広島市は、中国・四国地方最大の都市として知られ、豊かな自然環境と充実した都市機能が調和した、非常に住みやすい街です。しかし、いざ広島市で賃貸物件を探そうとすると、「どのエリアが自分に合っているのだろう?」「家賃相場や治安はどうなっているの?」といった疑問が次々と湧いてくるのではないでしょうか。
広島市は8つの行政区で構成されており、それぞれに異なる個性と魅力があります。都心部の利便性を享受できるエリアから、ファミリー層に人気の閑静な住宅街、自然に囲まれたのどかなエリアまで、選択肢は多岐にわたります。そのため、自分のライフスタイルや価値観に合ったエリアを的確に選ぶことが、広島での快適な新生活を送るための最も重要な第一歩となります。
この記事では、広島市での賃貸物件探しを検討している方に向けて、以下の情報を網羅的に解説します。
- 広島市の全体像(特徴、交通、商業施設など)
- 市全体の家賃相場と、間取り別・区別の詳細な比較
- 広島市の治安状況と、エリア選びの注意点
- ライフスタイル別におすすめの賃貸エリア10選
- 後悔しないための物件探しの具体的なポイント
この記事を最後まで読めば、広島市の各エリアの特性を深く理解し、あなたにとって最適な居住エリアを見つけるための具体的なヒントが得られるはずです。それでは、さっそく広島市の魅力から詳しく見ていきましょう。
目次
広島市ってどんなところ?
まずは、広島市がどのような街なのか、その全体像を掴むところから始めましょう。広島市は、1980年に全国で10番目の政令指定都市となり、現在では約118万人の人口を擁する大都市です。(参照:広島市公式ウェブサイト)多様な魅力を持つこの街の基本的な特徴を「8つの行政区」「交通の利便性」「商業施設」「自然とのバランス」という4つの側面から解説します。
8つの行政区からなる政令指定都市
広島市は、それぞれに特色のある8つの行政区から成り立っています。物件を探す際には、まずこれらの区の全体的な位置関係と特徴を把握しておくことが非常に重要です。
行政区名 | 人口(2024年5月末時点) | 特徴 |
---|---|---|
中区(なかく) | 約143,000人 | 広島市の中心部。官公庁、オフィス、商業施設が集積するエリア。交通の便が最も良く、活気がある。 |
東区(ひがしく) | 約120,000人 | 広島駅新幹線口があり、都心へのアクセスが良い。落ち着いた住宅街と再開発が進むエリアが混在。 |
南区(みなみく) | 約143,000人 | JR広島駅や広島港を擁する市の玄関口。マツダスタジアムがあり、再開発によって人気が急上昇中。 |
西区(にしく) | 約190,000人 | JR横川駅や西広島駅など交通の結節点。商業施設が多く、利便性と家賃のバランスが良い。 |
安佐南区(あさみなみく) | 約246,000人 | 広島市で最も人口が多い区。アストラムライン沿線を中心に開発されたベッドタウンで、ファミリー層に人気。 |
安佐北区(あさきたく) | 約138,000人 | 市内で最も面積が広い区。豊かな自然環境が魅力で、のびのびとした暮らしを求める人向け。 |
安芸区(あきく) | 約75,000人 | 比較的家賃が安く、自然に囲まれたエリア。JR呉線が主要な交通手段となる。 |
佐伯区(さえきく) | 約139,000人 | 西部の丘陵地に広がるニュータウン。計画的に整備された街並みが特徴で、子育て世代に人気が高い。 |
※人口は広島市公式ウェブサイト「広島市の人口(毎月推計)」を参照 |
このように、広島市は「都心部(中区・南区など)」「都心近郊(東区・西区)」「郊外のベッドタウン(安佐南区・佐伯区)」「自然豊かなエリア(安佐北区・安芸区)」と、大きく4つのカテゴリーに分類できます。 自分がどのような環境で暮らしたいのかをイメージしながら、これらの区の特徴を比較検討することがエリア選びの第一歩です。
交通の利便性が高く移動しやすい
広島市は公共交通機関が非常に発達しており、市内外への移動がスムーズな点も大きな魅力です。主要な交通手段を理解しておくことで、通勤・通学の利便性を考慮した物件探しが可能になります。
- JR:山陽新幹線が停車する広島駅を拠点に、東西を結ぶ山陽本線、呉方面へ向かう呉線、北へ延びる可部線、北東へ向かう芸備線が運行しています。市内の主要な駅を結ぶだけでなく、岡山や福岡、山陰地方など他県へのアクセスも抜群です。
- 広島電鉄(路面電車):通称「広電」として市民に親しまれており、日本最大の路線網を誇る路面電車です。広島駅を起点に、紙屋町・八丁堀といった中心部を経由し、西区、南区、そして世界遺産の宮島口までを網羅しています。運賃が均一で分かりやすく、市内の細やかな移動に非常に便利です。
- アストラムライン:正式名称は広島高速交通広島新交通1号線。都心の中区・本通駅から、城北、白島、牛田などを経て、大規模なベッドタウンである安佐南区を結ぶ新交通システムです。渋滞の影響を受けないため定時性が高く、特に安佐南区に住む人々の重要な足となっています。
- バス:広島電鉄バスや広島バスなどを中心に、市内全域にきめ細かなバス路線網が張り巡らされています。鉄道が通っていないエリアをカバーしており、市民の生活に欠かせない交通手段です。
これらの交通網が有機的に結びついているため、広島市では車がなくても比較的快適に生活できます。特にJR広島駅、横川駅、西広島駅などは複数の路線が乗り入れる交通のハブとなっており、これらの駅周辺は常に高い人気を誇ります。物件探しの際は、利用したい交通機関と最寄り駅・バス停からの距離を必ず確認しましょう。
商業施設が充実していて買い物に便利
広島市は、日々の買い物から休日のショッピングまで、あらゆるニーズに応える商業施設が充実しています。
まず、市の商業の中心は何と言っても中区の「紙屋町・八丁堀」エリアです。ここには「そごう広島店」や「福屋八丁堀本店」といった老舗百貨店が軒を連ね、地下には巨大なショッピングモール「紙屋町シャレオ」が広がります。また、アーケード商店街である「広島本通商店街」や「えびす通り商店街」には、ファッション、グルメ、雑貨など多種多様な店舗が集まり、平日・休日を問わず多くの人で賑わっています。
近年、著しい発展を遂げているのが南区の「広島駅」周辺です。駅ビルの「ekie(エキエ)」には、ファッション、グルメ、お土産物店などが集結し、新たな市の顔として人気を集めています。駅の南側には「福屋広島駅前店」や「ビックカメラ」があり、北側には「グランアークテラス」があるなど、駅周辺だけでほとんどの用事を済ませることができます。
また、郊外にも魅力的な大型商業施設が点在しています。
- LECT(レクト)(西区):食品、ファッション、インテリア、蔦屋書店などが融合した新しい形のライフスタイル提案型商業施設。
- イオンモール広島府中(安芸郡府中町):広島市に隣接する巨大なショッピングモール。映画館も併設。
- イオンモール広島祇園(安佐南区):アストラムライン沿線にあり、地域の生活を支える中心的施設。
- THE OUTLETS HIROSHIMA(ジ アウトレット広島)(佐伯区):アウトレットモールとエンターテイメントが融合した施設。
このように、都心部には高感度なショップが集まり、郊外には日常使いに便利な大型モールが点在しているため、どのエリアに住んでも買い物に不便を感じることは少ないでしょう。
自然と都市機能のバランスが良い
広島市は「水の都」とも呼ばれ、市内を太田川の6本の支流が流れる美しい景観が特徴です。都市機能が高度に集積する一方で、身近に自然を感じられる環境が整っている点は、広島市で暮らす大きなメリットと言えます。
市の中心部には、世界的に有名な平和記念公園があり、市民の憩いの場となっています。また、江戸時代の名園として知られる縮景園も都心にありながら、四季折々の美しい自然を楽しむことができます。
少し郊外に足を延せば、さらに豊かな自然が広がります。北部の安佐北区や東部の安芸区には緑豊かな山々が連なり、ハイキングやキャンプなどを楽しむことができます。西部には瀬戸内海が広がり、美しい島々の風景を望むことができます。
このように、最先端の都市機能の利便性を享受しながら、少し移動するだけで雄大な自然に触れることができるのが広島市の大きな魅力です。 平日は都心でアクティブに働き、休日は自然の中でリフレッシュするという、メリハリのあるライフスタイルを実現しやすい街と言えるでしょう。
広島市の家賃相場
賃貸物件を探す上で最も気になる要素の一つが「家賃相場」です。広島市は政令指定都市の中でも比較的家賃が手頃と言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか。ここでは、市全体の相場から、間取り別、区別の詳細なデータまでを掘り下げて解説します。
広島市全体の家賃相場
まず、広島市全体の家賃相場を把握しましょう。大手賃貸情報サイトのデータを総合すると、広島市全体の平均家賃は、一人暮らし向けのワンルーム・1Kタイプで約5.0万円~6.0万円、ファミリー向けの2LDK・3LDKタイプで約8.0万円~12.0万円が目安となります。
これは、東京23区や大阪市、福岡市といった他の主要な大都市と比較すると、かなりリーズナブルな水準です。例えば、福岡市の中心部(中央区・博多区)と比較すると、同程度の条件の物件でも1万円~2万円程度安く借りられるケースが多く見られます。
もちろん、これは市全体の平均であり、実際にはエリアや駅からの距離、築年数、設備などによって大きく変動します。しかし、「政令指定都市の利便性を享受しつつ、家賃を抑えて暮らしたい」と考える人にとって、広島市は非常に魅力的な選択肢であることは間違いありません。
【間取り別】広島市の家賃相場
次に、より具体的にライフスタイルをイメージできるよう、間取り別の家賃相場を見ていきましょう。自分の希望する暮らしに合った間取りと、その予算感を掴むための参考にしてください。
間取り | 広島市全体の家賃相場(目安) | 主な入居者層 | 特徴 |
---|---|---|---|
ワンルーム・1K・1DK | 4.5万円 ~ 6.5万円 | 学生、新社会人、単身者 | 最も物件数が多く、探しやすい。都心部や駅近では6万円を超える物件も多いが、郊外では3万円台から見つかることもある。 |
1LDK・2K・2DK | 6.5万円 ~ 9.0万円 | 一人暮らし(広め)、カップル、新婚 | リビングスペースを確保でき、快適性が高まる。特に1LDKは人気が高く、中区や南区などの人気エリアでは10万円を超えることも。 |
2LDK・3K・3DK | 8.0万円 ~ 12.0万円 | カップル(将来設計)、ファミリー | 子育て世帯に需要が高い。安佐南区や佐伯区などの郊外エリアに物件が豊富。都心部では物件数が少なく、家賃も高額になる傾向。 |
3LDK以上 | 10.0万円 ~ 15.0万円以上 | ファミリー | 比較的広い戸建て賃貸や分譲賃貸マンションが中心。供給数が限られるため、希望のエリアで見つけるには根気が必要な場合も。 |
※家賃相場は各種賃貸情報サイトのデータを基にした2024年時点の目安です。 |
ワンルーム・1K・1DK
学生や社会人の一人暮らしで最も一般的なのがこのタイプです。広島市では、大学周辺(西区、安佐南区など)や、JR・広電の駅周辺に数多く供給されています。 家賃を最優先するなら、安芸区や安佐北区、または駅から少し離れたエリアを探すと4万円以下の物件も見つかります。逆に、都心の中区で利便性を追求すると、6万円台後半になることも珍しくありません。
1LDK・2K・2DK
一人暮らしで少しゆとりのある生活をしたい方や、カップル・新婚世帯に人気の間取りです。特に1LDKは近年需要が高まっており、築浅で設備の整った物件は競争率が高い傾向にあります。南区や西区、安佐南区など、幅広いエリアで供給されていますが、人気エリアでは早めの行動が鍵となります。2Kや2DKは築年数が経過した物件が多いものの、リノベーションされてきれいになっていたり、同じ家賃でも1LDKより広かったりするケースがあり、狙い目と言えるでしょう。
2LDK・3K・3DK
ファミリー層の主な選択肢となるのがこの間取りです。特に子育て世帯に人気の安佐南区や佐伯区には、2LDKのマンションやアパートが豊富にあります。 これらのエリアでは、駐車場付きで10万円以下という物件も多く、都市部と比較してコストパフォーマンスに優れています。中区や南区といった都心部では2LDK以上の物件数は限られ、家賃も15万円以上になることが一般的です。
【区別】広島市の家賃相場ランキング
最後に、広島市8区の家賃相場を比較してみましょう。ここでは、需要の多い「1LDK」の間取りを基準に、家賃相場の高い順にランキング形式でまとめました。エリア選びの際の重要な判断材料となるはずです。
順位 | 行政区名 | 1LDKの家賃相場(目安) | 家賃が高い(安い)理由 |
---|---|---|---|
1位 | 中区 | 8.0万円 ~ 11.0万円 | 商業・行政の中心地で利便性が圧倒的に高い。需要が常に高く、物件の希少価値も高いため。 |
2位 | 南区 | 7.5万円 ~ 10.0万円 | 広島駅を擁し、再開発で人気が急上昇。交通アクセスが良く、新築・築浅物件が多いため。 |
3位 | 西区 | 7.0万円 ~ 9.5万円 | 交通の結節点が多く、市内各所へのアクセスが良好。利便性と住環境のバランスが取れているため。 |
4位 | 東区 | 6.5万円 ~ 8.5万円 | 広島駅北側に位置し、都心に近い。比較的落ち着いた住宅街が多く、コストパフォーマンスが良い。 |
5位 | 安佐南区 | 6.0万円 ~ 8.0万円 | ファミリー層に人気のベッドタウン。物件供給数が多く、比較的リーズナブルな価格帯で見つかる。 |
6位 | 佐伯区 | 5.8万円 ~ 7.8万円 | 計画的に開発されたニュータウン。子育て環境が良く、安佐南区と並びファミリーに人気。 |
7位 | 安佐北区 | 5.0万円 ~ 6.5万円 | 都心から距離がある分、家賃は手頃。自然豊かな環境を求める人向け。 |
8位 | 安芸区 | 4.8万円 ~ 6.3万円 | 8区の中で最も家賃相場が低い。家賃を最優先に考えたい人にとって有力な選択肢。 |
※家賃相場は各種賃貸情報サイトのデータを基にした2024年時点の目安です。 |
このランキングから分かるように、家賃相場は「都心からの距離」と「交通の利便性」に大きく左右されます。 中区が突出して高く、南区、西区がそれに続きます。一方で、安佐北区や安芸区は、都心部まで少し時間はかかりますが、その分家賃を大幅に抑えることが可能です。
自分の予算と、通勤・通学時間や生活利便性とのバランスを考えながら、このランキングを参考にして候補エリアを絞り込んでいくのが効率的な探し方と言えるでしょう。
広島市の治安について
新しい街で暮らす上で、家賃と並んで誰もが気にするのが「治安」です。特に、一人暮らしの女性や小さなお子様がいるご家庭にとっては、安心して暮らせるかどうかはエリア選びの最重要項目と言っても過言ではありません。ここでは、公的なデータを基に広島市の治安状況を客観的に分析し、安心して暮らすためのエリア選びのポイントを解説します。
広島市の犯罪発生率と推移
まず、広島市全体の治安状況をマクロな視点で見てみましょう。広島県警察が公表している犯罪統計によると、広島市における刑法犯認知件数は、長期的には減少傾向にあります。 これは、防犯カメラの普及や地域の防犯活動の成果と考えられ、市全体の安全性が向上していることを示しています。(参照:広島県警察本部 犯罪統計)
ただし、他の政令指定都市と比較した場合、人口あたりの犯罪発生率は平均的な水準か、やや高めに出ることがあります。これは、広島市が中国・四国地方最大の繁華街を抱えていることが一因と考えられます。繁華街では、どうしても窃盗(スリ、置き引きなど)や軽微なトラブルが発生しやすいため、全体の数字を押し上げる傾向があります。
重要なのは、「広島市全体が危険」ということではなく、「エリアによって治安の状況は大きく異なる」という事実を理解することです。犯罪の多くは特定のエリア(主に繁華街)で発生しており、多くの住宅街は非常に平穏です。したがって、物件を探す際には、市全体のデータだけでなく、区ごと、さらには町丁目レベルでの治安情報を確認することが不可欠です。
区ごとの治安の特徴と比較
広島市の治安状況は、8つの行政区ごとに大きく異なります。ここでは、各区の治安の特徴を比較し、どのような傾向があるのかを見ていきましょう。
行政区名 | 治安の特徴 | 注意点 |
---|---|---|
中区 | 犯罪発生件数が最も多い区。紙屋町・八丁堀や流川・薬研堀といった大規模な繁華街を抱えるため、窃盗や暴行などの発生率が高い。 | 繁華街エリアは夜間の独り歩きに注意が必要。一方で、白島や江波などの住宅街エリアは比較的落ち着いている。場所による差が最も大きい区。 |
南区 | 中区に次いで犯罪発生件数が多い。広島駅周辺や宇品エリアなど、人の集まる場所での犯罪が目立つ。 | 駅周辺や商業施設では置き引きや自転車盗難に注意。再開発が進み、街灯が増えるなど防犯環境は改善傾向にある。 |
西区 | 横川駅や西広島駅周辺など、ターミナル駅周辺での犯罪が比較的多い。 | 駅前の繁華街では夜間のトラブルに注意が必要だが、駅から離れた住宅街は閑静で治安が良い場所が多い。利便性と治安のバランスを考慮する必要がある。 |
東区 | 広島駅新幹線口側は人の出入りが多いが、区全体としては落ち着いた住宅街が多く、治安は比較的良好。 | 光町周辺など一部に飲食店が集まるエリアはあるが、全体的にはファミリー層も安心して住める環境。 |
安佐南区 | 人口が最も多いが、人口あたりの犯罪発生率は低い。 典型的なベッドタウンであり、治安は良好なエリア。 | 新興住宅地が多く、地域の防犯意識も高い。ただし、広いエリアなので、街灯の少ない場所や夜間の人通りが少ない道は避けた方が無難。 |
佐伯区 | 安佐南区と同様、計画的に開発されたニュータウンが多く、治安は非常に良好。 | ファミリー層が多く住み、地域の目が行き届いている。大学周辺など一部で若者による騒音などが問題になるケースも稀にある。 |
安芸区 | 犯罪発生件数は8区の中で最も少ない部類に入る。のどかで平穏なエリア。 | 全体的に治安は良いが、夜間は人通りが少なく暗い場所も多いため、車での移動が中心となることが多い。 |
安佐北区 | 広大な面積に対して人口が分散しており、犯罪発生率は低い。 | 安芸区と同様、自然豊かで静かな環境。夜道が暗い場所が多いため、物件周辺の夜の環境は確認しておきたい。 |
この比較から分かるように、犯罪は利便性が高く人が集まるエリア、特に繁華街で多く発生する傾向があります。中区や南区は、利便性が最高である反面、治安の面では注意が必要なエリアも含まれます。一方で、安佐南区、佐伯区、安佐北区、安芸区といった郊外の住宅地は、犯罪発生率が低く、落ち着いて暮らしたい人にとっては安心できる環境と言えます。
治安を重視する場合のエリア選びの注意点
統計データ上の犯罪発生率だけでなく、実際に安心して暮らすためには、ミクロな視点でのチェックが欠かせません。治安を最優先に考える場合のエリア選びの注意点を3つ挙げます。
- 昼と夜、両方の顔を確認する
物件の内見は昼間に行くことが多いですが、必ず夜の時間帯にもう一度、最寄り駅から物件までの道のりを歩いてみましょう。 昼間は明るく賑やかな道でも、夜になると「街灯が少なく暗い」「人通りが全くなくなる」「居酒屋の酔客が多い」といった問題点が見えてくることがあります。自分の足で歩き、目で見て確認することが最も確実な方法です。 - 大通りから一本入った場所を狙う
駅前の大通りに面した物件は、夜でも明るく人目があるため安心感があります。しかし、交通量や通行人が多く、騒音が気になる場合もあります。そこでおすすめなのが、「大通りから一本だけ中に入った住宅街」です。利便性を損なわずに、静かで落ち着いた環境を手に入れられる可能性が高まります。ただし、その一本入った道が暗くないか、見通しが悪くないかはしっかり確認しましょう。 - ハザードマップと合わせて確認する
犯罪からの安全性だけでなく、自然災害からの安全性も「広義の治安」と捉えることが重要です。広島市は地形的に山が近く、過去に土砂災害が発生した歴史があります。広島市が公開しているハザードマップで、検討している物件が土砂災害警戒区域や浸水想定区域に入っていないかを確認することは、安心して長く住むための必須事項です。「広島市防災ポータル」などで簡単に確認できるので、物件探しの初期段階でチェックしておくことを強く推奨します。
これらのポイントを押さえ、データと現地調査の両面から検討することで、本当に安心して暮らせるエリアと物件を見つけることができるでしょう。
広島市の賃貸物件おすすめエリア10選
ここからは、これまでの家賃相場や治安の情報も踏まえ、具体的なおすすめエリアを10カ所ピックアップして、それぞれの魅力や住みやすさを詳しくご紹介します。あなたのライフスタイルにぴったりの街がきっと見つかるはずです。
① 中区:利便性と活気を求める人におすすめ
街の特徴と住みやすさ
中区は、広島市の心臓部とも言えるエリアです。県庁や市役所などの行政機関、企業のオフィス、そして紙屋町・八丁堀の商業施設が集積しており、まさに広島のすべてが詰まっていると言っても過言ではありません。交通網もJR、広電、アストラムライン、バスのすべてが集中し、市内外どこへ行くにもアクセスは抜群。通勤・通学の利便性を最優先する人にとっては、これ以上ない環境です。平和記念公園や広島城、縮景園といった緑豊かなスポットも点在し、都会の中にも安らぎを感じられる瞬間があります。
住環境としては、高層マンションが中心となります。単身者向けのワンルームから、富裕層向けのタワーマンションまで物件のバリエーションは豊富ですが、ファミリー向けの広い物件は少なめです。常に街の活気を感じながら、アクティブな都会生活を送りたい人に最適なエリアです。
家賃相場
広島市8区の中で最も高く、ワンルームでも7万円前後、1LDKでは10万円を超えることも珍しくありません。利便性を手に入れるためのコストと割り切る必要があります。
治安
区全体では犯罪発生件数が最も多いですが、それは流川・薬研堀といった繁華街の数字に大きく影響されています。白島エリアや、平和記念公園西側の住吉町・舟入エリアなどは比較的落ち着いた住宅地となっており、住む場所を選べば安心して生活できます。エリア内の治安の差が大きいことを理解しておくことが重要です。
② 南区:広島の玄関口でアクセス抜群
街の特徴と住みやすさ
JR広島駅と広島港を擁する、まさに広島の玄関口。山陽新幹線をはじめとするJR各線が利用でき、出張が多いビジネスパーソンや旅行好きには最高のロケーションです。近年は広島駅周辺の再開発が目覚ましく、「エキエ」などの商業施設が充実し、街の魅力が飛躍的に向上しています。プロ野球・広島東洋カープの本拠地「MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島」もあり、活気に満ちあふれています。
駅から少し離れると、段原や翠町、宇品といった閑静な住宅街が広がっており、単身者からファミリーまで幅広い層が暮らしています。特に宇品エリアは、海沿いにおしゃれなカフェや商業施設が並び、ベイサイドの開放的な暮らしが楽しめます。
家賃相場
中区に次いで高い水準ですが、再開発による人気上昇を考えると、まだコストパフォーマンスは良いと言えます。広島駅徒歩圏内の新築・築浅物件は高めですが、少し離れれば手頃な物件も見つかります。
治安
広島駅周辺やスタジアム周辺は人が多く集まるため、置き引きや自転車盗難などの軽犯罪には注意が必要です。しかし、住宅街エリアは比較的落ち着いており、安心して暮らせる場所が多いです。再開発に伴い、街灯のLED化や防犯カメラの設置も進んでいます。
③ 西区:交通の要所で家賃も手頃
街の特徴と住みやすさ
西区は、JR山陽本線と可部線が乗り入れる「横川駅」と、JR山陽本線と広電宮島線が乗り入れる「西広島駅(己斐)」という2つの主要な交通結節点を持つ、非常に利便性の高いエリアです。市内中心部へのアクセスはもちろん、宮島や岩国方面へもスムーズに移動できます。
横川駅周辺は再開発が進み、スーパーや飲食店が充実。西広島駅周辺は学生街としての顔も持ち、活気があります。また、沿岸部には「アルパーク」や「LECT」といった大型商業施設があり、買い物にも困りません。利便性が高いにもかかわらず、中区や南区に比べて家賃が手頃なため、コストパフォーマンスを重視する単身者やカップルに人気です。
家賃相場
中区・南区よりも一段階安く、利便性を考えると非常に魅力的です。特に単身者向けの物件が豊富で、選択肢が多いのも特徴です。
治安
横川駅や西広島駅の駅前には飲食店が多く、夜は賑やかですが、少し離れると閑静な住宅街が広がっています。全体的には治安は良好で、住みやすいエリアと言えるでしょう。
④ 安佐南区:ファミリー層に人気のベッドタウン
街の特徴と住みやすさ
広島市で最も人口が多い区であり、アストラムライン沿線を中心に発展した、広島を代表するベッドタウンです。祇園、西原、古市、大町、緑井といったエリアは、計画的に整備された住宅街が広がり、道路も広く、公園も多いため、特に子育て世代から絶大な支持を得ています。
「イオンモール広島祇園」や「フジグラン緑井」などの大型商業施設が点在し、区内で生活が完結するほどの利便性を備えています。アストラムラインを使えば都心部まで渋滞知らずでアクセスできる点も大きな魅力です。
家賃相場
都心部と比較するとかなりリーズナブルで、同じ家賃でもより広く、築年数の新しい物件を見つけやすいです。特にファミリー向けの2LDKや3LDKの物件が豊富にあります。
治安
人口が多いにもかかわらず、犯罪発生率は低く、非常に治安が良いエリアです。地域の目が行き届いており、ファミリー層が安心して暮らせる環境が整っています。
⑤ 東区:都心に近いながらも落ち着いた環境
街の特徴と住みやすさ
広島駅の新幹線口側(北側)に位置する区です。駅周辺の光町や若草町は再開発が進み、オフィスやマンションが立ち並びますが、少し北へ行くと牛田や戸坂といった落ち着いた住宅街が広がっています。都心へのアクセス性を保ちつつ、静かな環境で暮らしたいというニーズに応えるエリアです。
特に牛田エリアは、文教地区としても知られ、子育て環境を重視するファミリーにも人気があります。坂が多い地形が特徴ですが、その分、眺望の良い物件も多く見られます。
家賃相場
都心に近い割には比較的リーズナブル。特にJR芸備線沿線の戸坂・矢賀エリアでは、手頃な家賃の物件が見つかります。
治安
区全体として治安は良好です。広島駅周辺は人の往来が多いですが、住宅街エリアは非常に静かで落ち着いています。
⑥ 佐伯区:子育て世代に優しいニュータウン
街の特徴と住みやすさ
市の西部に位置し、丘陵地を切り開いて開発されたニュータウンが広がるエリアです。五日市駅周辺の中心市街地と、北部の美鈴が丘、南部の楽々園・海老園、西部の石内・五月が丘など、複数の住宅地で構成されています。電線が地中化されていたり、歩道が広く整備されていたりと、計画的に作られた美しい街並みが特徴で、安佐南区と並ぶ人気のベッドタウンです。
JR山陽本線と広電宮島線が利用でき、都心へのアクセスも良好。「ジ アウトレット広島」のような大型施設もあり、休日の楽しみも豊富です。
家賃相場
安佐南区と同程度の水準で、ファミリー向けの広くて新しい物件が手頃な家賃で借りられます。駐車場付き物件が多いのも特徴です。
治安
犯罪発生率が低く、広島市の中でもトップクラスに治安が良いエリアです。地域のコミュニティがしっかりしており、子育て世帯が安心して暮らせる環境です。
⑦ 安芸区:自然豊かで家賃を抑えたい人向け
街の特徴と住みやすさ
市の南東部に位置し、自然豊かな環境が魅力のエリアです。主要な交通手段はJR呉線で、矢野、海田市(※海田町)、坂(※坂町)といった駅周辺に住宅街が形成されています。最大の魅力は家賃の安さで、とにかく生活コストを抑えたい人にとっては第一の選択肢となるでしょう。
山や川に囲まれ、のどかな雰囲気の中でスローライフを送りたい人に向いています。ただし、坂が多く、店舗なども駅周辺に集中しているため、車があった方が生活の利便性は格段に向上します。
家賃相場
広島市8区の中で最も安い水準です。同じ予算なら、他の区よりもかなり条件の良い物件に住める可能性があります。
治安
犯罪発生件数が少なく、非常に平穏なエリアです。ただし、夜間は人通りが少なく暗い場所も多いため、物件の周辺環境、特に夜道の明るさは事前に確認しておきましょう。
⑧ 安佐北区:広大な自然環境で暮らす
街の特徴と住みやすさ
広島市で最も面積が広く、市の北側大部分を占めるエリアです。太田川の豊かな自然に恵まれ、里山の風景が広がります。主要な交通手段はJR可部線と芸備線。中心となる可部エリアにはスーパーや病院などが揃っていますが、基本的にはアウトドアや家庭菜園などを楽しみながら、広々とした環境で暮らしたい人向けのエリアです。
近年は、広島市内へのアクセス道路の整備も進み、都心で働きながら自然の中での暮らしを両立することも可能になってきています。
家賃相場
安芸区と並んで家賃が安いエリアです。特に戸建て賃貸や、駐車場が2台以上確保できる物件が手頃な価格で見つかることもあります。
治安
面積が広い分、人口密度が低く、犯罪もほとんど発生しません。非常にのどかで安全な環境ですが、野生動物(イノシシなど)の出没には注意が必要な場所もあります。
⑨ 横川駅周辺:おしゃれな店が集まる人気エリア
街の特徴と住みやすさ
西区に属する横川駅周辺は、近年おしゃれなカフェや雑貨店、個性的な飲食店が増え、若者やカップルに特に人気のエリアとなっています。JR山陽本線・可部線と広電横川線が乗り入れ、交通の便も非常に良いです。駅前にはスーパーや商店街があり、日常の買い物にも困りません。
年に一度開催される「横川ふしぎ市(ゾンビナイト)」などのユニークなイベントも街の魅力の一つ。都会的な便利さと、どこか懐かしい下町情緒、そして新しいカルチャーが融合した、歩いているだけで楽しい街です。
家賃相場
西区の中ではやや高めですが、中区や南区と比べれば手頃です。単身者向けのスタイリッシュなリノベーション物件なども人気があります。
治安
駅前は夜も明るく人通りが多いですが、基本的には落ち着いた住宅街です。大きなトラブルは少なく、治安は良好と言えます。
⑩ 西広島駅周辺:学生にも人気の便利な街
街の特徴と住みやすさ
「己斐(こい)」という地名で親しまれる西広島駅周辺も、西区に属する人気のエリアです。JR山陽本線と広電本線・宮島線が利用でき、交通アクセスは抜群。駅前にはスーパー「己斐ガーデンスクエア」があり、周辺にも商店や飲食店が多く、生活利便性は非常に高いです。
広島修道大学や広島工業大学などへのバスの起点となっているため、学生が多く住み、街全体に活気があります。 そのため、手頃な価格の飲食店や賃貸物件も豊富です。
家賃相場
学生向けの物件が多いため、西区の中でも比較的リーズナブルな価格帯です。築年数が浅い物件よりも、手頃な家賃の物件を探しやすいエリアです。
治安
学生が多い街ですが、風紀が乱れているわけではなく、治安は比較的良好です。夜でも適度に人通りがあり、安心して歩ける道が多いです。
【ライフスタイル別】広島市のおすすめ居住エリア
ここまで紹介してきたエリア情報を基に、「一人暮らし」「カップル・新婚」「ファミリー」「学生」という4つのライフスタイル別に、特におすすめの居住エリアを整理してご紹介します。
一人暮らしにおすすめのエリア
一人暮らしの場合、重視するポイントは「通勤・通学の利便性」「外食のしやすさ」「家賃」などが挙げられます。
- 利便性最優先なら → 中区、南区(広島駅周辺)、西区(横川・西広島)
多少家賃が高くても、とにかく便利な場所に住みたいという方には、これらの都心・準都心エリアがおすすめです。公共交通機関が集中しており、車がなくても快適に生活できます。飲食店や商業施設も豊富で、アクティブな毎日を送りたい方にぴったりです。 - コストパフォーマンス重視なら → 東区、西区
都心へのアクセスも良く、買い物にも困らない利便性を持ちながら、中区・南区よりも家賃を抑えられるのが東区や西区です。特に西区は単身者向け物件が豊富で、自分に合った部屋を見つけやすいでしょう。 - 家賃をとにかく抑えたいなら → 安芸区、安佐北区
勤務地がこれらのエリアにある、または車での通勤が可能という方であれば、安芸区や安佐北区も選択肢に入ります。静かで自然豊かな環境で、家賃を大幅に節約できます。
カップル・新婚におすすめのエリア
二人での新生活を始めるカップルや新婚世帯には、「二人の通勤のしやすさ」「少し広めの間取り(1LDK~2LDK)」「休日に楽しめるスポットの近さ」などが重要なポイントになります。
- 都会的な暮らしを楽しみたいなら → 南区、西区
広島駅周辺の再開発が進む南区や、おしゃれな店が増えている西区(特に横川周辺)は、アクティブなカップルに人気です。少し広めの1LDKや2LDKの物件も見つけやすく、休日のデートスポットにも困りません。 - 落ち着きと利便性の両立なら → 東区、安佐南区(中心部寄り)
都心に近く、静かな住宅街が広がる東区の牛田エリアや、アストラムラインで都心へ直結の安佐南区の祇園・西原エリアなどは、落ち着いた環境で新生活をスタートさせたいカップルにおすすめです。将来の家族計画も見据えて、少し広めの物件を探すのに適しています。 - 家賃を抑えつつ快適に暮らすなら → 佐伯区(五日市周辺)
JRと広電が使え、都心へのアクセスも悪くない佐伯区の五日市駅周辺は、比較的リーズナブルな家賃で2LDKなどの物件が見つかります。大型商業施設も近く、生活利便性も高いエリアです。
ファミリーにおすすめのエリア
子育て世代のファミリーにとっては、「子育て支援の充実度」「公園や教育施設の多さ」「治安の良さ」「買い物のしやすさ」がエリア選びの決め手となります。
- 子育て環境の王道 → 安佐南区、佐伯区
広島市で子育てをするなら、まずこの2区が候補に挙がります。 計画的に整備された住宅街、広い公園、大型商業施設、充実した教育機関など、子育てに必要な環境がすべて揃っています。同じようなファミリー世帯が多く住んでいるため、地域のコミュニティに溶け込みやすいのも大きなメリットです。 - 文教地区で教育熱心なら → 東区(牛田)、中区(白島)
質の高い教育環境を求めるなら、古くからの文教地区である東区の牛田エリアや、中区の中でも落ち着いた住宅街である白島エリアがおすすめです。都心へのアクセスも良く、学習塾なども豊富にあります。ただし、家賃は高めになります。 - 自然の中で伸び伸びと育てたいなら → 安佐北区、安芸区
都会の喧騒から離れ、豊かな自然環境の中で子どもを育てたいというご家庭には、安佐北区や安芸区が向いています。広い戸建て賃貸なども見つけやすく、のびのびとした子育てが実現できます。
学生におすすめのエリア
学生の場合は、「大学への通いやすさ」と「手頃な家賃」が何よりも重要です。
- 広島大学(東広島市)の学生なら
→ 基本的には大学のある東広島市の西条エリアで探すのが一般的です。 - 広島修道大学、広島市立大学などの学生なら → 安佐南区、西区
これらの大学は市の北西部・西部に位置するため、アストラムラインが使える安佐南区や、バスの便が良い西区(西広島駅周辺など)が通学に便利です。学生向けのワンルーム物件が豊富で、家賃も手頃です。 - 広島女学院大学、比治山大学などの学生なら → 安芸区、南区
市の南東部・南部に位置する大学に通う場合は、JR呉線沿線の安芸区や、バス路線の多い南区が候補となります。特に安芸区は家賃を安く抑えられます。
広島市で後悔しない賃貸物件探しの5つのポイント
魅力的なエリアが見つかっても、物件選びで失敗しては元も子もありません。ここでは、広島市という地域特性を踏まえ、後悔しないための賃貸物件探しの具体的なポイントを5つ紹介します。
① ライフスタイルに合ったエリアを絞り込む
これまでに解説してきた通り、広島市は区によって全く異なる顔を持っています。まずは「自分がどんな暮らしをしたいのか」を明確にすることが最も重要です。
例えば、「通勤時間は30分以内」「家賃は7万円まで」「スーパーは徒歩5分以内」「静かな環境がいい」といった条件を書き出し、優先順位をつけましょう。その上で、各エリアの特徴と照らし合わせれば、自ずと候補となるエリアが2~3つに絞られてくるはずです。最初から闇雲に探し始めるのではなく、この「エリアの絞り込み」を丁寧に行うことが、効率的で満足度の高い物件探しの秘訣です。
② 通勤・通学の交通手段と時間を確認する
広島市は交通網が発達していますが、それゆえに確認すべき点も多くなります。
- メインの交通手段は何か?:JR、広電、アストラムライン、バスのどれを主に使うのか。それによって住むべきエリアも変わってきます。
- 乗り換えはスムーズか?:例えば、JRからアストラムラインへの乗り換え(新白島駅)や、JRから広電への乗り換え(広島駅、横川駅、西広島駅)は便利ですが、ラッシュ時の混雑も考慮しましょう。
- 坂や高低差は?:東区、安佐南区、佐伯区などの丘陵地では、「駅から徒歩10分」と書かれていても、実際には急な坂道を登らなければならないケースがあります。地図上だけでなく、実際に歩いて高低差を確認することが重要です。
- 終電・終バスの時間は?:残業が多い方や、夜の付き合いが多い方は、終電・終バスの時間を必ず確認しておきましょう。特に郊外へ向かう路線は、終電が早い場合があります。
③ スーパーや病院など周辺環境をチェックする
内見時には、物件の中だけでなく、その周辺環境を自分の足で歩いてチェックすることが不可欠です。
- スーパー:毎日の食生活を支えるスーパーは、品揃えや価格帯、営業時間などを確認しましょう。24時間営業のスーパーが近くにあると非常に便利です。
- コンビニ:深夜や早朝にちょっとした買い物ができるコンビニの有無も、生活の利便性を左右します。
- ドラッグストア:日用品や薬の購入に便利です。
- 病院・クリニック:内科や歯科など、かかりつけにできそうな病院が近くにあると、いざという時に安心です。
- 飲食店:自炊をあまりしない方は、定食屋や弁当屋などが近くにあるかどうかも重要なポイントです。
Google マップのストリートビューである程度は確認できますが、実際の雰囲気や距離感を掴むためには、現地を歩くのが一番です。
④ 建物のセキュリティ設備を確認する
特に女性の一人暮らしやファミリー層にとって、セキュリティは非常に重要な項目です。以下の設備が整っているかを確認しましょう。
- オートロック:不審者の侵入を防ぐ第一の関門です。
- モニター付きインターホン:訪問者の顔を確認してからドアを開けられるため、防犯性が格段に高まります。
- 防犯カメラ:エントランスや駐車場、エレベーターなどに設置されていると、犯罪の抑止力になります。
- 宅配ボックス:不在時でも荷物を受け取れる便利な設備であると同時に、配達員と直接顔を合わせる必要がないため、セキュリティ面でも有効です。
- 2階以上の部屋:1階は侵入のリスクが比較的高く、また道路からの視線も気になりがちです。可能であれば2階以上の部屋を選ぶと安心感が増します。
⑤ ハザードマップで災害リスクを把握する
前述の通り、広島市で暮らす上で災害リスクの確認は絶対に欠かせません。広島市は太田川が流れるデルタ地帯に市街地が形成されており、背後には山が迫っているという地形的特徴があります。
そのため、「洪水」と「土砂災害」のリスクを事前に把握しておく必要があります。
「広島市防災ポータル」にアクセスすれば、住所を入力するだけで、その場所がどのような災害リスクを抱えているのかを色分けされたマップで簡単に確認できます。
- 浸水想定区域:大雨によって河川が氾濫した場合に、どのくらいの深さまで浸水する可能性があるかを示した区域。
- 土砂災害警戒区域(イエローゾーン):土砂災害が発生するおそれがある区域。
- 土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン):建物が損壊し、住民に著しい危害が生じるおそれがある区域。
特にレッドゾーンに指定されている場所は、建築にも制限がかかるほどの危険なエリアです。家賃が相場より安い場合、こうした災害リスクを抱えている可能性があるため、必ず自分の目でハザードマップを確認する習慣をつけましょう。
広島市の賃貸探しに便利なポータルサイト3選
効率的に多くの物件情報を集めるには、賃貸ポータルサイトの活用が欠かせません。ここでは、広島市の物件探しで特に役立つ代表的な3つのサイトをご紹介します。それぞれの特徴を理解し、組み合わせて使うのがおすすめです。
① SUUMO(スーモ)
株式会社リクルートが運営する、国内最大級の不動産情報サイトです。最大の強みは、圧倒的な掲載物件数です。広島市の物件も、大手から地域密着型の不動産会社まで幅広くカバーしており、多くの選択肢の中から比較検討できます。
「間取り」「家賃」といった基本的な条件はもちろん、「バス・トイレ別」「独立洗面台」「オートロック」といった定番のこだわり条件から、「楽器相談可」「二人入居可」といったニッチな条件まで、検索機能が非常に充実しています。地図を見ながら物件を探せる機能や、家賃相場を調べられる機能も便利で、初心者から経験者まで、誰にとっても使いやすいサイトと言えるでしょう。
② LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)
株式会社LIFULLが運営する、SUUMOと並ぶ大手不動産情報サイトです。LIFULL HOME’Sの特徴は、物件一つひとつに対する情報量の多さにあります。特に写真の掲載枚数が多い傾向にあり、部屋の隅々までオンラインで確認しやすいのがメリットです。
また、「物件のウリ」「担当者のコメント」など、不動産会社の視点からの情報が掲載されていることも多く、物件の個性を掴みやすいです。さらに、「家賃が安い順」だけでなく、「人気順」で並べ替える機能もあり、他の人が注目している物件を知ることもできます。独自の特集記事なども豊富で、物件探しに役立つ知識を得るのにも適しています。
③ at home(アットホーム)
アットホーム株式会社が運営する、不動産情報サイトの老舗です。at homeの強みは、地域に根ざした不動産会社の加盟店が多いことです。そのため、SUUMOやLIFULL HOME’Sには掲載されていない、いわゆる「掘り出し物」の物件が見つかる可能性があります。
特に、大家さんから直接管理を任されているような物件は、at homeにしか載っていないケースも少なくありません。大手サイトと併用することで、より網羅的な物件探しが可能になります。サイトのデザインはシンプルで分かりやすく、じっくりと物件を探したい方に向いています。
広島の賃貸に関するよくある質問
最後に、広島市で賃貸物件を探す際によく寄せられる質問とその回答をまとめました。物件探し中の疑問や不安の解消にお役立てください。
広島市で家賃を安く抑える方法はありますか?
はい、いくつかの方法があります。以下の条件を少し緩めることで、家賃を大幅に抑えられる可能性があります。
- エリアを郊外にする:中区や南区といった都心部を避け、安芸区や安佐北区、または各区の駅から離れたエリアを選ぶのが最も効果的です。
- 駅からの距離を妥協する:「駅から徒歩5分」を「徒歩15分」にする、あるいは「バス便」を検討するだけで、家賃は大きく変わります。
- 築年数の古い物件を選ぶ:築20年以上の物件は、家賃が安く設定されていることが多いです。中にはリノベーションされて内装が新築同様にきれいな物件もあるため、狙い目です。
- 設備へのこだわりを減らす:「バス・トイレ別」を「3点ユニットバス」にしたり、「独立洗面台」を諦めたりするだけでも、選択肢は広がります。
- 繁忙期を避ける:不動産業界の繁忙期である1月~3月は、家賃交渉が難しく、良い物件はすぐに埋まってしまいます。5月~8月の閑散期に探すと、比較的ゆっくり探せ、家賃交渉に応じてもらえる可能性も高まります。
女性の一人暮らしでも安心して住めるエリアはどこですか?
治安を重視する女性の一人暮らしには、以下の特徴を持つエリアがおすすめです。
- 犯罪発生率の低いエリア:データ上、安佐南区や佐伯区は犯罪が少なく、ファミリー層も多いため地域の目が行き届いており、安心感が高いです。
- 大通り沿いや駅近の物件:夜でも明るく人通りがある場所は、犯罪の抑止力になります。西区の横川駅や西広島駅、南区の段原エリアなど、駅から近く、かつ大通りに面した物件は人気があります。
- セキュリティ設備の整った物件:エリアに関わらず、オートロック、モニター付きインターホンは必須と考えましょう。2階以上の部屋を選ぶことも重要です。
敷金・礼金なしの物件を探すことはできますか?
はい、広島市でも「敷金・礼金0円(ゼロゼロ物件)」を探すことは可能です。賃貸ポータルサイトのこだわり条件で「敷金なし」「礼金なし」にチェックを入れて検索できます。
初期費用を大幅に抑えられるのが最大のメリットですが、注意点もあります。多くの場合、短期解約違約金が設定されていたり、退去時のクリーニング費用が実費請求されたりすることがあります。契約内容をよく確認し、トータルでかかる費用を理解した上で検討することが重要です。
物件の内見でチェックすべきポイントは何ですか?
内見は、物件の良し悪しを判断する最後のチャンスです。以下のポイントを忘れずにチェックしましょう。
- 日当たりと風通し:時間帯による日の入り方を確認しましょう。窓を開けて風が通るかも重要です。
- 収納の広さ:クローゼットや押し入れの奥行きと高さを確認し、自分の荷物が収まるかイメージします。
- 水回りの状態:キッチン、トイレ、お風呂、洗面台の清潔さや臭い、水圧をチェックします。
- コンセントの位置と数:家具の配置を考えながら、テレビやPC、家電を使いたい場所にコンセントがあるか確認します。
- 携帯電話の電波状況:意外と見落としがちですが、室内で自分の携帯電話の電波が安定して入るか確認しましょう。
- 周辺の音:窓を開け閉めして、外の騒音(車の交通量、電車の音、近隣の工場の音など)や、上下左右の部屋からの生活音がどの程度聞こえるかを確認します。
- 共用部分:エントランスや廊下、ゴミ置き場がきれいに管理されているかは、管理会社の質や住人のマナーを知る上で重要な指標となります。
まとめ
本記事では、広島市で賃貸物件を探している方に向けて、8つの行政区の特徴から家賃相場、治安、具体的なおすすめエリア、そして後悔しないための物件探しのポイントまで、幅広く解説してきました。
広島市は、都心部の高い利便性、郊外の豊かな自然、そして活気と落ち着きが共存する、非常にバランスの取れた魅力的な都市です。 8つの区はそれぞれに明確な個性を持っているため、自分のライフスタイルや価値観に合ったエリアを見つけることが、広島での新生活を成功させるための最大の鍵となります。
最後に、この記事の要点を改めてまとめます。
- 広島市は8区で構成され、都心、郊外、自然豊かなエリアなど多様な選択肢がある。
- 家賃相場は他の大都市より手頃だが、中区が最も高く、安芸区・安佐北区が最も安い。
- 治安はエリアによる差が大きく、繁華街のある中区・南区は注意が必要。郊外は総じて良好。
- 物件探しでは、エリアの絞り込み、交通手段の確認、周辺環境のチェック、災害リスクの把握が重要。
この記事で得た情報を基に、ぜひ賃貸ポータルサイトで具体的な物件を検索し、気になるエリアには実際に足を運んでみてください。きっと、あなたの理想にぴったりの「住みたい街」が広島市で見つかるはずです。