湯はりをしながらキッチンで洗い物をしたりしても、湯量が落ちることなく快適に使用できます。お湯のストレスを全く感じたくないという方にもおすすめです。

【費用相場】
最もパワフルな分、本体価格も高くなります。20号と比較して、さらに1万円~3万円ほど価格が上がります。追い焚き機能付きの場合、総額で17万円~30万円程度が相場となります。暖房機能付きのモデルでは、さらに高額になります。

【注意点】
24号の能力を最大限に活かすには、住宅の水道配管の太さ(口径)も関係してきます。配管が細いと、給湯器の能力が高くても出てくるお湯の量は制限されてしまいます。号数アップを検討する際は、業者に自宅の配管状況も併せて確認してもらうと良いでしょう。また、ガスの使用量も増えるため、ガス契約の容量(ガスメーターの号数)が小さい場合は、ガス会社への連絡とメーター交換が必要になることがあります。

【設置場所別】交換費用の相場

【設置場所別】交換費用の相場

給湯器の交換費用は、本体の種類や号数だけでなく、どこに設置されているかによっても変わります。設置場所によって給湯器のタイプが異なり、工事の難易度や必要な部材も変わるためです。主に「戸建て」と「マンション」で設置タイプが分かれます。

戸建ての設置タイプと費用

戸建て住宅の場合、給湯器は主に屋外の壁か地面に設置されます。

壁掛けタイプ

【特徴】
外壁にボルトなどで直接固定して設置するタイプです。給湯器の下から各種配管が接続されています。省スペースで設置できるため、現代の戸建て住宅で最も一般的な設置方法です。

【費用】
標準的な工事で済むことが多く、追加費用が発生しにくいのが特徴です。追い焚き機能付き・20号の給湯器で、15万円~25万円程度が相場となります。ただし、高所(2階の外壁など)に設置されている場合は、高所作業費として追加料金がかかることがあります。

据え置きタイプ

【特徴】
地面や専用のコンクリートブロックの上に直接置いて設置するタイプです。給湯器の側面から配管が接続されているのが一般的です。壁掛けタイプに比べて大型の機種や暖房機能付きの熱源機などでよく見られます。

【費用】
こちらも標準的な工事であれば、壁掛けタイプと費用は大きく変わりません。追い焚き機能付き・20号で15万円~25万円程度が相場です。ただし、浴槽と給湯器が離れている場合、追い焚き配管の延長などで追加費用がかかることがあります。また、壁掛けタイプから据え置きタイプへ(またはその逆へ)変更する場合は、配管の延長や移設が必要になるため、追加工事費が高額になる傾向があります。

マンションの設置タイプと費用

マンションの場合、給湯器はベランダの壁か、玄関脇などにある「パイプスペース(PS)」内に設置されているのが一般的です。マンションは規約によって設置できる給湯器の種類や排気方法が厳しく定められているため、基本的には現在設置されているものと同じタイプの給湯器に交換する必要があります

ベランダ壁掛けタイプ

【特徴】
各住戸のベランダの外壁に設置されているタイプです。見た目は戸建ての壁掛けタイプとほぼ同じで、交換作業も比較的容易です。

【費用】
戸建ての壁掛けタイプと同様、標準的な工事で済むことが多く、費用相場も追い焚き機能付き・20号で15万円~25万円程度です。ただし、避難はしごの近くなど、消防法に関わる場所に設置されている場合は、規定に合った機種を選ぶ必要があります。

パイプスペース(PS)設置タイプ

【特徴】
玄関横の廊下などにある、水道メーターやガスメーターが収められている金属製の扉の中(パイプスペース、またはメーターボックス)に設置されているタイプです。スペースが限られており、排気方法も前方排気、上方排気、後方排気など様々なバリエーションがあります。

【費用】
PS設置は、マンション特有の工事となります。

  • PS標準設置: PS内に本体を設置し、扉を閉めると給湯器本体が見えるタイプ。比較的交換は容易です。
  • PS扉内設置: PSの扉に設けられた丸い排気口に合わせて給湯器を設置するタイプ。
  • PS設置(前方排気/上方排気など): 給湯器本体が扉で完全に隠蔽されており、排気筒を延長して排気するタイプ。

PS設置の場合、既存の設置枠や排気筒を再利用できない場合や、特殊なアダプターが必要になるケースが多く、追加費用が発生しやすい傾向があります。特に、排気筒を延長するタイプは工事が複雑になりがちです。費用相場は、追い焚き機能付き・20号で18万円~30万円程度と、壁掛けタイプに比べてやや高くなる可能性があります。

マンションでの交換は、管理組合への事前連絡や工事申請が必要な場合がほとんどです。また、業者選びもマンションPS設置の経験が豊富な業者に依頼することが、トラブルを避ける上で非常に重要です。

給湯器交換の費用を安く抑える7つの方法

複数の業者から相見積もりを取る、給湯器専門業者に依頼する、自社施工の業者を選ぶ、不要な機能が付いた給湯器を選ばない、型落ちモデルや廉価モデルを検討する、補助金・助成金制度を活用する、キャンペーンやセール時期を狙う

給湯器の交換は決して安い買い物ではありません。だからこそ、少しでも費用を抑えたいと考えるのは当然のことです。ここでは、品質や安全性を損なうことなく、賢く費用を節約するための7つの方法をご紹介します。

① 複数の業者から相見積もりを取る

給湯器交換の費用を安くするための最も基本的で効果的な方法が、複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」です。 給湯器の本体価格や工事費は、業者によって大きく異なります。1社だけの見積もりでは、その金額が適正なのかどうか判断できません。

最低でも3社程度の業者に見積もりを依頼しましょう。その際、単に総額の安さだけで決めるのは危険です。見積書の内訳をしっかりと比較検討することが重要です。

  • 本体価格の割引率: 同じ機種でも業者によって割引率が異なります。
  • 工事費の内訳: 「工事一式」ではなく、何が含まれているか明確か。
  • 追加費用の有無: 追加工事が発生する可能性とその場合の費用が明記されているか。
  • 保証内容: 商品保証や工事保証の期間と内容。

相見積もりを取ることで、地域の費用相場を把握できるだけでなく、業者間の価格競争を促し、より良い条件を引き出せる可能性が高まります。

② 給湯器専門業者に依頼する

給湯器の交換を依頼できる業者には、ガス会社やリフォーム会社など様々な種類がありますが、費用を抑えたいのであれば「給湯器専門業者」に依頼するのがおすすめです。

給湯器専門業者は、給湯器の販売・工事に特化しているため、メーカーから大量に商品を仕入れることで、本体価格を安く提供できる傾向にあります。また、専門性が高く、工事に慣れているため作業効率が良く、人件費を抑えることができるのも安さの理由です。ガス会社のような大手と比べると、広告費や店舗維持費などの間接コストが少ない分、価格に還元されやすいという側面もあります。

③ 自社施工の業者を選ぶ

業者の中には、仕事を受注するだけで実際の工事は下請け業者に丸投げしている会社もあります。この場合、元請け業者の利益(中間マージン)が上乗せされるため、工事費用が割高になります。

一方で、問い合わせから工事まで一貫して自社のスタッフで行う「自社施工」の業者であれば、中間マージンが発生しないため、費用を安く抑えることができます。 また、自社施工の業者は、工事に対する責任感が強く、技術力にも自信を持っていることが多いです。万が一トラブルが発生した際も、責任の所在が明確で迅速な対応が期待できるというメリットもあります。

業者のホームページなどで「完全自社施工」「下請けは使いません」といった記載があるかを確認してみましょう。

④ 不要な機能が付いた給湯器を選ばない

最新の給湯器には、自動配管洗浄や除菌機能、スマートフォン連携など、様々な便利な機能が搭載されています。しかし、機能が多ければ多いほど、当然ながら本体価格は高くなります。

例えば、追い焚き機能付き給湯器の「フルオート」タイプは、自動足し湯や配管洗浄機能が付いていて非常に便利ですが、「オート」タイプに比べて数万円高価です。家族構成や入浴スタイルを考えたときに、「本当にその機能は必要か?」を冷静に検討してみましょう。自分のライフスタイルに合わない過剰なスペックの給湯器は選ばないことが、費用を抑える上で重要です。

⑤ 型落ちモデルや廉価モデルを検討する

給湯器にも、自動車や家電のようにモデルチェンジがあります。最新モデルにこだわらなければ、性能的にはほとんど変わらない「型落ちモデル(旧モデル)」を安く購入できる場合があります。型落ちモデルは、在庫処分として業者側がキャンペーン価格で提供していることもあります。

また、各メーカーは高機能なハイエンドモデルだけでなく、機能を絞った廉価版のシリーズもラインナップしています。基本的な性能は維持しつつ、付加機能を省くことで価格を抑えています。給湯器に多くの機能を求めないのであれば、こうした廉価モデルも有力な選択肢となります。ただし、型落ちモデルは在庫限りとなるため、希望の機種がある場合は早めに業者に相談しましょう。

⑥ 補助金・助成金制度を活用する

省エネ性能の高い給湯器(特にエコジョーズやハイブリッド給湯器)を設置する場合、国や地方自治体が実施している補助金・助成金制度を利用できる可能性があります。これらの制度をうまく活用すれば、交換費用の一部が補助され、実質的な負担額を大きく減らすことができます。

代表的な国の制度としては「給湯省エネ事業」などがあります(制度の詳細は後述)。また、お住まいの市区町村が独自に省エネ設備の導入支援を行っている場合もあります。補助金制度は、予算の上限に達すると期間内でも終了してしまうことが多いため、交換を検討し始めたら、早めに利用できる制度がないか確認することが大切です。

⑦ キャンペーンやセール時期を狙う

給湯器交換業者は、時期によって様々なキャンペーンやセールを実施しています。例えば、会社の決算期である3月や9月、年末年始などは、売上目標達成のために割引率が大きくなる傾向があります。

また、夏場は給湯器の需要が比較的少ないため、閑散期対策としてお得なキャンペーンを打ち出す業者もあります。給湯器が完全に故障する前で、交換時期に余裕がある場合は、こうしたキャンペーン時期を狙って依頼することで、通常よりも安く交換できる可能性があります。業者のウェブサイトやチラシなどをこまめにチェックしてみましょう。

給湯器の交換時期はいつ?寿命のサイン

お湯の温度が安定しない・お湯が出ない、異音や異臭がする、本体から水漏れしている、エラーコードが頻繁に表示される、排気口の周りが黒く汚れている

「うちの給湯器、まだ使えるけど、そろそろ交換した方がいいのかな?」と迷うこともあるでしょう。給湯器は突然故障すると生活に大きな支障が出るため、適切なタイミングで交換を計画することが重要です。ここでは、給湯器の寿命の目安と、交換を検討すべき具体的なサインについて解説します。

給湯器の寿命は10年が目安

家庭用ガス給湯器の寿命は、一般的に10年が目安とされています。これは、メーカーが定めている「設計標準使用期間」が多くの製品で10年となっているためです。この期間は、標準的な使用条件で安全上支障なく使用できる期間を示しています。

もちろん、使用頻度や設置環境によっては10年以上問題なく使えるケースもありますが、10年を超えると経年劣化により様々な不具合が発生するリスクが高まります。また、製造終了から10年を過ぎると、メーカーの補修用部品の保有期間が終了し、故障しても修理ができなくなる可能性が高くなります。

突然お湯が使えなくなり、冬場に何日もお風呂に入れないといった事態を避けるためにも、設置から10年が近づいてきたら、故障の兆候がなくても交換を検討し始めるのが賢明です。

交換を検討すべき5つの症状

給湯器は、寿命が近づくと様々なサインを発します。以下のような症状が見られたら、修理または交換を本格的に検討する時期です。放置すると、より大きな故障や事故に繋がる危険性もあります。

① お湯の温度が安定しない・お湯が出ない

  • 症状: シャワーを使っているとお湯が急に水になったり、設定した温度よりもぬるい、または熱いお湯が出たりする。お湯の量が不安定になる。お湯を出そうとしてもなかなか点火しない、または全くお湯が出ない。
  • 考えられる原因: 内部の温度を調節する部品や水量センサー、点火装置などの経年劣化や故障が考えられます。
  • 危険性: 日常生活での不便さが大きい症状です。原因によっては簡単な部品交換で直る場合もありますが、複数の部品が劣化している場合、修理費用が高額になり、交換した方が結果的に安くつくこともあります。

② 異音や異臭がする

  • 症状:
    • 異音: 今まで聞こえなかった「ボンッ」という小さな爆発音や、「キーン」「ゴーッ」といった異音がする。
    • 異臭: 給湯器の周りでガスの臭いや、何かが焦げたような臭いがする。
  • 考えられる原因:
    • 異音は、内部のファンモーターの不具合や、不完全燃焼による小爆発(異常着火)などが原因の可能性があります。
    • 異臭は、ガス漏れや不完全燃焼のサインである可能性が高く、非常に危険です。
  • 危険性: 異音や特に異臭がする場合は、一酸化炭素中毒や火災、爆発事故に繋がる重大な危険性があります。直ちに使用を中止し、窓を開けて換気の上、契約しているガス会社や給湯器専門業者に連絡してください。

③ 本体から水漏れしている

  • 症状: 給湯器本体や、本体に繋がっている配管の接続部分から水がポタポタと垂れている、または濡れている。
  • 考えられる原因: 内部の部品の劣化による亀裂や、配管接続部分のパッキンの劣化が主な原因です。冬場には、配管内の水が凍結して膨張し、配管が破裂して水漏れすることもあります(凍結防止機能が働かない場合)。
  • 危険性: 内部での水漏れを放置すると、漏れた水が電子部品にかかり、漏電やショートを引き起こす危険性があります。また、不完全燃焼の原因となり、一酸化炭素中毒に繋がる恐れもあります。マンションの場合は、階下の住戸への漏水事故に発展する可能性もあるため、早急な対応が必要です。

④ エラーコードが頻繁に表示される

  • 症状: 給湯器のリモコンに、特定の数字(エラーコード)が頻繁に表示され、給湯器が停止してしまう。リセットすると一時的に直るが、またすぐに同じエラーが出る。
  • 考えられる原因: エラーコードは、給湯器が検知した不具合の内容を示しています。例えば、点火不良、ファンモーターの異常、センサーの故障など、原因は様々です。
  • 危険性: 一時的な不具合の場合もありますが、頻繁に表示される場合は、何らかの部品が寿命を迎えているサインです。取扱説明書やメーカーのウェブサイトでエラーコードの内容を確認し、専門業者による点検を依頼しましょう。根本的な原因を解決しないまま使い続けると、完全に動かなくなる可能性があります。

⑤ 排気口の周りが黒く汚れている

  • 症状: 給湯器本体の上部にある排気口の周りや、その上の外壁が黒いススで汚れている。
  • 考えられる原因: 不完全燃焼を起こしている可能性が非常に高いです。給湯器内部にホコリやゴミが溜まったり、熱交換器が詰まったりすることで、正常な燃焼ができなくなり、ススが発生します。
  • 危険性: 不完全燃焼は、有毒な一酸化炭素(CO)を発生させます。一酸化炭素は無色無臭で非常に危険なガスであり、最悪の場合、命に関わる中毒事故を引き起こします。この症状が見られたら、直ちに使用を中止し、専門業者に点検を依頼してください。

これらのサインは、給湯器からの「SOS」です。故障してから慌てて業者を探すと、選択肢が限られたり、足元を見られて高額な請求をされたりするリスクがあります。寿命の目安である10年を超え、これらの症状が一つでも見られるようになったら、余裕を持って交換の計画を立てることを強くおすすめします。

失敗しない給湯器交換業者の選び方

必要な資格を保有しているか、見積書の内容が明確で分かりやすいか、保証やアフターサービスが充実しているか、口コミや評判が良いか、対応が迅速で丁寧か

給湯器交換は、費用だけでなく、安全性や今後のアフターフォローも非常に重要です。信頼できる業者を選ぶことが、安心して長く給湯器を使い続けるための鍵となります。ここでは、失敗しない業者選びのための5つのチェックポイントを解説します。

必要な資格を保有しているか

給湯器の交換工事には、専門的な知識と技術、そして法律で定められた資格が必要です。特にガス管の接続作業は、一歩間違えればガス漏れや火災などの大事故に繋がるため、有資格者が行わなければなりません。

確認すべき主な資格は以下の通りです。

  • ガス機器設置スペシャリスト(GSS): ガス機器の設置工事に必要な知識と技能を有することを日本ガス石油機器工業会が認定する資格。
  • 液化石油ガス設備士: プロパンガス(LPガス)の設備工事を行うための国家資格。
  • ガス可とう管接続工事監督者: ガス栓とガス機器をガス可とう管で接続する工事を行うための資格。
  • 給水装置工事主任技術者: 給水管の接続など、水道工事に関する国家資格。

信頼できる業者は、自社のウェブサイトなどに保有資格を明記しています。見積もりや問い合わせの際に、どのような資格を持ったスタッフが工事を担当するのかを必ず確認しましょう。「安さ」だけを売りにする無資格業者による工事は、絶対に避けなければなりません。

見積書の内容が明確で分かりやすいか

提示された見積書は、その業者の信頼性を判断するための重要な資料です。良い業者の見積書は、誰が見ても内容が明確で分かりやすいように作られています。

【チェックすべきポイント】

  • 「工事一式」で済ませていないか: 「給湯器交換工事一式 〇〇円」といった大雑把な記載ではなく、「商品代」「基本工事費」「追加工事費」「部品代」「諸経費」など、項目ごとに金額が明記されているかを確認しましょう。
  • 商品名と型番が正確か: 交換する給湯器のメーカー名、商品名、型番が正確に記載されているか。これにより、希望した通りの商品が設置されることを確認できます。
  • 追加工事の可能性と費用が明記されているか: 現地調査の結果、追加工事が発生する可能性がある場合、その内容と費用が事前に説明され、見積書に記載されているか。後から「聞いていない追加料金」を請求するような業者は悪質です。
  • 不明な項目がないか: 見積書に不明な点や専門用語があれば、遠慮なく質問しましょう。その際に、素人にも分かるように丁寧に説明してくれるかどうかも、業者の姿勢を見るポイントです。

保証やアフターサービスが充実しているか

給湯器は長く使う設備だからこそ、万が一の故障に備えた保証やアフターサービスが非常に重要です。

  • メーカー保証: 通常、給湯器本体には1~2年のメーカー保証が付いています。
  • 商品延長保証: 多くの業者が、有料または無料でメーカー保証を5年、8年、10年などに延長するサービスを提供しています。
  • 工事保証: 最も重要なのが、業者独自の「工事保証」です。 これは、設置工事が原因で発生した不具合(水漏れ、ガス漏れなど)を無料で修理してくれる保証です。最低でも5年、できれば10年の長期工事保証を付けてくれる業者を選ぶと安心です。

保証内容だけでなく、「何かあったときにすぐに対応してくれるか」「24時間365日受付のコールセンターがあるか」といった、トラブル発生時のサポート体制も確認しておきましょう。

口コミや評判が良いか

実際にその業者を利用した人の声は、業者選びの貴重な参考情報になります。ただし、情報の見極めには注意が必要です。

  • 複数の情報源を確認する: 業者の公式サイトに掲載されている「お客様の声」は良い内容ばかりになりがちです。Googleマップの口コミ、みん評などのレビューサイト、X(旧Twitter)など、第三者のプラットフォームで評判を検索してみましょう。
  • 口コミの内容を精査する: 単に「良かった」「悪かった」という評価だけでなく、具体的な内容(「見積もりの説明が丁寧だった」「工事担当者のマナーが良かった」「アフターフォローの対応が早かった」など)に注目します。悪い口コミも、どのような内容で、業者がそれにどう対応したかまで見ることができれば、より客観的な判断ができます。
  • 極端な評価に注意: 不自然に高評価ばかりが並んでいたり、逆に根拠のない誹謗中傷が多かったりする場合は、サクラや競合他社による書き込みの可能性も考慮に入れましょう。

対応が迅速で丁寧か

契約前のやり取りにおける業者の対応は、契約後のサービスの質を映す鏡です。

  • 問い合わせへの対応: 電話やメールで問い合わせた際の返信は迅速か。言葉遣いは丁寧か。
  • 現地調査・見積もり時の対応: 時間を守って訪問するか。こちらの質問や要望に真摯に耳を傾け、的確に答えてくれるか。家の養生など、配慮があるか。
  • 専門知識と提案力: こちらの家族構成やライフスタイルをヒアリングした上で、最適な給湯器を提案してくれるか。メリットだけでなく、デメリットも正直に説明してくれるか。

こうしたコミュニケーションの中から、「この業者なら安心して任せられる」という信頼感が持てるかどうかを、最終的な判断基準にすることをおすすめします。

給湯器交換を依頼できる業者の種類と特徴

給湯器の交換を依頼できる業者は一つではありません。それぞれに特徴があり、メリット・デメリットも異なります。ご自身の優先順位(価格、安心感、スピードなど)に合わせて、最適な依頼先を選びましょう。

業者の種類 メリット デメリット こんな人におすすめ
給湯器専門業者 ・価格が安い傾向にある
・専門知識が豊富
・在庫が豊富で対応が早い
・業者の数が多く、優良業者を見極める必要がある
・知名度が低い場合がある
とにかく費用を抑えたい人、スピーディーな交換を希望する人
ガス会社 ・絶大な安心感と信頼性
・ガスに関する知識が豊富
・価格が割高になる傾向
・選べる給湯器のメーカーや機種が限られることがある
価格よりも安心感を最優先したい人、ガスも電気もまとめて相談したい人
給湯器メーカー ・製品知識が最も豊富
・最高品質の施工が期待できる
・費用が最も高額になる傾向
・直接工事を請け負っていない場合がある
メーカー直営というブランドに安心感を求める人、最高品質を求める人
リフォーム会社 ・他のリフォームとまとめて依頼できる
・窓口が一本化できる
・工事を下請けに依頼することが多く、中間マージンで割高に
・給湯器の専門知識が乏しい場合がある
キッチンや浴室のリフォームと同時に給湯器も交換したい人
ホームセンター・家電量販店 ・店舗で気軽に相談できる
・ポイントが貯まる・使える
・実際の工事は下請け業者
・スタッフの専門知識にばらつきがある
・緊急対応は難しい
買い物ついでに相談したい人、ポイントを有効活用したい人

給湯器専門業者

給湯器の販売・設置工事を専門に行う業者です。インターネットを中心に集客している会社が多く、近年最も利用者が増えている依頼先です。

【メリット】
最大のメリットは価格の安さです。メーカーから大量に一括で仕入れることで、給湯器本体を大幅な割引価格で提供しています。また、自社施工の業者が多く、中間マージンがかからないため工事費も抑えられます。専門性が高く、在庫も豊富なため、問い合わせから工事完了までのスピードが速いのも特徴です。

【デメリット】
業者の数が非常に多く、中には技術力や対応に問題のある悪質な業者も紛れているため、優良業者を自分で見極める必要があります。本記事で紹介した「失敗しない業者の選び方」を参考に、慎重に選びましょう。

ガス会社

地域ごとに都市ガスやプロパンガスを供給している会社です。東京ガス、大阪ガスなどの大手都市ガス会社や、地域のプロパンガス販売店などが該当します。

【メリット】
日頃から利用しているガス会社という絶大な安心感と信頼性が最大の強みです。ガスに関するプロフェッショナルであり、安全性は非常に高いと言えます。

【デメリット】
価格は他の業者に比べて割高になる傾向があります。また、取り扱っている給湯器のメーカーが限られていたり(例:東京ガスは主にリンナイ、ノーリツ、パロマ)、値引き率が低かったりすることがあります。

給湯器メーカー

リンナイ、ノーリツ、パロマといった給湯器を製造しているメーカー自身に交換を依頼する方法です。

【メリット】
自社製品に関する知識は当然ながら最も豊富で、メーカーの基準に則った最高品質の施工が期待できます。メーカー直営というブランド力も大きな安心材料です。

【デメリット】
メーカーは直接工事を受け付けず、地域の認定サービス店を紹介する形式がほとんどです。費用はすべての依頼先の中で最も高額になる傾向があります。

リフォーム会社

住宅の増改築や内外装の工事を請け負う会社です。キッチンや浴室のリフォームに伴って、給湯器の交換も依頼することができます。

【メリット】
お風呂やキッチンなど、水回り全体のリフォームと併せて給湯器も交換したい場合には、窓口が一本化できて便利です。

【デメリット】
給湯器の工事は下請けの専門業者に外注することがほとんどのため、中間マージンが発生し、費用が割高になります。また、担当者が給湯器の専門家ではないため、製品知識が十分でない可能性があります。

ホームセンター・家電量販店

カインズやコーナンといったホームセンター、ヤマダデンキやビックカメラなどの大手家電量販店でも給湯器の交換を受け付けています。

【メリット】
普段の買い物のついでに店舗で気軽に相談できる手軽さが魅力です。その店のポイントを貯めたり、使ったりできるのもメリットです。

【デメリット】
リフォーム会社と同様、実際の工事は提携している下請け業者が行います。そのため、価格は割高になりがちで、担当するスタッフによって技術力に差が出る可能性があります。また、「今すぐ交換してほしい」といった緊急の対応は難しい場合がほとんどです。

おすすめの給湯器交換業者5選

数ある給湯器交換業者の中から、全国的に対応可能で、実績や評判も良好な業者を5社ご紹介します。業者選びの際の参考にしてください。
(※情報は2024年5月時点のものです。最新の情報は各社の公式サイトをご確認ください。)

① キンライサー

【特徴】
テレビCMでもおなじみで、業界トップクラスの知名度と実績を誇る給湯器専門業者です。商品・工事ともに10年間の無料W保証が付いており、アフターサービスの充実度は業界最高水準です。自社施工にこだわり、資格を持った経験豊富なスタッフが対応するため、工事の品質も高く評価されています。
(参照:株式会社キンライサー 公式サイト)

② ミズテック

【特徴】
給湯器専門業者の中でも、特に迅速な対応力に定評があります。「最短30分で駆けつけ」を掲げており、急な故障で困っている場合に心強い存在です。自社施工による低価格と、10年の商品・工事W保証を提供しています。ガス会社出身のスタッフも多く、専門知識が豊富です。
(参照:ミズテック株式会社 公式サイト)

③ 正直屋

【特徴】
「正直価格」を掲げ、地域最安値を目指している給湯器・ガスコンロの専門業者です。全国に多数の拠点があり、地域に密着した対応が可能です。他社の見積もりよりも高ければ相談に応じるなど、価格面での競争力が強みです。10年の工事保証も付帯しています。
(参照:正直屋 公式サイト)

④ ガス給湯器交換サービス

【特徴】
株式会社キンライサーが運営する、Web申込に特化したサービスです。LINEやWebフォームから写真や情報を送るだけで、訪問不要で確定見積もりが提示される手軽さが人気です。キンライサー同様の10年W保証が付き、高品質なサービスをオンラインで完結させたい方におすすめです。
(参照:ガス給湯器交換サービス 公式サイト)

⑤ クラシアン

【特徴】
水のトラブルで有名なクラシアンですが、給湯器の交換にも対応しています。全国に拠点があり、24時間365日受付・対応しているため、深夜や休日の突然の故障にも対応してもらえる可能性があります。幅広い決済方法に対応しているのも特徴です。
(参照:株式会社クラシアン 公式サイト)

給湯器交換に使える補助金制度

給湯省エネ2024事業、子育てエコホーム支援事業、各自治体が実施する補助金制度

高効率な給湯器へ交換する際に、国や自治体の補助金制度を利用できる場合があります。費用負担を軽減できる大きなチャンスなので、対象となるかぜひ確認してみましょう。これらの制度は予算が上限に達し次第、申請受付が終了となるため、早めの情報収集と申請が重要です。

給湯省エネ2024事業

経済産業省が主導する、家庭の省エネルギーを推進するための補助金制度です。特にエネルギー消費の大きい給湯分野が対象となっています。

  • 対象となる給湯器:
    • ハイブリッド給湯器: 1台あたり13万円~15万円の補助
    • 家庭用燃料電池(エネファーム): 1台あたり20万円の補助
    • ヒートポンプ給湯機(エコキュート): 1台あたり8万円~13万円の補助
  • 注意点:
    • 残念ながら、一般的なガス給湯器である「エコジョーズ」は、2024年度のこの事業では補助対象外となっています。(2023年度は対象でした)
    • 補助金を受けるには、この事業に登録された「給湯省エネ事業者」と契約し、工事を行ってもらう必要があります。
    • 補助金の申請手続きは、原則として工事業者が行います。

(参照:給湯省エネ2024事業 公式サイト)

子育てエコホーム支援事業

国土交通省が主導する、子育て世帯・若者夫婦世帯の省エネ住宅取得やリフォームを支援する制度です。リフォームの一環として高効率給湯器を設置する場合に対象となります。

  • 対象者: 子育て世帯(18歳未満の子を有する世帯)または若者夫婦世帯(夫婦いずれかが39歳以下の世帯)。
  • 対象となる給湯器と補助額:
    • エコジョーズ: 1台あたり27,000円
    • エコキュート: 1台あたり27,000円
    • ハイブリッド給湯器: 1台あたり27,000円
  • 注意点:
    • 補助金の合計額が5万円以上にならないと申請できません。そのため、給湯器交換だけでなく、断熱窓への改修や高断熱浴槽の設置など、他の対象工事と組み合わせる必要があります。
    • 給湯省エネ事業と同一の給湯器で補助金を重複して受けることはできません。

(参照:子育てエコホーム支援事業 公式サイト)

各自治体が実施する補助金制度

国だけでなく、お住まいの都道府県や市区町村が独自に省エネ機器導入に関する補助金制度を設けている場合があります。

例えば、東京都では「東京ゼロエミポイント」事業があり、対象の省エネ家電等に買い替えた都民に対してポイントを付与しています(給湯器も対象)。

お住まいの自治体のホームページで「給湯器 補助金」「省エネ 助成金」といったキーワードで検索してみるか、交換を依頼する業者に利用できる制度がないか相談してみることをおすすめします。

給湯器交換工事の流れ

業者への問い合わせ・見積もり依頼、現地調査、契約・工事日の決定、交換工事の実施、動作確認と支払い

実際に給湯器の交換を依頼してから工事が完了するまで、どのような流れで進むのでしょうか。事前に流れを把握しておくことで、スムーズに交換を進めることができます。

業者への問い合わせ・見積もり依頼

まずは、気になる業者に電話やウェブサイトのフォームから連絡を取ります。その際に、以下の情報を伝えると話がスムーズです。

  • 現在の給湯器の状況(故障内容、エラーコードなど)
  • 設置場所(戸建て/マンション、屋外/屋内など)
  • 現在の給湯器のメーカーと型番(本体に貼られたシールで確認できます)
  • 給湯器全体の写真、型番のアップ写真、設置場所周辺の写真

これらの情報をもとに、業者は概算の見積もりを提示してくれます。複数の業者に連絡し、対応や概算金額を比較検討しましょう。

現地調査

概算見積もりの内容に納得できたら、次は詳細な見積もりを作成するための現地調査を依頼します。
現地調査は、正確な費用を把握し、工事当日の追加料金トラブルを防ぐために非常に重要です。
業者のスタッフが実際に家を訪問し、以下の点などを確認します。

  • 給湯器の設置状況、排気方法
  • 配管(ガス、水道、追い焚き)の状態
  • 搬入・搬出経路
  • 追加工事の必要性の有無

最近では、写真やビデオ通話で現地調査を完結させる業者も増えています。

契約・工事日の決定

現地調査後、正式な見積書が提示されます。内容(金額、工事内容、保証)を十分に確認し、納得できれば契約を結びます。その後、工事を行う日時を業者と調整して決定します。給湯器の在庫があれば、早ければ問い合わせ当日から数日以内に工事が可能な場合もあります。

交換工事の実施

工事日当日、業者のスタッフが訪問し、交換作業を開始します。
一般的な交換工事にかかる時間は、2~4時間程度です。
作業中は、安全のため一時的にガスと水道が止められます。また、作業内容の確認や完了時の説明のために、在宅している必要があります。
業者は、作業場所の周辺が汚れたり傷ついたりしないよう、養生シートを敷いて丁寧に作業を進めます。

【主な作業内容】

  1. 作業内容の確認と周辺の養生
  2. 既存給湯器のガス・水道の元栓を閉める
  3. 既存給湯器とリモコンの取り外し
  4. 新しい給湯器の設置
  5. 各種配管(給水、給湯、ガス、追い焚き)の接続
  6. 新しいリモコンの設置
  7. ガス漏れチェック
  8. 試運転と動作確認

動作確認と支払い

工事が完了したら、スタッフと一緒に給湯器が正常に作動するかを確認します。お湯が問題なく出ること、追い焚きが機能することなどをチェックします。
このとき、新しいリモコンの操作方法や、日常の手入れに関する注意点など、分からないことがあれば遠慮なく質問しましょう。
すべての確認が終わり、問題がなければ工事完了のサインをします。支払いは、現金、銀行振込、クレジットカード、ローンなど、業者が対応している方法で行います。

給湯器交換の費用に関するよくある質問

交換工事にかかる時間はどのくらい?、賃貸マンション・アパートの給湯器交換費用は誰が負担する?、給湯器を自分で交換することはできる?、見積もりは無料?、給湯器が故障したらどこに連絡すればいい?

最後に、給湯器交換の費用や工事に関して、多くの方が疑問に思う点についてQ&A形式でお答えします。

交換工事にかかる時間はどのくらい?

標準的な給湯器交換工事にかかる時間は、およそ2時間から4時間程度です。
給湯専用のシンプルなタイプであれば2時間程度、追い焚き機能付きや暖房機能付きの複雑なタイプだと3~4時間かかることがあります。ただし、これはあくまで目安です。設置場所が特殊であったり、配管の交換などの追加工事が発生したりした場合は、半日以上かかることもあります。

賃貸マンション・アパートの給湯器交換費用は誰が負担する?

賃貸物件の場合、給湯器の交換費用は原則として大家さん(貸主)または管理会社が負担します。
給湯器は、エアコンなどと同じく部屋の「設備」の一部と見なされるため、経年劣化による故障や交換の責任は入居者(借主)にはありません。
給湯器に不具合が発生した場合は、自分で業者を探して交換する前に、必ず大家さんか管理会社に連絡してください。無断で交換してしまうと、費用を自己負担しなければならなくなる可能性があります。

給湯器を自分で交換することはできる?

絶対にできません。給湯器の交換を自分で行う(DIYする)ことは法律で禁止されており、非常に危険です。
給湯器の設置には、ガス管の接続という専門的な作業が伴います。これには「液化石油ガス設備士」や「ガス可とう管接続工事監督者」などの国家資格が必要です。無資格者が工事を行うと、ガス漏れや不完全燃焼を引き起こし、火災、爆発、一酸化炭素中毒といった命に関わる重大な事故に繋がる恐れがあります。必ず資格を持った専門業者に依頼してください。

見積もりは無料?

ほとんどの給湯器専門業者やガス会社では、見積もり(現地調査を含む)を無料で行っています。
そのため、気軽に複数の業者から相見積もりを取ることが可能です。ただし、業者によっては対応エリア外への訪問に際して出張費を請求する場合や、有料となるケースも稀にあります。トラブルを避けるためにも、見積もりを依頼する際に「現地調査や見積もりは無料ですか?」と一言確認しておくと安心です。

給湯器が故障したらどこに連絡すればいい?

給湯器が故障した際の連絡先は、お住まいの状況によって異なります。

  • 賃貸物件にお住まいの場合: まずは大家さんか管理会社に連絡します。
  • 持ち家で、保証期間内の場合: 給湯器を設置した工事業者や販売店に連絡します。保証書を確認し、連絡先を調べましょう。
  • 持ち家で、保証期間が過ぎている場合:
    • 信頼できる給湯器専門業者: 迅速な対応と比較的安い費用が期待できます。
    • 契約しているガス会社: 価格は高めですが、安心感を重視する場合の選択肢です。
    • 給湯器メーカー: 修理を依頼できますが、交換となる場合は費用が高くなる可能性があります。

特に、ガス漏れの疑いがある場合(ガスの臭いがする)は、すぐに窓を開けて換気し、火気厳禁の上、契約しているガス会社に緊急連絡をしてください。